免責事項
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KZ ZEXの概要
こんな人におすすめ
- 濃厚感のある音が好き
- ブーミーな音が好き
- 甘くふっくらしたサウンドが好き
- 籠もった音が好き
- コスパ重視
- KZファン
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~40kHz
- インピーダンス:25Ω
- 感度:103dB
- ケーブルコネクタ:0.75mm 2pin
- 価格帯:1000円~3000円


- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:7.5/10.0
- 低域:6.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.5/10.0
長所
- ウォームで聴き心地が良い
- 優れたダイナミズム
- 奥行き感のあるサウンド
- ノスタルジック
- 濃厚感がある
- 解像度に優れる
- 優れたビルドクオリティ
短所
- 彩度に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- ブーミーな低域
- 扁平なボーカル表現
- 音像一貫性に欠ける
- 人によっては露骨に籠もって聞こえる音
KZ ZEXの特徴
歪みの少ない静電型
音響機器にとってより低いTHD(高調波歪)で正確な音像を提供することが最大の課題です。静電型ツイーターは同様の機能を提供するバランスド・アーマチュアドライバーより低歪でサウンド出力できるため、ハイブリッドドライバーイヤホンの長年の課題であったTHDの問題を解決することができます。KZ ZEXも既存のKZ製品より低い低歪を実現したそうです。
高密度なサウンド
静電容量方式のKZ ZEXの高密度なサウンドとハイレゾ音源に対応する性能は、ボーカルの響きを良くし、より大きく、よりクリアなサウンドパフォーマンスを実現します。
駆動しやすい
従来の高電圧静電ドライバーに比べ、低電圧静電ドライバーは、スリムなサイズのイヤホンでも駆動しやすくなっています。スマートフォンでも十分な解像度で音楽を楽しめるでしょう。
安定した品質
低電圧静電技術の品質安定性はダイナミック&バランスド・アーマチュアよりもはるかに優れています。
低価格でありながら美しい3色展開
KZ ZEXはブラック、ローズゴールド、グラファイトの3色から選ぶことができます。

パッケージ(7.5)

パッケージはシンプルです。価格が価格なので、標準的な水準と言えます。エコで環境に優しいと肯定的に評価することも可能です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
ビルドクオリティ(8.5)


外観のビルドクオリティは価格帯の水準以上です。かなり良く出来ていますね。








装着感(8.5)


重量感がありますが、装着感はかなり良好です。






音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)


周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。


オーディオステータス


※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。
制動
KZ ZEXは出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。


音質解説
KZ ZEXは緩いW字型と言うか、V字型の変形したサウンドシグネチャーを持っています。ウォームで充実感が高いサウンドを持っており、ダイナミクスにも優れているため、わりと楽しく聞こえますが、太く分厚く濃厚に聞こえやすい傾向があるので、中域に圧迫感がありますね。また中域の音像は基本的に扁平で、展開力に欠けます。独特の奥行きとダイナミズムがあるのは楽しいかもしれません。
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。


レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。






低域(6.0)
- 原音忠実度:A
- 臨場感:C+
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B+


KZらしい安っぽいブーミーな低域です。
力感があって楽しいですが、膨張的で締りが悪く、中域に濁りが出やすい傾向があります。音楽がパワフルにしっかりと聞こえますし、パンチが強くてグルーヴ感があるので、オーディオマニアでない消費者が好む傾向の楽しい音です。
ブーミーサウンドを好む初心者の低域マニアにウケが良いでしょうが、ガチガチのベースヘッドからすると逆に軽蔑すべき締まりの悪い音で、ドラムの重み、ベースの黒さ、どちらも足りてなく、とってつけたように量で勝負している、質の悪さが目立って思える音です。
ドラムの皮がたるんでるように聞こえたり、定在波が多すぎるように聞こえる低域で、レイヤリングが非常に悪いです。
中域(7.5)
- 原音忠実度:A
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B


