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【モニターヘッドホン SHURE SRH840 レビュー】それは想定されるリスニングモデルを丁寧に描き出す鏡。テクスチャ描写力最高クラスのリスニングヘッドホンでもある
SHURE SRH840の概要
こんな人におすすめ
- クラシックやJAZZの生音感にこだわる
- 潤いのあるボーカルが好き
- 高解像度で音楽を楽しみたい
- じっくりと音楽に浸りたい
- 古い音源も最新音源もまんべんなく楽しみたい
- マスタリング用のモニターヘッドホンが欲しい
- 生録音確認用のモニターヘッドホンが欲しい
- ボーカル表現確認用のモニターヘッドホンが欲しい
基本スペック
- 周波数特性:5hz-25khz
- インピーダンス:44Ω
- 感度:102dB
長所
- フラットに近いサウンド
- 音のつながりが自然で滑らか、シームレスで統一感のあるサウンド
- 奥行き感がある
- 安定感がある
- 自然なボリューム感
- 自然な密度感
- 自然な質感
- 鮮明感が高い
- 中域への適切なフォーカス
- ピーク感がなく、自然で調和的な高域
- バランスが良い
- 自然な解像感
短所
- 分析力は平凡
- 低域描写力に劣る
- 低域と中域の分離感が少し足りない可能性がある
- ビルドクオリティに少し不安
SHUREについて
1925年以降、Shureは画期的なマイクロホンやオーディオ機器の開発にこだわり、イノベーションを重ねてきました。Shureは、業界を牽引するリーディングカンパニーとして、信頼性の高い世界水準の製品を生み出し続けています。
SHURE SRH840の特徴
2020年NEWパッケージモデル。プロエンジニアとミュージシャンのために開発されたハイエンドモニターヘッドホン。精密にチューニングされた周波数特性と40mmのネオジウム製ダイナミックドライバーが相まって、完全な快適さと緻密なモニタリングを実現しています。
プロのオーディオエンジニアやミュージシャン用に開発されたSRH840プロフェッショナル・モニタリング・ヘッドホンは、クリティカルリスニングやスタジオモニタリングに最適化されています。緻密に作り上げられた正確な周波数特性と40mmネオジム磁石ダイナミック型ドライバーにより豊かな低域、クリアな中域、伸びのある高域を再現。ワイドなパッド入りヘッドバンドと折りたたみ式デザインは、Shureが誇る耐久性が長期的で最高のリスニング体験を提供します。着脱式ケーブルと交換用イヤパッド付属により長期使用が可能です。6.3 mm金メッキ標準プラグアダプターが付属します。
絶妙のShureチューニング
- 緻密に作り上げられた周波数特性により豊かな低域、クリアな中域、伸びのある高域を再現
スタジオグレードのビルドクオリティ
- 緻密に作り上げられた周波数特性により豊かな低域、クリアな中域、伸びのある高域を再現
- 人間工学に基づいたフィット感のあるプレミアムなパッド入りヘッドバンドにより優れた快適性を長時間にわたって発揮
- 折りたたみ式デザインで保管と携帯が簡単
- 密閉型サーカムオーラルデザインにより耳全体を快適に包み込み、周囲の騒音を低減
- ロック機構付きの着脱式ケーブルはケーブルをイヤカップに確実に固定すると共に簡単な交換を実現
- 長年のスタジオエンジニアリングで培ったShureクオリティーによる、日々のハードな使用にも耐えうる耐久性
実用的な付属品、安心保証
- 交換用イヤパッド1組、着脱式カールケーブル、持ち運び用バッグ、6.3 mm金メッキ標準プラグアダプター付属
- 2年保証
プロモーション動画
製品紹介動画(サウンドハウス)
レビュー動画(Your Home Recording)
パッケージ(8.0)
業務用モニターらしく、パッケージは比較的簡素です。開梱体験は豪華ではありません。
付属品には交換用イヤーパッドも含まれており、十分揃っています。
ビルドクオリティ(8.0)
ヘッドホン本体のビルドクオリティは悪くないですが、ほぼ完全にプラスチック製のため、耐久性はそれほど優秀でない可能性があります。
ケーブル配線が露出しているのも断線可能性を考えると、あまりよくないでしょう。
イヤーカップは柔軟で、片耳モニタリングも可能です。
装着感(8.5)
わりと大きい筐体ですが、プラスチック製のため、重さはあまりありません。女性でも問題なく使えそうです。
側圧がわずかにこめかみ付近に負担感を与えるところがあり、長時間使用で痛くなることはあるかもしれませんが、基本的に快適です。
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無料の 37 種類のエフェクトに加え、拡張性の高い Synergy Core ライブラリには、Grove Hill の Liverpool や Gyratec の伝説的な EQ のエミュレーション、Antares の Auto-Tune や Inertia の Instinct のようなサードパーティ製エフェクトなど、50 種類以上のエフェクトがオプションで用意されています。
音質
周波数特性
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD+N特性
制動
アンプ側の出力インピーダンスが高い場合、SRH840の低域制動力はわずかに弱まりますが、それは一般的に大きな影響を与えないと考えられます。一般的なオーディオデバイスにつなぐ場合、電力的な駆動要件を満たしていれば、どんなソースからでも概ね期待される音質が引き出されるでしょう。詳しい測定値については有料記事に掲載しております。
