免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにSoundPEATSから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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SoundPEATS Air3 Proの概要
こんな人におすすめ
- 充実感の高い音が好き
- リラックスして音楽を聞きたい
基本スペック
- 連続/最大再生時間:6h/24h
- 防水性能:IPX4
- 対応コーデック:AptX Adaptive/AptX/AAC/SBC
- 技適番号:018-210307
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:7.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:8.5/10.0
- アクティブノイズキャンセリング:5.5/10.0
長所
- マイルドな聴き心地
- 中域への適切なフォーカス
- 解像度が高い
- 充実感が高い
短所
- 癖の強いサウンド
- 定位が分かりづらい
- 音像一貫性に欠ける
- 太さに欠ける低域
- 高域の拡張性に欠ける
- 透明感に欠ける濁った中域
SoundPEATS Air3 Proの特徴
- 『高水準のANC効果搭載、静寂のリスリング空間へ』業界高水準のANCイヤホン(売価2万円以上)に相当するANC(アクティブノイズキャンセリング)効果搭載。通話ノイズキャン技術と違い、通常使用でも外部のノイズを逆位相の波形でキャンセルして消音し、最大35dB(精密検査による結果)のノイズ低減性能を持ちます。体感できる確かなANC機能は日常生活で外部のノイズを遮断し、出先でも屋内でも没入感の高い快適な環境を作り出す。 ※イヤホンを外さず周囲の音を簡単に聞き取れる外音取り込み(ヒアスルー)モードにも対応しています。
- 『バイオセルロース振動板で音を繊細に再現、音質に妥協なし』植物由来の繊維から生み出される「バイオセルロース」を利用した振動板採用。繊細で解像度の高い美しい中高域再生を実現、直線性のよいフリーエッジの採用で振幅の大きい低中音域も忠実に再現します。異なる周波数が混ざった音を細かく再現できる12mmダイナミックドライバーにより、質感が自然で透明感がある立体サウンドと抜群なANC 効果を両立させ、ハイブランドに迫る音質をお届けます。
- 『ハイレゾの主流コーデックaptX Adaptive対応』クアルコム社(Qualcomm aptX)の最新チップセット「QCC3046」を採用。aptX Adaptiveは高音質のaptX HDや低遅延のaptX LLなどを統一化し、アルゴリズムに基づいて自動で動作モードが決定され、低遅延、高ビットレート、低ビットレートモードの判断が使用状況に基づいて自動で行われます。リスニング環境の電波状況やデータ量に応じて転送ビットレートを可変させることで、安定して遅延の少ないオーディオリスニング環境が実現でき、音質と安定性が飛躍的に向上し、高い同期性能と高度な原音再現力を実現します。
- 『ワイヤレスイヤホン左右独立受信方式の超絶改善』次世代の左右独立受信方式の幕開けと言えるQualcomm TrueWireless Mirroring技術に対応。ワイヤレスイヤホンとの左右同時接続を実現、独自に無線通信の感度を高めたり、低消費電力・低遅延を実現するべくチューニングを施し、音楽や通話が音途切れせずに楽しめます。更に進化を遂げたBluetooth5.2対応。より高速·安定の通信機能を持ち、機器の送受信パワーを最適化し、低消費電力でありながら高品質の音質を伝送できます。
- 『コンパクトサイズで圧倒的なスタミナで長時間使用可能』Type-C高速充電に対応。1時間半でフル充電が完了し、イヤホン単体6時間、ケースと併用最大24時間使用可能。オンラインミーティングや旅行先でなど、長時間の使用でも充電残量に心配せず使用できます。
パッケージ(8.0)
SoundPEATS Air3 Proのパッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- SoundPEATS Air3 Pro本体
- 専用充電ケース
- USB Type-Cケーブル
- イヤーピース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格を考えると、標準的か少し良いレベルです。
装着感(8.5)
装着感は良好です。小さな耳でもしっかり収まります。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯ではかなり優秀な接続品質です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟むと一瞬途切れ、その後も音楽が聞けないレベルではありませんが、やや断続的になります。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開ける |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納し、蓋を閉じる |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
曲再生/停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 右耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
音量+ | 右側の多機能ボタンを1回タップ |
音量- | 左側の多機能ボタンを1回タップ |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話拒否 | 多機能ボタンを1.5秒長押し |
ゲーミングモードON/OFF | 左側の多機能ボタンを3回タップ |
ノーマル/ANC/ヒアスルーモード切替 | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
アクティブノイズキャンセリング性能
詳細は有料記事に譲りますが、SoundPEATS Air3 ProのANC性能は価格帯では平凡なANC性能です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。より詳しい情報が参照できます。
オーディオステータス
音質解説
