免責事項
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Moondrop Starfieldの概要
こんな人におすすめ
- モニタースピーカーの音が好き
- 中域にこだわる
- 明るく透明感のあるサウンドが好き
- ボーカル重視
- エレキギター重視
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~36kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:122dB/Vrms
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:10.5/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.0/10.0
長所
- 正確な質感表現
- ほぼ完璧なモニタースピーカーサウンド
- 全体の原音忠実度が高い
- 透明度の高い音
- 明るい音
短所
- 没入感に欠ける
- 高域の拡張性が足りない
- 低域の深さに欠ける
Moondrop Starfieldの特徴
- カーボンナノチューブ振動板と独自開発のユニット採用
- 音源を録音した時の音場と音色を再現するVDSF技術
- 星が輝く夜空をイメージする亜鉛アルミ合金の筐体
- 着脱式の高品質24AWG Litz 4N-OFC 無酸素銅ケーブル
- 振動板材質: 6μm Carbon-Nano-Tube
パッケージ(7.5)
Starfieldのパッケージはエコで簡素ですが、付属品は揃っています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- ピンセット
- キャリイングバッグ
- 説明書類
ビルドクオリティ(8.0)
装着感(8.5)
耳への収まりはよく、装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
Moondrop Starfieldはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けないようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
Moondrop Starfieldはかなりニュートラルなサウンドバランスになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
低域は比較的深くまで到達していますが、力強いランブルを引き出すほどではありません。
ドラムキックは力強いですが、私の好みからすると明るく、エレキベースも黒さに欠ける印象を受けます。
モニター的な低域で、見通しは悪くありませんが、臨場感には欠けるので低域好きを満足させるのは難しいでしょう。
中域(10.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域は透明度が高く、質感表現もかなり正確です。
中域はほぼ完全にニュートラルです。透明度も高く、ギターエッジやボーカルがはっきりと聞こえるみずみずしい中域です。低域がやや弱いため、わずかに明るすぎて聞こえる傾向があるかもしれませんが、中域にこだわるオーディオマニアや明るい音を必要とするDTMerには優秀なイヤホンに思えるでしょう。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域は中域の明るさに対してわずかに不足を感じますが、丁寧に調整されています。
抜けが不足しているので、私の耳には少し金属的で刺激的に聞こえますが、歯擦音など不快要素は強くならないように調整されているため、聞き心地は安定しています。
定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:A-
- 雅楽のテクスチャ:A-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感表現が非常に自然で、定位感もスピーカーをほぼ忠実になぞっているので、全体の雰囲気は悪くありません。ただし、低域が弱いために重厚感が足りず、中域が明るく聞こえすぎるのが欠点になりえます。バイオリンの倍音も自然ですが、伸びやかさに少し不足しているのも気になるポイントです。
私の好みからすると少し明るすぎる傾向がありますが、それを除けば質感は自然で、和音の聞き心地も安定しています。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:A
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:C+
深さは物足りず、高さは標準的です。
クリア感は価格の標準以上です。
イメージング性能は価格の標準以上です。ただし中域の解像度はかなり素晴らしいです。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A+
- 個人的な好み:A+
Moondrop Starfieldは優れたサウンドバランスを持っており、私のリファレンスイヤホンの一つです。Moondrop Aria 2が出たとき、購入しなかったのもStarfieldがあったためです。Moondrop Ariaを私は測定したことがありませんが、店頭で詳細に聴き比べを行ってAriaよりStarfieldのほうが優れているように感じられたため、Ariaを購入しませんでした。
一方でTinHiFi T3 PlusはStarfieldを音質のほとんどの面で打ち負かしており、とくに中域で勝っています。さらにビルドクオリティもStarfieldより優れています。私の中でのリファレンスとしての序列もStarfieldよりも上位です。
つまり、私のおすすめ度順に並べると、TinHiFi T3 Plus>Moondrop Starfield>Moondrop Ariaです。
同じ価格帯で私がリファレンスとしているイヤホンにfinal A3000があります。A3000は定位感でより優れますが、中域の質感はStarfieldのほうが正確です。しかし解像度などオーディオスペックの点でA3000のほうが優れており、一般的にはA3000のほうが格上のサウンドを持っています。少なくとも私はA3000のほうがStarfieldより優れていると考えており、A3000のパフォーマンスは価格を大きく越えていると思っていますが、Starfieldはそれほどコスパで優れているとは思っていません。私にはStarfieldの音が少し明るすぎるのもあるでしょう。どちらかというと、より中域で暗いA3000を好みます。
ではKATOとは?
KATOは明らかにオーディオスペックで優れています。サウンドバランスはほとんどそっくりにも関わらず、実際にはそれなりの差があります。KATOは改善されたKXXSで、高域でより正確にチューニングされているため、定位で優れています。したがって、モニターイヤホンとしてはStarfieldよりKATOが優れています。スペック面でKATOが大幅に優れていることもKATOを優位にしているでしょう。KATOは最上級のハイエンドイヤホンと勝負できるイヤホンだからです。
それに比べてStarfieldは、中域の質感はKATOより正確で、全体として価格以上ではあるものの、その常識をそれほど越えない水準にとどまります。つまり、ここで言いたいのは、私にとってKATOとStarfieldの差は価格差以上に思えるということです。
どちらにせよ、より安い価格帯の化け物じみたイヤホンであるTinHiFi T3 Plusに比べると、Starfieldはわりと常識的なイヤホンです。
音質的な特徴
美点
- 正確な質感表現
- ほぼ完璧なモニタースピーカーサウンド
- 全体の原音忠実度が高い
- 透明度の高い音
- 明るい音
欠点
- 没入感に欠ける
- 高域の拡張性が足りない
- 低域の深さに欠ける
正確な質感表現
明るく透明度が高い
全体の原音忠実度が高い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Moondrop Starfield
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Moondrop Starfield
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Moondrop Starfield
総評
1万円台で優れたニュートラルサウンドのイヤホンを求めているなら、Moondrop Starfieldは悪くない選択肢です。その性能が価格の標準以上であることは間違いありません。しかし、少し視野を広げてみると、その周辺にはより優れたイヤホンがたくさん存在していることに気づきます。TinHiFi T3 Plus、final A3000は一般的にStarfieldより高いパフォーマンスを発揮します。そしてすぐ上のKATOは価格差以上に優れた選択肢であり、Starfieldを我慢してKATOを買うことを検討すべき十分な根拠があります。つまりStarfieldは中途半端です。
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