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【モニターヘッドホン 城下工業 SoundWarrior SW-HP10S レビュー】それはモニタースピーカーサウンドをほぼ完全に再現する万能系モニターヘッドホン
SoundWarrior SW-HP10Sの概要
こんな人におすすめ
- クラシックやJAZZの生音感にこだわる
- 清楚で少し甘いボーカルが好き
- 高解像度で音楽を楽しみたい
- モニタースピーカーの音が好き
- DTMを始めたいけど、どのモニターヘッドホンを選んでいいのかわからない
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:40Ω
- 感度:103dB
長所
- 原音忠実性が高い
- ほぼ完全なモニタースピーカーサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 女声ボーカルの色気
- 自然な音場
- 自然な質感
- 聴き心地が良い
短所
- 自由度の少ないヘッドバンド
- 音場の拡張性に劣る
- 機能性で劣る
SoundWarriorについて
Sound Warriorは城下工業の音響ブランドです。城下工業は大正12(1923)年に最初は生糸製造所として創業した老舗メーカーで、音響・通信機器を中心に販売しています。城下工業は1966年からオーディオ機器を生産し、2003年以降Sound Warriorのブランド名で展開されています。
SoundWarrior SW-HP10Sの特徴
SoundWarrior SW-HP10Sは業務用モニターサウンドを手頃な値段で提供します。モニターサウンド特有の解像感を維持しつつ、うまくリスニング的要素が加えられており、正統派でありながら聞き疲れしない絶妙のサウンドを実現しています。
モニタリングと音楽鑑賞の共存を目指した音づくり
録音スタジオなどで使われているモニターヘッドホンの音づくりをそのまま皆様に。 肉声や各楽器の定位、音の粒立ちや輪郭、遠近感、広がりなどを、手に取るように聴くことが出来、演奏者やエンジニアの意図をストレートに表現する。 これがモニターヘッドホンの使命です。しかし、モニター系の音はともすれば長時間の音楽鑑賞には不向きで聴き疲れしやすいといわれています。 本機は当社の長年の経験により、これらのデメリットを感じさせず、モニタリング志向の本格的ヘッドホンをめざしました。
プロの現場に育てられたプロフェッショナルなかたち
プロ現場の様々な要求を実現し磨き上げられたヘッドホン。 入力コードの頑強性はもとより、「ワレ」や「劣化」の少ないナイロン素材のケースシェルや、油性劣化しにくいポリウレタン性パッド類など、ひとつひとつの素材は全て高耐久性、頑強性を求めて吟味されています。渡りコードをヘッドバンドに埋め込んでいるのも断線を防ぐためです。更に構造体として金属を使用していないのも楽器や音響機器にあたって傷を付けない配慮の結果です。 コードを踏んでヘッドホンを落としても壊れることはほとんどありません。楽器演奏、録音現場や屋外でのハードな使用にも十分耐え得るプロフェッショナルなかたちをお試しください。
抜群のフィット感による、ものづくりへのこだわり
クローズド・エアー・タイプ(密閉型)ヘッドホンは密着性や遮音性を要求されます。しかしこの要求を実現するため、一般的には側圧や頭部への押さえの力を強くする傾向があります。 本機は、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインのイヤーパッド(立体裁断された高弾性パッドや合成皮革を手縫いで成型)を採用し、長時間の使用に欠かせない、包み込むような優しいフィット感をつくり出しています。Made in Japanの誇りを商品に込めました。
レビュー動画(Porta.Fi)
パッケージ(7.5)
パッケージは価格帯では標準クラスかややシンプルです。付属品は最低限で、梱包も簡素です。
ビルドクオリティ(7.0)
本体のビルドクオリティは実際は悪くありませんが、見た目はややプラスチッキーで少しチープに思えるかも知れません。しかしプラスチック素材はほかの機材を傷つけないようにするためというプロ的観点から採用されているとのことです。
ヘッドバンドの柔軟性は高くなく、イヤーカップも回転しないので片耳モニタリングは困難です。
装着感(7.5)
装着感は軽量でやや側圧は強めです。クッションパッドのおかげで耳が痛くなることはなく、快適です。それでも3時間くらい装着していると、さすがに少し痛くなってはきます。
最大拡張幅でも、頭が大きい人にはきついかもしれません。
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音質
周波数特性
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD+N特性
制動
