免責事項
- このレビューはQCYから誠実な品質レビューを読者に伝えるために提供されたサンプルに基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
QCY T13の概要
こんな人におすすめ
- 安くて長く使える機種がほしい
- 音場の広い音が好き
- バランスの良い音が好き
- カスタマイズ性の高い機種がほしい
基本スペック
- 連続/最大再生時間:8h/40h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:216-210031
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:7.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 奥行きのある広い音場
- 中域への適切なフォーカス
- 優美
- 雄大
- マイルドでメロウな聴き心地
- 響きが豊か
- 高いカスタマイズ性
- 良好なビルド
短所
- 構築感に欠ける
- やや鈍重に聞こえるサウンド
- やや不安な通信品質
QCY T13:スターターユーザーのために快適な音楽環境を提供
QCY T13は完全ワイヤレスイヤホンのスターターユーザーを主なターゲットにしたモデルです。QCYはT13を日常的な通話、音楽鑑賞、ゲーミングや動画鑑賞などのエンターテイメントのニーズを一通り満たす万能モデルとして設計しました。
そのうえで外観デザインや使い勝手の良さ、長時間バッテリー駆動など、一般的なエントリーモデルの水準を超えたスペックに仕上げています。QCY T13は他のイヤホンをメインにしたあとでも、サブ機として使う場合や、家族にプレゼントする場合でも、将来的に十分に満足できる余裕のあるスペック設計が施されています。
QCY T13:バッテリー能力にこだわったタフモデル。カスタマイズ性も高く、自分好みの音質・使い勝手を目指せる
興味の赴くままにオーディオ製品を取り上げる「物欲探訪」。今回取り上げる製品はQCYのコンパクト完全ワイヤレスイヤホン「QCY T13」です。
公式プロモーション動画
パッケージ(7.5)
QCY T13のパッケージは全体として標準以上で、価格に十分見合っています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- QCY T13本体
- イヤーピース
- 充電用ケーブル
- 説明書
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格を考えると、良好なレベルです。
白磁のように美しい透明感のあるデザインです。
装着感(8.5)
耳によく嵌り、装着感は快適です。わりとよく耳に収まる形をしています。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。接続品質は標準より少し弱いかもしれませんね。
人混みに行ってないのでわかりませんが、 家庭内では安定しています。距離耐性はやや弱く、5mくらい離れると少し途切れがちになります。また遮蔽物を挟むと、接続が途切れてしまいました。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開け、イヤホンを取り出す |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納する |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード 手動でペアリングモードにする場合は、イヤホンをケースに収納し、蓋を開けた状態でケースのペアリングボタンを3秒間長押し |
リセット方法 | ①イヤホンをケースに収納する ②イヤホンを10秒間長押しして、イヤホンのLEDが赤と青で素早く点滅するのを確認する |
曲再生/停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
曲戻し | 右耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話拒否 | 多機能ボタンを1.5秒長押し |
ボイスアシスタント起動 | 左耳側の多機能ボタンを3回タップ |
低遅延モード切替 | 右耳側の多機能ボタンを3回タップ |
アプリ
QCY T13はQCYアプリに対応しており、音質とコントロールを自分好みにカスタマイズすることが可能です。さらにヘッドセットの位置情報を追跡し、ヘッドセットから音を鳴らすことで見つけやすくする検索機能はかなり便利です。
QCYアプリで可能なこと
- 音質のカスタマイズ
- コントロールのカスタマイズ
- 追跡機能
- ファームウェアアップデート
- ペアリング解除
- ファクトリーリセット
- デバイス情報の確認
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
音質解説
QCY T13はニュートラルを意識しながらもより低域を前面に出す、ゆったりした奥行き感のあるサウンドを実現しています。音楽は雄大さが強調され、スケール感が高まって聞こえるでしょう。鮮明感も高めで、なかなかバランスの良い低域強調系のリスニングサウンドです。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:A+
