免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにYu9 Audioから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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Yu9 U-554の概要
こんな人におすすめ
- ニアフィールドサウンドが好き
- ボーカル曲向きのイヤホンが欲しい
- ASMRやボイスドラマ、ナレーション向きのイヤホンを探している
- 優れたステージモニターが欲しいミュージシャンやパフォーマー
- Etymotic Researchファン
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~16kHz
- インピーダンス:88Ω
- 感度:113dB/Vrms
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.0/10.0
長所
- 原音忠実性が高い
- ほぼ完璧なニアフィールドサウンド
- 豊かなハーモニクス
- マイルドな高域
- 良好なボーカルフォーカス
- モニター的な低域
- 前方定位的
- 音像一貫性に優れている
短所
- 拡張性に欠ける
- 低域の深みに欠ける
- 物足りないクリア感
- 締まりが悪くうるさく聞こえやすい中域上部~中高域
Yu9 U-554の特徴
Etymotic Research ER4シリーズは「直接音に向き合う」ことを目指しています。ER4Bには「自然を超えた」音の透明性があると常に信じられてきましたが、同時に、ER4シリーズの一部のユーザーは「明るすぎる高域や低域、不自然なリスニング体験」に不平を鳴らしてきました。これは結局のところ、ER4シリーズが目指している自由音場空間でのサウンドに対する不慣れが生み出しているとも言えます。無響室で干渉のない直接音を体験したことのある人は限られているからです。
Yu9 AudioはレプリカのER4を4年以上前から販売し、改良を重ねていましたが、このU-554/U-556が彼らのオリジナルブランド製品と言える最初のIEMになります。ER4シリーズと同じ装着感を実現しながら、キャビティデザインは独自のものとなっており、サウンドはさらに最適化され、革新的な水準に到達しました。
Yu9 U-554はER4Bのサウンドを継承したモデルです。
パッケージ(8.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。外箱はシンプルですが、紙製で処分は楽です。付属品はかなり揃っています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース多数
- キャリイングケース
- クリーニングクロス
- クリーニングツール
- ケーブルクリップ
- 説明書
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(9.5)
装着感と遮音性はかなり素晴らしいです。ただし、耳奥までイヤーピースを入れるのが苦手な人には全く向きません。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Yu9 U-554はアンプの出力インピーダンスの影響を少し受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Yu9 AudioはU-554をEtymotic Research ER4Bのクローンとして作ったとしています。実際そのサウンドはEtymoticターゲットにかなり忠実な中域重視のバランスになっています。
うーん、ナイスエティモ🤗
— audio-sound @ hatena (@audio_sound_Twr) May 11, 2022
むしろ値段がほぼ拮抗している本家のエントリークラスER2SEよりエティモティックとすら言えるw pic.twitter.com/Kow9g6jjsu
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B-
- 深さ:B
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B-
低域はモニター的でほぼフラットになっており、ストンと落ちるモニタースピーカーライクな低域になっています。深さは期待できません。
低域は明るく、見通しが良いですが、重厚感に欠けます。ドラムキックは浅く、ドンドンというよりはトントンやタンタンに近く聞こえやすいですね。軽快な足さばきでリズムがわかりやすいと思う人は多いかもしれませんが、インパクトには欠けます。
またエレキベースには黒みが足りず、若干ブリブリしたエッジの強い明るい傾向の聞こえ方になります。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域はニュートラルに近く、しかも前面に聞こえるように調整されています。
この中域はやや歪みが大きくなりやすいため、付帯音が多く、ノイジーで透明度に欠けるのが気になるところです。人によっては温かみがあって聞き心地が良いと感じる音ですが、モニター用途としては物足りないでしょう。スタジオモニターとしては中域の正確性でより優れているER2SEのほうが良いかもしれません。
ボーカルが張り出し気味でやや音像が大きく、ギターやスネアもかなり前進して良く聞こえます。ニアフィールドモニターで聴くような感覚になるため、音場は狭く親密に聞こえます。ボーカル曲やナレーションをしっかり聞きたい用途に向きます。
またER4Bはバイノーラル音源用のモデルとされていますが、ボーカル帯域へのフォーカスが良いため、ASMRなどにも向きそうです。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B-
- 荒さ:D+
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域は閉じており、拡張性は良くありません。
鮮明感を維持しつつ、やや輝度を抑えて長時間聞いても聴き疲れしにくいようマイルドにロールオフしている高域です。
抜けが悪いので爽快感はありませんが、その分中域へのフォーカス感が強く、中域に甘味が感じられて聞こえるようになっています。女性ボーカルはややシャウティになりやすいですが、艶やかでコケティッシュに聞こえやすいですし、石田彰さんのような甘い声を印象的に聴かせる傾向があります。
定位/質感
- 質感の正確性:A+
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
典型的なエティモティックサウンドなので、ニアフィールド的にコンパクトに聞こえる傾向があります。クラシック音楽のスケール感を表現するのは苦手で、音像は矮小化されて展開され、前方に少しコンパクトに聞こえます。卓上スピーカーの音に慣れている人には良いですが、クラシックファンにはダイナミズムに欠ける少し面白くない音でしょう。
雅楽はやはり天井感があるのが気になります。和音の抜けが悪いため、少しがなり立てる感じになっていますが、マイルドにロールオフしている高域のおかげか、うるさすぎる感じはありません。篳篥の音も抜けが悪く、音が伸び切らない印象で聞こえるので、なんだか少し肺活量が足りない感じがあります。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:B-
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:A-
- 低域:B-
深さは物足りず中域は前面に聞こえ、高域は高さで少し物足りません。
クリア感は価格なりかちょっと物足りないですね。
イメージング性能は価格の標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:S-
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:B+
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- ほぼ完璧なニアフィールドサウンド
- 豊かなハーモニクス
- マイルドな高域
- 良好なボーカルフォーカス
- モニター的な低域
- 前方定位的
- 音像一貫性に優れている
欠点
- 拡張性に欠ける
- 低域の深みに欠ける
- 物足りないクリア感
- 締まりが悪くうるさく聞こえやすい中域上部~中高域
原音忠実性が高い
ほぼ完璧なニアフィールドサウンド
前方定位的
Re:ゼロから始める異世界生活 プレシャスフィギュア レム ~オリジナルフリル水着 ver.~
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レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Yu9 U-554
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Yu9 U-554
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Yu9 U-554
総評
Yu9 U-554はよくできたEtymotic Research ER4Bのクローンモデルです。それは装着感が改善されており、使い勝手も改良されているため、オリジナルより間違いなくコストパフォーマンスは向上しています。パッケージもチープではありません。
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