免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
KZ ZNAの概要
こんな人におすすめ
- 低域の深さ重視
- 色気のある音が好き
- サウンドバランス重視
- コスパ重視
基本スペック
- 周波数特性:20Hz-40kHz
- インピーダンス:34Ω
- 感度:112±3dB
- コネクタ:0.75mm 2pin
- 価格帯:3000円~5000円


- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 優れた質感
- 良好な原音忠実度
- 重厚で深みのある低域
- 艶やかで色気のある甘いサウンド
- 滑らかな減衰感のある高域
- 中域への適切なフォーカス
- 良好なサウンドバランス
- スピーカー的な前方定位感
短所
- 不足している高域拡張性
- 物足りない解像度
KZ ZNAの特徴

- DD&BAハイブリッドテクノロジー
- 12mmデュアルマグネティック&キャビティダイナミックユニット
- KZカスタマイズ30095ユニット
- メタルインレイプロセス
- 熟練したチューニング
- 銀メッキOFCケーブル
- 2ピン金メッキコネクター
- 人間工学に基づいた設計
- HiFi音質

ダイナミック型ドライバー+バランスド・アーマチュア 精密な周波数分割で音響的な優位性を補完
ダイナミック型ユニットの中低域の優位性とバランスド・アーマチュア型ユニットの高域の優位性を補完することで、ZNAは全周波数帯域でプロフェッショナルサウンドを出力することが可能です。

ダイナミック型ユニットを新しい振動板でグレードアップすれば、音質は良くなるのでしょうか?
ダイナミック型ユニットの弱点は、高域、特に超高域の性能に不満があることだと言われています。ほとんどのダイナミック型イヤホンのデータは良いのですが、実際の試聴感覚では高域が出ないように感じます。バランスド・アーマチュア型ユニットが高域性能に優れていると認められているのは、ダイナミック型ユニットの振動板下に太いボイスコイルラインが引きずられているのに対し、その振動板下にはボイスコイルラインが存在しないためです。バランスド・アーマチュア型は、振動時の負荷が少ないため、理論的にはダイナミック型よりも効率変換が良好です。ダイナミック型は振動時の負荷が大きいので、負荷の問題はそのまま振動板の振動効率に影響し、歪み率が大きくなります。では、ダイナミック型ユニットの振動板素材を変えれば、ダイナミック型ユニットが生まれ変わると考えるべきなのでしょうか。私たちは最終的に、ダイナミック型ユニットとバランスド・アーマチュアを組み合わせて、互いの長所を補い合い、プロフェッショナルな音響効果を得ることを考えました。

デュアル磁気回路デュアルキャビティ12MMダイナミックユニット
1KHZで約115dBの感度というスペックだけでも、HIFI界隈でのいわゆるプロ用ダイナミックユニットのすべてを凌駕しています。前世代に比べ振動板のサイズが大きくしたことで、振動板の有効振動面積も大きくなり、様々な大きなダイナミックリズムを緻密に解釈し、より広い音場を体験させることができるようになりました。
約0.15MMの磁気ギャップは、ダイナミック型ユニットが一部の微弱な電流信号を明確に捕捉・変換し、イヤホンの超高周波ディテール性能を大幅に向上させることを可能にします。
ダブルマグネットは単なる2つの磁石ではなく、プラスとマイナスの2つの磁石を一定の大きさと角度で対向させ、重ね合わせた磁界を発生させるものです。しかし、専門のダイナミックユニット生産設備がない一部の工場にとってはその生産は非常に困難です。
2016年、KZは徐々に10MMデュアルマグネティックダイナミックユニットを多くの新製品に適用していますが、市場の他ブランド製品の同型ユニットのほとんどは虎と称して猫を描いている(「虎を画きて猫に類す」)だけの偽物のような製品だらけです。
ダイナミック型ユニットにデュアルキャビティ構造を設計する意義は、2つのレゾネーターの容積を調整することで音響カーブを変化させることにあります。一般にフロントキャビティは超高周波8KHz以降の周波数帯域の制御を担当し、リアキャビティは2〜3KHzの共振ピークの位置を正確に制御することができます。

パッケージ(8.0)

パッケージは価格帯の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書など












ビルドクオリティ(8.5)

ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。











装着感(8.5)

装着感は良好です。



音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)

周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。

オーディオステータス

※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。
制動
KZ ZNAはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。

音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KZ ZNAはニュートラルに近いU字型のサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。

低域(10.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+

低域はかなり深くまで伸びています。
バスドラムはランブルも十分に十分な重厚感のあるインパクトのあるサウンドで聞こえます。
エレキベースも十分に黒く、広がりがあり、音楽の底辺に確かなコントラスト感を感じることができます。
低域好きをかなり満足させることができることができるでしょう。重低域マニアも十分に納得できると思います。中域とのバランス感覚も良好です。


