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【モニターヘッドホン Marantz Pro MPH-1 レビュー】骨太でウォームな甘いノスタルジックサウンド。ボーカルとベースが近く、全体的に調和的な雰囲気で音楽に浸れる
Marantz Pro MPH-1の概要
こんな人におすすめ
- 骨太なサウンドが好き
- ポップスやR&Bが好き
- ノスタルジックなサウンドが好き
- 装着感やビルドクオリティが良いものがほしい
- 穏やかでウォーム、調和的なサウンドが好き
- コスパ重視
基本スペック
- 周波数特性:15hz~28khz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:95dB
長所
- 骨太なサウンド
- 包容感がある
- 歪みが少なくクリア
- 奥行き感のある音場
- ライブ感のある低域
- 静寂感がある
- 落ち着いた雰囲気
- 心温まるウォームサウンド
- ノスタルジックサウンド
- 比較的輝度が高くディテールは埋没しない
- 心が落ち着くダークサウンド
- ボーカルを聴いているだけで低域がフレームに入って聞き取りやすい
- 良好なビルドクオリティ
- 良好な装着感
- コストパフォーマンスが良い
短所
- 拡張性に欠ける
- 籠って聞こえやすい
- 存在感のわりに深みのない低域
- 緻密さに欠ける
- 輪郭感に欠ける鈍いサウンド
- 分離感に欠ける
Marantz Proについて
Marantz ProfessionalはIn Musicのオーディオブランドで、プロ用のオーディオ製品をリリースしています。In MusicはDENONおよびMarantzのプロ用製品部門をD&M Holdings(現Sound United傘下)から買収しています。
Marantz Pro MPH-1の特徴
marantz Professionalの新しいMPH-1は、小型・軽量で耳に完全にフィットする密閉型ヘッドホンです。40mmドライバーを搭載し、音質を犠牲にすることなく、長時間の使用も快適な、コストパフォーマンスの高いヘッドホンです。
http://marantzpro.jp/mph-1/
MPH-1の主な特長
軽量でコンパクト、ポータブルなデザインのヘッドホン
精度の高いサウンドを実現した精密な密閉キャビティ構造
高品質ステンレス製伸縮アーム
片耳でのモニタリングのし易い180度回転可能フレーム
ステレオミニプラグ端子ケーブル(約2.7m)と標準ステレオプラグ変換アダプター
http://marantzpro.jp/mph-1/
パッケージ(7.5)
プロ用製品なので、梱包は簡素です。
ビルドクオリティ(8.5)
値段は安いですが、比較的ビルドクオリティは良く思えます。コードが外に出ているのだけ気になるかもしれませんが、全体的に頑丈にできています。
イヤーカップは柔軟で、片耳モニタリングも可能です。
装着感(9.0)
安いですが装着感はかなり良いです。側圧も強すぎず、クッションが快適に耳を保護します。
ひとつひとつの楽器が手にとるようにはっきりと
演奏者の息づかいや指の動きまで見えるように
演奏されている空気感が目の前に再現されるように
そんなヘッドホンを愚直なまでに追求した
決して飾らない、現場が育てたプロユース・ヘッドホン
モニタリングと音楽鑑賞の共存を目指した音づくり
録音スタジオなどで使われているモニターヘッドホンの音づくりをそのまま皆様に。
肉声や各楽器の定位、音の粒立ちや輪郭、遠近感、広がりなどを、手に取るように聴くことが出来、演奏者やエンジニアの意図をストレートに表現する。
これがモニターヘッドホンの使命です。
しかし、モニター系の音はともすれば長時間の音楽鑑賞には不向きで聴き疲れしやすいといわれています。
SW-HP10Sは、これらのデメリットを感じさせず、モニタリング志向の本格的ヘッドホンをめざして作られています。
音質
周波数特性
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD+N特性
制動
Marantz Pro MPH-1はアンプ側の出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
詳しい測定値については有料記事に掲載しております。
ラウドネスステータス
音質解説
Marantz Pro MPH-1は重厚感のある低域とボーカル中心にしっかり聞こえる中域が特徴のモニターヘッドホンです。どちらかといえばドラマーやベーシスト向きのモニターヘッドホンで、ボーカルラインを追っていると自然に低域にフォーカスされやすい傾向があります。
低域(8.5)
- 原音忠実度:B+
- 臨場感:C+
- 深さ:B
- 重み:B
- 太さ:B+
- 存在感:B+
Marantz Pro MPH-1の低域は量的にはかなり目立ちます。しかし、量的なインパクトのわりに深さや重さはそれほど強調されておらず、低域は単体で聴くと意外と浮き上がりが良く、腰高に思えるくらいです。
