免責事項
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OneOdio Monitor60の概要
こんな人におすすめ
- 解像度の高いスタジオモニターを探している
- DJ用の優秀なモニターヘッドホンを探している
- ダイナミズム重視
- グルーヴ感のあるノリの良いサウンドが好き
- コスパ重視
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~40kHz
- インピーダンス:38Ω
- 感度:110±3dB
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:6.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:12.0/10.0
長所
- 比較的高い原音忠実度
- 優秀な解像度
- 優れたイメージング
- スタジオモニターライク
- 躍動的でダイナミックなサウンド
短所
- 低域の深みに欠ける
- はっきりしないぼんやりした低域
- 質感と定位が少し正確ではない
- 音像の一貫性に欠ける
OneOdio Monitor 60の特徴
- 軽量化によって振動系の反応性を高めるCCAWボイスコイル、アルミと樹脂のハイブリッド構造防振ハウジング、不要な振動を抑え、歪みの少ないクリアな音質を実現
- 50mm口径のダイナミックドライバーで情報量豊かな高解像度再生。全帯域で色付けのない原音に忠実な再生音、正確なモニタリングを実現するモニターヘッドホン
- 片耳モニタリングが可能な180度の反転モニター機構。 ヘッドホンを首から掛けてモニタリングする際に便利な前方90度/後方15度の反転モニター機構を採用しました。
- 自在に可動するイヤーカップと厚みのあるイヤーパットが、側頭部に掛かる圧力を均一に分散してくれるので、長時間の使用でも快適です。そしてマット仕上げされているハウジング部分も全ての触り心地が良く手馴染みの良い設計です。
- ヘッドフォンの両側に6.35mmと3.5mmジャック付き、楽器と接続した場合、パワーアンプによってヘッドホンの機能が最大限度まで再現可能。シーンに合わせて選べる3種の着脱式ケーブルが付属されています。
公式プロモーション動画
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしているとは思います。比較する物によるとも思いますが、大抵のメジャーメーカー製のモニターヘッドホンに比べると、場合によってやや簡素と行った具合ですね。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- ケーブル
ビルドクオリティ(8.0)
プラスチッキーですが、イヤーマフはフカフカで作りは悪くありません。DJ仕様になっているため、左右のイヤーカップそれぞれにケーブルアダプタがあり、2系統の同時入力に対応します。
装着感(9.0)
クッションに厚みがあり、装着感はわりと快適で、遮音性も良好です。
ただし夏場は蒸れます。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
OneOdio Monitor60にアンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
OneOdio Monitor60は全体のバランスは中域で凹んだニュートラルサウンドという形をしています。全体のバランスはよく調整されており、低域は浅いですが、高域はかなり高いところまで拡張されており、抜けが良く、鮮明感も高めです。何より中域から高域で解像度が非常に高いのが特徴で、この価格帯では抜群に良い明瞭なサウンドを聴かせます。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:A-
- 臨場感:C+
- 深さ:B
- 重み:B+
- 太さ:A-
- 存在感:B+
低域はやや太さが重視されており、深さではわずかに物足りないかもしれません。レイヤリングが悪いわけではないのですが、THDが高く、響きが強めで、明瞭度も低いせいか、あまりはっきり聞こえる気はしないと思います。
低域好きを満足させる量感はあると思いますから、旧来のボッコボコドンドンの重量感のある音を鳴らすOneOdioファンがぎりぎり満足できるラインは維持できているとは思います。どちらにせよ、Monitor60のサウンドで低域はやや存在感が強いにも関わらず、それほど主役にはなりません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
OneOdio Monitor60の中域はかなり原音忠実性が高く、ニュートラルを意識してチューニングされています。
実際には低域のほうが僅かに強いため、凹みがあり、低域より奥に感じる場面が多いと思いますが、かなり前面にいます。
女声ボーカルは少し前傾しており、中高域がやや目立つため、音楽は華やかに聞こえます。押し出し感も少し強いですが、エッジ感が抑えられているため、子音の質感はわずかに丸みを帯びており、マイルドです。どちらにせよ、ボーカルは割とはっきり聞こえます。
少し中域に音が集まりやすい傾向があり、密度感が高く、また構築感の不足によってわずかに情報量が落ちて聞こえるところがあります。
高域(9.0)
- 原音忠実度:B
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:C
- 繊細さ:C+
- 存在感:B-