- 臨場感:B+
- 深さ:A
- 重み:A
- 太さ:B+
- 存在感:A
QCY T13の低域は比較的深くまで到達しており、ボトムはしっかりしています。
個人的にはわずかに浅い印象を受けますが、十分に重く、レイヤリングにも優れています。深くまで到達する低域は十分黒いエレキベースを聞かせ、音楽にコントラストのある引き締まり感をもたらします。
ベースとドラムの描き分けが少し強調されており、わかりやすい低域です。
一般に低域好きを満足させると思いますが、重度の重低域マニアを満足させるほどではありません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域は比較的前面におり、広くゆったりと聞こえます。
ゆるやかにステージングが強調され、広く聞こえる中域でボーカルは比較的前面にいます。ボーカルはサ行の子音と息遣いが少し強調されて、さっぱりといった感じで聞こえます。ときどき歯擦音が強く聞こえる場面があります。わずかに上気して聞こえるボーカルは色気が強調されています。
中域は十分スポットライトが当たっています。中高域の強調によってギラつき感がやや誇張されており、楽器音は少し金属的に聞こえる傾向があります。そのためギンギンするブリキのような音が嫌いな人には少しきつく感じるかもしれません。
高域(9.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C+
高域は中域の明度とよく釣り合っており、輝度がやや強いため、楽器音が光沢感を持って聞こえます。
アコースティックギターの響きが非常に金属的でスネアやボーカルもハリのある艶やかな音で聞こえるため、色気が感じられます。
高域は実際には少し高さが足りないですが、印象的にはそれほど目立たず、十分に爽やかで風通し良く聞こえます。
定位/質感
- 質感の正確性:A
- 定位の正確性:A-
- オーケストラのテクスチャ:A+
- 雅楽のテクスチャ:A+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
定位は少し強調されており、質感も少しツルツルして聞こえますが、フルオケはわりと普通に楽しめます。奥行き感のある、少し壮麗に聞こえる華やかさの加わったサウンドで明るく楽しげです。重厚感も十分にあるので迫力にかけることもありません。わりと好みですね。
雅楽もわずかに華やかに聞こえ、和音がギラついて明るく聞こえますが、甲高さは抑えられており、優雅に聞こえます。低域の存在感と空間的な広さが一定の静寂感をもたらしており、スケール感も強調されすぎないので密度感がスカスカになることもありません。わりと好みですね。ただ全体的にツルツルして聞こえます。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:B
- 高域:B+
- 中域:B+
- 低域:B-
中域はやや広く聞こえます。深さは十分で高さはわずかに低い感じですが、ほとんど不足を感じません。
クリア感はわりと優秀です。
イメージングは価格なりの品質は十分にあります。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A+
- 個人的な好み:A+
低価格機種ですが、全体的に音場をゆったりと、楽器音が少し響いてまろやかに聞こえるように、うまく調整してあり、上品かつ雄大でありながら優美でもある絶妙なラインを攻めているリスニングサウンドです。構築感が足りないので、ソリッドなサウンドが好きな人には向きませんが、かなり多くの人を満足させることができそうです。
万人向きののエントリークラスとして作られたQCY T13にふさわしい音といえ、コンセプトによくマッチしていると言えるでしょう。
音質的な特徴
美点
- 奥行きのある広い音場
- 中域への適切なフォーカス
- 優美
- 雄大
- マイルドでメロウな聴き心地
- 響きが豊か
欠点
- 構築感に欠ける
- やや鈍重に聞こえるサウンド
奥行きのある広い音場
優美かつ雄大
響きが豊か
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはSBCで、標準イヤーピースを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T13
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T13
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T13
総評
QCY T13はバランスのよい低域寄りのサウンドを持っています。非常にうまくバランスを維持しながら音場が広く聞こえるように丁寧に強調されており、ディテールをうまく維持し、聞き心地の良い優れたリスニングサウンドを聞かせます。通信品質だけやや心配なものの、スペックも優秀なうえ、付属アプリで音質や操作性のカスタマイズも可能なため、最初に買ってから長く使えるイヤホンです。入門モデルとして非常に優秀ですね。
コメント