音質解説
SHURE SRH840にはモニターヘッドホンという言葉から想像される、ディテールの強調や明度や輝度の高いアグレッシブでピーキーなサウンドはありません。むしろその音場表現と質感表現は自然な雰囲気を目指しており、奥行き感をやや強調しつつ、中高域のあたりを少し鮮明に描き出します。それは音楽を分析的に分断することはあまりなく、どちらかといえば録音音源のナチュラルな雰囲気を重視しているため、ミキシング用というよりはマスタリング向けやボーカリスト向けのサウンドで、音楽鑑賞用としても優秀です。
低域(8.0)
- 原音忠実度:B+
- 臨場感:B+
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B+
低域はモニター的でそれなりに深いところまで到達しますが、ローエンドは緩やかに減衰しています。
さて、あなたがベーシストであったり、ミキシングエンジニアであった場合、SHURE SRH840の低域は性能的には少し不足を感じるでしょう。それは非常にバランスよく階層的に聴かせてくれますが、重低域ははっきりしません。そのため、低域の芯や輪郭を丁寧に捉えきれず、もどかしい思いをする場面にときどき出くわすかもしれません。
ただし、これはあくまでモニタリング性能として低域描写力が不足しがちと言っているのであって、多くの人にとってかなり満足できる品質を提供します。あくまで低域の表現を作り込みたい人には不足するという話であることに留意してください。したがって、リスニング上の支障があるわけではありません。
SRH840の低域は比較的原音忠実的ですが、描写力に優れているわけではないので、ローエンドをモニタリングする能力は高くありません。それは圧倒的クリア感を持つ中域に比べて、描写力で数段劣る再現度なので、意識は自然と低域から離れがちになります。
中域(9.5)
- 原音忠実度:A
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
SHURE SRH840の中域は非常にクリアで見通しに優れ、自然よりも強調された奥行き感によって、少し風通しの良い空間と、わかりやすい定位感があります。
明度は比較的高く、それなりの構築感があって音楽の骨組みはしっかりと描き出されますが、ミキシング用途に使おうと思う場合、情報量はわずかに足りないでしょう。一般的にはマスタリングやレコーディングの確認用、作曲作業、あるいはボーカリスト向きに高い能力を発揮するでしょう。
ボーカルは前面に聞こえ、楽器音はその周囲を囲むように一点透視図的に聞こえます。解像感は非常に高く、音像の安定性も高いため、全体的に音離れは良いですが、分析性は必ずしも高くありません。どちらかといえば質感(テクスチャ)のチェックに向きます。
高域(8.5)
- 原音忠実度:B-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:B
- 荒さ:C+
- 繊細さ:B-
- 存在感:B
高域はマイクロディテールがわずかに強調されていますが、自然な繊細さが意識されており、分析的なモニターヘッドホンと異なり、音量を上げても荒くなる感じはありません。
中高域は中域と釣り合いが取れており、適正音量付近では比較的明るく中域音を描き出します。モニターヘッドホンにありがちな輪郭の硬い感じ、くっきり感の強すぎるところはSRH840にはほとんどなく、ボーカルの子音のニュアンスも自然で歯擦音が鋭く感じられることはありません。
高域には中域からの適切な分離感があり、超高域は少しの抜けも感じられ、自然な余韻と滞留感のない風通しがあります。中域とよく調和してナチュラルに感じられるでしょう。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音響的焦点:中域
- 音場:A
- クリア感:B+
SHURE SRH840の音響的焦点は中域に存在します。
音場はやや平面的です。奥行きはやや広く、高さ、と幅は少し広め、深さは自然に近いと思います。
全体的なクリア感はモニターヘッドホンとして必ずしも優秀ではありませんが、音楽の心臓部である中域は非常にクリアです。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:A+
どちらかといえば、SHURE SRH840は非常に質の良いリスニングヘッドホンです。そのサウンドはかなり原音忠実的で、中域は非常にクリアですが、分析力に優れているわけではないので、精密なモニタリングを必要とするミキシングエンジニアには物足りない製品です。
一方で、そのサウンドは期待されるリスニングモデルを提示し、テクスチャの表現力に優れるため、音楽の完成像をくっきりと見せる鏡のようであり、定位の提示にも優れているため、マスタリングエンジニアや作曲家、そしてボーカリストにとって最も魅力的なモニターヘッドホンに近い位置を占めるでしょう。
ただし、この機種を検討する前に、レンジ感でやや劣りますが、ほぼ完全にモニタースピーカーの音を再現する城下工業 SW-HP10Sも聞いておいた方が良いかもしれません。場合によってそちらの定位感のほうが平面的でわかりやすいという可能性もあります。
あなたが緻密な分析力やスピード感のある打ち込みを必要とするボカロPであったり、ミキシングエンジニアである場合、より適切なのはSONY MDR-7506やYAMAHA HPH-MT8かもしれません。
またこの機種の競合として、より中域が広いVictor HA-MX100Vが存在します。価格的にも近いため、音場を重視する場合はHA-MX100Vを選んだほうが良いでしょう。
