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Tripowin×HBB Olina SEの概要
こんな人におすすめ
- 質感重視
- 定位感重視
- 明るく透明感のあるサウンドが好き
- ディテール感重視
- 解像度重視
基本スペック
- 再生周波数:10-43000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:109dB
- ピンタイプ:2pin 0.78mm
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:10.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
長所
- 音像一貫性に優れる
- 優れた質感
- 良好な原音忠実度
- 聴き心地が良い
- みずみずしい
- 明るく透明感がある
- 正確な定位感
- 自然な倍音表現
- 低歪
短所
- 低域の深さに欠ける
- 少し物足りない高域拡張性
- 構築感がやや不足する中域
- 色づきが少し薄く聞こえやすい
Tripowin×HBB Olina SEの特徴
- TripowinとHBBのコラボレーション
- 第2世代10mmCNTダイナミックドライバー搭載
- よりバランスのとれた音質
- オールアルミニウム製ハウジング
- 高純度着脱式2ピンケーブル
TRIPOWINについて
TRIPOWINは、最新かつ最先端のドライバー技術を駆使し、驚異的なオーディオパフォーマンスを低価格で提供します。妥協のないドライバーの品質とエンジニアリングの経験に焦点を当て、国際的な賞賛を集める数々のオーディオソリューションを生み出してきました。また、オーディオマニアと密接に連携し、常に価格を超えた最高のサウンドを創造することに努めています。それは、お財布に負担をかけない素晴らしいオーディオです。
帰ってきたOLINA
Tripowin x HBB Olinaは、世界中のオーディオファンの間で瞬く間に人気を博したコラボレーションプロジェクトです。HBB(Hawaiian Bad Boy from “Bad Guy Good Audio Reviews”)は、長年の経験と膨大なIEM周波数測定データベースを駆使して、バランスの良い、明瞭で楽しい音響特性を開発し、Olinaのために使用しました。Olinaスペシャルエディションでは、HBBがオーディオチューニングの研究で得た知見をさらに反映させ、Olinaのサウンドに磨きをかけています。新しいサウンドと洗練されたデザインで、Olina SEはオリジナルOlinaの遺産をさらに高めています。
アップデートされたダイナミックドライバー
Olina SEは、オリジナルのOlinaに初めて搭載されたカーボンナノチューブ(CNT)ダイナミックドライバーの第2世代を採用しています。この10mmドライバーは、特にサスペンションエッジの振動板構造を強化し、表面膜の張力を高めてドライバーのレスポンスをより速くするためにアップデートされています。このドライバーは、10Hzから40kHzのダイナミックレンジを実現し、総合的なHi-Fiリスニング体験を提供します。
よりバランスのとれたサウンドシグネチャー
Olina SEの最大のアップデートは、チューニングの改善です。Olina SEに搭載された新しいCNTドライバーは、オリジナルのOlinaと比較して、10Hzで3dB増加し、より大きなサブバスのインパクトを可能にしました。このアップデートにより、サブバスのロールオフが大幅に解消され、より強固でパワフルなサブバスのパンチを可能にしました。さらに、Olina SEの高音域は、ボーカルや高次高調波におけるピーキーさを排除するために改良が加えられています。これにより、オリジナルのOlinaと比較して、より自然な高音域のレスポンスが得られるようになりました。また、高音域はオリジナルOlinaと比較して、ディテールの再現性を損なうことなく、より均一な音質を実現しています。
オールアルミニウムで成型された美しいハウジング
Olina SEは、HBBのルーツであるハワイをイメージした、新しくユニークなロゴが特徴的です。このデザインは、アルミ製のフェイスプレートに直接エッチングされ、アルミ製のシェルとマッチするようになりました。また、アルミニウムの筐体全体には、傷がつきにくい黒色のアルマイト処理が施されています。
着脱式2ピンケーブル
Olina SEには、着脱式の0.78mm2ピンケーブルが標準装備されています。ケーブルの素材には、純度が高く導電性に優れた4芯の無酸素銅OCCを採用し、より透明感のあるクリアなサウンドとしてオーディオに反映されます。ケーブルは3.5mmシングルエンドプラグで終端しています。
パッケージ(8.0)
パッケージは価格の標準を満たしています。価格を考えると、付属品にエンドプラグ交換式のケーブルを付属してもよかった気がします。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーチップ
- キャリングケース
- マニュアル類
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
全体的になめらかに仕上げられている美しい金属製シェルです。豪華さはありませんが、シンプルで洗練されています。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
TripowinxHBB Olina SEはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Tripowin×HBB Olina SEはほぼ完全にニュートラルなシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+
Olina SEの低域はOlinaよりわずかに深さが強化されているようですが、オリジナルとほぼ同等で、雰囲気もよく似ています。
実際にはOlina SEのほうが歪も少なめで低域単体の品質は優れているように思われますが、オリジナルOlinaのほうが音の構築感に関わるエッジ感やクランチ感は優秀なため、総合的な印象ではオリジナルの方がソリッドでより引き締まって聞こえる可能性が高いでしょう。
ドラムキックはインパクトが十分にあり、重さも十分に感じられ、躍動的ですが、ランブルは少し物足りない気もします。
