The House of Marley Championの低域は十分に深く、引き締まったレイヤリングの良いサウンドを提供します。

ドラムキックには十分な重みがあり、インパクトが感じられます。エレキベースも十分に黒く、広がりが良好で、生々しく聞こえる音です。

ただし臨場感に関わるランブルなどは弱く、生々しさには今ひとつ欠けるかもしれません。それでも十分に低域好きを満足させられると思われます。

中域は全体の中で引っ込んだ位置にあり、やや暗めで薄っぺらくドライでカサカサして聞こえやすい傾向があります。

中域は奥行き感があり、暗い位置で聞こえます。鮮明感は高いのではっきりとした印象がありますが、金属的で粒度も細かくなりすぎて聞こえやすく、人工的で金属質になります。また歯擦音は少し強く表現されやすく、サ行の刺さりも強めに感じられやすいので、録音音源と相性があり、ピーキーで少し聞き疲れしやすいように思うでしょう。

高域は鮮明感を重視してチューニングされており、輝度が高めでメタリックに聞こえやすい傾向があります。

空気感は比較的よく、拡張性は悪くありませんが、高域に敏感な人にはきつく聞こえやすい傾向があるでしょう。繊細な表現力があり、人によっては分離感が良いように思うかもしれませんが、音楽が細切れにされ、ガシャガシャして聞こえやすく、調和性に欠けます。高域を比較的マイルドにチューニングすることが多いThe House Of Marleyのイヤホンの中では異端児と言えるでしょう。

風通しがよく、シンバルの音はエネルギッシュで爽やか、バイオリンも線が細く聞こえますが、繊細な表現で金細工のような雰囲気があります。ダイナミズムも悪くなく、重厚感もあります。しかし、中域が薄っぺらく、みずみずしさに欠け、表現の優雅さや安定感に欠け、荒っぽく落ち着きの感じられない、情緒不安定な表現になりがちで、皮相な音楽に聞こえます。

雅楽は篳篥の音が安っぽいですね。繊細な表現がありますが、和音を聞けば全体的にガサガサしており、轡虫の音色に近づいています。抜けは良いので耳にしつこく残る感じはありませんが、安っぽいブリキのような音で風雅さの欠片もありません。

低域の深さは十分で、中域で奥行きが強調されます。高域の高さも標準を満たしています。

クリア感は価格の水準を満たしています。

イメージング性能は価格の水準以上です。

The House Of Marleyは一般にウォームでマイルド、南国の朗らかな雰囲気のサウンドを好んでいますが、Championのチューニングは例外です。

それはより高域を伸ばし、ギラツキ感のあるサウンドを実現しており、繊細さが強調されているため、いつもの滑らかな響きを期待していると、わりと正反対の音が聞こえてくるのにびっくりするかもしれません。

欠点

• 暗く薄っぺらい中域
• アグレッシブで輝度が高すぎる高域
• 歯擦音をはじめ子音が尖りやすい
• 聴き疲れしやすい
• メタリック