そのため、低域は中域との距離感が近く聞こえやすく、ボーカルを聴いているだけで低域がフレームに入ってくる感じがあります。一部の人にはこの中域と低域が近い傾向によって、籠っている印象を受けやすいでしょう。
量的には少し強調される低域なので存在感は強いですが、重さはそれほどでもないので、その存在感のわりに意外と重苦しさはありません。そのためバスドラムキックは太くどっしりとしていますが、ドカつく感じは強くありません。ボンボンしている感じに聞こえやすいのでブーミーで輪郭がはっきりしない印象があります。
どちらかといえば締まりが悪いように聞こえるドラムより、幅広にブリブリしたサウンドが強調されるように聞こえるベースの熱気が味わい深いような気がします。
全体的にライブ感のある広がりの良い低域ですが、タイトさに欠ける傾向にあります。
中域(8.0)
- 原音忠実度:B
- 厚み:B
- 明るさ:B
- 硬さ:B-
- 存在感:B-
Marantz Pro MPH-1の中域は低域から自然につながっています。低域が中域に近く、深みに欠け、ブーミーな傾向があるために、とくにロックなどを聴くと低域の熱気が中域に滲みだしているように聞こえやすいです。
人によってはかなりライブ感のあるサウンドと肯定的に捉えるかもしれませんが、反対に籠り感がひどいと低評価を下す人もいるでしょう。
中域は高域とは分離的になっており、静寂感と暗い背景があるのでボーカルフォーカスは悪くありませんが、曲によって少し暗すぎるように聞こえるところがあります。
ボーカルは落ち着いて、どちらかといえばアンニュイに聞こえやすいですが、語尾は少し伸びて聞こえます。またサ行もやや強めにシャープに聞こえるので、ニュアンスはわりと聞こえますが、基本的には低域方向でやや埋没的です。
人によってはボーカルの近くで聞こえやすい低域に意識を引っ張られやすく、フォーカスを乱され、気を散らされやすいと思うかもしれません。低域が強いロックや、音数が多いアニソン・EDMなどでその傾向は強いです。
高域(8.0)
- 原音忠実度:B
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:C
- 脆さ:B-
- 荒さ:C-
- 繊細さ:C+
- 存在感:C+
高域は高いマイクロディテールに強調があり、それが鮮明感をもたらしますが、一般的に静かで明るさに欠けます。輝度は高いですが、明度に欠けるといった感じです。
ボーカルの息やハイハットに強調があり、粒立ち感は比較的繊細に感じられ、一定の風通しを感じさせますが、抜けは高くないので、開放感はありません。
明度不足のために中高域の情報量は少し足りなく思えることが多く、音の張りや輪郭感に少し欠け、鈍く聞こえやすいところがあり、構築感で少し物足りないかもしれません。
この鈍さによって、モニターサウンド独特のきつい感じはほとんどありませんが、同時に緻密かつ分析的に音楽構成を聴きたい場面での足かせになります。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音響的焦点:中域下部~低域
- 音場:A-
- クリア感:A+
Marantz Pro MPH-1の音響的焦点は中域下部~低域に存在します。
音場は奥行きに優れ、静寂感がありますが、深さと高さに欠けます。幅は相対的に広く聞こえます。音場は比較的親密な位置に聞こえます。
クリア感は価格を考えるとかなり優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:B
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:A
Marantz Pro MPH-1は低域にフォーカスする傾向が強く、静寂性が高く、厚みのある音楽を聞かせてくれるモニターヘッドホンです。それはベーシスト向きのサウンドに思え、ボーカルラインを追っているだけでベースやドラムといった低域音がよく聞こえ、その力関係を認識しやすくなっています。ベースやドラムの聞こえ方の雰囲気を確認するのに最適でしょう。
また全体的に密度感と充実感、温かみに優れていて、音に包容感があるのがチャームポイントです。
欠点は中域が狭く、高域が少し浮き上がって聞こえやすいところです。また構築感に欠けるため、モニターサウンドと聞いて想像されるような、緻密さがほとんどありません。
音質的な特徴
美点
- 骨太なサウンド
- 包容感がある
- 歪みが少なくクリア
- 奥行き感のある音場
- ライブ感のある低域
- 静寂感がある
- 落ち着いた雰囲気
- 心温まるウォームサウンド
- ノスタルジックサウンド
- 比較的輝度が高くディテールは埋没しない
- 心が落ち着くダークサウンド
- ボーカルを聴いているだけで低域がフレームに入って聞き取りやすい
欠点
- 拡張性に欠ける
- 籠って聞こえやすい
- 存在感のわりに深みのない低域
- 緻密さに欠ける
- 輪郭感に欠ける鈍いサウンド