エレキベースは若干浅い感じがし、少し薄味で広がりも今一つ弱い気がします。
直線性は悪くないものの、深さと量は低域好きを満足させる水準にあるかは難しいところです。
中域(10.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はオリジナルから少し調整され、音が全体的に丸く、マイルドに聞こえる方向へ変化しました。この調整により、中域中心部の存在感が少し向上したため、ボーカルへのスポットライトが明るくなっています。
一方で、音の輪郭感は減ってまろやかになり、艶やかさが少し後退して、ボーカルの色気やエレキギターのエッジの色彩感が弱まりました。構築感が低下したので、音楽の心臓部のソリッド感も減りました。
個人的にはOlinaの時の方が個々の音像がよりかっつりと描き分けられて聞こえてよかったと思いますが、Olina SEの滑らかな中域に魅力を感じるという人も多いでしょう。
また後述する高域の影響もあって中域の濃厚感に差があり、Olinaはどちらかというとこってりした音なのに対し、Olina SEはわりとさっぱりしています。OlinaからOlina SEに変えると、音の色味が薄いと感じる可能性があるでしょう。
そういうわけで、品質的にはOlinaとほぼ同等かそれ以上ですが、印象はかなり違うはずで、Olina SEはOlinaの単純なアップデートでないことがわかります。
高域(9.5)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D
- 繊細さ:D+
- 存在感:C+
高域はOlina SEで大幅に変更されました。高域の拡張性が改善され、精細感が向上したためにサウンドがわずかにディテールアップしています。明瞭感もオリジナルOlinaより少し向上して聞こえることが期待され、定位感もより優れた水準と言えるため、全体的な品質はかなりのグレードアップを実現しています。
全体的に風通しがよくなり、より繊細な音が期待できます。そのため、アコースティックギターやシンバルの粒立ち感やハイハットの広がり、弦楽や管楽の伸びやかさなどを重視する場合、Olina SEはOlinaの完全な上位互換と言って差し支えないでしょう。一方で、Olinaの少し輝度を抑えた、しかし明度は高く、中域を色づきよくソリッドに聞かせていた雰囲気が好きだった場合、Olina SEの音にはどこかスカスカしている印象を持つかもしれません。
中域でも述べましたが、Olina SEはOlinaのアップグレードというよりは、別のペルソナと考えるほうが適当なように私には思われます。
定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:A+
- オーケストラのテクスチャ:S
- 雅楽のテクスチャ:S
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
一般的にはOlina SEはOlinaよりさらにフルオーケストラに親和的と言えます。改善された低域の深みと定位感の向上、大幅に改善した空気感の影響によるスケール感の向上、音像一貫性の向上によるより自然な倍音表現、全体的な解像度の向上が齎されており、中域の構築感がわずかに低下したということを除けば、ほぼポジティブな方向にサウンドが変化したといえるでしょう。
室内楽ではOlinaのほうが雰囲気が出るかもしれませんが、フルオーケストラはOlina SEのほうがおすすめです。もちろん価格帯屈指のオーケストラ巧者と言えるでしょう。
雅楽も華やかさが減退したことを除けば、篳篥や和音の伸びが良くなり、おおむねOlinaの上位互換に相当すると結論付けることができます。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A-
- イメージング:A-
- 高域:S-
- 中域:A-
- 低域:B-
低域の深さは標準より少し物足りず、中域は比較的前面におり、高域の高さは標準より少し物足りません。
クリア感は価格の水準以上です。
イメージング性能は抜群に近いです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:S
- 個人的な好み:A
Tripowin × HBB Olina SEはオーディオスペック的にはOlinaのほぼ上位互換と言えますが、実際にはOlinaとはかなり違った個性のイヤホンと言えます。オリジナルOlinaが中域の濃密かつ構築的な雰囲気を重視していたのに対し、Olina SEはもっと開放的で見通しの良い音を提供します。
音質的な特徴
美点
- 音像一貫性に優れる
- 優れた質感
- 良好な原音忠実度
- 聴き心地が良い
- みずみずしい
- 明るく透明感がある
- 正確な定位感
- 自然な倍音表現
- 低歪
欠点
- 低域の深さに欠ける
- 少し物足りない高域拡張性
- 構築感がやや不足する中域
- 色づきが少し薄く聞こえやすい
音像一貫性に優れる
優れた定位感
良好な原音忠実度
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin×HBB Olina SE
- Tripowin x HBB Olina
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin×HBB Olina SE
- Tripowin x HBB Olina
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin×HBB Olina SE
- Tripowin x HBB Olina
総評
TripowinはOlina SEで定評あるOlinaをブラッシュアップし、オーディオスペックを向上させることに成功しました。基本的にOlinaからOlina SEへの変化は進化として捉えられると思われ、Tripowinとそれに協力したHBBの確かな見識を窺わせます。しかし、そのサウンドは必ずしもOlinaの完全な上位互換ではなく、とくに中域はオリジナルのOlinaのほうがわずかに優れていたように思います。
レビュアーの立場を離れて個人的な感想を言わせてもらえば、Olina SEよりOlinaのほうが好みです。
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