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SeekReal Dawnの概要
こんな人におすすめ
- ソリッドで硬い音が好き
- 華やかで艶やかなサウンドが好き
基本スペック
- 再生周波数:20-25000Hz
- インピーダンス:17Ω
- 感度:107dB
- ピンタイプ:2pin 0.78mm
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- エロティックなボーカル
- 中域への適切なフォーカス
- 重厚
- 聴き心地が良い
- 艶やかなサウンド
- 悪くない原音忠実度
短所
- 不自然な質感表現
- リアリズムに欠ける定位感
- レンジ感が悪い
- 伸びの悪い高域
- 沈み込みの足りない低域
SeekReal Dawnの特徴
- 10mm×14mm角型平面ドライバー+1BA構成
- 高品質PU複合樹脂&リチウム・マグネシウム合金平面振動板採用
- 衝撃の低音、驚きのチューニング
- 高品位銀メッキケーブル
Seek Real
プロフェッショナルオーディオが目指すのは、本物の音を正確に再現することです。Seek Real Audioでは、リリースするイヤホンやヘッドホンでこの本質を捉え、音楽の真意を伝えることを目指しています。大量生産よりもオーダーメイドの特性に重点を置き、私たちのチームは各プロジェクトの研究開発に気を配り、それぞれの音の特徴を完璧にすることに力を注いでいます。私たちは、すべてのユニットが私たちの目標を反映していると信じ、それによって最高のオーディオ製品を丁寧に手作りすることに誇りを感じています。
10mmスクエア平面ドライバー+1BA IEM
より自然で調和のとれたサウンドパフォーマンスを実現するため、SeekReal Dawnは新世代の10*14mmスクエア平面駆動型ドライバーを採用し、Knowlesバランスドアーマチュアドライバーで補完しています。平面振動板は、最大のパフォーマンスを達成するために高品質のPU複合樹脂とリチウムマグネシウム合金で作られています。BAドライバーは繊細かつエレガントな高音域を実現し、平面ドライバーは低音域の限界を破り、深みのある低音域を表現します。
衝撃の低音、驚きのチューニング
SeekReal Dawnのハイライトは、その衝撃的な低音域性能に違いありません。質感、量感、トランジェントレスポンスなど、スピーカーのように緩やかで自然なサウンドを楽しむことができます。中高音域もおろそかにはなりません。ボーカルはクリアできめ細かく、高域はしなやかで伸びやかです。SeekReal Dawnは、音の調和と一貫性を維持するための優れた管理により、明るく心地よい、上品で心地よいサウンドを提示します。
高品位な銀メッキケーブル
SeekReal Dawnの純正ケーブルは、5N銀メッキ単結晶銅を使用しています。0.78mm 2Pinユニバーサルコネクタは、ほとんどの交換ケーブルと互換性があります。取り外し可能な機能はあなたの好みのケーブルと容易に、そして自由にそれを取り替えることができることを意味します。
SeekReal Dawn:スクエア平面駆動型+1BAハイブリッドIEM
スクエア平面駆動型ドライバー搭載の最新IEM「SeekReal Dawn」が発売開始されました。
パッケージ(8.0)
この価格帯の製品としてパッケージに不足があるかというと、ないと返答できると思います。ただ、競合製品はこの価格帯でプラグ交換可能なケーブルやよりデザイン性に優れたパッケージを提供し始めており、それに比べてSeekRealが少し見劣りすることは事実です。
パッケージのボリューム感で豪華な印象を受けたい場合、SeekReal Dawnはそれほど魅力的ではないかもしれませんが、同梱されているキャリングケースなどの品質は価格に十分見合っています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- キャリングケース
- マニュアル類
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
全体的に高級感が感じられます。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
SeekReal Dawnはアンプの出力インピーダンスの影響を少し受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
SeekReal Dawnは中域上部を強調した中域充実系のサウンドバランスになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B
SeekReal Dawnの低域は重みを重視したサウンドになっており、深さは少し物足りません。
