免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
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TFZ LIVE 3の概要
こんな人におすすめ
- 深みのある低域が味わいたい
- 重厚感のあるサウンドが好き
- 艶やかな雰囲気で音楽を楽しみたい
- 高域に敏感
基本スペック
- 周波数特性:5Hz~40kHz
- インピーダンス:20Ω
- 感度:108dB/1mW
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.0/10.0
長所
- バランスが良い
- 原音忠実度が比較的高い
- 色気のあるサウンド
- 前方定位的
- マイルドで刺激の少ない高域
- ウォーム
- 豊かなグルーヴ
- 十分に深い低域
短所
- 分析的なリスニングに向かない
- 高域の拡張性が足りない
- 中域が籠もって聞こえる可能性
TFZ LIVE 3の特徴
- グラフェンドライバー搭載カナル型イヤホン。
- LIVE 3は良好なレスポンスと強力な駆動力を有した第三世代ユニットを搭載した製品です。
- TFZの特徴であるダブルマグネティックサーキット(デュアル磁気回路)とダイヤモンドライクナノ振動板により優れた解像度と高音域の透明感、ボーカル帯域の心地良さ、迫力ある低音再生を実現します。
- 人間工学に基づきデザインされたハウジングは長時間のご使用でも疲れにくく快適な装着感を提供します。
- 銀コートOFCケーブルはロスの無いより高品位な伝送を行うと共に樹脂製の被膜を採用し非常にしなやかで取り回しの良い仕様となっております。また、着脱式採用のため自分好みにカスタマイズすることも可能です。
パッケージ(7.5)
TFZ LIVE 3のパッケージは比較的簡素です。1万円台のイヤホンとしては少しシンプルすぎますね。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書類
ビルドクオリティ(8.0)
装着感(8.5)
装着感は悪くありません。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
TFZ LIVE 3はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース(黒軸)Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
TFZ LIVE 3は中域がニュートラルより僅かに凹んだV字型のサウンドシグネチャーを持っています。バランスは比較的良好ですが、高域は少し弱いですね。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A-
TFZは深みのある低域を作り出すことに長けていますが、LIVE 3も例外ではありません。レイヤリングも良好な深みのある低音が実現されています。
エレキベースは十分に黒く、バスドラムキックも重厚感があり、ランブルもかなりしっかりと感じられます。
低域好きを十分に満足させることが出来ます。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はわずかに中心部が凹んでいます。
中域の構造自体はかなりニュートラルに近く、中域上部が少し強調された前傾したサウンド構造になっています。
ボーカルは艶やかで色気が感じられ、エレキギターやピアノの音にもまろやかで甘みの感じられる雰囲気があります。スネアのアタックは力強いですが、キレは少し抑えられており、音に丸みが感じられ、弾力感が少し強く感じられます。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
高域は低域や中域に対してパワーバランスやや劣っており、ディテール感にはやや不足が感じられます。
歯擦音やピアースは抑えられているので、不快な要素がないマイルドな高域ですが、鮮明感が少し物足りません。また拡張性にも劣るので、空気感がもう少し欲しいですね。
倍音の表現は滑らかで、かなり自然なので全体としては悪くない高域です。
定位/質感
- 質感の正確性:S
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:A-
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
重厚感が素晴らしく、質感表現もかなり生々しく聞こえます。前方定位的で奥行き感があり、ホールのような雰囲気を味わえますが、高さは物足りず、空間が閉じています。イコライザーで超高域を持ち上げるとかなりリアルなオーケストラを味わえます。
篳篥の音はかなり自然に近いですが、抜けが悪く、わずかに神経質に聞こえます。和音も十分艶やかですが、金属質になり、少し不快ですね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:B+
- 低域:C+
音場は深さは標準以上で、中域で奥行きが強調され、高さで少し物足りません。
クリア感は価格の標準を満たしています。
イメージング性能は価格帯の標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:A
TFZ LIVE 3は1万円前後の価格帯で買える優れたリスニングイヤホンです。高域の不足はこのイヤホンを分析的で批評的なオーディオマニアから遠ざけます。しかし、比較的優れた中域の表現と、深みのある臨場感あふれる低域は、豊かなグルーヴと満足できる透明度、良好なダイナミズムとかなり自然なアーティキュレーションを実現します。
価格帯で最も優れたイヤホンではありませんが、上位機種と思われるTxBEAR MONICAをはじめ、同価格帯付近の多くの機種より優れたイヤホンと言えるでしょう。
音質的な特徴
美点
- バランスが良い
- 原音忠実度が比較的高い
- 色気のあるサウンド
- 前方定位的
- マイルドで刺激の少ない高域
- ウォーム
- 豊かなグルーヴ
- 十分に深い低域
欠点
- 分析的なリスニングに向かない
- 高域の拡張性が足りない
- 中域が籠もって聞こえる可能性
バランスが良い
色気のあるサウンド
豊かなグルーヴ
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- TFZ LIVE 3
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- TFZ LIVE 3
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- TFZ LIVE 3
総評
TFZ LIVE 3はTFZらしい深みのある低域を持ち、聴き心地の優しいマイルドな高域とニュートラルに近い中域を持っています。価格帯ではかなりバランスの良いリスニングイヤホンで、比較的おすすめしやすい異種です。
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