免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
【平面駆動型ヘッドホン UNCOMMON PDH-1 レビュー】中域で歪みが少なく、駆動の均質性を感じる音。そのサウンドはまるでフルレンジスピーカーのようだ
UNCOMMON PDH-1の概要
こんな人におすすめ
- クラシックやJAZZが好き
- 生き生きしたボーカルが好き
- 雄大なサウンドが好き
- クリア感の高い音が好き
- 真空管アンプのサウンドをもっと楽しみたい
基本スペック
- 周波数特性:10hz-40khz
- インピーダンス:20Ω
- 感度:94dB
長所
- 全体のバランスが良い
- 均質性の高いサウンド
- 奥行き感のある雄大なサウンド
- クリア感が高い
- ビルドクオリティが高い
- 装着感が良い
- コストパフォーマンスが良い
短所
- パッケージクオリティは平凡
- 質は高いが地味な低域
- 輪郭感と分離感は抑えめ
UNCOMMONについて
UNCOMMONはIEM向けのイヤホンケーブルメーカーとして有名です。そのケーブルメーカーが今回初めてヘッドホンをリリースしたのがUNCOMMON PDH-1になります。
「品質が高く、それでいてリーズナブルな製品をお客様にお届けしたい。玄人の特別なものになりがちなオーディオ製品を身近でわかりやすく、クリーンな形で表現したい。そういった気持ちからUNCOMMONはスタートしました。品質が高いのは当たり前。UNCOMMONに関わるメンバーはオーディオ、銅線、コネクター、ケーブル、デザインといった私達が目指す商品に関係するプロが多く携わっています。それも経験豊富で独創的なプロフェッショナルです。さあ、UNCOMMONの世界をぜひお楽しみ下さい。」
UNCOMMON
UNCOMMON(アンコモン)とは、日本製のイヤホン用ケーブル作りからスタートしたメーカーです。
UNCOMMON PDH-1の特徴
UNCOMMON PDH-1は自然かつ忠実な原音再生を意図してデザインされた平面駆動型ドライバー搭載のヘッドホンです。 特許技術のノンリニア振動抑制技術を利用した平面駆動型ドライバーが、より広い帯域での周波数再生を実現し、圧倒的かつ完全な透明感を表現することに成功しています。また不必要な共振や振動を抑えることで、歪みを最小限にし、 非常に伸びやかで美しい中高域をお楽しみいただけます。 PDH-1はジャンルにとらわれることなく、どんなジャンルでもダイナミックでありながら、自然なサウンドを実現しています。
パッケージ(7.5)
パッケージの外観はやや平凡です。付属品は揃っており、持ち運びやすい専用ケースもついてきます。ただし、開梱体験は平凡です。
ビルドクオリティ(9.5)
ヘッドホンのビルドクオリティは高く、5万円台ではかなり良いのではないでしょうか。装着感は少し重い感じもありますが、私はわりと長時間つけていても、首が疲れる感じはあまりありません。
装着感(8.0)
すでに述べたように、少し重めですが、不快なほどの重さはなく、装着感はわりと快適です。
音質
周波数特性
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD+N特性
音質解説
UNCOMMON PDH-1は全体的にバランスが良く、中域から中高域がとくに印象的に聞こえる平面駆動型ヘッドホンです。ボーカルは最前列に近く、印象的に聞こえ、音場はボーカルの後ろに奥行きを持って広く、わりとステージ感はしっかりしています。ディテールはほどほどに強調されますが、荒っぽいピークがありません。また平面型の特徴である、駆動感が上下でほぼ均質に感じられる感覚があるので、音域のどこかで圧迫感が出ることもなく、上から下まで余裕のある鳴り方に聞こえます。
低域(9.0)
- 原音忠実度:A
- 臨場感:B
- 深さ:B
- 重み:B
- 太さ:B
- 存在感:B+
低域は少しリラックスしていますが、原音忠実的で階層性も高く、音がストンと落ちていく感じがあります。
低域は全体の中ではほとんど中庸な存在感です。量的には少し存在感がありますが、グルーヴの上ではほとんど主役になることがないので、PDH-1の音響構造の中で主役になることはありません。
わりと引き締まり感もよく、歪みも少なめなため、モニター的にも聞こえる低域ですが、少しリラックスしているため、聴き心地はやや温和です。ベースとドラムの描き分けは実際ほとんど強調されませんが、混濁感はありません。
全体的に階層的で分離感と解像感も悪くなく、自然なタイト感で聞こえます。この低域は割と良質に思えるので好きです。
中域(9.5)
- 原音忠実度:A
- 厚み:B