アンプ側の出力インピーダンスが高い場合、SW-HP10Sの低域制動力はわずかに弱まりますが、それは一般的に大きな影響を与えないと考えられます。一般的なオーディオデバイスにつなぐ場合、電力的な駆動要件を満たしていれば、どんなソースからでも概ね期待される音質が引き出されるでしょう。詳しい測定値については有料記事に掲載しております。
音質解説
SW-HP10Sの全体のバランスはかなり自由音場フラットに忠実で、本当の意味での原音忠実に近い音を鳴らします。レンジ感の点では優れている機種ではありませんが、自由音場的で音像の安定感が高く、全音域でかなりクリアにバランスよく音が拾えます。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。(低域:20Hz~315Hz;中域:315Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz)[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:C+
- 臨場感:D+
- 深さ:C+
- 重み:B
- 太さ:B
- 存在感:C-
個人的にSW-HP10Sの低域の調整にSound Warriorの真骨頂を感じます。
その低域は充分な深さまで到達しながら、密閉型で出やすい独特の篭もり感を出さずに、ローエンドでブームを強調せず、モニタースピーカーの音のようにストンときれいにロールオフします。
低域は非常にモニター的で中域に自然に繋がっており、透明度が高く、階層性と質感が確かです。この非常に精確性の高いモニター感のある低域は価格を考えると驚異的です。スタジオモニタースピーカーの音に習熟している場合、その自然な締まり具合を聴いただけで、たちまちこのヘッドホンの魅力がわかってしまうでしょう。
低域は原音忠実性が非常に高いですが、減衰が早く、存在感の上でもかなり弱めです。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:A
- 硬さ:A
- 存在感:B
中域はわずかにリスニングライクに寄せられていて、モニターサウンドより立体感がつけられており、聴き心地に貢献しています。
ボーカルは少し持ち上げられて前面に聞こえるようになっており、また高域方向で空間性が少し強調されているので、中域音は無響的ではなく、響きが強調され、自然より少し多めのグルーヴが生まれています。
とくに女声ボーカルは比較的理性的でありながら、少し媚びて語尾が伸びるわずかなコケティッシュさがあり、ややエロティックに聞こえます。
また中域は輪郭は少し柔らかく思えますが、芯のしっかりして音の背骨が見えるような構築感があり、骨組は確かです。
高域(9.5)
- 原音忠実度:C
- 艶やかさ:A
- 鋭さ:A-
- 脆さ:B
- 荒さ:C-
- 繊細さ:C
- 存在感:C
高域は鮮明感と高さが少し高められており、少し輝度が高い印象を受けます。
そのため一部のボーカル曲ではわずかに息やサ行の子音が強調され、中庸よりはニュアンスが強くなっています。音場は広すぎたり高くなりすぎない自然な音場感を意識してうまく調整されており、音場表現はかなりナチュラルです。
天井はそれほど高くないですが、音の抜けもよく、空間はわずかに開放感が強いように思えます。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音響的焦点:中域
- 音場:B
- クリア感:A+
- 質感の正確性:B-
- 定位の正確性:B-
SW-HP10Sの音響的焦点は中域に存在します。
音場は平面的です。奥行きは少し広く、幅は標準的で、高さ、深さはほぼナチュラルか少し狭いと思います。上下の拡張性に優れておらず、少しに中域に音が集まって聞こえます。
クリア感はモニターヘッドホンとしても優秀なレベルです。
音質総評
- 原音忠実度:S-
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:S
全体として充分な解像感・わかりやすいディテール感・自然な音場感・自然な質感・低域のモニタースピーカーサウンド感の点でリファレンスモニターとして充分な音響性能を持っており、わずかに中域が印象的に響く調整になっていますが、それが聴き心地の安定に繋がっています。DTMでの作曲・ミックス・マスタリング、そして普段のリスニングまでこなせる万能系の使いやすいヘッドホンで、これらの作業を個人的な趣味としてこなすDTMerにとって、理想的なオールインワンモニターヘッドホンになり得ます。
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- ほぼ完全なモニタースピーカーサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 女声ボーカルの色気
- 自然に近い音場
- 自然に近い質感
- 聴き心地が良い
欠点
- 低域にブーム感がない
- 臨場感に欠ける
- 中域はモニターフラットではありません
原音忠実性が高い
ほぼ完全なモニタースピーカーサウンド
明るく見通しの良い中域
競合機種との聴き比べ
