免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにM-SOUNDSから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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M-SOUNDS MS-TW3の概要
こんな人におすすめ
- ゆったりしたサウンドが好き
- 響きが豊かで充実感のあるサウンドが好き
- 落ち着いて上品な音が好き
- 優美でのびやかな音が好き
- 音場重視
基本スペック
- 連続/最大再生時間:10h/60h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:204-920247
- 価格帯:10000円~20000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
- 通信品質:7.5/10.0
長所
- ダイナミズムに優れる
- 奥行き感のある中域
- のびやかなサウンド
- 繊細
- 爽やか
- 鮮明感に優れる
- ウォームで聴き心地が良い
- パンチの強いサウンド
- 充実感が高い
- 包まれ感がある
- 響きが豊か
- 優美で上品
短所
- エッジ感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輪郭がぼんやりしやすい
- 芯の強さに欠ける、なよなよした音
- ホワイトノイズが多い
- わずかに金属質
- あまり正確でない質感
- 暗い中域
- 解像度が低い
M-SOUNDS MS-TW3の特徴
- 新開発5.9φダイナミックドライバーとQualcomm社最新SoC採用低遅延モード搭載
- 新しい音響技術「HDSS®」を搭載
- 途切れのないサウンド
- 音の世界に入り込めるフィット感
- 大容量バッテリー搭載
- IPX7の防水性能
- イヤホンをタップするだけで簡単操作
- 充実の安心サービス
パッケージ(8.0)
MS-TW3のパッケージは価格の標準を満たしています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。
- Ms-TW3本体
- 専用充電ケース
- Micro USBケーブル
- イヤーピース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格を考えると、標準以上の品質です。
ただし、充電口がMicro-USBタイプだということに注意が必要です。
装着感(8.5)
装着感は良好です。小さな耳でも多分問題ないと思います。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟むと音が途切れ、一貫して聴くのは困難です。
ホワイトノイズは少し目立ちます。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開け、イヤホンを取り出す |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納する |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
曲再生 | 多機能ボタンを1回タップ |
再生停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 右耳側の多機能ボタン を1.5秒長押し |
曲戻し | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
音量を上げる | 右耳側の多機能ボタンを1回タップ |
音量を下げる | 左耳側の多機能ボタンを1回タップ |
通話応答 | 多機能ボタンを1回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを1.5秒長押し |
音声アシスタントの起動 | 多機能ボタンを3回タップ |
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。より詳しい情報が参照できます。
オーディオステータス
音質解説
M-SOUNDS MS-TW3はウォームニュートラル系のV字型サウンドを持っています。中域にゆったりとした厚みと奥行きのある表現と、高域の高い鮮明感で中域を引き立たせる上質なリスニングイヤホンです。
以下のレビューはFiiO M15にaptXでつないで、標準イヤーチップ Lサイズでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B
- 深さ:A-
- 重み:A
- 太さ:A-
- 存在感:A
M-SOUNDSはかなり一貫して低域にこだわりを持ったチューニングをしていますが、MS-TW3の低域も例外ではありません。
存在感が強めで力強く、わずかに膨張感のある低域を持っており、パンチと重みを兼ね備えたサウンドを実現しています。ドラムキックは締まりもよく、力強くて好みですね。ベースも十分に黒く聞こえます。
一方で、臨場感に関わるランブルやサンプはいまいち物足りないため、重低域マニアを満足させるほどの音ではありません。
しかし全体の中での低域の存在感は強く、やや中域に影響を与えやすく、中域の下半分がもやもやしているような感覚があります。
中域(8.0)
- 原音忠実度:A
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域は奥行き感が強調される調整になっています。
M-SOUNDSは中域の響きの豊かさを重視しているところがあり、包まれ感のある充実感の感じられる音作りを好む傾向にあるようです。MS-TW3もM-SOUNDSらしいまろやかな印象を与える音を持っています。
