【頭外定位イヤーピース LIZER LAB JIJU JET-2 レビュー】解像度向上が期待できるイヤーピース。ただし上級者向け。初心者にはJIJUFIN推奨

【頭外定位イヤーピース LIZER LAB JIJU JET-2 レビュー】解像度向上が期待できるイヤーピース。ただし上級者向け。初心者にはJIJUFIN推奨 イヤーピース
LIZER LAB JIJUJET-2

免責事項

  1. このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにLIZER LABから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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LIZER LAB JIJU JET-2の概要

こんな人におすすめ

  • イヤホンの中域をもっと前面に出したい
  • イヤホンの解像度を改善したい
  • イヤホンの立体感の再現度を改善したい
  • イヤホンの音をもっと明るくしたい
  • イヤホンの低域を抑えたい
LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2
長所と短所

長所

  • 解像度の向上
  • 中域へのフォーカス感の向上
  • よりホログラフィックなイメージング

短所

  • 低域の大幅な減衰
  • 超高域の減衰
  • ディテール感の悪化
  • 全体的なレンジ感の悪化

LIZER LAB JIJU JET-2の特徴

LIZER LABはイヤホンの課題である頭内定位の解消を目的として、2019年に頭外定位イヤーピースJIJUを製作・販売開始致しました。

逆組したカップにフェーズプラグを組み込む事でカップ内の反響効果や防振対策を行うと同時に、音の方向感を司るとされる耳珠(じじゅ)付近に小さな孔で僅かな音を放出・反射させ取り込み、頭外定位や臨場感、定位感、ノイズ低減等、音質の向上を図っています。

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

今回、マクアケ第2弾の改良型「JIJUJET-2」はカップ部を新色のナチュラル色にするとともに、フェーズプラグの開口径拡大や全長を縮小化し軽量化を図りながら、これまで同等以上の視聴感を体感出来るものと致しました。イヤホンステム部との干渉防止や、外耳道とプラグとの接触防止強化を図りました。また、全体を小型化しながら音道の孔開口面積の拡大化を図りました。(プラグは現行比で全長約0.8mm短縮)

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

パッケージ

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

JIJUはかなりしっかりしたケースに収納されてパッケージされています。

パッケージ内容

  • イヤピース本体
  • 専用ケース
  • 説明書
LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

装着例

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

Tranya F4

LIZER LAB JIJUJET-2

音質

HATS測定環境

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • 小野測器 SR-2210 センサアンプ
  • 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
  • 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
  • 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition

カプラー測定環境

  • Type5050 マイクアンプ電源
  • Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
  • オーディオインターフェース:MOTU M2

アナライザソフト

  • TypeDSSF3-L
  • Room EQ Wizard

音質解説

JIJUJET-2が一般的なイヤーピースから交換した際に変化があらわれると考えられるのは以下の点です。

  • サウンドバランスをより中域寄りにする
  • 解像度の大幅な改善

順を追って説明します。

レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。

  • 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
  • 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
  • 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
  • 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
  • オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
  • クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
  • イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]

これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2
【モニターヘッドホン CLASSIC PRO CPH3000 レビュー】非常に優れた解像度。中高域を重視した鮮やか、かつ艶やかな音

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サウンドバランスを中域寄りにする

以下はOpenAudio Mercuryを用いて測定されたデータです。青が標準イヤーピース、赤がJIJUJET-2です。

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2

一般にJIJUJET-2を使うと低域の深みと量が減り、相対的に中域と高域の存在感が増します。存在感の上昇具合は中域で顕著なので、多くのイヤホンでJIJUは中域を強調する音質変化をもたらすと考えられます。全体的にイヤホンの音をより明るい方向に変化させることが期待できるでしょう。

解像度の大幅な改善

JIJUJET-2はその構造上、直接音と反射音を増大させ、音楽明瞭度に改善をもたらします。それは一般的に解像度の向上として感じられるでしょう。たとえばOpen Audio Mercuryを用いた場合、音楽明瞭度(C80)が15%向上したことが確認されました。解像度の向上により、曲の立体感の再現度は高まり、よりホログラフィックなサウンドを実感できます。

LIZER LAB JIJUJET-2
LIZER LAB JIJUJET-2による音楽明瞭度(C80)の改善、青:標準イヤーピース使用時、赤:JIJUJET-2使用時

