免責事項
- このレビューは友人であるBanbeucmas(@Banbeucmas/banbeu.com)の好意で貸し出してくれたユニットに基づいて書かれています。
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TinHiFi P1 Plusの概要
こんな人におすすめ
- 爽快なサウンドが好き
- 音場重視
- メタリックなサウンドが好き
- 繊細なサウンドが好き
- コストパフォーマンス重視
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~20kHz
- インピーダンス:22Ω
- 感度:108±3dB/Vrms
- ケーブルコネクタ:mmcx
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:7.0/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.0/10.0
長所
- 繊細かつ爽快
- 開放的な音場
- 高い解像度
- 高いクリア感
- 透明度の高い音
短所
- 金属的でヒステリックに聞こえやすい
- ドライ
- 低域の深さが足りない
TinHiFi P1 Plusの特徴
- 大型の10mm平面磁気ドライバー:Tin HiFi P1 Plusには、10mm平面磁気ドライバーが装備されています。 このブランドは、P1およびP2イヤホンで平面磁気ドライバーに対する成熟した技術をすでに示しています。 平面磁気ドライバーは、磁石で囲まれたフラットダイアフラムを使用し、インパクトのある低音レスポンスで非常に詳細なサウンドを生成できます。
- 超薄型ダイアフラムフィルム:P1 Plusの平面磁気ドライバーは、新開発の超薄型ダイアフラムを使用しています。 正確に応答し、スムーズで詳細なサウンドをユーザーに提供します。 超薄型ダイアフラムのおかげで、P1 Plusの応答時間は非常に速く、出力信号の歪み定格は低くなっています。 このペアは、すべてのセッションで優れたオーディオ体験をユーザーに提供する出力で1%未満の歪みを実現します。
- 両面磁気アレイ:Tin HiFiは、P1Plus用の新しい両面磁気アレイを設計しました。 ダイヤフラムフィルムの周りに14個の磁石を均等に配置しました。 強力な磁束を生成し、ダイヤフラムフィルムがドライバーキャビティ内で均一に移動できるようにします。 これにより、ペアは超低歪みで目的の自然なサウンド応答を実現できます。
- 絶妙なステンレス鋼の耳の空洞:Tin HiFi P1 Plusには、プレミアム304ステンレス鋼の耳のシェルがあります。 リッチなクローム仕上げでエレガントなルックスに。 このペアは見た目が素晴らしく、人間工学に基づいたフォームファクターを備えています。 イヤーシェルは三角形の形状で、角度の付いたイヤーノズルが付いているため、ユーザーは快適でしっかりとフィットします。
- 金メッキMMCXコネクタを備えた高純度OFCケーブル:Tin HiFi P1 Plusには、金メッキMMCXコネクタを備えた高純度5NOFCケーブルがあります。 ケーブルは、低い内部抵抗を提供することにより、ペアの音響機能を大幅に強化します。 最新のP1Plusの完璧なコンパニオンです。
Tin HiFi P1 Plus:定番の平面磁界型IEMのアップグレード版を発表
Tin HiFiは、2019年に革新的な平面磁界型イヤホン「P1」をリリースしました。これは、世界中のオーディオ愛好家のニーズを満たし、ブランドの大成功を収めました。Tin HiFiは昨年、P1の後継機種であるP2をリリースしましたが、これもHiFiオーディオコミュニティから愛をもって迎えられました。Tin HiFiは、オーディオ愛好家からの提案や最適化のアイデアを基に、定番機種のP1の次期アップグレード、全く新しいTin HiFi P1 Plusを発表しました。
パッケージ(8.0)
パッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリイングケース
- シリコンイヤーピース(2種類)
- フォームチップ
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは価格の標準を十分満たしています。
装着感(8.5)
小型で耳の小さな人でも装着しやすいでしょう。装着感は良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
TinHiFi P1 Plusは出力インピーダンスの影響はほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ(赤軸) Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
TinHiFi P1 Plusは中域の広さを重視してチューニングされているようです。非常にステージングの良い開放的で広大な音場表現が魅力ですが、音は少し金属質に聞こえやすい傾向があります。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:C+
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
TinHiFi P1 Plusの低域はストンと落ちるモニタースピーカー的なサウンドをしており、明るめで見通しは悪くないですが、深さや重厚感に欠けます。
一般に軽っぽく力強さもあまり目立たないうえに、腰高の低域なので、低域好きを満足させることはできません。エレキベースに黒さが全然足りません。