ステージングの強調により、やや横長の広い空間に奥行きのある音楽が形成されます。質感の正確性は犠牲にされており、また超高域の拡張性も足りないために音場に天井感があり、扁平に聞こえますが、立体感の強調されたホールのような雰囲気は人によっては生々しい音に思えるかもしれません。
定位と鮮明感は比較的優れているため、音が暗く、中域の下半分がぼんやりし、みずみずしさに欠けるのを除けば意外とはっきり鮮やかに聞こえる音です。
高域(8.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C+
高域は低域とバランスを取るために、とくに鮮明感を重視してチューニングされています。
M-SOUNDSは中域のまろやかな響きの雰囲気を活かすために高域が金属的にならないよう注意を払った気配があります。やや弱いエッジ、うまく抑制された歯擦音/ピアース感など、刺激的な要素を排除しつつ、鮮明感を強く押し出しています。
中域が暗めで、下半分は少しぼんやりしているのに、女声ボーカルや楽器音が艶やかかつ鮮やかに印象的に浮かび上がってくるように聞こえるのは、この鮮明感を高める丁寧なチューニングの効果でしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:B
- 定位の正確性:A
- オーケストラのテクスチャ:A
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
中域の奥行きが強調されており、ステージは広く、ダイナミックでスケール感のあるサウンドが楽しめるのはプラスポイントでしょう。重厚感もしっかりしています。定位もかなり自然な雰囲気です。しかし、質感は正確でなく、中域は暗くてよく聞こえません。また楽器音は少しツルツルしていますね。中域の響きが美しく、落ち着きもあって上品で、優美な、個人的には好きな傾向の音です。ただ誇張は激しいので、原音忠実主義的なオーディオマニア向きと言えるかは難しいところです。
雅楽も奥ゆかしさが感じられ、和音は少し甲高くギンギンしてうるさく聞こえる傾向がありますが、落ち着いた雰囲気があります。良いとも言いづらいですが、悪くはないですね。個人的には好きな傾向の音です。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:B
- イメージング:B
- 高域:B
- 中域:B+
- 低域:C+
中域で奥行きが強調され、全体も少し遠目に聞こえます。深さはほとんど十分ですが、高さで物足りません。
クリア感は価格帯を考えると平凡です。
今となってはこの解像度では物足りません。
音質総評
- 原音忠実度:B
- おすすめ度:B
- 個人的な好み:A
さて、M-SOUNDS MS-TW3は2019/9/18発売の製品であり、この記事を書いている時点で2年以上前の製品です。2019年はちょうど前年末にNUARL NT01AXやSENNHEISER Momentum True Wirelessが出たこともあり、完全ワイヤレスイヤホンの高音質化が意識され始めた年でした。この年、伝説的なSONY WF-1000XM3とApple AirPods Proが登場し、完全ワイヤレスイヤホンの大衆化が決定的となります。この流れの中で登場したMS-TW3も上品な音作りに当時は驚かされたものでした。
しかし、現在に視点を戻して比較すると、MS-TW3より安いQCY T17やT13のほうがはるかに音質的に優れており、聴き比べるとサウンドクオリティの差は想像以上に大きく、隔世の感があります。とくにチタンドライバーを搭載したT17のほうは解像度や歪率の低さといったオーディオスペックで1万円クラス以上のほとんどの有線イヤホンを凌駕しており、完全ワイヤレスイヤホンの進歩が恐るべき速さであったことが実感できます。
そういうわけで、このレビュー記事執筆時点でMS-TW3をおすすめすることはできません。今の時点から見ると、少しローファイなサウンドを楽しみたい人には悪くないかもしれませんが、2021年時点ではこれより優れた音質のイヤホンが3000円以下で手に入るようになったため、基本的に懐古趣味以外を満足させることはないでしょう。
この記事もどちらかといえば懐古趣味的なものです。というわけで、ANCを搭載し、音質も機能もデザインも進化しているM-SOUNDSの最新作MS-TW33をお忘れなく!
音質的な特徴
美点
- ダイナミズムに優れる
- 奥行き感のある中域
- のびやかなサウンド
- 繊細
- 爽やか
- 鮮明感に優れる
- ウォームで聴き心地が良い
- パンチの強いサウンド
- 充実感が高い
- 包まれ感がある
- 響きが豊か
- 優美で上品
欠点
- エッジ感に欠ける
- 構築感に欠ける
- 輪郭がぼんやりしやすい
- 芯の強さに欠ける、なよなよした音
- ホワイトノイズが多い
- わずかに金属質
- あまり正確でない質感
- 暗い中域
- 解像度が低い
のびやかで優美
爽やかで繊細
響きが豊か
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはaptXで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- M-SOUNDS MS-TW3
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- M-SOUNDS MS-TW3
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- M-SOUNDS MS-TW3
総評
MS-TW3はM-SOUNDS製品の中でも私のお気に入りのリスニングイヤホンでした。ただ、久しぶりにその音を聴いてみると2022年時点ではオーディオスペック的にかなり厳しいですね。いつか新しい構成でサウンドバランスを継承した後継機種が出ることを楽しみにしています。
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