免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにMeze Audio Japanから貸し出されたサンプルに基づいて書かれています。
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MEZE RAI PENTAの概要
こんな人におすすめ
- パンチのあるサウンドが好き
- チャーミングなボーカルを楽しみたい
- ビルドクオリティにこだわる
基本スペック
- 周波数特性:4Hz~45kHz
- インピーダンス:20Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
- 価格帯:100000円~200000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 価格の水準を満たす解像度
- 比較的高い原音忠実度
- 印象的で魅力的なボーカル表現
- ウォーム
- パンチのある低域
- 艶やかで色気のあるサウンド
- 聞き心地を考えて調整された高域
短所
- 歪み率が高め
- 窮屈な音場
- 拡張性に欠ける高域
- 深みに欠ける低域
- 爽快感に欠ける
- マイクロディテールの不足
MEZE RAI PENTAの特徴
- 完璧に調和したペンタドライバーと、人間工学に基づいて最適化されたハウジングによりRAI PENTAは繊細でナチュラルなサウンドと装着時の一体感を兼ね備えています。
- ギリシャ数字で“5”の意味を表すペンタ、その言葉を冠したMeze独自のハイブリッド ペンタドライバー テクノロジーは、ハウジング内部の構造をドライバーに合わせて設計しています。そして複数のドライバーを周波数分配の為にバランス良くチューニングし、全ての周波数において調和のとれたサウンドを届けることを実現しました。
- 完璧なフィット感と快適性。軽快かつ一体感のあるつけ心地。 細部に至る徹底的な拘り:丸みを帯びたソフトなエッジは、耳に完璧にフィットするように自然な曲線を取り入れています。
- 精密CNC加工されたアルミニウムハウジングは、それぞれが1つのアルミブロックから削り出され、サウンドが適切な経路で歪みなく内耳に届けられるよう最適化されたハウジング内スペースを創ります。
パッケージ(7.5)
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは価格帯の水準を満たしています。
装着感(8.5)
比較的収まりの良いハウジングで、装着感は良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
MEZE RAI PENTAは出力インピーダンスが十分に大きい場合、全音域で変化が出ます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース(シングルフランジ) Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
RAI PENTAの全体のサウンドバランスはやや中域に寄ったナローなV字型サウンドでむしろM字型と言える形をしており、中低域と中域上部に強調があり、中域中心部が凹んでいます。全体的にやや明るく艶やかに聞こえ、解像度もハイエンドにふさわしい水準のサウンドを持っていますが、低域と高域の両面で拡張性にやや乏しく、中域に少し癖があります。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B-
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B
低域はやや膨張的で、深みは少し物足りません。
重みがあり、パンチの力強さが感じられる低域で、ドラムキックはわりと精彩を感じますが、エレキベースは少し薄い印象を受けます。またランブルは不足しているので、生々しい感じはあまりありません。
量的には中域とよくバランスが取れており、中域中心部がやや低域に対して奥に聞こえる位置にいるにも関わらず、低域の熱気でぼやける感じはあまりありません。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域は中心部で後退して凹んでおり、中域上部は逆に張り出しているため、前傾的に聞こえます。
女声ボーカルは印象的で、温かみのあるふっくらした雰囲気を持ち、明るく前に伸びてくる独特の表現になっています。子音は少し優しく聞こえるバランスになっており、どこか嫋やかでありながら、ほがらかで明るく聞こえるコケティッシュでチャーミングな声色で、RAI PENTAの魅力を感じるとすれば、この独特のボーカル表現にあると言えるでしょう。
ただし、声質は少しハスキーでかすれがちになり、吐息がやや強調されて艶やかさが印象付けられる媚びた雰囲気になっています。
輪郭感はやや緩いので、ギターエッジをはじめ、中域は全体的に丸みを帯びてまろやかに聞こえます。
高域(8.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域は中域の明るさに対して輝度が少し足りない感じがあり、鮮明感は悪くありませんが、空気感には不足を感じ、空間は閉じて聞こえます。
歯擦音やピアース感などは上手に抑えられており、ボーカルはなめらかに聞こえますが、子音は少しはっきりせず、ハキハキした快活さに欠けます。
