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KZ ZARの概要
こんな人におすすめ
- 重厚感重視
- シックな暗いサウンドが好き
- 高域に敏感
- ウォームサウンドが好き
基本スペック
- 周波数特性:20-40000Hz
- インピーダンス:16.5±3Ω
- 感度:109±3dB
- コネクタ:0.75㎜ 2pin
- 価格帯:10000円~20000円


- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
長所
- 優れた質感
- 上品でシック
- 良好な原音忠実度
- 深みがあり重厚な低域
- 耳当たりが優しいメロウサウンド
- 濃密な中域のリッチサウンド
- 響きが豊か
- スピーカー的な前方定位感
短所
- 高域の拡張性に欠ける
- 繊細さに欠ける
- 構築感に欠ける
- 暗い中域
- CCA CXSなどのよりコスパに優れた兄弟機の存在
KZ ZARの特徴

- オーディオマニアのためのUカーブサウンドシグネチャー
- 人間工学に基づいたイヤホン
- アップグレードされたケーブルが奏でる素晴らしいサウンド
- スマートな操作性

1DD+7BAユニットによるフルレンジの卓越性
感動的なサウンドは、最高級のハードウェアに支えられています。ZARは、周波数分割技術の向上により、全8基のユニットの能力を余すところなく発揮し、聴きごたえのあるサウンドを実現します。30019と3基の50024Sバランスド・アーマチュアが超高域と中高域の表現力と透明感を高め、クリアでクリーン、そしてまろやかな高音域が得られます。また、高精度な磁気回路を搭載したダイナミック型ユニットにより、ボーカルやベース音も鮮やかに再現し、臨場感あふれる深いサウンドをお届けします。

オーディオ愛好家のためのUカーブサウンドシグネチャー
ハードウェアのポテンシャルはすでに素晴らしいものですが、ZARのチューニングは音響性能をさらにレベルアップさせました。ZARは、低音と中高音を強調したU字型のサウンドシグネチャーを採用し、より多くの方のニーズに応えられるようチューニングしました。このチューニングにより、楽器の分離が良くなり、愛する音楽のディテールを捉えやすくなり、よりリアルで自然なリスニングを実現します。

人間工学に基づいた、精緻なクラフトマンシップのイヤホン
ZARの外観は、もちろんそのパワフルな性能にマッチしています。ケーブルは金メッキを施し、より美しい色合いに仕上げ、針が折れないように配慮しました。フック型のデザインは耳に心地よくフィットし、長時間のリスニングでも不快感を感じさせません。


スマートコントロール
ケーブルにある便利なボタンで、通話/音声/音楽鑑賞を簡単にコントロールできます。音楽の一時停止/再開、電話の応答/切断は1回クリック、着信拒否は長押しで。また、ダブルクリックで次の曲、トリプルクリックで前の曲と、曲の切り替えも自由自在です。

パッケージ(7.5)

パッケージは価格帯の標準を満たしています。いつものKZのパッケージで価格のわりには物足りません。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書

















ビルドクオリティ(8.5)

ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。










装着感(8.5)

装着感は良好です。



音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)

周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。

オーディオステータス

※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。
制動
KZ ZARは8ドライバーハイブリッドにも関わらず、アンプの出力インピーダンスの影響をあまり受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。

音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KZ ZARは低域が少し多めに調整された、ほぼニュートラルなサウンドバランスになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。

低域(10.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-

低域はかなり深くまで伸びています。
バスドラムはランブルも十分に十分な重厚感のあるインパクトのあるサウンドで聞こえます。
エレキベースも十分に黒く、広がりがあり、音楽の底辺に確かなコントラスト感を感じることができます。
低域好きをかなり満足させることができることができるでしょう。重低域マニアも十分に納得できると思います。中域とのバランス感覚も悪くはないですが、やや低域が強すぎる傾向があります。特に普段音量を大きめに聞く人には低域量はやや過剰でしょう。

中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B

KZ ZARの中域はほぼ完全にニュートラルです。8ドライバ―も搭載しているハイブリッドモデルですが、中域はかなり低歪です。
中域の構造は中心部がわずかに凹んでおり、少し奥行き感が強調されています。中域は少し暗い位置で聞こえ、ボーカルは少し大人びて、陰気に聞こえます。エッジ感はかなり抑えられており、中域はまろやかに聞こえる調整になっています。ギターは少し色づきが地味で、スネアもややキレが足りない感じで聞こえやすいでしょう。輪郭が丸く、中域の分離感は少し物足りなく思えますが、そのかわり調和的で温かみのある穏やかな雰囲気になります。また、超高域がかなり閉じているために、中域には濃厚感があります。男性的で骨太な包容力を感じる、懐の深い、安心できる音に聞こえる人もいるでしょう。
少し響きがにじんで聞こえる、ふくよかでノスタルジックな感触がある中域はたとえば、ヨルシカ「花に亡霊」のような曲やハコニワリリィ「キョリ感」のような曲をほっこり懐かしいような雰囲気で楽しむには悪くない気がします。ただ、ディテール感は悪くないほうだと思いますが、少し物足りない感じが出やすいでしょうね。


