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YAMAHA HPH-MT8の概要
こんな人におすすめ
- 高品質なモニタリング環境がほしい
- 楽曲を分析的に楽しみたい
- 快適な装着感を求めている
- とにかく廉価な値段でハイエンドクラスの高品質なサウンドを聴きたい
- アンチSONY
基本スペック
- 周波数特性:15Hz~28kHz
- インピーダンス:37Ω
- 感度:102dB/mW
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:9.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:10.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
長所
- フレームに入る情報量が多い
- 比較的原音忠実性が高い
- 良好なディテール感
- ユーザーの分析力と集中力を引き出してくれる
- 中域をモニタリングしやすいよう、よく調整された低域と高域
- 良好なレンジ感
- 高いクリア感
- 頑丈なビルドクオリティ
- 使い勝手に優れる
短所
- 聞き疲れしやすい
- 静寂感に乏しく、落ち着かない
- 広くない音場
- 音が硬い
YAMAHA HPH-MT8の特徴
以下公式サイトより引用です。
「すべての音を、見るために」
どこまでも原音に忠実であること、音色や音像定位の微細な変化を厳密に再現できること。 業務用ニアフィールドモニタースピーカーの世界的なデファクトスタンダードとなったNS-10MシリーズからMSPシリーズ、HSシリーズに至るまでヤマハが一貫して譲らないスタジオモニターの設計理念をヘッドホンに凝縮しました。
スタジオモニターヘッドホンMTシリーズは、高品位で確かなモニタリングを可能とする精確な再生能力、長時間の作業でも疲労の少ない快適な装着感と作業に集中できる高い遮音性、そして過酷な現場にも耐えうる高い耐久性を実現。
プロフェッショナルな音楽制作やレコーディング、ライブSRの要求に高い次元で応えます。
原音忠実の極致を目指して
YAMAHAはこのHPH-MT8でとくに原音忠実性にこだわり、音色や音像定位の微細な変化を厳密に再現できることを目指したとしています。業務用ニアフィールドモニタースピーカーの世界的なデファクトスタンダードとして一世を風靡し、販売終了した今もなお一部で根強い人気があり、使われ続けているNS-10Mをはじめ、MSPシリーズ、HSシリーズに至るまでYAMAHAが一貫して譲らないスタジオモニターの設計理念をヘッドホンに凝縮している自信作です。
プロフェッショナルなシーンに耐える頑強性
高堅牢性を誇るアルミダイキャストアームと肉厚ABSハウジングにより過酷な環境下でも安心して使えるように設計されています。
多用途に対応する機能性と快適な使用感
HPH-MT8は快適なモニタリング環境を実現するため、装着感にこだわっているだけでなく、使用感においてもユーザーの要望に柔軟に応えます。肌触りの良いプロテインスキンレザーと余計な振動を吸収するクッションを採用した大型イヤーパッドにより快適な装着感と高い遮音性を両立させています。イヤーカップは180°回転し、片耳のみのモニタリングも可能となっています。首にかけても、きつく感じることはなく、ユーザーがさまざまに取り回せるようによく設計されています。
紹介動画(Gear4music)
パッケージ(8.5)
業務用製品であるYAMAHA HPH-MT8のパッケージは決して豪華というわけではありませんが、エレガントで付属品もそろっています。
パッケージ内容
パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- 3.0m ストレートケーブル(脱着式)
- 1.2mコイルケーブル(脱着式)
- 3.5mm→6.35mm変換プラグ
- キャリングポーチ
- マニュアル
ビルドクオリティ(9.5)
本体のビルドクオリティは文句なく高く、柔軟な使用ができるように設計されており、アルミフレームの剛性もしっかりしていますが側圧は適切で、装着感も快適です。
片耳モニタリングや首掛け使用も快適に行えます。
装着感(9.0)
耳の収まりも良く、遮音性も良好です。
音質
周波数特性
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD特性
測定値は有料記事をご覧ください。
制動
アンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありません。
測定値は有料記事をご覧ください。
ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
YAMAHA HPH-MT8は原音忠実性を意識しつつ、モニターチェックに最適な音密度と適度な分離感を持つ優秀なモニターヘッドホンです。そのサウンドはミキシングの効果を確認するのに適切な情報量の提示を目的としているようであり、音源の粗探しがしやすい傾向の音質を持っています。モニターヘッドホンの中でも長時間にわたる作曲作業やマスタリング後の最終チェックに使うヘッドホンというよりは、工程の節目節目のピンポイントでのモニターチェック作業に向くといった傾向を持っています。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
低域は全体の中では少し隆起していますが、中域の清潔感に配慮されて調整されているため、その熱気やノイズが中域に滲みだすことはありません。
階層性があり、さらにベースとキックの描き分けも良好で、自然な質感を意識しながらも分離感とディテールが少し強調されています。
音の厚みは抑えられており、深さと重みはやや強調されるので、すっきりと下方向に深く見渡せる感覚があります。全体的にややタイトです。
中域(9.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:B
