【日本製イヤホン ZERO Audio ZIRCO Tenore レビュー】サウンドバランスは悪くなく、解像度にも優れるが、中域の透明度とレンジ感は物足りない。総合的には価格の標準以上

【日本製イヤホン ZERO Audio ZIRCO Tenore レビュー】サウンドバランスは悪くなく、解像度にも優れるが、中域の透明度とレンジ感は物足りない。総合的には価格の標準以上 5000円~10000円
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

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ZERO Audio ZIRCO Tenoreの概要

こんな人におすすめ

  • バランスの良い音が好き
  • 上品でシックな音が好き
  • ZERO AUDIOファン

基本スペック

  • 周波数特性:8Hz~40kHz
  • インピーダンス:16Ω
  • 感度:102dB/1mW
  • ケーブルコネクタ:mmcx
  • 価格帯:5000円~10000円

audio-sound スコア
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

  • パッケージ:7.5/10.0
  • ビルドクオリティ:8.0/10.0
  • 装着感:8.5/10.0
  • 高域:8.5/10.0
  • 中域:8.5/10.0
  • 低域:8.5/10.0
  • 歪みの少なさ:8.0/10.0
  • コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0

長所と短所

長所

  • バランスが良い
  • 原音忠実度が比較的高い
  • シックで上品
  • ダイナミズムに優れる

短所

  • 大きな左右差
  • 没入感に欠ける
  • 高域の拡張性が足りない
  • 低域の深さに欠ける
  • 中域の透明度に欠ける
  • 構築感に欠ける

ZERO AUDIO ZIRCO TENOREの特徴

  • 【ジルコニアハウジング採用】ハウジングに共振周波数が高く艶やかな光沢をもつジルコニアと削り出しアルミニウムを採用。不要な共鳴振動を低減し繊細かつ豊潤なハイレゾ音源をよりクリアーに再生。
  • 【ファインチューンド・ドライバー】ジルコニアハウジングに最適なスペックにチューニングされたファインチューンド・ドライバーがハイレゾサウンドを余すところなく再生。
  • 【M-DOCKシステム 】MMCXコネクタを採用し、別売のワイヤレスレシーバーやさまざまなコネクタ付ケーブルに切替えることができるゼロオリジナルのケーブルドッキングシステムに対応。
  • 【VGP2019 SUMMERを受賞】AV機器を熟知する評論家と全国の有力販売店による厳正な審査によって選出される国内最大級のオーディオビジュアルアワードの「VGP2019 SUMMER」を受賞。
  • 【ヘッドホンクリップ・プラスを同梱】衣類にワンタッチ着脱が可能でタッチノイズの軽減にも効果的。収納時には強力マグネットでケーブルをしっかり束ねて持ち運びや保管を容易に行うことができる。
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE


パッケージ(7.5)

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

今回のZERO AUDIO ZIRCO TENOREはZERO AUDIO10周年記念パッケージのもののため、通常版とはパッケージが異なります。そのため評価は標準の7.5とします。

パッケージ内容

  • イヤホン本体
  • イヤーピース
  • キャリイングバッグ
  • 説明書類
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

ビルドクオリティ(8.0)

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

外観のビルドクオリティは価格帯の水準を満たしています。

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
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装着感(8.5)

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

耳への収まりはよく、装着感は良好です。

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
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ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
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ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

音質

HATS測定環境

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
  • 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
  • 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
  • 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition

カプラー測定環境

  • Type5050 マイクアンプ電源
  • Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
  • オーディオインターフェース:MOTU M2

アナライザソフト

  • TypeDSSF3-L
  • Room EQ Wizard

REW周波数特性

Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。

当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。

周波数特性(RAW)

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE Frequency Response (RAW)
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE Frequency Response (RAW)
今回の測定値はHATSの測定値に基づき、共振ピークが9.5kHz付近に設定されています。

周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス

測定値は有料記事をご覧ください。

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オーディオステータス

Moondrop Starfieldのオーディオステータス
Moondrop Starfieldのオーディオステータス
※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。

制動

ZERO AUDIO ZIRCO TENOREはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けないようです。

測定値は有料記事をご覧ください。

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

音質解説

今回は標準イヤーピース Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。

10周年記念の特別なパッケージのはずですが、今回のZIRCO TENOREはかなりの左右差があります。記念パッケージモデルなんだから、左右のマッチングくらい気をつけるべきでしょう。在庫品を適当に突っ込んでるんでしょうか。最近は激安中華イヤホンのKZだってこんなひどい左右差は稀です。ZERO AUDIOはあんまり品質管理に優れているブランドではなさそうというのが第一印象ですね。

サウンドバランスはかなりニュートラルに近く、解像度も高いのが特徴です。

レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。

  • 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
  • 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
  • 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
  • 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
  • オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
  • クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
  • イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]

これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE
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低域(8.5)

