免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
UniqueMelody MINI MESTの概要
こんな人におすすめ
- とにかく派手な音が嫌い
- すっきりした音が好き
- UniqueMelodyファン
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:23Ω
- 感度:113dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:6.5/10.0
- ビルドクオリティ:7.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:7.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
長所
- ウォームで聴き心地が良い
- 優れたダイナミズム
- 奥行き感のあるサウンド
- 派手さのないすっきりしたサウンド
- エコで質素なパッケージ
短所
- 彩度に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- 精彩を欠くギターやスネア、バイオリン、木管その他諸々
- 扁平なボーカル表現
- チープなパッケージ
UniqueMelody MINI MESTの特徴
以下公式サイトからの引用です。
Mini MESTはクワッドハイブリッド型 IEM 「MEST」 に使用している骨伝導技術を採用した新しいハイブリッド型イヤホンです。多層圧電セラミックス骨伝導ドライバーとバランスド・アーマチュア型ドライバの二種類を搭載。音導管を介さずドライバーの音をダイレクトに届けるため、歪の少ないよりナチュラルなサウンドを実現し骨伝導ドライバーを採用することで中域の厚みを増し、ボーカルの表現力を向上しています。 Mini MESTは中域にフルオープン(音導管を使用しない) BA 型ドライバーを搭載するため3D プリンターで精巧に作られたキャビティと筐体となっています。骨振動と空気振動の二つの振動が今までにない新しいボーカルリスニングを体験させてくれます。
BA 型ドライバーと骨伝導ドライバーの新しいドライバー構成のハイブリッド型イヤホン
Mini MESTはクワッドハイブリッド型 IEM 「MEST」 に使用している骨伝導技術を採用した新しいハイブリッド型イヤホンです。多層圧電セラミックス骨伝導ドライバーとバランスド・アーマチュア型ドライバの二種類を搭載。中域のBAドライバーは専用にカスタマイズされたKnowles製のオープン型 BAドライバーを採用。音導管を介さずドライバーの音をダイレクトに届けるため、歪の少ないよりナチュラルなサウンドを実現しました。骨伝導ドライバーを採用することで中域の厚みを増し、ボーカルの表現力を向上しています。 Mini MESTは骨振動と空気振動の二つの振動により今までにない新しいボーカルリスニングを体験できます。
補聴器開発で培った技術と上位機種の開発で得た経験を生かした骨伝導技術を採用
「Mini MEST」には補聴器開発で得た知見を生かし作られたクアッドハイブリッド型イヤホン 「MEST」の開発で得た骨伝導技術が採用されています。搭載された骨伝導ドライバーは振動をフェイスプレートからシェルを伝って耳に届けるため、ドライバーの大きさや取り付ける位置など様々な課題がありました。何度も試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのが外形が小さく軽量な多層圧電セラミックス骨伝導ドライバーです。このドライバーを専用に設計されたフェイスプレートに配置することで骨伝導ドライバーとフェイスプレートをより密着にし、ドライバーの振動を無駄なく届けることができます。
フルオープン BA 型ドライバーを搭載するため 3D プリンターで精巧に作られたキャビティと筐体
Mini MESTには中域にフルオープン型BA ドライバーを搭載しています。このドライバーは音導管を使用しないため、筐体内での配置が重要となり、ドライバーを配置するには非常に精巧なキャビティが必要です。Unique Melodyではドライバーに合わせた専用のキャビティを作りました。その構造は細かなパーツと精密さが必要なため、3Dプリンターにより筐体と一体成型しています。繊細なキャビティは組み立て難易度が高く、トレーニングを積んだ職人手によって一つ一つ手作業で組み立てられています。
ケース内部にギミックが施されたDignis製オリジナルPUレザーケース
付属のオリジナルPUレザーケースは、「世界のすべての製品に素晴らしいスーツを着せてあげたい」というフィロソフィーを持つ、韓国Dignis社が手掛けました。ケース内部には、持ち運び中にイヤホンの本体同士が接触し、傷が付かないよう、ギミックが施されています。
パッケージ(6.5)
パッケージは価格を考えると標準的か少し悪いくらいでしょう。最近は1,2万円台でもっと豪華なパッケージのものが多いので、とくに感動するところはありません。
悪いケーブルではないんでしょうが、付属ケーブルの見た目もチープで、高級感がありません。これならケーブルは別売にしてその分安く売ったほうがいいくらいです。
キャリイングケースはこだわったようですが、それなら個人的にはケーブルかイヤーチップの方にお金をかけてほしかったですね。
驚きのない、極めてシンプルな開梱体験です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリイングケース
- クリーニングクロス
- イヤーピース
ビルドクオリティ(7.5)
外観のビルドクオリティは価格帯の標準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感はかなり良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
UniqueMelody MINI MESTは出力インピーダンスの影響はかなり受けやすい傾向にあります。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
UniqueMelody MINI MESTはウォームニュートラルを意識したマイルドなV字型ないしW字型といったサウンドシグネチャーを持っています。ボーカルを丁寧に聞かせようという意図が感じられますが、構築感に欠けます。贅沢な構成の割に、音質にそれが生かされてるとは言い難く、総じて平凡な機種です。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A-
