免責事項
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SonicMemory SM2の概要
こんな人におすすめ
- ニュートラルサウンドが好き
- 聴き心地重視
- 高域が尖ったり、刺さるのが苦手
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:103dB/mW
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
長所
- ニュートラルに近いバランスの良いチューニング
- 高域の明瞭度が高く、解像感がある
- 全体の原音忠実度がそこそこ高い
- 聴き心地が安定している
- わりと深くまで到達する低域
- 良好なビルドクオリティ
- 豪華なパッケージ
短所
- 中域のイメージングがあまりよくない
- 高域の拡張性に欠ける
- 地味で抜けが悪く、爽快さに欠ける
SonicMemory SM2の技術仕様
- キャビティ材質:7000系アルミニウム合金
- パネル材質:316ステンレススチール
- 重量:≒18g(ワイヤーを除く
- スピーカー:10mmドライバー
- スピーカーモデル:WDCN-100GS
- 周波数特性の範囲。10Hz~30kHz
- 有効周波数帯域:20Hz-20kHz
- インピーダンス: 16Ω (1kHz)
- 感度:103dB/mW
- THD: <0.1 at 1kHz
- 定格電力:20mW
- 最大入力電力:50mW
- インターフェース:0.78mmシンク
- ワイヤー:5+6N OCC
パッケージ(8.5)
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは価格の標準を十分満たしています。
装着感(8.5)
装着感はかなり良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
SonicMemory SM2はアンプ側の出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ(茶碗) Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
SonicMemory SM2は全体が非常にニュートラルに仕上げられており、サウンドバランスはかなり良好です。ただ私の個体はどうも左右差が少し大きいらしく、そこらへんが音質に影響している可能性があります。
バランスはかなり理想的ですが、個人的にはややウォーム感が強く、中域がぼんやりするのが気になりますね。実際明瞭度を測定してみると中域の数値はあまり良くなく、全体の明瞭度も高くないようです。ぶっちゃけこれよりTForce Yuan Liのプレファイナル版のほうが好きですし、ギターのエッジ感やボーカルの精細がわかりやすいので、SM2はもうほとんど使ってません。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-
SonicMemory SM2の低域はわりと深くまで出ており、レイヤリングも悪くないですが、明瞭度が高くないせいか、それほど面白みがありません。
わりとキックもはっきりしており、ランブルも感じられますが、明瞭度の点ではやや存在感が薄く聞こえやすいところがあります。まあ、一般に悪くない低域と言えます。
中域(8.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域はかなり原音忠実的でニュートラルに近い調整になっています。
率直に言うと、個人的にはSM2のボーカル音像はそれほど面白みを感じません。もしかすると私の個体で確認された左右差のせいかもしれませんし、あまり良くない明瞭度のせいかもしれません。
実際測定値をよく確認してみると中域の中心部は少し凹んで聞こえやすく、少しウォームで音像がぼやけやすいことがわかります。TForce Audio YUAN LIの製品版にも同様のぼんやり感があり、私はあまり好きになれませんでしたが、それと同じ癖を感じますね。
どちらにせよその原音忠実性の高さにも関わらず、SM2の中域のイメージングはあまり良くありません。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C+
SonicMemory SM2の高域は若干中高域が目立つようですが、概ねニュートラルを意識した調整になっています。
個人的には高域の伸びの悪さ、空気感の不足が気になるところで、もう少し高くまで抜けている音が好きですね。シンバルのクラッシュの広がりが悪いので、いまいち爽快さに欠けます。
低域に対して十分釣り合っているとは言えず、鮮明感が僅かに物足りないのも気になります。私が好きなSnail’s House「[Covered in White]」を聴くと、輝度が足りないのか地味に聞こえて本来楽しげに聞こえてくるはずのガチャガチャという効果音が鈍く、ごちゃごちゃして聞こえて面白くないですね。正直期待はずれです。
定位/質感
- 質感の正確性:S
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:C-
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
クラシックですか?ダイナミズムに欠けます。金管がクソつまらないですね。なまじ中域がきれいに聞こえるだけに余計に色づきの悪さ、輝度の悪さで全体が薄暗く、覇気と活気に欠けて聞こえるのが残念でなりません。
雅楽ですか?抜けの悪い篳篥と龍笛があまりよくありませんね。和音もどん詰まり感があってうるさいので雰囲気ぶち壊しです。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A
- イメージング:B
- 高域:A+
- 中域:B
- 低域:C+
音場はわずかに奥行きが強調されてますが、高さに欠け、深さは標準くらいはありそうです。
クリア感は価格を考えると、わりと優秀です。
高域のイメージングに優れているようですが、全体のイメージングは平凡です。正直もっと明瞭度が高い音を期待してました。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:B-
わりとニュートラルに近く、チューニングを丁寧にされており、THDも良好で、個人的にはかなり期待していたんですが、正直あまりパッとしない機種でしたね。
一聴した印象は悪くないんですけど、表向きのスペックほどいい音に思えないんで、いろいろ測定値を確認してみると、案外大したことがない機種だということがわかりました。個人的にはこれよりはるかに安いAUDIOSENSE DT100に82Ωのインピーダンスアダプター噛ませた音のほうが遥かに楽しく、鮮明度も高く聞こえますし、同じ価格くらいならDUNU FALCON PROのほうが時間周波数領域も含めて考えると優れています。
音質的な特徴
美点
- ニュートラルに近いバランスの良いチューニング
- 高域の明瞭度が高く、解像感がある
- 全体の原音忠実度がそこそこ高い
- 聴き心地が安定している
- わりと深くまで到達する低域
欠点
- 中域のイメージングがあまりよくない
- 高域の拡張性に欠ける
- 地味で抜けが悪く、爽快さに欠ける
バランスの良いチューニング
聴き心地が安定している
高域の明瞭度が高く、解像感がある
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース(低域) Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- SonicMemory SM2
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- SonicMemory SM2
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- SonicMemory SM2
総評
SonicMemory SM2は比較的ニュートラルに近いバランスのサウンドで、クリア感も優秀でスペック的には悪くないように思います。しかし、実際はサウンドの明瞭度は思ったより良くなく、イメージング能力にはそれほど優れていないようです。個人的にはこれよりDUNU FALCON Proのほうがおすすめしやすいですね。実際に明瞭度の点でより優れています。というか、このイヤホンはすぐ飽きたのでもうほとんど聴いてません。
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