免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにOpenAudioから貸与されたサンプルに基づいて書かれています。
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Open Audio Mercury 2.0の概要
こんな人におすすめ
- 低域の深さ重視
- きらびやかさ重視
- エロティックなボーカルやギターを聴きたい
- バランスの良いイヤホンを探している
基本スペック
- 再生周波数:5-40000Hz
- インピーダンス:8Ω
- 感度:110dB
- ピンタイプ:2pin 0.78mm
- 価格帯:50000円~1000000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:10.5/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.5/10.0
長所
- 付帯音の多い豊かなサウンド
- エロティックなボーカル
- 中域への適切なフォーカス
- 重厚
- 深みのある低域
- きらびやか
- 輪郭の広がりが良く、人肌感のあるノスタルジックなサウンド
- バランスが良い
- 正確な質感
- 温かみがある
- 聴き心地が良い
- 豊かなハーモニクス
- 良好な原音忠実度
短所
- クリア感に欠ける
Open Audio Mercuryの特徴
- 5ドライバーハイブリッド構成
- 9.2mm PUソフトサスペンディング・ダイナミックドライバー
- バランスドアーマチュア型ドライバー4基
- 快適な装着感
- 3チャンネル3周波分割
ハイブリッド・ドライバーによる本格的なハイレゾ体験
Open Audio Mercuryは、9.2mm PUダイナミックドライバーとカスタムチューニングされたバランスド・アーマチュアドライバーを片側4基ずつ搭載した5ドライバー・ハイブリッド・セットアップを採用しています。これらのドライバーは、低域をダイナミックドライバー、中域をデュアルBAユニット、高域をデュアルBAユニットで生成する3ウェイの周波数クロスオーバーに配置されています。
豊かで生き生きとしたサウンドチューニング
Open AudioのフラッグシップIEMであるMercuryは、自然で生き生きとしたサウンドを再生するために、プロフェッショナルなチューニングと調整が施されています。広い周波数帯域に渡って非常に明瞭な音を再現し、ボーカルの音質が際立っています。プロ仕様の3ウェイ周波数クロスオーバーにより、出力信号の歪みは極めて少なくなっています。
クイックサンド・テクノロジーによる革新的な新デザイン
Open Audioは、革新的なクイックサンド(Quick Sand)テクノロジーによってMercury IEMの美しいシェルを作り上げました。各ユニットは複雑な工程を経て、独特の質感とエレガントな仕上がりになっています。また、膨大な耳穴のデータをもとに空洞の形状を調整し、世界中のユーザーに快適でしっかりとした装着感を提供します。
高品質な純正ケーブル
Open Audio Alkaidには、新品の高品質なケーブルがバンドルされています。このケーブルは8芯の高純度OCCケーブルです。このケーブルは、サウンドパフォーマンスを最適化し、ユーザーの皆様に本物の体験をお約束します。
パッケージ(7.5)
今回メーカーからお借りしたのは正規パッケージではないので評価は7.5とします。
製品版は豪華なパッケージで提供されます。詳細はこの記事の最初の方に埋め込まれた開封動画でご確認ください。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- クリーニングクロス
- キャリングケース
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
フェイスプレートが美しいです。
装着感(9.0)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Open Audio Mercury 2.0はアンプの出力インピーダンスの影響を少し受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Open Audio Mercury 2.0はニュートラルにほぼ近いサウンドバランスのシグネチャーになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(10.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:B+
- 太さ:B
- 存在感:B
Open Audio Mercury 2.0は重低域までしっかりと伸びる、引き締まりと深みのある低域で臨場感のあるサウンドを実現することができます。
2.0の低域はMercuryオリジナルの低域の深さをそのままに、量的には少なくなり、中域と釣り合うバランスになりました。
ランブルが豊かでインパクトも十分なドラムキック、黒く広がりの良いエレキベースが重低域マニアの欲求を完全に満足させるでしょう。
それでいて、中域とのバランスは非常に巧みに調整されており、中域を邪魔しない絶妙な存在感が維持されています。
この低域は文句なく良質といえるでしょう。
中域(10.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
2.0の中域はオリジナルのMercuryとほぼ変わりませんが、低域の量が減り、高域が改善されたため、より明るく前面にはっきりと聞こえるようになっています。
中域はほぼ完全にニュートラルで正確な質感とバランスで音楽の心臓部を描写します。
しかし、その中域は歪率が高めで粗っぽい表現となっており、立体感の上でもやや平面的で、原音忠実主義的なオーディオマニアをほとんど満足させません。解像感を重視するHi-Fi信者はこれを時代遅れのものとみなし、付帯音が多くてとても聴くことができないと言うかもしれません。
一方で、真空管アンプやレコードの音を愛するアナログオーディオファンにとって、ハーモニクスが豊かで、中域が多めに歪んで印象的に聞こえるMercuryのサウンドは独特のみずみずしさとノスタルジアを感じさせる魅力的な表現に聞こえるでしょう。
女声ボーカルの歌声は独特の滲みと広がりが感じられ、倍音が増幅されており、えも言えぬ艶っぽさがあります。エレキギターのエッジも美しく、ディストーションが豊かに響き、空間に溶け込むような独特の美しさで印象的なスポットライトが当てられます。
耳になじむようでありながら、距離感のある、どこかレトロさの感じられる豊潤なサウンドは、聞こえてくる音楽に懐かしさのエッセンスを加えて磨き上げます。
