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MEZE 99Classicsの概要
こんな人におすすめ
- 明るい音が好き
- 元気で快活なサウンドを聞きたい
- とにかく有名な機種は持っておきたいヘッドホンコレクター
- MEZEファン
基本スペック
- 周波数特性:15Hz~25kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:103dB
- 価格帯:30000円~50000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:6.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- はっきり聞こえる明るい中域
- 伸びやかで元気の良いサウンド
- 若々しく溌剌としている音
- 解像度が高い
- 原音忠実度が高い
- 良好なビルドクオリティ
- 軽量で快適な装着感
短所
- 安っぽく、がなりたてるような音
- 深みのない表現
- Honkで気色悪い質感表現
- 明るすぎて軽薄なサウンド
- 悪目立ちしすぎる不快な中域
MEZE 99Classicsの特徴
99Classicsは、ルーマニアのオーディオブランドMeze Audioが手掛けた、天然木製(クルミ材)イヤーカップが目を引く、ナチュラルでシンプルなヘッドホンです。40mmダイナミックマイラードライバーと木製のイヤーカップならではの自然で繊細な響きが、ナチュラルなサウンドをお届けします。
イヤーカップは天然の木材(クルミ材)から1つ1つ削り出されているため、全てがオリジナルの世界に1つだけとなっており、その高級感あふれる固有のデザインは所有欲を満たします。ソフトPUレザーとメモリーフォームによるイヤーパッドで柔らかな着け心地をも実現しています。
公式プロモーション動画
パッケージ(8.5)
MEZE 99Classicsのパッケージは全体として豪華で、価格に十分見合っています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- キャリイングケース
- ケーブル(2種類)
- 航空機アダプター
- 3.5mm→6.35mm変換プラグ
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感は比較的良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
MEZE 99Classicsはアンプ側の出力インピーダンスが十分に高い場合、低域にわずかな影響があるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
MEZE 99Classicsは中域が明るく聞こえるくっきりした印象を与えるヘッドホンです。ただしそのサウンド傾向はいわゆるHonkyサウンドで、音の印象にはっきりした傾向がある一方、音の締まりが悪くて安っぽく聞こえやすく、濁りやしこりのようなものを感じやすいのが欠点です。また全体は高域寄りで低域は基本的に存在感が薄めです。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(6.5)
- 原音忠実度:C+
- 臨場感:C-
- 深さ:B-
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:C
MEZE 99Classicsの低域は全体の中で存在感が強い方ではありません。低域は基本的に遠く、深いところまではよく聞こえないため、レイヤリングに優れているとは言えません。
基本的にこの弱い低域のせいでMEZE 99Classicsのサウンドは明るすぎ、軽薄なサウンドになっており、全体印象は軽やかで朗らかに聞こえますが、低域好きの求める重厚感は全くありません。グルーヴも薄っぺらくなりやすく、表現に深みがありません。
中域(7.0)
- 原音忠実度:A
- 厚み:A-
- 明るさ:A+
- 硬さ:A-
- 存在感:B
MEZE 99Classicsが中域がはっきり聞こえるように調整されており、ボーカルは多くの場合、最前列近くにいますが、高い女性ボーカルは少し奥で埋もれるように聞こえるかもしれません。
中域を前面に聞かせる割にピアノの音が音割れしているかのように安っぽく、不躾で無神経に聞こえるのが単純に不快です。要するに静寂感が足りません。
目立つ中域の質感表現の悪さは聴き心地の悪さに直結しており、たとえば私の大好きな曲、橘麻美「CÅGE」の美しく印象的に聞こえるはずのバイオリンやピアノを警笛のようにおぞましい不快なサウンドで聞かせてきたときには投げ捨ててやろうかと思いました。この独特の中域を好きになれるかどうかがこのヘッドホンを許せるかどうかの瀬戸際になりそうですね。私は無理です。
高域(9.0)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C
- 存在感:C
うるさい中域に比べれば高域はかなりまともです。
鮮明感は高く、中域の明度に対して、輝度は比較的よく釣り合っているように思われます。拡張性の点でも問題がなく、自然な高さを感じられます。歯擦音の強調は少し気になりますが、目立って尖るという感じはありません。
自然な抜けと減衰が感じられる、わりと良質な高域に思えます。
定位/質感
- 質感の正確性:C
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
基本的に妙にギャンギャンしているうるさいクラシックで、私の趣味じゃありません。またバイオリンの音がヒステリックで、脂ぎった音でがなり立てているような安っぽい音です。下品で優雅さの欠片もありません。
雅楽ですか?篳篥の音が下品なので聴く気になんてなりませんよ。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:A-
- 高域:S-
- 中域:A-
- 低域:C+
99Classicsの低域は浅く、中域で奥行きが強調され、高域は十分な高さがあります。
総合的なクリア感は価格の標準は満たしていると思われます。
イメージングは価格の標準以上と言えるでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B
- 個人的な好み:D-
中域をはっきりと聞きたい人にとって、MEZE 99Classicsはそれなりに悪くないかもしれません。
ただ質感の表現が悪く、キンキンギンギンしてうるさい中域はニュートラルサウンドを愛するオーディオマニアには全くウケないでしょう。そもそもオーディオマニアの多くがリファレンスとするフルオーケストラを聞くのに全く向いていません。
音質的な特徴
美点
- はっきり聞こえる明るい中域
- 伸びやかで元気の良いサウンド
- 若々しく溌剌としている音
- 解像度が高い
- 原音忠実度が高い
欠点
- 安っぽく、がなりたてるような音
- 深みのない表現
- Honkで気色悪い質感表現
- 明るすぎて軽薄なサウンド
- 悪目立ちしすぎる不快な中域
- 扁平な音像
明るく朗らか
伸びやかで元気の良いサウンド
溌剌
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + Topping A90でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- MEZE 99Classics
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- MEZE 99Classics
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- MEZE 99Classics
海外レビュー
MEZE 99Classicsの海外での評価については以下の記事で紹介しています。
密閉型ヘッドホン MEZE 99Classicsの海外レビューまとめ
MEZEの人気ヘッドホン「MEZE 99Classics」の海外レビューをまとめて紹介します。
総評
MEZE 99Classicsはブランドの名を不朽にしたという伝説的なヘッドホン……のはずです。実際最新のVGPでも部門金賞を取るくらい、高く評価されています。私が興味を持ったのも、そうした「生ける伝説」を体験したいと思ったからですが……いささか期待はずれですね。基本的に奇妙な音の中域をうるさく聞かせるだけのヘッドホンで、そのサウンドは一言で言えば、アヒルが中に入っているかのような騒がしい音です。狂った調子外れの音を得意げに聴かせてくる気持ち悪いヘッドホンです。
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