免責事項
- このレビューはTForceから誠実な品質レビューを読者に伝えるために提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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TForce Yuan Li(プレファイナル版)の概要
こんな人におすすめ
スタジオチューニングサウンドが好きDTMer良質なモニターサウンドを求めている- レアなイヤホンを手に入れたい
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:103.5dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:9.0/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:10.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
長所
- 優れたイメージング能力
- スタジオチューニングに忠実
- 明瞭性の高いサウンド
- 自然な質感
- 比較的高い原音忠実性
- 優れたボーカルフォーカス
- 高いクリア感
- 優れた構築感
- ビルドクオリティ
短所
- 甲高く聞こえやすい
- 音場が狭い
- 入手困難
TForce Yuan Li
$119
TForceについて
Tforce Audioは、中国のHiFiオーディオ業界に参入した新しいブランドです。ブランドとしては、Tforceは業界では新しい名前かもしれませんが、彼らはすでに中国の多くのブランドからのOEM/ODMメーカーの経験豊富なチームを持っています。彼らはその経験を生かして、高品質で高性能なIEMやTWSなどのオーディオギアをTforceで設計しています。
TForce Yuan Liの特徴
TForce Yuan LiはTForceの第一作でありながら、同価格帯の新たなリファレンスモデルを確立しようという野心的な製品です。それは$100前後で覇権を握ることを目指し、ライバル機種と市場動向を徹底的に研究して、最後はオーディオファンのフィードバックを受けて完成されました。
今回レビューするプレファイナル版は製品版の一歩手前の製品で、製品版とはサウンドが異なります。
- 大口径10mmダイナミックドライバー(DLCダイヤフラム)
- プレミアム・アルミニウム製イヤーキャビティ
- 豊富なアクセサリーセット
- 人間工学に基づいた快適なデザイン
- 低音を強調したバランスのとれたニュートラルなサウンドチューニング
- 標準的な2ピンの0.78mmコネクター
- インピーダンス 32Ω
- 感度:103.5dB
- 周波数応答範囲:20Hz〜20kHz
- THD+N:0.2%
- プレミアムDLCダイアフラムによるシングルダイナミック構成:Yuan Liは、片側に10mmのダイナミックドライバーを搭載したシングルダイナミックドライバー構成を採用しています。このドライバーには、優れた頑丈さと軽量の美しさで知られるプレミアムDLC(ダイヤモンドライクカーボン)振動板が採用されています。
- プレミアム・アルミニウム・イヤーシェルの絶妙なデザイン:Tforceは、デビューしたばかりの「Yuan Li」に高級アルミ製のイヤーシェルをデザインしました。フェイスプレート部分にはTforce Audioのロゴがプリントされ、光沢のある仕上がりになっています。その見た目はとても素晴らしく、人目を引く魅力的なデザインとなっています。
- バランスのとれた自然なチューニング:TforceはYuan Liを、自然で落ち着きのある音のトーンと高解像度の透明感を実現するようにチューニングしました。高速でパンチの効いた低音、透明感のある中音域レスポンス、クリアで空気感のある高音域を生み出し、楽しく魅力的なプレゼンテーションで音を引き立てます。今すぐYuan Liで、高解像度な明瞭性とディテールで音楽を体験してください。
- プレミアムキャリーケースなど豊富な付属品:Tforceは、製品の細部に至るまでこだわりを持っています。プレミアムブランドイメージを維持するために、パッケージに含まれるすべてのものが最高品質であることを確認しています。Yuan Liには、カスタムメイドのレザーイヤホンキャリーケース、6N OCC銅ケーブル、6ペアのシリコンイヤーチップなどが同梱されています。
- スマートフォンから直接音楽を楽しむ:Yuan Liへの電力供給については心配ありません。スマートフォンからも十分な電力が供給されます。ただし、最高のパフォーマンスを得るためには、ハイレゾリューション信号をデコードするためのUSBドングルの使用をお勧めします。
パッケージ開梱動画
パッケージ(8.5)
※今回の製品は製品版とは異なる非売品のため、製品版のパッケージを代わりに紹介します。
1万円台のイヤホンですが、パッケージに気品があり、付属のキャリーケースも高級感を意識していて、豪華です。
パッケージ内容
付属品は比較的揃っています。イヤーピースは十分あります。
- イヤホン本体
- シリコンイヤーピース
- ワニ革風キャリーケース
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは悪くありません。指紋が残りやすい傾向があります。
装着感(9.0)
耳への収まりは比較的良好です。装着感は良いでしょう。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSとプロ用測定アナライザーソフトを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。
制動
TForce Yuan Liはアンプ側の出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。出力インピーダンスは16Ω以下のアンプで駆動することが推奨されますが、それ以上のアンプで鳴らしてもサウンドバランスが違って聞こえることはないでしょう。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップの中で、バランスタイプのLサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