以下の記事で競合機種と聞き比べを行っています。
音楽鑑賞
777☆SISTERS「NATSUKAGE -夏陰-」
全体のバランスが非常によく、中域のフォーカス感が高いので、ボーカルがかなり印象的に聞こえます。音の透明度は上から下まで非常に高く、ほぼ自然な音場と自然な質感で上から下まで聞こえますが、低域はスピーカー的でリアリズムがありません。しかし、デジタル的なこういう曲の場合、スピーカーサウンドの低域のほうが相性が良く思えることも事実です。全体的にフルレンジスピーカーで聴いているような統一感があり、原音忠実性は非常に高いです。
でありながら、ボーカルは色気があってエロい。
ヨルシカ「風を食む」
中域がしっかり作り込まれている曲なので、モニターフラットに近い音響機器を使って聴くと、さわやかでみずみずしい音楽が楽しめますが、このヘッドホンこそまさにそれです。低域は自然な力感で表現されるのでうるさくならず、ボーカルを邪魔しません。甘みとみずみずしさを感じさせ、風通しが良く印象的に響く中域はとてもナチュラルで、変な後味を引かない自然な質感とディテールを持っています。
すぎやまこういち、ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団「そして伝説へ」
リアリズムのあるクラシック音楽を楽しみたい人はいますか?
Sound Warrior SW-HP10Sはそれをほぼ完全に再現します。低域の臨場感だけは少し足りないですが、それはささやかな瑕疵です。中域以上はわずかにダイナミズムが増した、質感と音場において忠実度の高いサウンドを聴かせてくれます。演奏されているコンサートホールの空間的な雰囲気はほぼ完全に再現され、楽器音も非常に透明度が高く、上から下まで滑らかで自然です。みずみずしく、生々しく、そして少し色気がある非常に美しい音楽的なサウンドが聞こえます。自然な質感と音場感にこだわるクラシックファンも納得のサウンドです。
そうです、SW-HP10Sは優れたモニターヘッドホンであると同時に、この価格帯最高クラスのリスニングヘッドホンでもあります。
BGVP DM8は完璧なパッケージであり、それは美しい外観、強力なサウンドを持っており、お財布に優しい価格で購入可能です。ユーザーは$350でこの素晴らしい製品を手に入れることができ、高品質なオーディオファン向きの音楽パフォーマンスを楽しむことができます。我々は以前、このブランドのDM6、DMG、Zeroや他の製品を試してみましたが、それらはどれも非常によくできていました。
BGVP DM8は滑らかで安定的、温和でウォームなサウンドで、中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。その甘くふっくらとした、ニュアンスの柔らかい調和的なボーカル表現はどこか懐かしく、メロウでノスタルジックな雰囲気があります。マイルドで耳当たりが良く、音量を上げても荒れるところのないイヤホンです。ビルドクオリティやパッケージクオリティも価格の標準以上のため、この価格帯で音楽的な中域を持つイヤホンを探している人の最適解になりえます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundWarrior SW-HP10S(Antelope Audio Amari)
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundWarrior SW-HP10S(Antelope Audio Amari)
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundWarrior SW-HP10S(Antelope Audio Amari)
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundWarrior SW-HP10S(Antelope Audio Amari)
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundWarrior SW-HP10S(Antelope Audio Amari)
総評
Sound Warrior SW-HP10Sは非常に原音忠実度が高いモニターヘッドホンです。密閉型ですが、そのサウンドに篭もりの感触は全くありません。それはほぼ完全にモニタースピーカーの音を再現するので、録音、作曲からマスタリングまでこなすDTMerにとってオールインワンになりえる性能を持っています。それでいて、中域は無機質な無響空間ではなく、ボーカルが印象的に響き、色気が再現され、リスニングしやすく、聞き疲れしません。そのためこれ一本でモニタリングからリスニングまで満足させる驚異の性能を持っています。
そして、もちろん当ブログのレコーディングシグネチャー試聴用として最も推奨する製品の一つであるということも付け加えます。
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