免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにKZから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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KZ EDX Ultraの概要
こんな人におすすめ
- 中域の質感重視
- 高域に敏感ではない
- 重厚感重視
基本スペック
- 再生周波数:20-40000Hz
- インピーダンス:26Ω
- 感度:112±1dB
- ピンタイプ:0.75mm 2pin
- 価格帯:1000円~3000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:9.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:6.5/10.0
- 中域:10.0/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 原音忠実性が高い
- 良好なボーカルフォーカス
- 優れた質感表現
- 重厚感のある低域
- 前方定位的
- 繊細に聞こえる高域
- わりと良好な高域拡張
- 優れたビルドクオリティ
短所
- 刺さりやすく刺激的に聞こえやすい高域
- よくない定位感
KZ EDX Ultraの特徴
- 10mmデュアルマグネティックダイナミックユニットがバージョンアップ
- ハイエンド樹脂&メタルインレイプロセス
- 高純度銀メッキケーブルと改良型2Pプラグイン構造
- 人間工学に基づいたデザイン
- 肌に優しいソフトなシリコンイヤーチップ
新たにバージョンアップした10mmデュアルマグネティックダイナミックユニット
デュアルマグネティックサーキットダイナミックの特長は、しっかりとした豊富な磁力により、衝撃的な低域の効果音と、コンサートシーンにいるかのような優しく甘いボーカルを実現することにあります。KZ EDX Ultraが搭載するユニットの磁束は、オリジナルをベースに再度改良され、中低域のエネルギーがより飽和し、低音の性能が向上しています。
ハイエンド樹脂&メタルインレイプロセス
輸入樹脂のキャビティに、鮮やかなメタルオーナメントをマッチングさせています。インレイ技術により、キャビティと金属カバーを密着させ、KZ EDX Ultraの優れた質感を表現しています。
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の標準を満たしています。外箱はシンプルで紙製なので、処分は楽です。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- 説明書
ビルドクオリティ(9.0)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。むしろ価格以上ですね。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
KZ EDX Ultraはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KZ EDX Ultraはニュートラルサウンドを意識した中域充実系のサウンドバランスになっており、透明度の高い中域を丁寧に聴かせるイヤホンです。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:B+
低域はニュートラルを意識した自然に深みを強調するバランスになっており、かなり優れています。
バスドラムキックのドンはかなりしっかりしており、インパクトは十分で、エレキベースも十分に黒く、重厚感はしっかりしています。それでいて中域にかからないくらいの、わりと絶妙なバランスになっています。
この比較的良質な低域は、CCA CRAとかなり共通しており、最近のKZが低域づくりの勘所を掴んで、スタンダードを確立しつつあるかもしれないことを示唆します。
中域(10.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
中域はかなりニュートラルに近く、質感表現はほぼ完璧です。
中域は透明度が高く、艶やかでみずみずしく、なめらかに聞こえます。ただし、ボーカルは少し違和感が強いです。高域で若干ピアースが強めになっているため、ややサ行が尖りがちになるせいでしょう。シ音なんか少し刺さるような感じに強調されて耳に残るので、個人的にはかなり気になりますね。率直に言って子音の処理はCRAのほうが優れていました。
このピークは楽器音にも妙にガサガサする感じを生み出しており、聴き心地は少し安定しません。
とはいえ、こうした欠点は実際には高域の問題に由来しており、中域は単体としては非常によくできています。
高域(6.5)
- 原音忠実度:A-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:C
- 荒さ:C-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
高域は一見よく調整されているように見えますが、実際にはEDX Ultraの最大の弱点です。
高域は中高域でいったんかなり早くロールオフしながら、高いところに鋭いピークができる傾向にあるため、ピアース感が強く感じられます。全体のバランスは悪くないように見えるにもかかわらず、実際には相対的に高域が強いCRAより、EDX Ultraの高域が刺激的に聞こえやすいのはこのためです。
このせいでサ行が妙に刺さって感じられたり、一部の楽器がリンギングするような印象を持ったりする可能性があり、とくに高域の刺激に敏感な人には露骨に不快な要素となるでしょう。
定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:D+
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
中域の質感の正確性と十分な重厚感はEDX Ultraをそれなりにクラシック向きに感じさせますが、高域の不自然さがダイナミズムや定位感に悪影響を与えています。バイオリンの音が妙にひょろ長く、シュリシュリしていたり、シンバルクラッシュの音が妙にシュワシュワしているのが気になるところです。
雅楽を聴いてみましょう。こちらでも篳篥が妙にさわさわして鳴っているように思えるところがあり、和音も妙に白っぽくひょろ長く聞こえます。耳に痛いというほどではないのですが、妙にささくれ立っており、なんだか落ち着きませんね。聴き慣れると繊細な感じと思えるところもあり、これはこれで悪くないかもしれないと思えるところもありますが、自然な倍音ではありません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+
深さは十分で中域も比較的前面に聞こえ、高域は価格を考えると、十分な高さがあります。
クリア感は価格を考えると優秀です。
イメージング性能は価格を考えるとかなり優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
KZ EDX UltraはKZが以前とは異なり、優れたチューニングを身に付けつつあることを示唆するかなり練られたイヤホンです。しかし、高域に明確な弱点があるために、それは万人向きではありません。
個人的には同じ価格帯では高域や低域を重視する場合はCCA CRAを、中域を重視する場合はTripowin Leaをおすすめします。
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- 良好なボーカルフォーカス
- 優れた質感表現
- 重厚感のある低域
- 前方定位的
- 繊細に聞こえる高域
- わりと良好な高域拡張
欠点
- 刺さりやすく刺激的に聞こえやすい高域
- よくない定位感
原音忠実性と質感再現度が高い
重厚感のある低域
前方定位的
初音ミクレーシングver. ESPRESTO est Print&Hair レーシングミク2019 TeamUKYO応援ver.
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- KZ EDX Ultra
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- KZ EDX Ultra
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- KZ EDX Ultra
総評
KZ EDX Ultraは価格以上のオーディオスペックとビルドクオリティを持つ優れたイヤホンですが、高域で癖が出やすく、それが弱点になりやすいという欠点を持っています。高域に敏感な人には刺さりが感じられて向かない可能性が高く、それだけが欠点ですが、それを除けば比較的おすすめしやすい選択肢です。
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