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RODE NTH-100の概要
こんな人におすすめ
- 長時間聞いても疲れない、快適なリスニングヘッドホンを求めている
- スピーカーのような定位感で音楽を聴きたい
基本スペック
- 再生周波数:5Hz-35000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:110dB
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:9.0/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:7.5/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 優れた原音忠実性
- 中域への適切なフォーカス
- 長時間聞いても疲れない(解像度が低いので)
- 前方定位的
- 快適な装着感
- ビルドクオリティ
短所
- よくないレンジ感
- 低域の深さに欠ける
- 物足りない解像度
- 繊細さに欠ける
- 明瞭でない音
- モニター向きではない
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- はっきりしない定位感
RODE NTH-100の特徴
音のRØDEが新たな歴史を刻むべく生み出した「NTH-100」。
完璧なヘッドホンを探す旅は、もう終わりです。
卓越したディテール表現、明瞭かつ自然でフラットなサウンド
人工皮革 Alcantara® と独自素材 CoolTech™ による、最も快適な装着感
独自のロック機構 FitLock™ システムにより、思い通りに調節可能なヘッドバンド
NTH-100は、創造性を刺激する素晴らしい音響体験を提供します。
パッケージ(8.0)
パッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 専用ケーブル
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- カラーリング
- キャリーポーチ
- 説明書
ビルドクオリティ(9.0)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。たとえば、どれも安っぽい外観のSHURE製のモニターヘッドホンよりはるかに洗練されています。
装着感(9.0)
アルカンターラの装着感は格別です。またロック機構でヘッドバンド長を固定できるのも良いですね。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
RODE NTH-100はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
RODE NTH-100はハーマンターゲットカーブOEを中域寄りにしたようなサウンドシグネチャーを持っています。スピーカーのような前方定位感がある音場を形成します。
なお、これを買う前にCLASSIC PRO CPH3000を検討することを強くお勧めします。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.5)
- 原音忠実度:B-
- 臨場感:C-
- 深さ:B-
- 重み:B+
- 太さ:A-
- 存在感:B-
低域のモニタリングに使う予定なら、NTH-100は全く向きません。ヘッドホンで選ぶなら別のモニターヘッドホン、たとえばTASCAM TH-06やYAMAHA HPH-MT8のようなものを選びましょう。しかし、一番良いのはイヤホンを使うことです。原理上、イヤホンのほうが低域を正確に、より深くまで再現できます。
NTH-100の低域?呆れるほどよくないので、語る内容もないくらいです。ミキシングの邪魔になるようなボンボンした音が好きならおすすめできますよ。
中域(8.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:A
- 明るさ:A
- 硬さ:B+
- 存在感:B
NTH-100は中域の聴き心地を重視しているようですが、質感表現も定位感もよくなく、全体的に前屈みに丸い音が聞こえてきます。レンジ感が良くなく、分離が悪くて音が「ダマ」で聞こえやすい傾向があります。
全体的に音が丸いので聴き心地が良い点は高評価できるかもしれません。長時間のレコーディングなんかではボーカル中心で聴け、聴き疲れないのでいいかもしれませんが、繊細に音を捉える調整になっていないので、ミキシングやマスタリングには全く使えません。
ほぼ同じ価格で買えるSHURE SRH-840を買った方がはるかに実用的です。
もし中域にフォーカスしてボーカルの質感などを正確にミキシングしたいと思ってるにしても、これの1/10の価格で買えるBehringer HPX2000を使う方が断然マシです。
高域(8.5)
- 原音忠実度:C+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:A-
- 脆さ:B-
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C
- 存在感:C
高域は拡張性は悪くないと言えますし、鮮明感も比較的良いと言えます。しかし、批判的なモニタリングに使えるほど繊細さがありません。これに金を出すならSONY MDR-7506とかCLASSIC PRO CPH7000とか、高域の調整に優れたモニターヘッドホンは山ほどあります。ミキシングやマスタリングでしっかり一音一音を捉えることを重視するなら、これは候補になりません。
定位/質感
- 質感の正確性:B-
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:C+
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
このヘッドホンでクラシックを聴く?冗談でしょう?レンジ感が悪すぎてスケール感が全然ありませんよ。中域の質感の正確性もかなり低めです。何より透明度の不足が著しいですね。
雅楽は篳篥にせよ、和音にせよ、苔むしたようにぼやけて聞こえます。解像度の不足が問題です。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B
- イメージング:B
- 高域:B
- 中域:B+
- 低域:C+
低域の深さは物足りません。中域は最前面近くにあり、高さは標準か少し物足りません。
クリア感はモニターヘッドホンとしては物足りません。
解像度は価格を考えると標準以下です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B
- 個人的な好み:B
もしあなたがモニターヘッドホンとしてこれを買おうと思っているのなら、おすすめしません。
音質的な特徴
美点
- 優れた原音忠実性
- 中域への適切なフォーカス
- 長時間聞いても疲れない(解像度が低いので)
- 前方定位的
欠点
- よくないレンジ感
- 低域の深さに欠ける
- 物足りない解像度
- 繊細さに欠ける
- 明瞭でない音
- モニター向きではない
- ミキシングに使えない
- マスタリングに使えない
- はっきりしない定位感
優れた原音忠実性
中域への適切なフォーカス
長時間聞いても疲れない
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- RODE NTH-100
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- RODE NTH-100
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- RODE NTH-100
海外レビューの紹介
最新のモニターヘッドホン「RØDE NTH-100」の海外レビューまとめ
人気マイクメーカー「RØDE」が初めて作ったモニターヘッドホン「RØDE NTH-100」の海外レビューをまとめて紹介します。
総評
SHUREやAKG、SENNHEISER、オーディオテクニカ、SONYの例を示すまでもなく、優れたマイクメーカーは優れたモニターヘッドホンメーカーでもあったことは歴史が証明してきました。しかし、何事にも例外はつきものです。
優れたマイクメーカーとしてすでに十分に知られたRØDEの最初のモニターヘッドホンに対する私の期待は、箱を開けて装着するまでで消えました。まさしくこのヘッドホンは歴史を変えます。「優れたマイクメーカーのモニターヘッドホンにハズレなし」の常識は今ここに打ち破られたのです。
装着感もよくて長時間聞いても聴き疲れないような眠い音が好きならおすすめできますが、ミキシングやマスタリングに必要なのはそういう音ではないでしょう。
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