- 明るさ:B
- 硬さ:B-
- 存在感:B
PDH-1の中域は低域から自然につながっており、一般に最前列近くに聞こえます。印象的な中高域によって、彩度は高く聴こえ、ボーカルは魅力的に感じられるでしょう。
中域は奥行き感が感じられる構造になっており、楽器音とボーカルの間には空間的な整理が感じられるので、中域上部以上でやや情報量が多い印象を受けるのに、混濁感はありません。
ボーカルはわずかに媚びて聞こえますが、子音にとげとげしさはなく、声の軸に張りがあるのに、語尾のほうでは嫋やかな抜けが感じられます。それが大抵のボーカルを優美でビブラートの美しい、声量が少し多くてのびやかな声に感じさせるでしょう。
印象的で透明感のある中域が好きな人にとってPDH-1はとても魅力的な製品であり、その広々として奥行きのある、少しゆったりした中域は真空管アンプを楽しむ人にとっても相性が良いサウンドに思えるかもしれません。
高域(9.0)
- 原音忠実度:B-
- 艶やかさ:C+
- 鋭さ:C
- 脆さ:B-
- 荒さ:B-
- 繊細さ:B-
- 存在感:B-
PDH-1の高域は中域より後退的な位置にいることが多いですが、印象的には中域に引けを取りません。PDH-1の音響構造において、グルーヴの上では、高域が最も主張が強い領域です。
高域は高いところに向かって大きめのピークを作り、さらに超高域も伸びているために上にのびやかです。高域の響きと余韻の広がりは豊かで、中域の響きの豊かさと空間性には劣りますが、高域はより波紋のようなゆらめきを持つ美しいグルーヴを生み出します。
PDH-1の音響世界の中では、最も印象的な中域の響きはゆらゆらとした高域音によってより成分が増幅され、エネルギーが与えられるかのようです。
この高域は真空管サウンドの歪みが生み出す倍音成分をさらに印象的にしてくれる可能性も高いでしょう。
グルーヴ/音場/クリア感
- グルーヴの中心:中域~高域
- 音場:A-
- クリア感:A-
UNCOMMON PDH-1のグルーヴの中心は中域~高域に存在します。
音場は奥行きに優れ、高さと幅で優れていますが、深さは標準的か少し良好です。
クリア感は価格帯では標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:A+
- 個人的な好み:A+
UNCOMMON PDH-1のサウンドはどこかフルレンジスピーカーのような印象を与えます。駆動は上下で均質性が高いように思われ、鳴り方に余裕が感じられます。歪みも少なく、音もクリアです。音数的な情報量が多いサウンドではありませんが、響きの成分が多く、余韻が美しいサウンドを持っており、優美です。そして、明度と彩度は十分で、明瞭性は高めで、印象的には透明度が高いサウンドに聞こえます。
全体的に明るめのサウンドながら、適度な静寂感もあり、ボーカル表現に少しアグレッシブ、エネルギッシュなところを感じるのに子音などのニュアンスに落ち着きが感じられて聞きやすいという特徴は個人的にとても好ましく思えます。ボーカルは情熱的で印象的に聞こえるのに、シャウティになるかなというあたりで嫋やかになり、聴き心地は安定しています。そして余韻の美しさがボーカルに独特の華を感じさせます。
音質的な特徴
美点
- 全体のバランスが良い
- 見通しの良いサウンド
- くっきり感がある
- 余韻が美しいサウンド
- 階層的でレイヤリングの良い低域
- ほどよく強調される繊細さ
- 中域への適切なフォーカス
- ボーカルが生き生きしている
- 音場が広い
- 滑らかかつマイルドで聴き心地が良い
欠点
- 分離感が不足気味
- 人によっては物足りない低域
印象的なボーカル
響きと余韻が美しい
クリアなサウンド
競合機種との聴き比べ
以下の記事で競合機種と聞き比べを行っています。
音楽鑑賞
キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)「Beautiful Breakdown」
明るい雰囲気でエネルギッシュでありながら、とげとげしさのないPDH-1のサウンドはこういう快活な曲と相性が良い気がします。
ボーカルの子音ははっきり聞こえ、ニュアンスが細かく聞こえますが、それが強くとがる感じがなく、語尾は嫋やかに美しく、透明な息となって余韻を残して抜けます。
PDH-1の響きと余韻の印象的な表現力が、この曲の華やかなサウンドの魅力を引き出してくれ、そのサウンドは開放的で都会的に聞こえます。
Elements Garden「一人ぼっち」
バンドリのアニメサントラなんですけど、わりとよい曲ばかりで好きです。その中でもこの「一人ぼっち」って曲は大好きなほうかな。バンドリというとどうしても歌のほうばかり注目されがちですが、サントラもなかなか味わえます。