ドラムキックはスピード感があり、機敏ですが、浅く、薄味で衝撃力に欠け、迫力がありません。モニタースピーカーのような低域が好きなら悪くないかもしれませんが、私はあんまり好みじゃないですね。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はTinHiFi P1 Plusの最も魅力的な領域です。
奥行きと幅のある空間に中域が広々と描き出され、天井も高く抜けており、開放的なステージが形成されます。
質感は少し不自然ですが、明るく解像度が高いため、透明度が高い印象を受けるでしょう。質感は実際には金属的でシンバルはブリキで出来ているかのようであり、曲によってはかなりうるさげになる傾向にありますが、抜けの良さとウォーム感のおかげで、多くの曲で聞き苦しくならないように、うまくごまかしています。
よく聴くと実際にはガチャガチャガサガサしている音ですが、その不快な感じが印象に残る前に良好な空気感で吹き抜けていきます。
また子音の尖り、歯擦音をうまく抑えながら、息の伸びを強調しているため、少しがなりたてる落ち着きのないボーカル表現になっているにも関わらず、うるさい感じがなく、案外すっきり聴けます。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:C
- 繊細さ:C
- 存在感:C-
高域は非常に高くまで伸びていて、拡張性に優れているのが特徴です。
輝度が高く、わりと金属的で派手なサウンドですが、抜けが良いので耳にギラつき感がしつこく残る感じがありません。解像度も高いのでマイクロディテールが聞こえ、繊細さも悪くありません。ただ、シンバルはだいぶ派手で、硬い感じでガチャガチャして聞こえやすく、音楽に鉄分が多く聞こえる傾向が好みを分けそうです。
定位/質感
- 質感の正確性:A-
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
重厚感に欠けるので私の趣味じゃないですし、バイオリンが少しキリキリギシギシして聞こえるところがあり、木管も妙に金属質でヒステリックに聞こえやすいので、個人的にはときどき気色が悪い音ですね。ただ解像度は非常に高く、透明度が高いので、濁りの少なさで音が綺麗だと思うかもしれません。ティンパニの音も硬くはっきり聞こえすぎるので、場面によってはうるさいですけどね。音場は奥行きがあり、開放的なので、スケール感はかなり強調されます。ダイナミズムも少し強調されて面白いと思うところもあります。
雅楽も楽器が妙にブリキのように聞こえるのを除けば、なかなか楽しめます。抜けが良いせいか、あるいは甲高さがほとんどないせいか、和音の派手な感じも気になりません。とはいえ、サイレンのように音が引きつって聞こえるところがあるので、人によっては露骨に不快かもしれません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:A-
- クリア感:A
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C
深さに欠けますが、奥行きと高さに優れ、開放的な音です。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能は優秀です。価格を超えていますね。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:A+
非常に広い音場で解像度が高く、歪みの少ない音を聞かせてくれるイヤホンを探しているなら、TinHiFi P1 Plusはかなり有力な選択肢でしょう。ただし、その音は金属的で、シンバルがブリキっぽく聞こえたり、木管が警笛のように聞こえる傾向があります。
オーディオスペック的には1万円台で買える機種とは思えないくらい優れていますが、癖は少し強めなのが難しいですね。基本的にトレブルヘッド(高域好き)向きです。
音質的な特徴
美点
- 繊細かつ爽快
- 開放的な音場
- 高い解像度
- 高いクリア感
- 透明度の高い音
欠点
- 金属的でヒステリックに聞こえやすい
- ドライ
- 低域の深さが足りない
繊細かつ爽快
高い解像度
開放的な音場
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING L50を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース(赤軸) Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- TinHiFi P1 Plus
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- TinHiFi P1 Plus
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- TinHiFi P1 Plus
海外レビュー
Tin HiFi P1 Plusの海外での評価については以下の記事で紹介しています。
TinHiFiの新作平面駆動型イヤホン「Tin HiFi P1 Plus」についての海外レビューをまとめて紹介します。
総評
1万円の価格帯で非常に優れた解像度と音場表現を両立させているイヤホンがTinHiFi P1 Plusです。そのサウンドは質感表現で少し劣り、ブリキのように聞こえるところがあるのが難点ですが、繊細で明瞭なくっきりしたサウンドが魅力的で、音の抜けもよく、開放的で音場も広く感じられるため、爽快でエネルギッシュなサウンドが好きなら検討してみても良いでしょう。ニュートラルサウンドを好むオーディオマニア向きとは言い難いですが、コストパフォーマンスは良く、趣味に合えばかなり楽しめる音です。
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