免責事項
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Tripowin × HBB MELEの概要
こんな人におすすめ
- 楽器音の質感にこだわる
- 室内楽や落ち着いた小編成JAZZが好き
- イヤホンの見た目重視
- コスパに優れたイヤホンが欲しい
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~34kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:109dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.0/10.0
- 中域:11.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.0/10.0
長所
- ウォームで聴き心地が良い
- 完璧な質感
- 比較的原音忠実度が高い
- 刺さりの少ないマイルドな高域
- 音像一貫性に優れる
- 良好なビルド
短所
- 輝度に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 鮮明感に欠ける
- 深みに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
Tripowin × HBB MELEの特徴
- 超高性能・低価格インイヤーモニター
- 独自のアキュチューン技術
- 丈夫でエレガントな筐体
- プレミアム4芯OCC銅ケーブル
- 音場の奥行き、解像度、ディテール再現性の向上
パッケージ(8.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリイングケース
- キャリングポーチ
- イヤーピース(2種類)
ビルドクオリティ(8.5)
装着感(8.5)
装着感はかなり良好ですが、金属ハウジングのせいか少し硬い感触です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Tripowin × HBB MELEは出力インピーダンスの影響はほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Tripowin Meleは非常にニュートラルで完璧に近い中域を持ち、質感表現が非常に正確です。高域は少しおとなしめで鮮明感に欠けるところがありますが、歯擦音も少なく、マイルドに聞こえるため、高域に敏感な人向きです。バランスはウォーム傾向で、全体的にピークディップも少なく、なめらかで安全な聴き心地を提供するのも美点です。その特性から、音像一貫性の点でも優れています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+
低域は比較的深くまで到達しており、ほとんどニュートラルです。
個人的な好みで言えば、今ひとつ深さで物足りませんが、重低域にこだわりのない多くのオーディオファンには十分な深度を実現していると言えるでしょう。量的な強調は少ないですが、個人的には少し低域に対して中低域が強く、レイヤリングは今ひとつです。しかし、これは中低域が多いと言うよりは、低域が少なすぎるせいです。
私の好みからすると、ドラムキックは浅く、軽っぽいですね。一般に低域好きを満足させる事ができるかと言えば、否です。
中域(11.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はかなり完璧にニュートラルであり、質感表現においてこれ以上のイヤホンを探すのはかなり難しいでしょう。中域のサウンドバランスは完璧です。
しかし、高域の不足によって残念ながら輝度が足りないため、鮮明感に欠けるところがあり、空気感も不足しています。それにより、音楽の全体像はやや曖昧にされており、マイクロディテールがはっきりしない印象を受けるでしょう。
しっかりとした硬さが感じられながらも、なめらかで丸みを帯びたマイルドさのある表現は、とくにピアノを美しく聴かせます。エレキギターもエッジまでしっかりと表現されており、輝度不足でややぼんやり感があるものの、色彩感はかなり正確です。このエレキギターとピアノの素晴らしい表現だけでも聴く価値はあるといえるでしょう。
ボーカルもほとんど完璧ですが、息の抜けはわずかに悪いため、快活さに欠けます。
高域(7.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
Meleの最大の欠点は高域です。拡張性が不足しています。
一般に低域や中域に対してエネルギーが足りていません。そのため、Meleの全体はニュートラルよりはウォームに傾いており、中域は濃厚に聞こえ、高域に敏感な人にも安全な聴き心地を提供しますが、爽快感に欠け、音場も狭く、実在感にも少し悪影響が出ています。
せっかく美しい中域を作っているのに、鮮明度に欠け、定位感もはっきりしないために、完璧に近く音楽の心臓部の立体感を再現しているにもかかわらず、それを最大限に活かすことが出来ません。人によっては実際以上に解像度が悪いという印象を持つでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:S++
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
非常に優れた質感を持っているため、クラシック音楽を楽しむ人にとってMELEはかなり魅力的な選択肢です。しかし、高域の全体的な質の悪さがスケール感やダイナミズムに悪影響を及ぼしており、フルオーケストラを聴くと全体印象は窮屈で音場は狭く、室内楽を聞いているかのようです。バイオリンの倍音はなめらかで一貫性を保っていますが、のびやかさに欠けるため、空間への広がりに欠け、十分に伸び切らずに濁ります。木管や金管も同様で、非常に素晴らしい質感で完璧に近く聞こえるのに、スピーカーから鳴らしているかのように音像が矮小化されています。
卓上の小型スピーカーでフルオケを楽しむのが好きな人にはおすすめですが、フルオケに関してはそんな人いるんでしょうか?室内楽向きになら、わりとおすすめできます。
雅楽はわずかに金属的に聞こえますが、高域はうまくロールオフするように調整されているため、耳にその印象が強く残ることはほとんどありません。全体的に窮屈に聞こえやすいですが、雅楽はフルオーケストラほど編成が大きくないので、それに比べれば違和感は少ないです。ただ龍笛や篳篥のダイナミズムに欠けるので、妙に滞留して聞こえる和音ばかりが目立って、全体的につまらない表現だなとは思います。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+
音場は深さは標準的か少し不足、高さで欠けます。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能はかなり優秀で、価格帯ではかなり良いように思います。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:A
Tripowin Meleは前方定位感のあるウォーム系ニュートラルサウンドを持っており、高域はマイルドになっているため、高域に敏感な人向きです。
非常に正確な質感表現はこの価格帯で得難いだけでなく、全イヤホンを探してもここまで中域を丁寧に作り込んでいるものは稀でしょう。またピークディップの少ない高域も非常に素晴らしく、EQで高域を上げるだけでかなり完璧なモニターイヤホンになります。
音質的な特徴
美点
- ウォームで聴き心地が良い
- 完璧な質感
- 比較的原音忠実度が高い
- 刺さりの少ないマイルドな高域
- 音像一貫性に優れる
- 前方定位的
欠点
- 輝度に欠ける
- ダイナミズムに欠ける
- 爽快感に欠ける
- 鮮明感に欠ける
- 深みに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
ウォームで聴き心地が良い
完璧な質感
マイルドな高域
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin × HBB MELE
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin × HBB MELE
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Tripowin × HBB MELE
海外レビュー
Tripowin × HBB Meleの海外での評価については以下の記事で紹介しています。
中華イヤホン Tripowin × HBB Meleの海外レビューまとめ
著名レビュアーHBBとコラボした人気ブランドTripowinの新作イヤホン「Tripowin × HBB Mele」についての海外レビューをまとめて紹介します。
総評
Tripowin × HBB MELEは正確な質感表現を愛するオーディオマニアにとっての福音です。やや前方定位する少し狭い音場の中に、きわめて自然な質感のままコンパクトな形で音楽の全体像を収めてくれます。高域の不足は定位感や鮮明感を曖昧にしていますが、ピークディップが少ないため、調整は簡単です。実際の解像度が悪いわけではないため、調整をすれば驚くほど透明度も改善されます。
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