太く逞しく聞こえるバスドラムは魅力的なものの、ランブルは少なめで音の生々しさ、臨場感には欠けます。エレキベースも黒さは悪くないものの、引き締まりには不足を感じます。
重厚感を重視するタイプの低域マニアにはそれなりに受け入れられるかもしれませんが、上級者の重低域マニアにはあんまり好まれないことが予想されます。沈み込みが足りません。
中域(8.5)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域はDawnの最大の欠点と思われます。中域上部を強調して艶やかさと硬さが強調されており、ボーカルやギターに華やかさを出そうとした努力の痕跡が見られます。しかし、中域中心部に対する配慮を少し欠いたために、質感表現はドライで不正確なものに聞こえやすく、みずみずしさが足りず、豊かさに欠けて聞こえる傾向にあります。
エレキギターも艶味があって一見色気は感じられるものの、コシが物足りず、バイト感もやや弱く、豊潤さや立体感に欠ける人工的な印象になります。ボーカルも軸の安定感や充実感が不足しており、全体的に色調感が不自然で、乾いた声色に聞こえやすく、やや鼻にかかったような独特の甘い色気は感じられるものの、ふんわりとした広がりや母音の豊かさのようなものは不足しがちです。スネアも硬い感じで聞こえやすく、リズム感ははっきりしますが、表現に薄っぺらい印象を受けます。
つまるところ、この中域にはリアリズムが欠けています。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域はあまり伸びていません。
とくに見るべきところのない高域ですが、やや高いところが強調されているため、シンバルの音に繊細さが感じられます。ただ抜けはあまり良くないので、天井感があり、木管やバイオリンの音が天高く伸びていくというような感じにはなりません。わりと中途半端なところで音が途切れて、スケール感が出づらい感じがありますね。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:D+
- オーケストラのテクスチャ:D
- 雅楽のテクスチャ:D
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
上も下もレンジ感が悪いので、総じてDawnはフルオーケストラ向きとは言いづらいイヤホンです。中域も不正確で、楽器音の質感にリアリティがなく、全体的に金属的で人工的に聞こえやすい傾向があります。定位感も不自然です。
雅楽も篳篥の音が伸び切らず、和音も華やかですが、金属的で、全体的に洗練されていません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:A-
- 低域:B-
低域の深さはやや物足りず、中域は比較的前面におり、高域の高さは物足りません。
クリア感は価格の水準を満たしています。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:C
音質的に、Dawnは非常に癖が強く、少なくとも万人向きとは言い難いイヤホンです。同じ価格帯に優れた平面駆動型イヤホンであるLETSHUOER S12とTANGZU Zetian Wuが存在しており、解像度を重視するなら前者、サウンドバランスと聴き心地を重視するなら後者がDawnを圧倒します。
またシングルダイナミックドライバーのRAPTGO LEAF01、1DD+1BAのTripowin Rhombusもほぼ同価格で競合しており、どちらもDawnと同じような硬さと華やかさを重視したサウンドですが、より優れたパフォーマンスを発揮します。
音質的な特徴
美点
- エロティックなボーカル
- 中域への適切なフォーカス
- 重厚
- 聴き心地が良い
- 艶やかなサウンド
- 悪くない原音忠実度
欠点
- 不自然な質感表現
- リアリズムに欠ける定位感
- レンジ感が悪い
- 伸びの悪い高域
- 沈み込みの足りない低域
重厚
色気があり艶やかなサウンド
悪くない原音忠実度
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- SeekReal Dawn
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- SeekReal Dawn
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- SeekReal Dawn
総評
SeekReal Dawnは中域を重視し、硬質かつ艶やかで印象的なサウンドを聞かせてくれるイヤホンです。ビルドクオリティも良好で、パッケージも価格を考えるとよくまとまっていると言えます。しかし、優れたライバルの存在がDawnの存在感をやや薄いものにするかもしれません。
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