天井の抜けも悪いので、シンバルクラッシュの音の広がり、爽快感、バイオリンの伸びなどは物足りなく聞こえます。ただ中域が濃厚に聞こえるので、ボーカル音像の印象を重視してこういうチューニングになっているのだと肯定的に捉えることもできるでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:A+
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:C+
- 雅楽のテクスチャ:C+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感の表現はわりと良好ですが、音は全体的にツルツルしており、音場に天井感もあるため、スケール感はやや物足りないでしょう。フルオーケストラを聴くと、各パートがやや近い位置に密集しているように聞こえ、少し窮屈に聞こえますね。
雅楽も少し音が集まって聞こえます。空間的余裕に欠けます。それでも、より小編成の雅楽では、フルオーケストラほど窮屈感は強くありませんが、ちょっと密度が高すぎる印象ですね。また篳篥の音が少しキンキンすると言うか、荒っぽく聞こえる感じが強く、風雅さに欠けます。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:B
- イメージング:A-
- 高域:S-
- 中域:A
- 低域:B-
音場は中域で奥行き感が少し強調されていますが、全体的に前かがみで、低域と高域の両方で拡張性に不足を感じます。
クリア感は平凡で、少しよくありません。価格を考えると、これは大きなウィークポイントでしょう。
解像度は価格の標準以上と言えます。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
MEZE RAI PENTAは独特の中域構造が生み出す印象的なボーカル表現が魅力のイヤホンです。ただし、オーディオスペック的には総合的に価格の水準を満たしているかは微妙なところで、透明度は個人的には少し物足りません。
しかしながら、有料記事で述べましたが、RAI PENTAのオーディオスペックのデータを個別に確認していくと、MEZE Audioが品質管理面で優れており、一流オーディオブランドとして個々のイヤホンのクオリティの一貫性で優れていることが示唆されました。
2022年現在のオーディオ業界では中国ブランドが音響設計で優れた水準を実現していますが、品質管理の面では先進国の一流ブランドに追いついている中華ブランドは稀という状況です。
MEZE RAI PENTAは2022年の一般的な水準からすると、オーディオスペック自体で優れている機種ではありません。しかし、MEZEが品質管理面で非常に丁寧で細心のコントロールをしていることが、複数の測定データから推測できました。一般的な中華イヤホンでは左右があまり一致しない測定値で高い一致率を示すなど、左右のユニットがかなり丁寧にマッチングされています。RAI PENTAだけでなく、99Classicsの測定値でも同様の傾向が見られたので、MEZEのクオリティコントロールは優れた水準にあると予測できます。
一方で、クロスオーバー付近の処理に今ひとつ調整不足が感じられるデータがあったり、歪率の数値が良くないなど、中華イヤホンが当たり前に実現している設計水準に比べると、物足りなさを感じる部分があります。
音質的な特徴
美点
- 価格の水準を満たす解像度
- 比較的高い原音忠実度
- 印象的で魅力的なボーカル表現
- ウォーム
- パンチのある低域
- 艶やかで色気のあるサウンド
- 聞き心地を考えて調整された高域
欠点
- 歪み率が高め
- 窮屈な音場
- 拡張性に欠ける高域
- 深みに欠ける低域
- 爽快感に欠ける
- マイクロディテールの不足
印象的で魅力的な女声ボーカル
パンチのある低域
艶やかで色気のあるサウンド
AMP Re:ゼロから始める異世界生活 レム Winter Maid image ver.
著名なアーティストとタイトーがタッグを組み、プライズの限界を超える作品を目指す最上級フィギュアブランド「ARTIST MASTER PIECE」!
「Re:ゼロから始める異世界生活」よりレムのフィギュアが登場!
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Meze RAI PENTA
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Meze RAI PENTA
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- Meze RAI PENTA
総評
MEZE RAI PENTAは独特の美しいボーカル表現を高い解像度で聞かせてくれる魅惑的な製品です。しかし、オーディオスペック面では歪率の高さ、音場の広がりに欠けるといったハイエンド製品としては不足を感じる部分があり、その独特の表現を好ましく思う場合以外はいまいち価格なりの良さを感じづらい製品でしょう。ただMEZE Audio自体の品質管理は非常に優れている可能性が高く、ハイエンドオーディオにふさわしいコントロールがされていることが推測されます。
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