免責事項
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SeeAudio Braveryの概要
こんな人におすすめ
- ボーカル重視
- 高域好き
- 解像度重視
- 歯擦音が苦手
- おしゃれなイヤホンがほしい
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:18Ω
- 感度:110dB/mW
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:30000円~50000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 刺激の少ない優美な音
- 高域の明瞭度が高く、解像感がある
- 全体の原音忠実度がそこそこ高い
- 聴き心地が安定している
- 深くまで到達する低域
- 悪くない高域の拡張性
- 豪華なパッケージ
- 良好なビルドクオリティ
短所
- 地味な音
- 艶やかさに欠ける
- アタック感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輝度が低く、カサカサする音
SeeAudio Braveryの特徴
- 特別に設計された4基のバランスド・アーマチュア・ドライバー構成
- Knowles社製およびSonion社製のBAドライバーを採用
- クリーンで正確、かつスムーズなサウンド再生
- 歪みのないスムーズな再生を実現する電子式周波数クロスオーバーを採用
- 特別にカスタマイズされた6N OCCハクガイケーブル
- 高品質なAZLA XELASTIC SednaFit イヤーチップ
- インピーダンス:18Ω
- 周波数応答範囲:20Hz〜20kHz
- 感度:110dB/mW
- THD+N: <1%
- 2ピンの0.78mmコネクターを採用
パッケージ(8.5)
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは価格の標準を十分満たしており、美しさで秀でています。
装着感(8.5)
装着感はかなり良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
SeeAudio Braveryはアンプ側の出力インピーダンスが大きい場合、低域と高域を中心に影響を受けるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ(AZLA XELASTIC) Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
SeeAudio Braveryのサウンドはかなりユニークで、中域のボーカルを穏やかに優しく前面方向に押し出しつつ、暗い印象で聞かせます。音楽は全体的に色味が薄く、密度感もややスカスカで、一般に低域から中域下部は明瞭度の点でもややぼんやりしがちです。全体的な原音忠実度はなかなか高いです。
一方で明瞭度の点では高域に資源の集中が見られ、印象的な解像感が高くなるように調整されています。そのため、マイクロディテールの再現度、鮮明感の印象はよく、モニター感のあるサウンドに聞こえると思うかもしれませんが、構築感の点で優れていないため、実際にはミキシングモニターとして使うにはあまり信頼性を置けないでしょう。最終的にはモニターライクなリスニングイヤホンと結論づけることになります。
高域のイメージング能力が高く、バランスもよく調整されており、拡張性もなかなか良好で、全体的な構造も高域にフォーカスされやすいため、トレブルヘッド(高域好き)にはわりと好まれそうですね。中域の独特の聞かせ方が好みかどうかで大きく評価が分かれそうです。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S+
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+
Braveryの低域はサウンドバランス的になかなか優れています。
低域は十分に深くまで到達しており、重量感に優れ、ランブルの存在感もはっきりしています。中域とのバランスもよく、人によってわずかに存在感が強く感じられると思いますが、篭もりを感じることは少ないと思います。ほどよいパンチで力感もありながら、引き締まり感でゆるくなることもありません。
明瞭度の点ではやや存在感が薄く聞こえやすいところがありますが、一般に良質な低域と言えます。
中域(8.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は少し独特で、ここがBraveryに対する好みを分けるでしょう。
中域はボーカルを前面に押し出しますが、スポットライトの当て方は暗めです。たとえば雨宮天「奏」を聞けば、ボーカル音像が全体の中ではやや目立つ位置にいるにも関わらず、穏やかで落ち着いており、上品で嫋やかであることに気づきます。歯擦音の刺激はなく、軸もしっかりしているように聞こえますが、声質はドライでややハスキーでみずみずしさに欠けます。