最終的な製品版のほうがよりウォームで聴き心地が良いので、万人受けするかもしれないとは思いますが、個人的にはプレファイナル版のほうがモニターイヤホンとして優れているので残念に思います。
それは定番のスタジオチューニングであるSonarWorksターゲットにほとんど忠実であり、拡散音場系の明瞭性の高いサウンドを実現しています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
Yuan Li(プレファイナル版)の低域は非常に質の良いスタジオモニターライクな低域です。それは非常にクリアで、階層性もはっきりしており、ランブルやサンプの深さまで到達していますが、それを量的にそれほど強調しないので、低域がうるさく感じられることはありません。
あくまで私の好みからすると、低域はSonarWorksターゲットのように重低域で持ち上げるほうが好きですが、十分に直線的で一貫性があります。
エレキベースやドラムキックは少し明るく聞こえますが、適度なランブルとサンプの存在感があります。
非常に立体的で質感に優れた低域で、量的にベースヘッドを満足させられるかは難しいですが、質的には優秀です。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は非常に透明度が高く、明瞭です。
中域は立体的で定位も正確で色づきもよく、ボーカルは最前列で精彩豊かに聞こえます。わりと正統派のスタジオモニターサウンドです。
しかし、TForceはYuan Liプレファイナル版の中域上部がきつすぎる傾向があると判断し、製品版で調整しました。たしかに、一部の曲、とくに女性ボーカルものはシャウト感が出やすい傾向があります。
私の分析では、この欠点は主に高域方向の量的不足と中域の僅かな過剰によってもたらされているので、イコライザーで2kHzをわずかに下げ、6kHzを少し上昇させることで解消されます。
好みや年齢によって高域を適度に調整する必要があるかもしれませんが、この中域はニュートラルで原音忠実性も高く、非常に優れていました。変更は個人的には残念です。
高域(9.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
TForce Yuan Li(プレファイナル版)の欠点は高域にあります。
私はSonarWorksターゲットを好んでいますが、高域はもう少しマイクロディテールがはっきり聞こえるほうが好きです。実際、私の評価スキームもTForceが重視したオーディオファンの意見とは異なり、Yuan Li(プレファイナル版)の欠点は高域にあることを示しました。
聞き心地の点ではYuan Li(プレファイナル版)の高域は安定していると言えますが、私にはのびやかさが足りませんね。Yuan Li(プレファイナル版)の音にはヘッドルームが不足しているために、中域の印象的な強さを空間で十分に中和することができていないところがあります。それが多くの人にそのサウンドが甲高く聞こえる原因になっています。つまり単純に抜けが悪いんですね。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:A-
- 雅楽のテクスチャ:A-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
木管などが甲高く聞こえる傾向があるものの、中域の質感と定位に限ればYuan Li(プレファイナル版)は非常に優れたクラシック演奏家です。ただ、音場は窮屈になるので、フルオーケストラのスケール感はいまいちですね。質感重視派にはおすすめできます。
雅楽も悪くないですが、和音が少し甲高くうるさげに聞こえやすいですね。人によってはキンキンして聞こえるでしょう。空間的な狭さも若干気になりますが、室内楽的な雅楽ではフルオーケストラほど混雑感を感じません。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音場:B-
- クリア感:S-
- イメージング:A-
- 高域:S
- 中域:A-
- 低域:C+
音場は少しコンパクトに聞こえますね。少し混雑します。深さは十分ですが、高さが足りていません。
クリア感は非常に優秀です。モニターイヤホンとして文句ないですね。ただ、音量を上げると歪みやすいようです。
解像度は価格を考えると抜群に近いです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:S+
TForce Yuan Li(プレファイナル版)はわずか$100程度の価格で、現状で最高のモニターイヤホンの一つに連なる可能性がありました。DTMerにとって定番のスタジオチューニングであるSonarWorksターゲットに忠実な、優れたモニター環境が廉価に手に入る可能性があったのです。
残念ながらそれは叶わなくなりましたが、いつかこのプレファイナル版も販売されることを願います。
音質的な特徴
美点
- 優れたイメージング能力
- スタジオチューニングに忠実
- 明瞭性の高いサウンド
- 自然な質感
- 比較的高い原音忠実性
- 優れたボーカルフォーカス
- 高いクリア感
- 優れた構築感
欠点
- 甲高く聞こえやすい
- 音場が狭い
優れたイメージング能力
高い原音忠実性
高いクリア感
TForce Yuan Li
$119
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは-0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- TForce Yuan Li(プレファイナル版)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- TForce Yuan Li(プレファイナル版)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- TForce Yuan Li(プレファイナル版)
総評
TForce Yuan Li(プレファイナル版)はもしそのままのチューニングで発売されていたら、DTMerにとって必須アイテムの一つになったかもしれません。SonarWorksターゲットにかなり忠実なサウンドは明瞭性が高く、音楽の全体像を効率よくモニタリングできます。個人的には少しイコライジングして調整したプレファイナル版を製品版のYuan Liよりも愛用しています。
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