SoundPEATS Air3 Proは全体的な原音忠実度は悪くありません。ただし、全体的に直線性に欠けるサウンドで、中域は解像度が高いのですが、濁って聞こえるのが一番苦しいですね。この中域に独特の空気感のようなものを感じるなら、好ましいでしょうが、オーディオマニアは透明度が低いのに前面に聞こえるのが不自然だと言うでしょう。距離感が掴みづらい音です。低域はT2で好評を博した深さ重視のチューニングになっていますが、ANC ON時でもT2よりは浅いです。
下に示す評価値のうち、カッコ内のものはANCモード時のものです。
以下のレビューはFiiO M15にaptXでつないでノーマルモードにし、標準イヤーチップ Lサイズでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.0)
- 原音忠実度:S- (S-)
- 臨場感:B (B+)
- 深さ:A- (A-)
- 重み:B+ (B+)
- 太さ:B (B)
- 存在感:B- (B-)
低域は太さを抑えて深さを出す、レイヤリングのはっきりした音になっています。
中低域の厚みと低域の深さをうまく両立させようとして、おそらく太さを少しカットしたんだと思いますが、ドラムのインパクト不足につながっており、よくありません。妙に膨張感があるのに、力強さに欠ける、薄っぺらい上履きで蹴ってるような芯のないキックは、面白みに欠けます。パンチが強いのに胴の重みが乗ってなくて、衝撃力が足りずに腰砕けるような音ですね。
ベースも安定感のない音で、音楽の支えになっていません。
中域(7.0)
- 原音忠実度:S (S-)
- 厚み:A- (B+)
- 明るさ:A- (A-)
- 硬さ:B+ (B+)
- 存在感:B (B)
中域は前面に出てきますが、透明度が高くありません。
SoundPEATSは低域の深いところをうまく聞かせつつ、中域もしっかり前進して聞かせようとしてこのようなわかりにくいチューニングを行ったんだと思います。ボーカル音像はかなり大きくなりやすいです。
中域の解像度自体は優れているので、くっきり聞こえますが、そのくっきり聞こえる音が透明度に劣り、濁っています。音像は不自然に滲み、一貫性がありません。聞き始めた途端、うーんと唸ってしまいました。遠近感がわかりづらく、歪んだレンズを通して見るように、明瞭なわりにぼやけている中域です。全体の中では中域に丁寧にフォーカスされているのに中域自体は焦点が合ってないような音ですね。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D (D)
- 艶やかさ:B+ (B+)
- 鋭さ:B+ (B+)
- 脆さ:C+ (C+)
- 荒さ:D- (D-)
- 繊細さ:D+ (D)
- 存在感:C- (C-)
高域は一番良好と言えそうです。拡張性が足りてなくて閉じた高域になっていますが、バランス自体は比較的まともです。
シンバルクラッシュは抜けが悪く、正直爽快感に欠けます。金属光沢感などは比較的美しいので、アコースティックギターに艶がありますが、輝き方は地味で、少し快活さに欠けますね。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:D+
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
フルオーケストラは普通に良くないです。スケール感に欠けるうえ、定位もわかりづらく、質感もきれいに聞こえません。
雅楽は篳篥の艶が失われて、少し尺八のように渋く聞こえます。和音に妙に聞きづらい金属的なギンギンしたところがあり、濁りがちで全体的に不快です。
音場/クリア感
- 音場:B-
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:B+
- 中域:A
- 低域:B-
ノーマルモードでは深さが物足りません。ANCモードでは低域が幾分改善されます。中域が前に出て、その後ろに奥行きが強調される独特の音場表現です。
クリア感は悪くありません。
解像度も価格の標準を満たしています。とくに中域はきれいに聞こえますね。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:C+
- 個人的な好み:D+
SoundPEATS Air 3 Proは率直に言って、チューニングの意図が理解しづらく、KZがチューニングしたかのような難解で癖の強いサウンドです。おそらくハーマンターゲットかEtymoticターゲット、Sonarworksターゲットのようなわかりやすいターゲットから担当者が好みを加えたチューニングを進めていった結果、こうなったのだと思われますが、事情はわかりません。
SoundPEATSが最近の製品でわりと良質で説得的なチューニングを連発したあとに、かつてのチューニングよりも難解で、得意分野だった低域の質も悪化してしまったこのイヤホンを、どうして作る気になったのか、少し理解に苦しみます。
音質的な特徴
美点
- マイルドな聴き心地
- 中域への適切なフォーカス
- 解像度が高い
- 充実感が高い
欠点
- 癖の強いサウンド
- 定位が分かりづらい
- 音像一貫性に欠ける
- 太さに欠ける低域
- 高域の拡張性に欠ける
- 透明感に欠ける濁った中域
マイルドな聴き心地
中域への適切なフォーカス
解像度が高い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15で、レコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはaptXで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- SoundPEATS Air3 Pro (normal)
- SoundPEATS Air3 Pro (ANC)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- SoundPEATS Air3 Pro (normal)
- SoundPEATS Air3 Pro (ANC)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- SoundPEATS Air3 Pro (normal)
- SoundPEATS Air3 Pro (ANC)
総評
SoundPEATS Air3 Proはなんと言ったらいいか、一昔前の理解し難いKZ的なサウンドを持っているイヤホンです。SoundPEATSの伝統的なファンが愛する深くて重い生きの良い低域があるわけではなく、最近のSoundPEATSが連発していた合理的なオーディオマニア向きのチューニングがあるわけでもありません。独特の脚色を加えつつ、全体のバランスは保とうとした雰囲気があるので、これは方向転換ではないと信じたいですが、魅力的なSoundPEATS T2と比べると、落差が大きすぎます。
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