エレキギターやピアノの音を聞いても色づきが悪く、彩度に欠けるように聞こえるところがあり、エッジが鈍く精細感がないため、スネアもあまり活き活きしてないので、ロックは露骨につまらないですね。若干輝度の悪い錆びたようなハイハットだけがカサカサして聞こえる傾向があります。
ボーカルものは適度な静寂感とともに丁寧に聞かせますが、一般に抑揚に欠けるところがあるので、地味に聞こえやすいところが難点です。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
Braveryの真骨頂は高域の鮮明感の高さにあります。
歯擦音や刺さり感などの不快要素をうまく抑えながら鮮明感を高めており、同時に拡張性がよく、空気感にも優れているので、楽器音はのびやかで上辺で生き生きとダイナミックに、一段とのびるように聞こえます。
歯切れが悪く、色づきも悪いので、どこかモノクロ感のある派手さに欠ける音ですが、それが逆に聞きやすいという人は多いかもしれません。また、高域の明瞭度は高いので、高域に強くフォーカスされるため、トレブルヘッドにとってはかなり楽しいサウンドでしょう。
しかし、大抵の曲でハイハットがいると、刺激は強くないものの、なんだかきらめき感に欠ける錆びたような、カサカサした乾いた音で、少し目立って聞こえるため、人によっては不快かもしれません。
定位/質感
- 質感の正確性:A+
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
Braveryは高域の伸びやかな表現と全体的な原音忠実性の高さから、フルオーケストラのスケール感という点ではなかなか悪くない選択肢に思えます。しかし、中域は暗めで全体的に地味で色づきが悪く精彩に欠けるという人もいるかも知れません。それでもやや雄大さを強調して聞かせる傾向は楽しいですね。ただし金管とティンパニが地味に聞こえやすいのでクライマックスの盛り上がりにはいまいち欠けます。
雅楽は和音が印象的に明瞭に聞こえながら、甲高さをほとんど感じないので、わりと好みです。ただ篳篥の音が地味で、あまり色気が感じられません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:B-
- イメージング:B+
- 高域:S-
- 中域:B+
- 低域:C+
音場は奥行き感がやや広めです。低域と高域の拡張性も標準以上です。
クリア感は価格を考えると、もう少し欲しい気もしますね。悪くはありませんが。
高域のイメージングに優れています。全体のイメージングも標準以上であると言えるでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:B
Braveryはかなりユニークなイヤホンです。地味でわずかにウォーム感の強い、暗い中域を押し出しつつ、高域を明瞭に聞かせる調整がなされています。一般的に中域のボーカルと高い高域にフォーカスされやすく、尖りや刺さりなどの刺激が少ない音でありながら、鮮明感が高く繊細な感じがはっきりと聞こえやすい構造になっているため、高域好きを満足させる可能性があります。
しかし、中域の色づきを重視する人、とくにギターの艶やかさとスネアのキレにこだわる人にとっては、嫋やかすぎて面白みのないサウンドです。どちらかといえばボーカル重視で楽しむ人向きですが、子音はそれほどはっきりしないため、エネルギッシュさに欠けて聞こえやすく、ライブ感では物足りないかもしれません。
音質的な特徴
美点
- 刺激の少ない優美な音
- 高域の明瞭度が高く、解像感がある
- 全体の原音忠実度がそこそこ高い
- 聴き心地が安定している
- 深くまで到達する低域
- 悪くない高域の拡張性
欠点
- 地味な音
- 艶やかさに欠ける
- アタック感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輝度が低く、カサカサする音
刺激の少ない優美な音
聴き心地が安定している
解像度と原音忠実性にかなり優れる
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは-0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース(AZLA XELASTIC) Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- SeeAudio Bravery
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- SeeAudio Bravery
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- SeeAudio Bravery
総評
SeeAudio Braveryは優れた高域解像度と落ち着いて聞き心地の良い独特のボーカル表現が魅力です。中域の構築感で劣るのは欠点で、とくにギターが色づき悪く死んだように聞こえるのが難点です。中域の作りの悪さはニュートラルサウンドを重視するオーディオマニア向きとは言えません。しかし、全体の原音忠実度が高く、印象的に聞こえるはっきりした高域表現が高域好きに高い満足度を与えるでしょう。
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