免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにQCYから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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QCY T17の概要
こんな人におすすめ
- すっきりしたサウンドが好き
- 高解像度な音が好き
- 優美でのびやかな音が好き
- 明るい音が好き
- 音場重視
基本スペック
- 連続/最大再生時間:8h/26h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:216-210063/216-210064
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.5/10.0
長所
- のびやかなサウンド
- 繊細
- 爽やか
- メタリック
- 深みと重みがありながら引き締まった低域
- すっきりした音
- 不快な要素の少ない高域
- 原音忠実度が高い
- 良好な通信品質
短所
- エッジ感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輪郭がぼんやりしやすい
- 芯の強さに欠ける、なよなよした音
- 少し金属質
- 薄っぺらく聞こえる音
- アタックが弱い
QCY T17の特徴
- 6mmチタンドライバーによる高解像サウンド
- 低遅延モード搭載
- 1日十分に音楽を楽しめるスペック、ケース込みで最大26時間
- わずか4gの軽量快適なイヤホン重量
- 装着感を高め、スポーツでも使えるイヤーウィング形状
- IPX5防水
- 現状でQCYアプリのサポートなし
QCY T17:チタンドライバー搭載のQCYの新作エントリー完全ワイヤレスイヤホン
中国の人気ワイヤレスオーディオブランドQCYから新作エントリー完全ワイヤレスイヤホン「QCY T17」が少し前にリリースされました。
パッケージ(7.5)
QCY T17のパッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- QCY T17本体
- 専用充電ケース
- USB Type-Cケーブル
- イヤーピース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格を考えると、良好なレベルです。
装着感(9.0)
装着感は良好です。小さな耳でも多分問題ないと思います。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟んでも、接続はほとんど問題ないですが、わずかに途切れやすくなります。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開け、イヤホンを取り出す |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納する |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
曲再生/停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 右耳側の多機能ボタン を1.5秒長押し |
曲戻し | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
音声アシスタントの起動 | 左側の多機能ボタンを3回タップ |
ゲームモードON/OFF | 右側の多機能ボタンを3回タップ |
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。より詳しい情報が参照できます。
オーディオステータス
音質解説
QCY T17はニュートラルを意識しつつ、より音場を重視した調整になっています。これは同じくQCYのエントリーモデルであるT13と同じ発想で作られていますが、T17のサウンドの全体はT13よりさらに高域寄りになっており、明るく伸びやかで爽やかな高解像サウンドになっています。
以下のレビューはFiiO M15にSBCでつないでノーマルモードにし、標準イヤーチップ Lサイズでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+
QCY T17の低域は比較的深くまで到達しています。
中低域にやや膨張感がありますが、ドラムとベースの描き分けはよく、重みもしっかりしているので、脚色はあるものの、レイヤリングは良好です。個人的には好きな調整の低域で、ドラムキックに少しボリューム感を出しつつ、足さばきではタイト感と重みを感じることが出来ます。
ただしランブルは不足するため、生々しさや臨場感は高くなく、重低域マニアを満足させる品質はありません。また、インパクトはあまり強くないので、力強いボトムを味わいたいベースヘッド(低域好き)にはSoundPEATS MINIやSoundPEATS T2をおすすめします。
中域(8.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域はわりと前面に存在していますが、上部は凹んでいます。
エッジ感の不足は気になるところで、音楽の輪郭が丸く、すっきりとなめらかに伸びるように聞こえますが、構築感が不足するため、中域の立体感の再現度は少し良くありません。
リスニングモデルとして聞き流すには非常に心地よい中域ですが、ボーカルや楽器のディテール、質感をしっかり聞こうと思うと、骨格が捉えづらい音です。
スネアのアタックやギターエッジはあまりよく聞こえないので、ロックを聴くには少し物足りない傾向があるでしょう。中域は少し薄味になりやすい傾向があります。
高域(9.0)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C
- 存在感:B-
高域はかなりバランスが良く、空気感も悪くなく、伸びやかかつ爽やかに抜ける音を聞くことが出来ます。
中域のエッジ感の少なさもあって、中域から高域はまるでつながっているというようになめらかすぎる傾向があります。質感は少しツルツルして聞こえます。
鮮明感が高く、繊細で爽やかな雰囲気がありますが、やや色彩感が薄くなりやすく、音楽の全体が淡いタッチで描きだされるように感じられるでしょう。
また歯擦音はかなりうまく抑えています。少しすっきりしすぎる代わりに不快感がほとんどない耳に優しい高域になっています。ただしわずかにメタリックに傾いて聞こえるかもしれません。
定位/質感
- 質感の正確性:A-
- 定位の正確性:A
- オーケストラのテクスチャ:A
- 雅楽のテクスチャ:A
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
バイオリンの音がなよなよツルツルとして聞こえやすく、木管や金管もやや嫋やかで少し力強さが欠けて聞こえるところがありますが、全体的に優美なクラシックを聴かせます。重厚感と濃厚感は今ひとつですが、BGMとしてクラシックを聞きたいときにはこれくらい薄味のほうが良いかもしれません。
雅楽も同じ傾向があり、篳篥の音が少し薄く嫋やかで、表現に幽玄さのようなものが感じられます。薄く漂うような優雅なサウンドで、表現としては薄味過ぎますが、浸りやすい音ですね。悪くありません。
音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B+
- イメージング:A-
- 高域:A
- 中域:A-
- 低域:B-
中域で奥行きが強調され、全体も少し遠目に聞こえます。深さはわずかに物足りない気がしますが、高さは十分に思えます。
クリア感は価格帯を考えると優秀です。
解像度は価格を考えると抜群に近いです。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:A+
QCY T17はT13を全体的に高域寄りにし、原音忠実度と音場を重視したサウンドと言えます。より伸びやかなサウンドが楽しめますが、中域が薄くなったうえに風通しも良くなったため、全体的に表現が薄味になっています。しかしおそらくチタンドライバーのせいか、解像度が改善しており、総合的な音質ではT13よりおすすめ度が高いと言えます。
音質的な特徴
美点
- のびやかなサウンド
- 繊細
- 爽やか
- メタリック
- 深みと重みがありながら引き締まった低域
- すっきりした音
- 原音忠実度が高い
- 不快な要素の少ない高域
欠点
- エッジ感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輪郭がぼんやりしやすい
- 芯の強さに欠ける、なよなよした音
- 少し金属質
- 薄っぺらく聞こえる音
- アタックが弱い
のびやかで優美
爽やかで繊細
すっきりしている
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはSBCで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T17
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T17
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T17
総評
QCY T17はT13の音を全体的に明るくしたリファイン版とも言えるサウンドを持っています。より繊細で明るく、爽やか、音場が広く感じられる音が好みならT13よりT17のほうがおすすめです。チタンドライバーの効果なのかわかりませんが、総合的な解像度もT13よりかなり優れています。
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