このヘッドホンは高域で倍音が少し揺らぎ、余韻もかなりしっかりしてるので、木管やバイオリンが美しく聞こえます。この曲のようにアコースティック感のあるサウンドはかなり響きを豊かに聞かせてくれるので、高い没入感を感じます。
岡部啓一「Orchestra: Weight of the World」
私の大好きな曲の一つです。このヘッドホンは奥行き感があるサウンドを持っているので、オーケストラ曲も響きが豊かに楽しめます。歪みも少なく、透明度も高く思える楽器音は中域の上でたゆたうように響き、この曲の壮大に伸びる金管音やバイオリンをより雄大に聞かせます。
オーケストラを雄渾に楽しみたい人にとって、PDH-1はわりと魅力的な選択肢になるでしょう。
BGVP DM8は完璧なパッケージであり、それは美しい外観、強力なサウンドを持っており、お財布に優しい価格で購入可能です。ユーザーは$350でこの素晴らしい製品を手に入れることができ、高品質なオーディオファン向きの音楽パフォーマンスを楽しむことができます。我々は以前、このブランドのDM6、DMG、Zeroや他の製品を試してみましたが、それらはどれも非常によくできていました。
BGVP DM8は滑らかで安定的、温和でウォームなサウンドで、中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。その甘くふっくらとした、ニュアンスの柔らかい調和的なボーカル表現はどこか懐かしく、メロウでノスタルジックな雰囲気があります。マイルドで耳当たりが良く、音量を上げても荒れるところのないイヤホンです。ビルドクオリティやパッケージクオリティも価格の標準以上のため、この価格帯で音楽的な中域を持つイヤホンを探している人の最適解になりえます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定+ヘッドホンモードです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲【原曲】GENS D'ARMES
- 原曲(+5dB)【原曲】GENS D'ARMES(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - UNCOMMON PDH-1
白き魔女(クラシック系)
- 原曲【原曲】白き魔女
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】白き魔女(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - UNCOMMON PDH-1
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲【原曲】The Silver Will -ギンノイシ-
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】The Silver Will -ギンノイシ-(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - UNCOMMON PDH-1
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲【原曲】Sophisticated Fight
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】Sophisticated Fight(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - UNCOMMON PDH-1
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲【原曲】浮遊大陸アルジェス -Introduction-
この動画を YouTube で視聴 - 原曲(+5dB)【原曲】浮遊大陸アルジェス -Introduction-(+5dB@1khz)
この動画を YouTube で視聴 - UNCOMMON PDH-1
総評
UNCOMMON PHD-1は価格を考えるとかなり魅力的な平面駆動型ヘッドホンです。ビルドクオリティは高く、音質的にも価格以上の価値はあるように思われます。透明感は高く、ボーカルや楽器音が少し広い音場に、響きと余韻豊かに雄大に聞こえるサウンドは没入感が高く、魅惑的です。
5万円くらいの予算で、とくに真空管アンプと合わせるような平面駆動型のヘッドホンを探している場合、かなりおすすめできる機種です。
コメント