免責事項
- このレビューはXROUNDから誠実な品質レビューを読者に伝えるために提供されたサンプルに基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
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XROUND FORGE NCの概要
こんな人におすすめ
- 雄大なサウンドが好き
- 映画音楽やフルオーケストラ、落ち着いたJAZZが好き
- 上品で静かなムードで音楽を楽しみたい
- 解像度にこだわる
- コスパ重視
- 装着感重視
基本スペック
- 連続/最大再生時間:ANC ON時9h/32h
- 防水性能:IP67
- 対応コーデック:AptX Adaptive/AptX/AAC/SBC
- 技適番号:204-B00489
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- 通信品質:8.5/10.0
- アクティブノイズキャンセリング:6.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.0/10.0
長所
- 雄大で荘厳
- 音場が広い
- スケール感があるサウンド
- 解像度が高い
- イメージング性能に優れる
- 明瞭で繊細
- 静寂感がある
- 上品
- 聴き心地が良い
- 良好な装着感
短所
- 癖が強いサウンド
- 密度感が薄い
- 派手さに欠ける
- 快活さに欠け、老けた音
- 色づきに欠ける
- 暗い
- 場合によって陰鬱
- 構築感に欠ける
XROUND FORGE NCの特徴
- サウンドを自分専用にフルカスタマイズ可能!環境音も聴き心地も自由自在に調整可能
- ノイキャンにありがちな圧迫感を大幅に軽減!長時間でも聴き心地も装着感も快適に
- 音響マニアが創る立体的な高音質を提供
台湾の人気ブランドXROUND、新作ANC搭載完全ワイヤレスイヤホン「XROUND FORGE NC」を発表
日本ではそれほど有名ではないかもしれませんが、台湾のオーディオブランド「XROUND」は知る人ぞ知るオーディオマニア必見のメーカーです。
今回のFORGE NCはXROUND初のアクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンとなり、この新進気鋭のブランドが作り上げた遮音性の完成度についても気になるところです。機能的なアプリも提供されます。
パッケージ(8.5)
XROUND FORGE NCのパッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- XROUND FORGE NC本体
- 専用充電ケース
- USB Type-Cケーブル
- イヤーピース(2種類)
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格を考えると、良好なレベルです。
装着感(9.5)
XROUND FORGE NCの装着感はかなり良好です。イヤーフックなどを併用して非常に強固に耳に収まります。軽量で負担感がありません。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟んでも接続が途切れることなく、接続は維持されますが、ときどき途切れがちになります。それでも音楽再生は満足なレベルで継続されました。ただしとくに距離的に問題ない場合でも時々妙に音飛びしたり通信が乱れることがあります。
また接続初期はノイズが多くなることもあります。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開ける |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納し、蓋を閉める |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
リセット方法 | ①イヤホンをケースに収納 ②両方のイヤホンをケースに収め、ケースのリセットボタンを10秒長押し ③LEDが点滅したらリセット完了 |
曲再生/停止 | 右耳側の多機能ボタンを2回タップ |
音量+ | 左耳側の多機能ボタンを2回タップ |
音量- | 左耳側の多機能ボタンを3回タップ |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話拒否 | 多機能ボタンを3回タップ |
ボイスアシスタント起動 | 右耳側の多機能ボタンを3回タップ |
ノーマル/ANC/ヒアスルーモード切替 | 右耳側の多機能ボタンを2秒長押し |
アクティブノイズキャンセリング性能
詳細は有料記事に譲りますが、XROUND FORGE NCのANC性能は価格帯では平凡です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。より詳しい情報が参照できます。
オーディオステータス
音質解説
XROUND FORGEのサウンドは中域が少し引っ込むゆったりした音場感を持っており、音楽を雄大に聞かせます。音楽の雰囲気はやや暗く、全体的に落ち着き静かで、荘厳な印象で聞こえます。その表現は原音忠実的とは言えませんが、充実感があり、上品でシックです。
以下のレビューはFiiO M15にaptXでつないでANCモードにし、標準イヤーチップ(低域)Lサイズでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:A
- 臨場感:B-
- 深さ:A-
- 重み:A
- 太さ:A-
- 存在感:A-
低域はしっかりとボトムを表現できる深さがあります。ウォームで若干膨張感が強めなため、レイヤリングはあまりよくありません。パンチも良好でキックにも重量感があります。ただしエレキベースは深みに欠けます。
中域(9.5)
- 原音忠実度:A
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は奥行きが強調されており、ステージ感が強くなっています。