  • 原音忠実度:S
  • 臨場感:B+
  • 深さ:A-
  • 重み:A-
  • 太さ:A-
  • 存在感:A-

低域

低域は比較的深くまで到達していますが、低域好きを満足させられるかというと、微妙なラインです。

少し膨張的に聞こえやすい低域で、ドラムキックがやや豊満に聞こえ、浅い印象を受けます。少したるんで聞こえる感じもありますが、十分にタイトでしょう。エレキベースは少し黒さが足りませんが、エッジのブリブリ感は逆にはっきりしています。

audio-technicaのSOLID BASSに通じるような表現で個人的には好きですね。

中域(8.5)

  • 原音忠実度:S-
  • 厚み:B+
  • 明るさ:B+
  • 硬さ:B
  • 存在感:B

中域

中域はわりとニュートラルですが、少し凹んでいるために低域の影響を受けて音像がぼやけます。

中域の透明度が高いとは言いづらいため、一般に中域の音像にこだわるオーディオマニア向きとは少し言い難いですが、それでもバランスは悪くありません。

エッジ感とクランチ感が不足しているため、エレキギターは濁って色気が足りないように聞こえます。スネアもアタックが弱く、若干腰砕けて聞こえがちです。

そのぶんボーカル優位がはっきりしているので、ボーカル中心に聞きやすいですが、色彩感に欠け、地味に聞こえがちです。個人的にはシックで好きな音ですが、ぼそぼそしがちなところは考えものです。

高域(8.5)

  • 原音忠実度:D+
  • 艶やかさ:B
  • 鋭さ:B-
  • 脆さ:C+
  • 荒さ:D-
  • 繊細さ:D+
  • 存在感:C

高域

高域はかなり丁寧に調整されており、鮮明感が重視されています。

歯擦音などの刺激的な要素は抑えめで、聞き心地に十分配慮されています。ただし、拡張性は物足りないので、シンバルクラッシュの広がり、バイオリンの伸びは物足りません。

定位/質感

  • 質感の正確性:A+
  • 定位の正確性:B+
  • オーケストラのテクスチャ:B+
  • 雅楽のテクスチャ:A-

定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。

オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。

この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。

質感表現が比較的自然で重厚感のある表現です。奥行き感が強調されてダイナミズムが高まっているため、雰囲気は悪くありません。しかし、中域の透明度がそれほど高くなく、音にみずみずしさが足りず、抜けが悪いのも気になりますね。スケール感も物足りません。

雅楽は篳篥の音がわりと綺麗ですが、やはり少しすっきりしすぎており、和音は比較的聞き心地は良いですが、色彩感で少し劣り、色気に欠けます。抜けの悪さも気になりますね。全体の聞き心地は安定しているので、悪くはありません。

音場/クリア感/イメージング

  • 音場:B
  • クリア感:B+
  • イメージング:A-
    • 高域:A+
    • 中域:A-
    • 低域:B-

音場

深さは物足りず、中域で奥行きが強調され、高さもわずかに物足りません。

クリア感は価格の標準以上です。

イメージング性能は価格帯では抜群に近いですね。

 

音質総評

  • 原音忠実度:A-
  • おすすめ度:A
  • 個人的な好み:B+

音質総評

ZIRCO TENOREはわりとサウンドバランスの良いモデルです。高い解像度も魅力です。ただ、中域の透明度が高くなく、レンジ感も物足りないうえ、総合的なパフォーマンスは価格の標準を大きく超えるというほどではないため、おすすめ度はそれなりです。

左右差の大きさから品質管理のレベルもそれほど高くない可能性があります。

コスパが良いかは少し微妙なラインですね。少なくとも価格帯で抜群に良い機種ではありません。

音質的な特徴

美点

  • バランスが良い
  • 原音忠実度が比較的高い
  • シックで上品
  • ダイナミズムに優れる

欠点

  • 大きな左右差
  • 没入感に欠ける
  • 高域の拡張性が足りない
  • 低域の深さに欠ける
  • 中域の透明度に欠ける
  • 構築感に欠ける
ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

バランスが良い
シックで上品
原音忠実度が比較的高い

ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

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レコーディングシグネチャー

レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。

レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。

参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。

¥369,600(税込)

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
  • Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
  • オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
  • レコーディングソフト:Audacity

浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)

楽曲情報
  • 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
  • アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
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  2. ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

総評

ZERO AUDIO ZIRCO TENOREはわりとサウンドバランスがよく価格帯では優れた解像度を持っているため、おすすめしやすい機種です。しかし、中域の透明度がそれほど高くないレンジ感で物足りない品質管理に疑問が残るなど、気になる点も多いです。結局のところ、価格帯では標準以上ですが、積極的におすすめするほどではないという程度の機種といったところでしょう。

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ZERO AUDIO ZIRCO TENORE

8.5

パッケージ

7.5/10

ビルドクオリティ

8.0/10

装着感

8.5/10

高域

8.5/10

中域

8.5/10

低域

8.5/10

歪みの少なさ

8.0/10

コストパフォーマンスボーナス

10.5/10

長所

  • 奥行きのある音場
  • グルーヴ感に優れる
  • 深みのある低域
  • 臨場感に優れる
  • 艶やかなサウンド

短所

  • 拡張性に欠ける高域
  • 薄っぺらい中域
  • うるさくてシャウティ
  • 爽快感に欠ける
  • マイクロディテールの不足

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