免責事項
- このレビューはQCYから誠実な品質レビューを読者に伝えるために提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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QCY HT03の概要
こんな人におすすめ
- 重厚感のあるサウンドが好き
- ロックが好き
- ポップスが好き
- カスタマイズ性重視
- 強力なANCが欲しい
- コスパ重視
基本スペック
- 連続/最大再生時間:6h/24h
- 防水性能:不明
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:216-210045
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- 通信品質:8.0/10.0
- アクティブノイズキャンセリング:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.5/10.0
長所
- 豊かな力感
- 重厚感がある
- はっきりした輪郭で構築感に優れる
- 落ち着いて不快感の少ない高域
- 中域から中高域の原音忠実度が高い
- 効果が高いANC
- 機能的なアプリ
- コストパフォーマンスが良い
短所
- 中域が窮屈
- シャウト感が強い
- 拡張性に欠ける
- 篭もりを感じる可能性がある
- 輝度が低く、鈍い音
- マイクロディテールに欠ける
- 鈍重に聞こえやすいリズム
QCY HT03の特徴
QCY HT03のデザインコンセプト
- 仕事や学習などに集中したいとき、いつでも要求される静寂な空間を確保できること
- 日常的な通話、会議、娯楽などのニーズを満たすこと
- スタイリッシュな外観の実現
- 完全ワイヤレスイヤホンに精通したリスナーでも満足できる品質
- 究極のコストパフォーマンス
「20日間の奇跡」で知られる人気ブランド「QCY」の本気がここに。「$50クラスで最高の価値」を目指した「QCY HT03」
知る人ぞ知る、中国の人気ワイヤレス・オーディオブランド「QCY」から、新作アクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホン「QCY HT03」がリリースされます。HT03は市場で最もコストバリューに優れることを目指し、消費者に廉価なコストで上質かつ快適な音楽環境を提供するために、QCYが提案する新しい製品です。
公式プロモーション動画
クイックスタート動画
パッケージ(7.5)
QCY HT03のパッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- QCY HT03 本体
- 専用充電ケース
- USB Type-Cケーブル
- イヤーピース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格を考えると、良好なレベルです。
指紋がつきやすい傾向があるものの、質感は良好で手触りは悪くありません。ケースの蓋のぐらつきもありません。
装着感(9.0)
QCY HT03の装着感はわりと良好です。軽量で負担感がありません。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準的な接続品質です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟むと接続が途切れがちになりますが、接続は維持され、音楽再生が継続されました。ただし、時々音飛びや途切れが発生します。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開ける |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納し蓋を閉じる |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード イヤホンをケースに収め、ケースのペアリングボタンを3秒押すと手動でペアリングモード |
リセット方法 | ①イヤホンをケースに収納 ②両方のイヤホンをケースに収め、ケースのリセットボタンを10秒長押し ③LEDが5回点滅したらリセット完了 |
曲再生/停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 右耳側の多機能ボタンを3回タップ |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話拒否 | 多機能ボタンを1.5秒長押し |
ボイスアシスタント起動 | 左耳側の多機能ボタンを3回タップ |
ノーマル/ANC/ヒアスルーモード切替 | 右耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
ゲーミングモード ON/OFF | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
アクティブノイズキャンセリング性能
詳細は有料記事に譲りますが、QCY HT03のANC性能は価格帯では優秀なレベルです。
ANC録音
録音はAntelope Audio Amariにつないだヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から、テストトーンの音量レベルを合わせた上で、専用のテスト音源を自由音場フィルターを適用したうえで再生しています。音源はヘッドホンのみでの再生音源と、QCY HT03をANCモードにしたうえで、そのうえにヘッドホンをかぶせて再生したものが用意されています。これで疑似的にアクティブノイズキャンセリングを体感できます。
参考用にEarFun Air Pro 2とEdifier NeoBuds ProのANC効果音源も掲載します。
実際のANCは装着感の影響も大きいですし、ヘッドホンをかぶせて再生しているために実際の聞こえ方とは異なりますが、比較的実際に近い体験ができます。
