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ULTRASONE Signature DJの概要
こんな人におすすめ
- 明瞭なサウンドが好き
- 音離れの良いサウンドが好き
- スピード感重視
- 繊細なサウンドが好き
- ディテールサウンド重視
基本スペック
- 周波数特性:5Hz~32kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:115dB/mW
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:10.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 明瞭な定位
- 艶やか
- 構築的で確かな輪郭感
- 中域への適切なフォーカス
- 繊細
- 良好なディテール感
- 拡張性のある高域
- 機敏で追随性の良いサウンド
- 良好な装着感
短所
- 甲高く聞こえやすい音
- 広くない音場
- DJモデルと言うには少し浅い低域
- とげとげしいサウンド
ULTRASONEについて
ULTRASONEは1990年12月に設立されたドイツのオーディオメーカーで、独自のS-Logicと呼ばれるサラウンドサウンドシミュレーションテクノロジーを使っているのが特徴です。直接音が耳に到達する従来のヘッドホンとは異なり、このS-Logicによってスピーカーの音のように拡散されて音が届くようになるとされています。Edition 5からはさらに進化したS-Logic EXが採用されており、S-Logic EXの音場表現をさらに洗練したものにしています。
高音質で疲れにくいヘッドフォンを開発し、世界のプロユーザーやオーディオ愛好家にお届けしたい。
ウルトラゾーンは、創業からわずかな年月で60以上の特許を取得し、世界で愛用されるヘッドフォン・ブランドへと成長しました。
その魅力はスタートとなったコンセプト「自然な臨場感をもつ音」を追求し続け、独自の発想と技術で絶え間なく進化させている情熱とこだわりにあります。
脳に無理をさせないヘッドフォンであれば、疲れず、もっと良い音で聴くことができるのではないか。
ウルトラゾーンでは、この基本的な考え方に基づいて、健康に配慮した製品づくりを心がけています。
http://ultrasone.jp/#about
ULTRASONE Signature DJの特徴
重低音を歪み無くパワフルに叩き出す
ULTRASONE製品中最大のSPLを誇る、DJユースを視野に入れたモデルです。
DJサウンドをパワフルに。強靱なドライバー
大音量が鳴り響くクラブでの使用を想定し、強靭な50mm径マイラードライバーから重低音を歪み無くパワフルに叩き出します。
炸裂するサウンドを抜群の定位で
特許技術S-Logic™ PLUSテクノロジーにより、炸裂するサウンドでもしっかりと定位感を再現します。
高品質ケーブル
着脱式の接続部はロックがかかる方式になっており、コードを引っかけた拍子に抜け落ちるということがありません。
オーディオコードは着脱式です。付属のマイクロフォン/リモートコントロール付ショートコードに変えれば、ストリートでポータブル用としてもご活用いただけます。
* コード接続部はSignature PROと共通です。
* 電話を受信すると再生がミュートされ会話はできますが、マイクロフォンの返り(自分自身の声)はヘッドフォンアウトを通してモニタリングできる仕様にはなっておりません。
快適な装着感と煌びやかなデザイン
長時間使用するユーザーのために、低域電磁波を最大98%低減するULEテクノロジー搭載
ソフトで耐久性も高いエチオピアンシープスキンを採用した、ワイドでボリュームのあるヘッドバンドと肌触り良く遮音効果のあるイヤパッド
高いフィット感で遮音性も十分のこの素材は、汗による硬直化を起こし難く、その柔らかさを長期間保持する優れた天然皮革です。
イヤカップのロゴプレートは硬化ガラス製で、光を反射して印象的に輝きます。
パッケージ(8.5)
ULTRASONE Signature DJのパッケージは価格の標準を満たしています。付属品も充分で、頑丈なキャリイングケースと用途に合わせて選べる2種類のケーブルが付属しています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- 6.35mmプラグ用ケーブル
- 3.5mmプラグ用ケーブル
- キャリイングケース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
ULTRASONE Signature DJのビルドクオリティは悪くありません。プラスチック製で軽量に作られており、持ち運びは楽です。
イヤーカップは柔軟に可動するので、片耳モニタリングも可能です。
装着感(9.0)
ULTRASOPNE Signature DJの装着感は良く考えられており、しっかりと頭に固定され、高い遮音性を実現しますが、耳が痛くならないようにイヤーパッドの圧力がうまく調整されています。
しっかりした装着感で、わりと適当に装着してもほとんどずれずに、耳の最適な位置にスピーカーが来るようになっており、かなり良く出来ているように思われます。
音質
周波数特性
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD特性
測定値は有料記事をご覧ください。
制動
アンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありません。電力要件さえ合えば、比較的鳴らしやすいヘッドホンでしょう。入力インピーダンス定格も32Ω、入力感度は115dBなので、スマートフォンでも問題なく駆動できると思われます。
測定値は有料記事をご覧ください。
ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