中域は厚みが強調されており、充実感があります。
一般にボーカル音像が妙に押し出されて聞こえてきますし、中域は密度が高すぎて分離が悪く聞こえます。かなり充実感が高いので、ノスタルジックに思え、ふっくらした甘みを感じることができるので、どことなく叙情的な音ではあり、とくに少し淑やかに聞こえる女声ボーカルは人によっては魅力的に思えるかもしれません。実際私も個人的趣味から言えば、わりと好みです。
しかし慣れてくると、声の伸びが悪く、カラオケルームで歌っているようであり、素人っぽく聞こえるように思えてきます。そうなると、一気に萎えるでしょう。
楽器音も色味が悪く精彩を欠き、妙にグルーヴだけは感じられるカラオケボックスの演奏のようです。
音場も狭く感じられやすく、率直に言って第一義的には質が良くない中域ですが、そこらへんの高級イヤホンより解像度が高いため、意外と聴き応えがあったりするので世の中わからないものです。籠もった音でも、きれいに聞こえると案外説得力があります。
高域(8.5)
- 原音忠実度:C
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C-
- 存在感:C


静電型(正確には静磁型)の良さをあまり活かせてないような、やや伸びに欠ける高域ですが、わりと悪くないバランスに思えるので、世の中不思議なものです。
鮮明感を重視して調整されているわりに、おそらく中域の音像がぼやけているのと、耳介ゲインがやや多めに抑制されているおかげで、歯擦音の尖りが比較的少なく感じられます。
妙に密度が高く、しかも少しまごついて聞こえる、あまりはっきりしない中域に比べて、ハイハットはわりと元気にギラついて聞こえ、音楽に良いアクセントをもたらしています。残念ながら空気感が足りないので、輝度が高めのわりにすっきりせず、爽快感の足りない音ですが、濃厚すぎる中域の明度とはわりとバランスが取れているようです。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco
」(「Dvorak: The 9 Symphonies 」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005 ] - 雅楽:宮内庁楽部「越天楽
」(「雅楽~平安のオーケストラ 」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
普通の人はカラオケボックスでフルオケを聞くことはないでしょう。全体的に籠もって鮮度が悪く、深みも高さもないので安っぽい音です。妙に押し出して聞こえてくる余裕の感じられない演奏で、壮大さに欠けます。
雅楽ですか?最初は奥ゆかしい篳篥の音が一瞬味わい深いかなと思いますが、すぐに不釣り合いに甲高い和音が気色悪く聞こえてくるので、そこで再生停止です。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:A-
- イメージング:A-
- 高域:S-
- 中域:A-
- 低域:B-


中域で奇妙な奥行き感が強調され、低域と高域は基本的に不足しています。密度が高すぎる音に聞こえがちです。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能は価格を考えると破格です。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:C+


KZ ZEXはひどいサウンドバランスの音を優秀なドライバーで聴かせてくる奇妙なイヤホンです。つまり、そこにあるのはいつものKZです。
どんなに優れたドライバーを低価格で提供できようと、チューニングが悪ければすべてが台無しというイヤホンの典型例ですね。
音質的な特徴
美点
- ウォームで聴き心地が良い
- 優れたダイナミズム
- 奥行き感のあるサウンド
- ノスタルジック
- 濃厚感がある
- 解像度に優れる
欠点
- 彩度に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 構築感に欠ける
- ブーミーな低域
- 扁平なボーカル表現
- 音像一貫性に欠ける


ウォームで聴き心地が良い
優れたダイナミズムと解像度
グルーヴ感と濃厚感に優れる


レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
- アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
- Copyright c Nihon Falcom Corporation


- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZEX
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZEX
Formidable Enemy
- 楽曲名:Formidable Enemy
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZEX
総評
KZ ZEXの技術的パフォーマンスは素晴らしく、わずか3000円以下で買えるイヤホンでありながら、ハイエンドに匹敵するサウンドを提供します。しかし、チューニングがいつものKZの趣味を追求した、万人受けしない調整になっており、基本的に非常にニッチで一部のリスナーしかこれに満足することがないでしょう。スコアは技術的パフォーマンスの加点が大きいのでよく見えますが、おすすめ度は平凡以下です。つまり、素晴らしい素材で奇妙なサウンドを作るのが好きな、いつものKZがそこにあります。
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