高域も丁寧に調整されており、廉価な機種であるにも関わらず、高さはわりとしっかりしています。密閉型にも関わらず、空気感は十分にあり、かなり抜けの良さを感じられる音で、拡張性に優れています。
実際のところ量的な存在感で低域が優位にありますが、質的な存在感では高域が優位にあり、全体のサウンドバランスはかなり巧みに調整されています。
定位/質感
- 質感の正確性:A
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:A+
- 雅楽のテクスチャ:A+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
モニターモデルでありながら、Monitor60の音は実際にはリスニングモデルのように楽しげです。
OneOdio Monitor60はおそらく密閉型の構造でうまくバランスを取ろうとした結果、周波数特性はややうねる状態になっており、それが音楽にダイナミズムを生み出します。monitor60の音楽はスイング感に溢れており、楽器音が躍動して聞こえます。バイオリンの倍音を聞けば、信じられないくらい躍動感にあふれていることに気づくでしょう。ただしそのせいでときどき定位はあいまいになります。個人的な感想としては、雰囲気が躍動的で重厚感は悪くないにもしても厳粛さには少し欠け、高級な演奏会というよりは音楽フェスでオーケストラを聞く雰囲気に近いですね。
雅楽についても全く同じことが言えます。和音が少し甲高く聞こえますが、抜けが良いので、うるさい感じはそれほどありません。また音に躍動感があり、どちらかといえば静的な雅楽の表現がゆらゆらとゆらいで優美に楽しく聞こえます。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:C+
- イメージング:A-
- 高域:S-
- 中域:A-
- 低域:C+
Monitor60はわずかに中域で奥行きが強調されています。高域の拡張性は少し良好で、低域は浅めです。
総合的なクリア感は価格を考えると物足りません。ただし中域から高域にかけては十分にクリアです。
イメージングは非常に優秀です。価格の水準を遥かに超えていると言えるでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A+
- 個人的な好み:S+
OneOdioがDTMやスタジオ向けに作った本格派モニターヘッドホンがMonitor60です。率直に言えば、音を聞くまで私はその言葉を疑っており、どうせ低域マシマシに決まっていると決めつけておりました。OneOdioの音を私が好んでいることは事実ですが、これまでOneOdio製品をレコーディングモニターヘッドホンとして使ったことはありません。
しかし、Monitor60は違います。この価格帯の優れたモニターヘッドホン城下工業 SoundWarror HP-10Sと聴き比べましたが、解像度では勝っており、サウンドバランスはHP-10Sのほうがモニタースピーカーに近い雰囲気があるものの、Monitor60のサウンドの方がよりデッドでスタジオ的な音で、質感的に勝っていると思える場面が多いことに気づきました。
もちろんTHDが多いなど、安い機種らしいオーディオスペック面での不足が見られましたし、あまりにも気になって内部構造を確認しましたが、ドライバー周りにはただ単に吸音材が貼ってあっただけで、特別な共振対策をしてあるわけではありませんでした。おそらくOneOdioは古典的な方法でこのヘッドホンを作っており、目新しい特許技術を投入しているわけではないでしょう。しかし、そのサウンドはメジャーメーカー製や定評のある機種に遜色ありません。
正直過去の自分はOneOdioが正統派スタジオモニターなんて作れるのだろうかなんて疑問に思っており、個人的にほとんど期待していなかったので、見事に裏切られた格好です。
音質的な特徴
美点
- 比較的高い原音忠実度
- 優秀な解像度
- 優れたイメージング
- スタジオモニターライク
- 躍動的でダイナミックなサウンド
欠点
- 低域の深みに欠ける
- はっきりしないぼんやりした低域
- 質感と定位が少し正確ではない
- 音像の一貫性に欠ける
比較的高い原音忠実度
優れたイメージング
躍動的でダイナミックなサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + Topping L50でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- OneOdio Monitor 60
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- OneOdio Monitor 60
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- OneOdio Monitor 60
総評
OneOdio Monitor60は解像度の良いバランスに優れたデッドなスタジオチューニングライクサウンドを提供する優秀なモニターヘッドホンです。そのサウンドはしかし、まじめにモニターするためと言うよりは少しDJ寄りであり、妙に躍動的でグルーヴが増して聞こえる点には注意が必要でしょう。そういう意味で一般的なミキシング(DJ除く)に使うには向かず、定位はとくに信頼しきることはできないものの、無機質なモニターサウンドではなく、リスニングモデルとしても非常に楽しい機種で、レコーディングモニターやトラッキングモニターとして優秀です。
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