低域は比較的深くまで到達しています。
レイヤリングは悪くなく、比較的クリアで、キックはわりと重く感じられますが、少し浅く聞こえます。引き締まりがよく、機敏に聞こえるので、リズム感はわかりやすいですね。
量的な存在感にも優れているので、わりと低域好きを満足させることができると思います。本当の重低域マニアには少し物足りないでしょうが。
中域(7.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域は中心付近はわりとニュートラルですが、中域上部が凹んでいるため、構築感に劣り、色彩感も悪く、楽器音は全体的に精彩を欠きます。
ボーカルも滑舌が悪く、妙に地味に聞こえ、ギターエッジが潰れて、スネアもキレが悪く、まごついています。ボーカルは少し扁平で圧縮されており、活き活きしていません。
UMが5万円以上もする機種でなんでこんな変な調整をしたのか、個人的には本当によく理解できません。もしかするとボーカルを相対的に目立たせたかったのかもしれませんが、全体的に音がガサガサしていて、鮮度に欠ける印象を受け、利点よりも欠点が多すぎるように思われます。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:B
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C+
高域は十分な鮮明感が意識されており、中域よりはだいぶまともです。とはいえ、拡張性が全く足りないため、ガサガサグシャグシャしてひどく荒い音像で聞こえるハイハットは抜けも悪く、錆びたような気持ち悪い音で聞こえ、爽快感に欠けます。
また悪い中域の影響が高域に及んでおり、色彩感の不足が、全体的に音楽をメタリックグレーにしています。人によってはダンディなサウンドに思え、ロックがかっこよく思えるかもしれません。しかし、花形のはずのエレキギターが練習不足の素人が演奏しているかのようにキレが悪く、色気に欠けるため、全然楽しくないことに気づくと、途端に聴く気が失せるでしょう。
人によっては露骨に音が濁っていると思うかもしれません。
定位/質感
- 質感の正確性:A+
- 定位の正確性:A-
- オーケストラのテクスチャ:D
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感と定位のバランスが取れていそうなので、一見MINI MESTはクラシック向きかと思うかもしれません。しかし実際に聞いてみれば、バイオリンが色味の薄い、変に引きつった音で聞こえてくるのを聴いただけですぐに耳から外すでしょう。ダイナミズムには優れているにしても、5万円以上も出して誰が好き好んで、こんな弦が錆びたような演奏を聞く気になるでしょうか。基本的にフルオーケストラの花形は間違いなくバイオリンですから、これは大きな失点で取り返しがつきません。
雅楽ですか?華やかさに欠ける死んだような音が好きならいいですが、風雅さの欠片もありませんよ。ブリキのような安っぽいサウンドが好きなら、かなりおすすめできます。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:B-
- イメージング:B+
- 高域:S-
- 中域:B+
- 低域:C+
中域で奥行き感が強調され、低域は標準的か少し優れています。高域はかなり足りていません。
クリア感は平凡です。
イメージング性能は価格なりです。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:C+
- 個人的な好み:B-
一般的にUniqueMelody MINI MESTを買う前に、TRN VX Proを買ったほうが多くの場合幸せになれます。TRN VX Proには高域でMINI MESTより少しピーキーであるという欠点がありますが、MINI MESTも同じようなもので大差がないため、ほぼ完全に上位互換のイヤホンを入手可能です。これにより出費を大幅に節約できるでしょう。
あるいは真のハイエンドに値する、良いイヤホンを手に入れたいなら、MINI MESTは素通りしてお金を節約し、Symphomium HeliosやShuoer EJ09など、はるかに優れている選択肢を買ったほうがいいでしょう。MINI MESTは価格なりかそれ以下の凡庸なパッケージなので、よほど気に入ったり、熱烈なUMのファンでもない限り、多くの人は、これに無駄な出費をする必要はありません。どちらにせよ、このイヤホンより悪いイヤホンは同じ価格帯にそれほど多くないと思われます。
MINI MESTが仮にパッケージやデザインで魅力的ならまだわかりますが、すでに紹介したように、その点でも価格の水準を満たしているとは言い難く、凡庸です。
ちなみに骨伝導がどういう効果をもたらしているかは、レコーディングシグネチャーを聴けばわかるでしょう。脳髄に伝わるような深みのある響きが加わっており、包まれ感に貢献しています。私の使っているHATSは骨伝導にも対応しているため、音に変換されています。
音質的な特徴
美点
- ウォームで聴き心地が良い
- 優れたダイナミズム
- 奥行き感のあるサウンド
- 派手さのないすっきりしたサウンド
欠点
- 彩度に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- 精彩を欠くギターやスネア、バイオリン、木管その他諸々
- 扁平なボーカル表現
ウォームで聴き心地が良い
優れたダイナミズム
すっきりサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- UniqueMelody MINI MEST
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- UniqueMelody MINI MEST
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- UniqueMelody MINI MEST
総評
UniqueMelody MINI MESTは贅沢な技術が優れた音をもたらすわけではないということを証明するUniqueMelodyの壮大なプロジェクトです。それは非常にエキサイティングに最新技術を組み込まれながら、できたサウンドは錆びついており、どんな素晴らしい技術でも正しく使われなければ意味がないということをリスナーにわからせてくれます。
コメント