JIJUJET-2を使うことによる音質的なデメリット

JIJUJET-2はサウンドバランスをかなり大幅に変化させるため、一般にイヤホンが良質なサウンドバランスに調整されていれば調整されているほど、JIJUJET-2を使うとバランスは悪化します。とくに高域の鮮明感と中域の質感に与える影響は甚大で、チューニングが優れたイヤホンほど、JIJUJET-2を使うことにより、ディテールが悪化し、質感が若干不自然になり、定位感もややあいまいな方向に変化する可能性が高いでしょう。

またJIJUシリーズ一般の傾向として超高域は減衰します。

音質総評

音質総評

JIJUJET-2は一般にとくにボーカル付近を中心に、音楽明瞭度の改善が見込めるイヤーピースです。

しかし、JIJUJET-2がLIZER LABの主張通り頭外定位感を直接もたらすとは私は考えていません(間接的には貢献する可能性があります)。これについては以前JIJUFINとJIJUJETのレビューで詳しく説明しましたので、ここでは繰り返しません。

一般的にJIJUJET-2は低域、とくに重低域が強めのイヤホンで使うことをお勧めします。またディテール感を強調する傾向のあるイヤホンならなおよいでしょう。つまり低域寄りのV字型傾向のイヤホンで使うのがよさそうだと推測できます。

大抵の人にはJIJUJET-2よりJIJUFINの購入を個人的にお勧めします。JIJUFINはJIJUJETシリーズと異なり、解像度を高めながらも低域の減衰がかなり抑えられているため、サウンドバランス全体への影響が少ないからです。

音質的な特徴

美点

  • 解像度の向上
  • 中域へのフォーカス感の向上
  • よりホログラフィックなイメージング

欠点

  • 低域の大幅な減衰
  • 超高域の減衰
  • ディテール感の悪化
  • 全体的なレンジ感の悪化
【頭外定位イヤーピース LIZER LAB JIJU JET-2 レビュー】解像度向上が期待できるイヤーピース。ただし上級者向け。初心者にはJIJUFIN推奨

解像度の向上
中域へのフォーカス感の向上
立体感の向上

Tranya F4

LIZER LAB JIJUJET-2

レコーディングシグネチャー

レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。

レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。

参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。イヤホンはOpen Audio Mercuryを使用しています。

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
  • Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
  • オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
  • レコーディングソフト:Audacity

浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)

楽曲情報
  • 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
  • アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
  • Copyright c Nihon Falcom Corporation

Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
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  1. 原曲(-23LUFS)
  2. Open Audio Mercury + JIJUJET-2
  3. Open Audio Mercury

Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-

楽曲情報
  • 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
  • アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
  • Copyright c Nihon Falcom Corporation
イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
amazon
  1. 原曲(-23LUFS)
  2. Open Audio Mercury + JIJUJET-2
  3. Open Audio Mercury

Formidable Enemy

楽曲情報
  • 楽曲名:Formidable Enemy
  • アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
  • Copyright c Nihon Falcom Corporation
イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]
Formidable Enemy
amazon
  1. 原曲(-23LUFS)
  2. Open Audio Mercury + JIJUJET-2
  3. Open Audio Mercury

総評

LIZER LAB JIJUJET-2は興味深いオーディオアイテムです。それは適切な使用状況下で実際に解像度の点でポジティブな効果をもたらすことが期待できます。しかし、あらゆる製品がそうであるようにネガティブな効果をもたらす面もあります。

リケーブルのようなほとんど効果が期待できない製品と異なり、JIJUシリーズは実際に大きな音質変化をあなたのイヤホンにもたらします。そういう意味で、世にあふれる根拠の不確かなリケーブル製品を買うよりJIJUを買った方がオーディオ趣味的にははるかに投資妙味があるでしょう。

しかし、JIJUシリーズはどちらかといえばハイリスクハイリターンの金融商品のようなもので、うまく使えば理想の音に近づきますが、その特性を理解していないと逆に音が悪化するかもしれないというたぐいの製品です。つまり、どちらかといえばポータブルオーディオ上級者向けのアイテムです。自分の使っているイヤホンの周波数特性などをだいたい理解し、それを実際に想定しながらオーディオアイテムを選択できるというくらいのオーディオ知識を十分に持ったうえで、イコライザーなども活用して自分好みの音をあらゆる角度から検討して追求していく玄人のオーディオマニアが使って初めて、その性能を十全に発揮できるというタイプの商品ということです。

もちろん音の変化を楽しむだけのアイテムとして買うことは否定しません。しかし、JIJUシリーズを初めて試す入門用としてはJIJUFINのほうが、よりローリスクでほぼ同等のリターンをもたらす安全な投資先になるので、最初に買うJIJUはそちらにすることを個人的におすすめします。

Tranya F4

LIZER LAB JIJUJET-2
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