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高域(8.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C+


高域は精細感を重視してチューニングされていますが、拡張性はかなり物足りません。
ディテール感はおそらく十分ですが、人によっては少し物足りないでしょう。繊細さも少し物足りない気がします。
高域全体のエネルギーはかなり弱く調整されているため、高域に敏感な人でもかなりセーフティですが、分析的な音が好きな人はわりと不足感を感じやすいでしょう。




定位/質感
- 質感の正確性:S
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco
」(「Dvorak: The 9 Symphonies 」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005 ] - 雅楽:宮内庁楽部「越天楽
」(「雅楽~平安のオーケストラ 」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
質感はかなり正確ですが、やや重厚感が強すぎ、倍音のつながりは良いものの、ディテールや繊細さは少し物足りないので、ダイナミズムはやや不足を感じる可能性があります。また中域はやや暗すぎる印象なので、暗い音に気品を感じる人、現実のホールで聞くような雰囲気を好む人には好まれるでしょうが、中域の透明度を重視するタイプの原音忠実主義者には少し不評の可能性があります。そしてスケール感はかなり物足りません。
雅楽も少し雰囲気が暗すぎて華やかさに欠ける感じがあるのを好むかどうかによる点が大きそうです。また、全体的に空間が閉じていて、竜笛や篳篥の伸びは物足りません。




音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+


低域の深さは少し物足りず、中域はかなり前面におり、高域の高さは不足しています。
クリア感は価格の水準以上です。
イメージング性能は価格の水準以上です。




音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:S+


1DD+7BAというかなり多数のBAドライバーを組み合わせたハイブリッドモデルであるにもかかわらず、KZ ZARの歪率はかなり低く、制動特性もかなり一貫しています。インピーダンスによる周波数特性への影響は1DD+1BAのKZ ZNAより少なくなっています。
このことから、KZはZARではシングルダイナミックドライバーを主軸に使い、局所的にBAドライバーの音を少しずつ付け足すようなチューニング手法をとった可能性があります。別の可能性は彼らが64Audio並みの制動特性チューニング技術(リニアインピーダンス設計)を身に付けたという選択肢です。
音質的にはZARはKZ ZNAやKZ DQS、CCA CXSなどの最近のKZの典型的なシグネチャーモデルの系譜に属し、その中でもDQSと並んで低域寄りのモデルと言えます。


これらの中では一番高額なモデルですが、おそらく多くの人にとって、実際には価格差を正当化するほど音質差はありません(響きが豊かで骨太の力強い低域と濃密な中域が聞けるサウンドなので、たぶん多くの人にとって聞こえ方が一番リッチな気がするとは思いますが)。したがって、一番万人向きでこの中で最も良いサウンドバランスと音響特性が期待できるCCA CXSを買うのが、多くの人にとって多分最適解に近いでしょう。
レビュアーの立場を離れて個人的好みで言えば、かなり好きな音ですね。
音質的な特徴
美点
- 優れた質感
- 上品でシック
- 良好な原音忠実度
- 深みがあり重厚な低域
- 耳当たりが優しいメロウサウンド
- 濃密な中域のリッチサウンド
- 響きが豊か
- スピーカー的な前方定位感
欠点
- 高域の拡張性に欠ける
- 繊細さに欠ける
- 構築感に欠ける
- 暗い中域
- CCA CXSなどのよりコスパに優れた兄弟機の存在

深みがあり重厚な低域
上品でシック
濃密でメロウな中域








レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
- アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
- Copyright c Nihon Falcom Corporation


- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZAR
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZAR
Formidable Enemy
- 楽曲名:Formidable Enemy
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ ZAR
総評
KZ ZARは低域寄りの重厚で濃密感のあるメロウなニュートラルサウンドを実現している機種です。最近のKZのモデルの中ではおそらくかなり癖が強いほうではあるので、万人向きとは少し言い難いですが、低域をとくに重視して聞きたい場合は、かなりおすすめできる機種です。ただし、一般的にはより安い兄弟機のほうがコストパフォーマンスで優れているため、あえてこれを買う必要はあまりないような気がします。
この記事では、世界中のオーディオ情報を収集している当ブログが、今最も評価が高く、最先端で流行している中華イヤホンの中から、1万円以下で買えるお財布に優しい機種を紹介します。
ここに紹介する機種は「実力派オーディオマニアがこぞって称賛したもの」と「一般的なオーディオファンから高い人気を得たもの」ばかりで、定まった評価をすでに確立している最新機種ばかりです。
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