このイヤホンの中域はHiFi的ではなく、むしろレコードやカセットテープ、真空管アンプなどで音楽を聴いてきた世代の感性に近く、決して万人向きではなく現代的でもありません。
しかし、Open Audioは歪と解像度を巧みにコントロールして、レトロなアナログオーディオの世界をよみがえらせるという離れ業を実現しています。それは失敗すれば散々な結果に陥りかねない難しい調整で、ただ単にオーディオスペックを求めるより勇気と感性と経験と丁寧さが求められる仕事です。そうした努力を考えるとき、Open Audioがここで類まれな卓越したチューニングをしていることが発見されます。私はこのサウンドに心底驚きました。
CayinがYB04で実現していたことを、OpenAudioはさらに優れた水準で実現していると言えるでしょう。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:C-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
Mercury 2.0で大きく改良されたのが高域です。Mercuryの十分に拡張された高域はさらに磨き上げられています。また、Mercuryで少し不足していた輝度は改善されており、鮮明感が増してよりはっきりと音像をとらえることが可能になりました。それでいて、Mercuryの中域にあった独特のまろやかさが失われないようにかなり慎重に調整されています。
Mercuryに比べてボーカルの子音やアコースティックギターの爪弾きはより繊細に詳らかに聞こえるようになり、ギラツキ感が増して艶やかさがはっきりと認識できるようになりました。抜けも改善されており、音の伸びも向上しています。
こうした高域の調整によってMercuryのHiFi志向は高められ、より現代的なサウンドになりました。その分、レトロさを感じられるノスタルジックな雰囲気は少し弱まりましたが、原音忠実度や解像度の改善を考えると、適切な調整であると言えるでしょう。もちろん元のMercuryの雰囲気が好きという人もいるかもしれません。たしかに、高域は曲によってはわずかにシャーシャーというかスースーするように少し荒く聞こえる感じが出た気もします。その点でMercuryの滑らかな高域の雰囲気は少し失われているという感覚はあるでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:C+
- オーケストラのテクスチャ:A+
- 雅楽のテクスチャ:S-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
Open Audio Mercury 2.0のサウンドは少なくとも中域の透明度に少し欠けているため、それはガチガチのオーディオマニアを満足させるタイプのイヤホンではないことはほぼ確実です。
Mercuryは録音音源の原音や、コンサートホールで聴くような生音体験をよみがえらせるというよりは、アナログオーディオでクラシックを聴く体験を思い起こさせるサウンドです。
重厚感も含め、スケール感は申し分ないですし、定位感も悪くありません。また2.0では全体的に解像度が向上したため、以前のMercuryにあったぼんやりした感じはだいぶ晴れました。
私はフルオーケストラに関してはどちらかといえば原音忠実主義者ですが、それでもMercuryの聴かせ方は独特の艶があって好きですね。説得力があります。
雅楽はオリジナルより篳篥の伸びが改善され、少し滲んで聞こえる独特の魅力を維持しつつ、解像度が上がって華やかな雰囲気が以前よりくっきりと描き出されるようになりました。中域では表現がやや平面的になりがちですが、和音の繊細さやディテール感が上がったおかげで、聴きごたえはかなり向上しています。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:A-
- クリア感:B
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+
低域の深さは十分で、中域は比較的前面におり、高域は高さは標準以上です。
クリア感は価格の水準からするとやや物足りません。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:S+
- 個人的な好み:S+
Mercury 2.0は音質的には原型機の解像度と原音忠実度を改善した改良版です。それはオリジナルのハーモニクスが豊かな中域の雰囲気を維持しながら、より前面に出し、HiFi的で現代的なサウンドに改良し、基本的なクオリティが向上しています。
一方で、オリジナルのMercuryにあったレトロな雰囲気は少し弱くなったところをどう思うかですね。
音質的な特徴
美点
- 付帯音の多い豊かなサウンド
- エロティックなボーカル
- 中域への適切なフォーカス
- 重厚
- 深みのある低域
- きらびやか
- 輪郭の広がりが良く、人肌感のあるノスタルジックなサウンド
- バランスが良い
- 正確な質感
- 温かみがある
- 聴き心地が良い
- 豊かなハーモニクス
- 良好な原音忠実度
欠点
- クリア感に欠ける
豊かなサウンド
ノスタルジックでエネルギッシュ
エロティックなボーカルとギター
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- OpenAudio Mercury 2.0
- OpenAudio Mercury
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- OpenAudio Mercury 2.0
- OpenAudio Mercury
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- OpenAudio Mercury 2.0
- OpenAudio Mercury
海外レビューの紹介
美しく均整の取れた音色で大人気!「Open Audio Mercury」の海外レビューまとめ
日本や欧米ではあまり知られていませんが、中国大陸では大ヒットしており、評判の高い中華イヤホン「Open Audio Mercury」の海外レビューをまとめて紹介します。
総評
今回レビューしたOpen Audio Mercury 2.0はほぼ最終決定版に近いものの、プレファイナル版であり、生産版とはわずかに音質が異なります。しかしプレファイナル版でのレビューを通じてOpen AudioがMercuryの良さを生かしつつ、そのサウンドをさらに磨き上げたことがはっきりと確認できました。Open Audio Mercury 2.0はすでに注文を受け付けており、以下のamazonのリンク先から購入できます。その他の購入先は2.0ではない可能性があるのでご注意ください。
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