中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B+
- 存在感:B

KZ ZNAの中域はほぼ完全にニュートラルです。ハイブリッドですが、かなり低歪で透明度は高めです。しかし、解像度は少し物足りません。
解像度の低さは価格なりとはいえるものの、音楽を平面的に聞かせることになるので、ZNAの音をかなり物足りなくします。KZはシングルダイナミックドライバーよりハイブリッドのほうが音が良いと主張してZNAをリリースしているわけですが、私にはシングルダイナミックでアプローチしたCCA CXSのほうが質が高い中域に聞こえます。とはいえ品質的に大きな差があるかと言われると難しいところです。
確実に言えるのは低域の臨場感と中高域の定位感の差によって、ZNAよりCXSのほうが多くの人にとってより没入的な中域に聞こえる可能性が高いというところでしょうか。一方で、ZNAのほうが中域が前に出て、より濃厚で密度感のある中域に聞こえることが期待できるので、濃い音が好きならZNAのほうが良いでしょう。


高域(8.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C+

KZ ZNAの高域はスピーカー的な前方定位感を意識してチューニングされています。拡張性は物足りません。
精細感は十分で、輝度はほんのわずか足りない可能性がありますが、一般的には十分でしょう。適正音量では歯擦音やサ行の刺さりが目立つことはまずないと考えられ、おそらく高域に敏感な人にもセーフティです。
モニター用途にもそれなりに使えると思いますが、スタジオモニターとしては輪郭がしっかりしていて構築感がよりはっきりするCXSのほうが優れていると思われます。逆に言えば、滑らかでメロウな雰囲気が好きなら、ZNAのほうがおすすめできます。


定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:A
- 雅楽のテクスチャ:A
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco
」(「Dvorak: The 9 Symphonies
」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005
]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽
」(「雅楽~平安のオーケストラ
」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
フルオーケストラ向きのイヤホンとしてKZ ZNAはそれなりにおすすめできる製品です。透明度が高く質感再現度の高い中域、十分に重厚で深みのある低域、滑らかに伸びる倍音、スピーカーを意識した前方定位感のある音場など、総じて低価格のモデルとしては十分以上の水準を実現していますが、スケール感と解像度だけは物足りません。
雅楽も和音が非常に華やかで色気のある音で聞こえるものの、篳篥や笙の音の伸びが悪いのが難点です。


音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A-
- イメージング:B
- 高域:A
- 中域:B
- 低域:C+

低域の深さは標準かそれ以上で、中域は比較的前面におり、高域の高さは物足りません。
クリア感は価格の水準以上です。
イメージング性能は価格なりか少し物足りません。

音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:B+

KZ ZNAは価格帯ではかなりよく調整されたイヤホンの一つだと思いますが、おそらく多くの人にとってCCA CXSのほうが少し優れたパフォーマンスが得られると思います。金属筐体か樹脂筐体かの違いもあり、単純な音質差だけで両者を選ぶわけではないとは思いますが、少なくとも音質で選ぶならCXSに分があるでしょう。
音質的な特徴
美点
- 優れた質感
- 良好な原音忠実度
- 重厚で深みのある低域
- 艶やかで色気のある甘いサウンド
- 滑らかな減衰感のある高域
- 中域への適切なフォーカス
- 良好なサウンドバランス
- スピーカー的な前方定位感
欠点
- 不足している高域拡張性
- 物足りない解像度

優れた質感
滑らかな減衰感のある高域
良好なサウンドバランス








レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90
を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
- アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
- Copyright c Nihon Falcom Corporation

- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZNA
- CCA CXS
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZNA
- CCA CXS
Formidable Enemy
- 楽曲名:Formidable Enemy
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZNA
- CCA CXS
総評
KZ ZNAは低価格でバランスの取れたニュートラルに近いサウンドシグネチャーを提供する優れたイヤホンです。ビルドクオリティも悪くなく、総じて価格以上の満足度をもたらしてくれると期待できるものの、解像度は少し物足りません。
![【特集】個人的に気に入っているコスパ最強の中華イヤホンを紹介します[10000円~20000円編] 【特集】個人的に気に入っているコスパ最強の中華イヤホンを紹介します[10000円~20000円編]](https://i0.wp.com/cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kanbun/20210922/20210922100044.jpg?w=1256&ssl=1)
HiFiGOは、現在購入できるHiFi IEMのトップ5をテストしてリストにまとめることで、あなたを助けようと思います。このリストは、$500以下の価格帯から選ばれています($100以下のベスト、$200以下のベスト、など)。
コメント