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は前進的で、ボーカルを中心にやや前面に出てきます。中域は適度な奥行き感がありますが、幅は標準かやや狭く、ボーカルの周辺に楽器音が集まって聞こえます。
そのせいで中域は密度が高く、やや情報量が多く思えますが、これによりボーカルラインを追うだけで視界に楽器音がほぼ揃って聞こえるので、一通りチェックしやすい構造になっています。リスニング用途としては少し聞き疲れやすいですが、短時間に効率的にモニタリングするのには最適です。
最初は情報量の多さに戸惑うかもしれませんが、慣れると流れるようにモニタリングチェックが行える利便性の高さが魅力的に思えるはずです。
高域(9.5)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C-
- 存在感:C
高域は情報量が多い中域からは少し分離的になっています。明度は高く、情報量の多い中域のディテールを引き出し、質感のモニターチェックの効率に貢献します。
明度に対して輝度は自然な水準で釣り合いが取れており、超高域は適度に開放的で、音のまとまりを一定程度維持しつつ、高域音が後を引いて意識に残らないように適切な風通しが実現されているので、情報量の多い中域のモニタリングに集中しやすくなっています。
定位/質感
- 質感の正確性:B
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B-
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvo?ak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
HPH-MT8の中域は見通しは良いですが、音が細く、クリアに聞こえすぎ、濃厚感や充実感に欠けます。クラシック音楽を聴いても豊かな雰囲気に欠けるので、デジタルでリアリティのないサウンドに思えるでしょう。
雅楽はディテール感が高く表現され、和音が細やかに分解されて詳細に聞こえますが、やはりリアリティに欠けます。聴かせ方が分析的過ぎますね。
音場/クリア感
- 音場:B-
- クリア感:S-
音場は高さと深さと奥行きが少し強調されていますが、幅が狭く、ややコンパクトに聞こえやすいです。
クリア感に非常に優れています。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:S+
- 個人的な好み:S+
フレームの中に一度に聴ける情報量が多く、定位感も少しコンパクトな音場の中にうまく表現してくれるので、ミキシング作業やそのチェックの効率性を高めてくれるタイプのモニターヘッドホンです。
完全にプロ用のモニター的なサウンドで、実用性が高く、音源を効率的に分析することができます。ただしそのサウンドは少し集中力を引き出し、要求するところがあるので、長時間のリスニングをするにはやや不向きに思われます。
音質的な特徴
美点
- フレームに入る情報量が多い
- 比較的原音忠実性が高い
- 良好なディテール感
- ユーザーの分析力と集中力を引き出してくれる
- 中域をモニタリングしやすいよう、よく調整された低域と高域
- 良好なレンジ感
- 高いクリア感
欠点
- 聞き疲れしやすい
- 静寂感に乏しく、落ち着かない
- 広くない音場
- 音が硬い
優れたディテール感
最高水準に近いクリア感
モニタリングに最適化されたレンジ感
「すべての音を、見るために」
どこまでも原音に忠実であること、音色や音像定位の微細な変化を厳密に再現できること。 業務用ニアフィールドモニタースピーカーの世界的なデファクトスタンダードとなったNS-10MシリーズからMSPシリーズ、HSシリーズに至るまでヤマハが一貫して譲らないスタジオモニターの設計理念をヘッドホンに凝縮しました。
スタジオモニターヘッドホンMTシリーズは、高品位で確かなモニタリングを可能とする精確な再生能力、長時間の作業でも疲労の少ない快適な装着感と作業に集中できる高い遮音性、そして過酷な現場にも耐えうる高い耐久性を実現。
プロフェッショナルな音楽制作やレコーディング、ライブSRの要求に高い次元で応えます。
- CCAWボイスコイル採用の45mmカスタムドライバーを搭載し、幅広い帯域で正確なレスポンスを確保
- オーバーイヤー、密閉型デザインにより高い遮音性を実現
- 肌触りの良いプロテインスキンレザーと余計な振動を吸収するクッションを採用した大型イヤーパッドにより快適な装着感と高い遮音性を両立
- 3次元のアームピボット構造と長さ調整が可能なスライダーにより長時間の使用でも疲れにくい装着感を実現
- 可動イヤーカップにより片耳モニターも可能
- 高堅牢性を誇るアルミダイキャストアームと肉厚ABSハウジングにより過酷な環境下での使用も安心
- 様々な用途に柔軟に対応する脱着式ストレートケーブル(3.0m)と取り回しの良いコイルケーブル(カールコード、1.2m)を付属 *φ6.3mmステレオ標準プラグ変換アダプター付属
- ヘッドホンの収納に便利なキャリングバッグ(合皮)を付属
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- YAMAHA HPH-MT8
総評
前方180度に楽器の音をそれぞれ鳴らすモニタースピーカーがぎっしりつめこまれたコクピットルームを想像してみてください。YAMAHA HPH-MT8はまさにそのようなプライベートなモニタールーム環境を実現します。
YAMAHA HPH-MT8は実用性に優れたモニターヘッドホンで、フレームの中に音楽の全体像を少し情報量を多めにうまく収めてくれる有能な機種です。使い勝手と装着感もよく考えられていて、モニタリング作業を快適で効率的なものにしてくれるでしょう。短時間でがっちり音楽をつかみ取るためのツールとしての能力が高いところがあり、ゆったり、あるいはじっくりとしたリスニング用途には静寂感や音場の広さで物足りなさを覚えることはあるかもしれませんし、音が硬すぎる印象を受けるかもしれませんが、モニタリングの助手としては優秀です。
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