免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにKZから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
KZ × HBB DQ6Sの概要
こんな人におすすめ
- 深みのある低域が聞きたい
- ウォームなサウンドが好き
- ビルドクオリティにこだわる
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~40kHz
- インピーダンス:25Ω
- 感度:116dB
- ケーブルコネクタ:0.75mm 2pin
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 比較的高い原音忠実度
- すっきりした中域
- ウォーム
- 深みのある低域
- 良好なビルド
短所
- 構築感に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 鮮明感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
KZ × HBB DQ6Sの特徴
- 金属と透明な素材をキャビティシェルに採用
- より良いレイヤー感と透明感を実現する3周波イコライザー
- 各周波数帯域に対応したアレイ型デュアルマグネティック・ドライバーを搭載
- 6mm径ダイナミックドライバーと10mm径ダイナミックドライバーをそれぞれ1基ずつ搭載
パッケージ(7.5)
ビルドクオリティ(8.5)
外観のビルドクオリティは価格帯の水準以上です。最近のKZはビルドクオリティが以前とは格段に違うほど上がっていますね。
装着感(8.5)
比較的収まりの良いハウジングで、装着感は良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
KZ DQ6Sはアンプ側の出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KZ DQ6Sのサウンドシグネチャーは中域充実系のウォームニュートラルサウンドです。Tripowin×HBB Meleも同じようなウォームニュートラル系のサウンドだったので、これはコラボしたHBBの好みのサウンドなのでしょう。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-
低域はかなり深くまで到達しており、十分に直線的なので、レイヤリングも優れており、深くまで見通せます。
重みがあり、パンチの力強さが感じられる低域で、ドラムキックも生き生きしており、ベースラインも十分な熱気と黒さが感じられます。ランブルも比較的よく出ているので、わりと生々しさが感じられます。
量的にも質的も低域好きをかなり満足させるサウンドに思えます。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
驚くほど質感が正確だったMeleの中域に比べると、少しバランスが悪化していますが、それでも十分にニュートラルです。
Meleに比べるとエッジ感やクランチ感が弱くなっており、中域がすっきりして薄味になっています。エレキギターやボーカルは明らかにMeleのほうが印象的で鮮やかに聞こえ、スネアのアタックも生き生きしているため、ロックを聞くならMeleのほうがおすすめできます。また、Mele同様高域で少し鮮明感に欠けるため中域がぼんやりする印象を受けます。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C
高域は中域の明るさに対して輝度が少し足りない感じがあり、鮮明感は悪くありませんが、空気感には不足を感じ、空間は閉じて聞こえます。
Meleに比べると中域がおとなしくなった分、高域の存在感が増しており、空気感や爽快感、鮮明感が改善されています。
それでもシンバルクラッシュは地味で広がりが悪く、爽快感に欠ける傾向があり、バイオリンも伸びやかさで物足りません。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:D+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
Meleに比べると奥行きと高さが強調された音場になったため、Meleで感じたダイナミズムとスケール感の不足は改善されましたが、Meleの音に比べると全体的に甲高さが感じられるようになり、ややアグレッシブさの強いサウンドに聞こえます。また中域がすっきりしたせいでみずみずしさに欠ける傾向があり、バイオリンはのびやかになったのですが、ドライでヒステリックに聞こえやすくなりました。一長一短ありますが、個人的にはMeleのほうが好きですね。
雅楽も中域が薄くなったせいで篳篥が甲高いのが少し耳に痛いです。和音も金属質でブリキのようにうるさくギンギンする傾向があります。雅楽は明らかにMeleのほうが落ち着いて聴けますし、風雅ですね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+
低域の深さは十分で中域で奥行きが強調され、高さは少し物足りません。
クリア感はかなり優秀です。
イメージング性能はかなり優秀で、価格帯ではかなり良いように思います。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
KZ DQ6SはMeleと同じようなウォームニュートラルサウンドをより高域を強調する形に再構成したようなサウンドです。
ダイナミズムに改善が見られますが、それでも一般的にはやや不足気味で、中域の表現力はかなり劣化したのをどう考えるかです。一般にオーディオマニアは中域にこだわる傾向があるため、よりオーディオマニア向きと言えるのはMeleでしょう。DQ6Sはより深みと精彩のある低域と改善された高域により、Meleより楽しさを重視したサウンドです。
音質的な特徴
美点
- 比較的高い原音忠実度
- すっきりした中域
- ウォーム
- 深みのある低域
欠点
- 構築感に欠ける
- 爽快感に欠ける
- 鮮明感に欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- マイクロディテールの不足
比較的高い原音忠実度
すっきりした中域
深みのある低域
AMP Re:ゼロから始める異世界生活 レム Winter Maid image ver.
著名なアーティストとタイトーがタッグを組み、プライズの限界を超える作品を目指す最上級フィギュアブランド「ARTIST MASTER PIECE」!
「Re:ゼロから始める異世界生活」よりレムのフィギュアが登場!
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ × HBB DQ6S
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- KZ × HBB DQ6S
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- KZ × HBB DQ6S
総評
KZ × HBB DQ6SはHBBコラボモデルらしい低域を重視したサウンドを持っており、低域の質に関して言えば同様のコラボモデルであるMeleより優れています。ただし、Meleの息を呑むほど正確だった中域の質感表現はここでは後退し、少し薄く聞こえるようになりました。ダイナミズムは改善されているため、Meleの穏やかなサウンドが好みでない人には、DQ6Sのほうが魅力的に映るでしょう。
コメント