音質的な特徴
美点
- フラットに近いサウンド
- 音のつながりが自然で滑らか、シームレスで統一感のあるサウンド
- 奥行き感がある
- 安定感がある
- 自然なボリューム感
- 自然な密度感
- 自然な質感
- 鮮明感が高い
- 中域への適切なフォーカス
- ピーク感がなく、自然で調和的な高域
- バランスが良い
- 自然な解像感
欠点
- 分析力は平凡
- 低域描写力に劣る
- 低域と中域の分離感が少し足りない可能性がある
高品質なテクスチャ再現度
中域の定位感に優れる
自然で丁寧、聞こえの良いボーカル
音楽鑑賞
CHiCO With HoneyWorks「醜い生き物」
かなり音数の多いこの曲を聞けば、SHURE SRH840のテクスチャ描写力を思う存分堪能できます。
たとえばMDR-7506でこの曲を聴くと、ベース、ドラムはとくに明確に分離され、全体的に分離感は強く聞こえ、情報量は多いように思いますが、この曲の中域でエレキギターが豊富に生み出している暖かいハーモニクスは失われ、音数の分だけうるささが増幅され、全体的にガチャガチャと聞こえ、人によってはかなり聞き苦しい場面が多いでしょう。
それに比べて、SRH840のサウンドは緻密さには欠けると思うでしょうが、ボーカル周辺の奥行き感によってボーカルは前面に出てきますし、エレキギターの持つ暖かみのあるディストーションがかなり丁寧に味わえます。MDR-7506に比べて、テクスチャ表現が格段に自然なため、それぞれの楽器に生々しさがあります。
SRH840は楽器音の全体的な収まり、仕上がりを確認するマスタリングの最終段階で最高の働きをするヘッドホンです。
佐渡裕×シエナ・ウインド・オーケストラ「噴火」
私の大好きな挾間美帆アレンジによる、圧倒的吹奏楽表現が味わえる名曲です。
さて、SRH840は質感表現に非常に優れており、アコースティック楽器の中域の透明感のあるリアリズムに満ちた表現と少し強調された奥行きのある定位は、クラシックファンを唸らせるでしょう。
レコーディングの雰囲気をかなり正確に再現できるので、クラシックファンならぜひ手に入れておきたいヘッドホンの一つであることは間違いありません。
AZU「For You」
SRH840の透明度が高く、非常に質感の再現クオリティの高い中域へのフォーカスは、この曲をみずみずしく美しく聞かせるでしょう。
ボーカルは自然なボディを持ち、細ることなく、少しハスキーに聞こえやすい息の先まで、かさつかず、潤い感があります。
高いテクスチャ表現力は音楽に自然な弾力と潤い感を与え、レコーディング現場にいる歌手の声をそのまま聴いているかのような充実感を音源からよみがえらせます。
あなたが中域の生々しさ、質感にとことんこだわるなら、このヘッドホンをコレクションに加えることを検討すべきでしょう。
BGVP DM8は完璧なパッケージであり、それは美しい外観、強力なサウンドを持っており、お財布に優しい価格で購入可能です。ユーザーは$350でこの素晴らしい製品を手に入れることができ、高品質なオーディオファン向きの音楽パフォーマンスを楽しむことができます。我々は以前、このブランドのDM6、DMG、Zeroや他の製品を試してみましたが、それらはどれも非常によくできていました。
BGVP DM8は滑らかで安定的、温和でウォームなサウンドで、中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。その甘くふっくらとした、ニュアンスの柔らかい調和的なボーカル表現はどこか懐かしく、メロウでノスタルジックな雰囲気があります。マイルドで耳当たりが良く、音量を上げても荒れるところのないイヤホンです。ビルドクオリティやパッケージクオリティも価格の標準以上のため、この価格帯で音楽的な中域を持つイヤホンを探している人の最適解になりえます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定で、ヘッドホンモードもONにしています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-40LUFS)
- SHURE SRH840
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-40LUFS)
- SHURE SRH840
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-40LUFS)
- SHURE SRH840
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-40LUFS)
- SHURE SRH840
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-40LUFS)
- SHURE SRH840
総評
SHURE SRH840はテクスチャの表現力に優れたマスタリングエンジニア、ボーカリスト、生録演奏者のためのモニターヘッドホンです。それはボーカルを中心にスタジオのレコーディング音源の雰囲気を、とくに質感においてかなり忠実に再現することができるので、演奏者とエンジニアの間をつなぐ架け橋となるだけでなく、スタジオレコーディングの現場とその音源を聴くリスナーの架け橋ともなりえます。とくに生の演奏の質感再現にこだわるクラシックファンやJAZZファンにとってはこの価格帯最高のリスニングヘッドホンの一つになりえるでしょう。
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