中域は一般に比較的前面に存在していますが、全体の構造は後傾的で少し遠い印象で聞こえます。
楽器音はボーカルから離れており、空間は少し暗く、静けさが感じられ、上品な雰囲気がありますが、楽しい曲を聴くには地味すぎるように思うかもしれません。ボーカルも快活さにかけて聞こえるところがあり、全体的に大人びています。
一方でクラシック音楽は強調される空間性もあって荘厳かつ雄大な雰囲気で聞こえます。原音忠実とは言えませんが、なかなか魅力的です。静かなJAZZを楽しむのにも良さそうですね。
高域(9.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B-
- 鋭さ:C+
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C-
一般に中高域が静かで派手さが抑えられているため、音楽は地味に聞こえます。
音楽の構築感に欠けるため、全体印象はぼんやりしがちで情報量が落ちて感じられると思いますが、鮮明感と明瞭度は高いため、音楽の解像感は高めです。
この高域は静けさを重視しているため、刺激的な要素は少なめで、高域に敏感な人には快適だと思われますが、歯擦音やピアースは意外と高いので、曲によってはボーカルの息や破裂系の子音が強調気味に聞こえて刺激的に思えるかもしれません。一方で、マイクロディテールの再現度もわりと高いので、金属的なギラツキ感がおさえられているのに、ハイハットの粒立ちは繊細に聞きとれる感覚があります。
定位/質感
- 質感の正確性:B
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:A
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
XROUND FORGE NCは原音忠実主義のオーディオマニアがクラシックを聴くのに選ぶべきイヤホンではありません。むしろ雰囲気を味わうイヤホンで、リスニングの楽しさを追求するためのものです。雄大で静寂感もあり、荘厳な、立体感の強調されたサウンドはお手持ちのクラシック音楽を新解釈で聞かせます。それはレコーディング意図に忠実ではありませんが、解像度も高く、細部まではっきり聞こえるのに、静かで心落ち着き、浸れるような深みのあるオーケストラです。ダイナミズムには劣りますが、雄大なスケール感があり、包みこまれるような懐の深さがあります。鑑賞目的であれば、非常におすすめ度は高いですね。
雅楽も雄大です。横長で奥行きのある広い空間にゆったりと、和音が遠くからたゆたうように聞こえます。どこからともなくほのかに音楽が香ってくるような、上品な聞かせ方で、まさに宮廷音楽という感じですが、フルオケに比べて構成がよりコンパクトで音楽の密度が薄い雅楽の場合、各楽器がばらばらのところで奏でていると思うほど、定位が強調されすぎています。
音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B+
- イメージング:A-
- 高域:B
- 中域:A
- 低域:B+
中域の奥行きがかなり強調されるわりに、高域や低域はそれほど拡張されていないので、やや横長に聞こえます。
クリア感は価格を考えると悪くありません。
中域のイメージングに優れており、全体の明瞭度も高いため、解像度は価格帯を大きく超えていると結論づけることができるでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:A+
- 個人的な好み:S
雄大、荘厳、静寂感、そして穏やかにしみじみと染み入る叙情。音楽にこうした要素を求めるSENNHEISER系の高級機種のようなサウンドが好きな人にとって、XROUND FORGE NCは魅力的な選択肢に映るはずです。
機能的で装着感もよく、使い勝手にも優れています。標準の操作インターフェースのキーアサインがかなり特殊で、とまどうかもしれませんが、アプリでカスタマイズできるので問題ありません。周波数特性も最終的には標準EQでコントロールできるので自分好みのサウンドを目指せます。
個人的な感想としては、スポーツ用の完全ワイヤレスイヤホンのはずなのに、むしろリラックスして瞑想するのに向くようなサウンドでノリが悪く、なんでスポーツ向けにこのサウンドを選んだのかわからず、チューニングコンセプトに若干疑問を感じます。
音質的な特徴
美点
- 雄大で荘厳
- 音場が広い
- スケール感があるサウンド
- 解像度が高い
- イメージング性能に優れる
- 明瞭で繊細
- 静寂感がある
- 上品
- 聴き心地が良い
欠点
- 癖が強いサウンド
- 密度感が薄い
- 派手さに欠ける
- 快活さに欠け、老けた音
- 色づきに欠ける
- 暗い
- 場合によって陰鬱
- 構築感に欠ける
雄大で荘厳、上品
解像度が高い
スケール感があるサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはaptXで、イヤーピースは標準イヤーピース(低域) Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- XROUND FORGE NC
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- XROUND FORGE NC
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- XROUND FORGE NC
総評
XROUND FORGE NCは壮大なサウンドを愛する人のための完全ワイヤレスイヤホンです。静かにスケール感のある音楽に浸るには近い価格帯ではこれ以上ないくらいの製品ですが、人によってはおとなしすぎ、上品すぎて面白みに欠けるという意見も多いでしょう。雄大で荘厳さのあるSENNHEISER系のサウンドが好きならおすすめできます。
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