- 分離感に欠ける
骨太サウンド
静寂感のある暗い背景
ライブ感の高いサウンド
音楽鑑賞
(K)NoW_NAME「Echoes」
この曲を背景が少し暗い雰囲気で骨太に楽しめます。この曲の場合、ボーカルは少し遠く聞こえやすく、太いベースやドラム、ピアノなどの楽器音に若干埋没的な雰囲気はありますが、音像は大きく、充実感と密度感は高めでボリューミーに楽しめます。
低域の深みに欠けるところがあるので、低域音はボンボンと優しく、若干締まりが悪いところがありますが、それが逆に穏やかで調和的なこの曲には合っている気がします。
どこかアナログで輪郭感のはっきりしない、レトロに聞こえるサウンドです。
まふまふ「命に嫌われている。」
このヘッドホンは輪郭が鈍く、ややぼんやり聞こえるところがあるので、この曲の、どこか忘我的な虚無主義の雰囲気に合っている気がします。
それでいて、ドラムが太くしっかりとビートを刻むので、音楽の全体のリズム感は明確です。ボーカルはふっくらして、甘みも強めに聞こえますが、アンニュイでどこか刹那主義的な雰囲気も思わせます。
この太いボーカルはボディがしっかりしているので、サビでは一転して力強さを見せてくれます。
全体的に分離感が悪い雰囲気がありますが、この曲の場合は良い方向に作用している気がします。まあ好み次第でしょうけれども。
スキマスイッチ「アカツキの詩」
この曲のノスタルジックで温かい雰囲気はかなり気持ちよく再現されます。
浮き上がりが良く、太く優しいドラム、温かいギターエッジ、熱気のある穏やかなベース音、吐息が甘くほっこりしているボーカル。
この曲のどこか物悲しく切ないノスタルジアを包まれるように味わうなら、かなり魅力的なヘッドホンでしょう。
「すべての音を、見るために」
どこまでも原音に忠実であること、音色や音像定位の微細な変化を厳密に再現できること。 業務用ニアフィールドモニタースピーカーの世界的なデファクトスタンダードとなったNS-10MシリーズからMSPシリーズ、HSシリーズに至るまでヤマハが一貫して譲らないスタジオモニターの設計理念をヘッドホンに凝縮しました。
スタジオモニターヘッドホンMTシリーズは、高品位で確かなモニタリングを可能とする精確な再生能力、長時間の作業でも疲労の少ない快適な装着感と作業に集中できる高い遮音性、そして過酷な現場にも耐えうる高い耐久性を実現。
プロフェッショナルな音楽制作やレコーディング、ライブSRの要求に高い次元で応えます。
- CCAWボイスコイル採用の45mmカスタムドライバーを搭載し、幅広い帯域で正確なレスポンスを確保
- オーバーイヤー、密閉型デザインにより高い遮音性を実現
- 肌触りの良いプロテインスキンレザーと余計な振動を吸収するクッションを採用した大型イヤーパッドにより快適な装着感と高い遮音性を両立
- 3次元のアームピボット構造と長さ調整が可能なスライダーにより長時間の使用でも疲れにくい装着感を実現
- 可動イヤーカップにより片耳モニターも可能
- 高堅牢性を誇るアルミダイキャストアームと肉厚ABSハウジングにより過酷な環境下での使用も安心
- 様々な用途に柔軟に対応する脱着式ストレートケーブル(3.0m)と取り回しの良いコイルケーブル(カールコード、1.2m)を付属 *φ6.3mmステレオ標準プラグ変換アダプター付属
- ヘッドホンの収納に便利なキャリングバッグ(合皮)を付属
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- Marantz Pro MPH-1(Antelope Audio Amari)
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- Marantz Pro MPH-1(Antelope Audio Amari)
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- Marantz Pro MPH-1(Antelope Audio Amari)
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- Marantz Pro MPH-1(Antelope Audio Amari)
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Marantz Pro MPH-1(Antelope Audio Amari)
総評
Marantz Pro MPH-1はウォームで骨太なサウンドを聴かせるモニターヘッドホンです。業務用モニターらしく、作りは頑丈で、歪率も低く、コストパフォーマンスはかなり高いです。モニターサウンドというには分離感や輪郭感に欠けるところがありますが、その調和的なサウンドはポップスやR&Bを暖かい雰囲気で楽しむのが好きな人には、かなり魅力的な選択肢になると思われます。
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