なお環境音源は効果音ラボさんの音源を利用しています。
- ヘッドホンのみの再生
- Edfier NeoBuds Pro ANC ON
- EarFun Air Pro 2 ANC ON
- QCY HT03 ANC ON
アプリ
アプリでは以下の機能が提供されます。
- コントロールのカスタマイズ
- イコライザー(プリセット、ユーザーカスタマイズ)
- ANC、外音取り込み、ゲームモードなどの切り替え
- ファームウェアアップデート
- バッテリー残量の確認
- リセット
- ペアリング履歴の消去
- デバイス情報の確認
QCY HT03
¥4,200程度
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。各モードの周波数特性の違いなど、より詳しい情報が参照できます。
オーディオステータス
音質解説
QCY HT03のサウンドは低域が強めのドンシャリサウンドです。低域はパワフルで楽しいですが、中域が遠く、少し窮屈に聞こえるかもしれません。中域から中高域までは原音忠実性も高く、構築感があるので音の骨組みが明確に聞こえます。また人によっては少し篭もりがちの音に思う可能性があります。
以下のレビューはFiiO M15にSBCでつないで標準イヤーチップLサイズでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A
- 太さ:B+
- 存在感:B+
QCY HT03の低域は重みと深さに優れています。
太いサウンドで重厚感がありますが、キックは少し重く聞こえすぎる印象を受けます。力感が豊かですが、やや存在感が強く、人によっては少し篭もりを感じるかもしれません。
個人的には深さに欠けるところが気になります。やや鈍重に聞こえやすく、リリースが悪く思える場面がありますね。ドカつく感じもあります。
中域(8.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B
- 明るさ:B
- 硬さ:B+
- 存在感:B
高域(7.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:A-
- 脆さ:C
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C+
高域は明らかに存在感が不足しており、低域と釣り合いが取れているとは言い難いですね。
まず拡張性が大幅に足りないので、音場は開放感に欠け、窮屈に閉じた空間になっています。またエッジ感が強めで、輪郭がどぎつく聞こえるところがあります。要するに、抜けが足りていません。
エッジ感のおかげでシャープ感があるので、マイクロディテールの不足にも関わらず、音像は捉えやすいとは思います。また、シャープネスの強さは一定の分離感を感じさせると思いますが、空間的な余裕が足りないので、情報量が多い曲は音がダマになって聞こえる傾向があり、聞き苦しく思う場面があります。
定位/質感
- 質感の正確性:A
- 定位の正確性:C+
- オーケストラのテクスチャ:C+
- 雅楽のテクスチャ:D
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
奥行き感と重厚感があるので、一聴した印象ではクラシックは悪くないと思うかもしれませんが、実際には音場は広くなく、窮屈で、木管の音は抜けが悪いのでうるさげに聞こえやすいですね。バイオリンもよく聴くと、エッジが強調されすぎてスムーズでなく、ヒステリックに聞こえます。
雅楽は和音がギャンギャン吠えて聞こえるので、耳障りなのが我慢できません。
音場/クリア感
- 音場:B
- クリア感:B+
中域で奥行きが少し強調されますが、低域と高域ともに拡張性はやや不足しています。
クリア感は価格を考えると、悪くありません。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
QCY HT03のサウンドはそれなりにバランスが良いですが、低域は強めです。また中域上部で少しうるさく聞こえやすい傾向があり、シャープネスが強めに聞こえやすく、女声ボーカルはシャウティになりやすい欠点があります。
それでも価格を考えるとよくチューニングされていると言えますが、優れているわけではありません。音質的には中の上くらいといった具合です。
ただ、低域の力感を重視する人には、おすすめ度が高くなります。
音質的な特徴
美点
- 豊かな力感
- 重厚感がある
- はっきりした輪郭で構築感に優れる
- 落ち着いて不快感の少ない高域
- 中域から中高域の原音忠実度が高い
欠点
- 中域が窮屈
- シャウト感が強い
- 拡張性に欠ける
- 篭もりを感じる可能性がある
- 輝度が低く、鈍い音
- マイクロディテールに欠ける
- 鈍重に聞こえやすいリズム
豊かな力感
重厚感がある
構築感に優れる
QCY HT03
¥4,200程度
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはAACで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- QCY HT03
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- QCY HT03
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- QCY HT03
総評
QCY HT03は低価格でありながら、比較的優れたビルドクオリティと高機能なアプリ、効果的なアクティブノイズキャンセリングを備えています。機能的な面では非常にコストパフォーマンスが高いと言えますが、音質は低域が強めのドンシャリで、サウンドパフォーマンスの点では価格帯でとびぬけて優れているとは言い難いところがあります。決して悪い音というわけではありませんが、篭もりが気になりやすい人には向かないでしょう。とはいえ、こうした音質的な欠点はイコライザーで緩和可能です。
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