ULTRASONE Signature DJは総体としてかなり自由音場フラットに忠実で、原音忠実性の高いサウンドが期待できます。DJモニターとはいうものの、低域が目立つ調整にはなっておらず、全体的なバランスは良好です。むしろ高域の繊細さ、エネルギッシュさが強く、まさに「炸裂するサウンド」を聴かせてくれます。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:C+
- 深さ:B
- 重み:B+
- 太さ:B
- 存在感:B-
低域は単体ではかなりフラットに近いですが、重低域が少し分離して聞こえるように調整されています。
量的には強調されていない低域ですが、ディテール感で味付けされ、質的に強調されて聞こえます。こうした構造はSONY MDR-7506などにも見られます。
低域は明るく聞こえますが、ベースとドラムの描き分けは良く、階層性はかなり明瞭です。また深い重低域はやや弱くなるバランスになっているために、ノイズ感はあまりなく、わりと底辺がストンと落ちて聞こえます。
わずかに膨張感が薄く、上手に肉抜きされたようなところがある低域で、太さがあるのに輪郭が引き締まるタイト感があり、すっきりと聴け、スピード感が感じられます。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:A-
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域は前面に出てきます。ボーカルは近く聞こえやすく、明度と輝度がやや強く、かなり詳細で明るく聞こえます。
サ行が刺さって聞こえやすい欠点がありますが、全体的にシャープで金細工のようなボーカル表現が味わえます。鮮明感が高いですが、アグレッシブでわずかに早口に聞こえる感じがあります。
中域の透明感は高く感じられますが、少し硬い輪郭感と質感、光沢感があるため、全体印象はクリスタルサウンドに聞こえます。
ややきつく聞こえやすいところはありますが、中域の心臓部はしっかりしているので、やや聞き疲れしやすい傾向はあるものの、意外と聞き疲れ感は強くありません。
高域(9.5)
- 原音忠実度:C
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B
- 荒さ:C
- 繊細さ:C+
- 存在感:B-
高域の拡張性は悪くなく、高さも感じられ、開放的です。
やや金属光沢感が強く、クラッシュも派手にシャッキリ出やすいので、シンバルクラッシュにはプシャッと弾ける炸裂感があります。
またアコースティックギターのエッジはキラキラと輝いて虹のように聞こえます。管楽器の響きやバイオリンの響きはエッジ感とのびやかさに優れ、縦軸のダイナミズムで優れています。この高域は聴いていて楽しいですね。覚醒感があり、脳汁が弾けます。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvo?ak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
定位はわりと正確ですが、中域は少し狭いですね。フルオーケストラは奥行き感と高さは充分ですが、横幅でコンパクトに聞こえます。
質感的にはやや縦に伸びたサウンドになっているために、少しヒステリックに聞こえます。バイオリンがムンクの叫びみたいな感じで伸びて聞こえますね。
雅楽は笙の和音や篳篥の音が少し甲高く、わずかに息苦しさがありますが、聞き苦しいところまではいきません。ただ奏者が顔真っ赤にして必死に息を吹き込んでいるような、余裕のないサウンドに聞こえます。平和時の雅楽は黄鐘(基準音)の音が低く、動乱の時代は高くなるという説がありますが、少しピッチが高いように聞こえ、戦乱期の雰囲気を思わせます。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音響的焦点:中域~中高域
- 音場:B-
- クリア感:S-
Signature DJの音響的焦点は中域~中高域に存在します。
音場は少し横幅でコンパクトに聞こえます。奥行き感は少し広く、高さも高いところまで伸び、深さの点でも標準的なレベルは満たしているでしょう。
クリア感はかなり優れています。
音質総評
- 原音忠実度:S-
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:S-
ULTRASONE Signature DJは自由音場フラットに比較的近く、明るく高輝度のディテール感と華やかさに優れたサウンドを聴かせてくれます。少しアグレッシブで金属的に甲高く聞こえやすい傾向はありますが、尖りすぎないようにうまくチューニングされています。
人気機種であるSONY MDR-7506の拡張性を改善し、ピーキーさを少し減らした上位互換のようなサウンドになっており、MDR-7506からのステップアップ先としておすすめできます。
音質的な特徴
美点
- 明瞭な定位
- 艶やか
- 構築的で確かな輪郭感
- 中域への適切なフォーカス
- 繊細
- 良好なディテール感
- 拡張性のある高域
- 機敏で追随性の良いサウンド
欠点
- 甲高く聞こえやすい音
- 広くない音場
- DJモデルと言うには少し浅い低域
- とげとげしいサウンド
艶やかで細やか
高いディテール感
炸裂感のあるサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- ULTRASONE SIGNATURE DJ
総評
ULTRASONE Signature DJは自由音場フラットにかなり忠実なバランスの良い音質を持ちながら、重低域を少し分離して強調し、高域でもアグレッシブで炸裂感のあるサウンドを実現しているDJモニターヘッドホンです。スピード感のある音楽にも充分追従できる機敏なレスポンスと高いディテール感を持ち、長時間のリスニングでも痛くならない快適な装着感も実現しています。ミキシングの信頼できる相棒となってくれるだけでなく、瞬発力と衝撃力のあるサウンドで気分も盛り上げてくれ、DJセッションを楽しいものにしてくれるでしょう。
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