免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにKiiBOOMから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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KiiBOOM Evokeの概要
こんな人におすすめ
- サウンドバランス重視
- ウォームなサウンドが好き
- 音像一貫性重視
基本スペック
- 再生周波数:20-44000Hz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:112dB
- ピンタイプ:2pin 0.78mm
- 価格帯:20000円~30000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 正確な質感表現
- 音像一貫性に優れる
- 良好なサウンドバランス
- 中域への適切なフォーカス
- 前方定位的
- 艶やかなサウンド
- 重厚
- 聴き心地が良い
- ウォーム
- 優れた原音忠実度
短所
- 高域拡張性の不足
- 中域の透明度に欠ける
- 低域の量は低域好きを満足させられるか微妙なところ
- 平凡なパッケージ
KiiBOOM Evokeの特徴
Evoke – 音楽と精密さが融合する場所
Evokeは、低音用のシングルダイナミックドライバー、中音用のフルレンジバランスド・アーマチュアドライバー、高音用のマイクロツイーターバランスド・アーマチュアの組み合わせで設計されたハイブリッドインイヤーモニターです。この3つのドライバー構成は、パフォーマンスと効率の比率において、すべての世界のベストバランスを実現しています。
イヤホンサイズに収められた強力なサブウーファー
新しい10mmダイナミックドライバーには液晶ポリマー(LCP)膜を採用し、深みのあるパワフルな低音域のレスポンスを実現しています。Evokeは、他のモデルと同様、音響的な正確さを第一に設計されており、スタジオ・モニターのような音色の特徴を備えています。これは、楽器やボーカルの正確な音色のために中音域をニュートラルに保ちながら、轟くようなサブバスのインパクトに変換されます。サブウーファーが搭載されたスタジオモニターに最も近いイヤホンです。
バランスド・アーマチュア・ドライバー
フルレンジのバランスド・アーマチュアは、ダイナミック・ドライバーの低域にまとわりつき、フルボディの中域を実現するよう慎重に設計されており、音色表現はフラットかつニュートラルに保たれています。中音域と高音域に別々のバランスド・アーマチュアドライバーを使用することで、周波数スペクトルの制御が可能になり、正確な音響工学によって、完璧で自然かつ詳細な音楽表現が実現します。Evokeは、米国Knowles社の純正バランスド・アーマチュア・ドライバーのみを使用し、これらのドライバーの能力を最大限に引き出し、業界で最も有名なイヤホンであっても比類のない音響性能を実現しています。Evokeは、最小限のドライバーの組み合わせで最高級の音楽性能を見事に実現した、このクラス初のイヤホンです。
メディカルレジンプリントシェル
Evokeの各ユニットのハウジングは、補聴器によく使われるヨーロッパの医療用樹脂を使用して精密に3Dプリントされています。これにより、肌への安全性と長時間のリスニングにおける快適性が保証されます。また、当社の樹脂はより耐久性に優れており、日々の取り扱いからユニットを安全に保つことができます。プリント後、それぞれのシェルはペアリングされ、サンドダウンされ、研磨され、手作業で仕上げられます。
4芯のアップグレードされた銅製ケーブル
Evokeには、アップグレードされた4芯の無酸素銅ケーブルが標準装備されており、無酸素銅のエンクロージャーで編まれています。これにより、ワイヤの腐食が最小限に抑えられ、時間が経っても音楽の透明なサウンドを維持することができます。また、2ピンコネクタを採用しているため、Evokeで異なるケーブルを簡単に交換することができます。
KIIBOOMについて
趣味は私たちに感動を与え、退屈な日常を彩り、生き生きとしたものにします。それは、私たちの創造性を表現し、ユニークな興味を探求し、自分らしさを発見する機会でもあります。KiiBOOMは、メカニカルキーボード、ハイファイオーディオ、アートトイ(デザイナーズトイ)、ガレージキット、万年筆、ナイフ、時計、ファッションなど、さまざまな趣味を持つ世界中の愛好家の集合体です。各メンバーは、それぞれの分野で培った研究開発、マーケティング、製造のスキルを持ち寄り、趣味を向上させるための極めて多様で包括的な知識のプールを可能にしています。
KiiBOOMのグローバルチームは、米国、ドイツ、メキシコ、英国、シンガポール、韓国と多岐にわたっています。こうした幅広い人脈により、サプライチェーンを最大限に活用し、世界中のアイデアや素材を活用することができるのです。また、中国・広東省にあるセントラルオフィスとコアチームは、各製品のパートナーであるクリエイターの製造プロセスを直接監視しています。
KiiBOOMは、人々が好きなものを今までにない形で楽しめるような、革新的なプロダクトデザインを発明するために存在しています。KiiBOOMは、クラウドファンディングやグループ購入のプラットフォームだけではありません。KiiBOOMは、クラウドファンディングやグループ購入のプラットフォームではありません。私たちは、コミュニティから得た幅広い情報をもとに、注文を受けてからすぐに出荷できる具体的なプロジェクトを制作し、提供します。私たちは、各分野で画期的な製品の設計、製造、販売に20年以上の経験を積んでいます。KiiBOOMは、すべてのプロジェクトで、趣味と情熱の新しい時代に燃料を供給する準備が整いました。
パッケージ(7.5)
EVOKEのパッケージは価格の標準を満たしてはいると思いますが、ちょっと物足りないかもしれません。
大きなキャリングケースは魅力的なものの、付属品はこの価格帯では最小限に近いです。たとえば同じ価格帯のTANGZU × HBB Wu Heuday Editionのパッケージを見ていただければ、私の気持ちがわかるかもしれません。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーチップ
- キャリングケース
- マニュアル類
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
フェイスプレートが美しいですね。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
KiiBOOM EVOKEはアンプの出力インピーダンスの影響をかなり受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KiiBOOM EVOKEはニュートラルに近いサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:B+
- 太さ:B+
- 存在感:B
KiiBOOM EVOKEの低域はかなり直線的で深いところまで見通し感が良好です。また透明度も高く、かなりモニター的に聞こえます。
バスドラムキックは重厚感もあり、インパクトが感じられます。私は適正音量(だいたい80dB)以下の音量で聞くタイプなので、この量感では低域がやや貧弱なバランスになりますが、100dB程度の大きめの音で聞く人はこれくらいがちょうどいいように思われます。
エレキベースはやや明るく聞こえますが、広がりは良好です。
深さの点ではかなり低域マニアを満足させることができ、沈み込みがありますが、音量次第では物足りないでしょう。少なくとも適正音量では多くの人にとって少し不足する水準です。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:B+
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はほぼ完全にニュートラルなバランスに調整されており、質感は正確です。
EVOKEの中域中心部はかなり歪が多くなる傾向があり、それが付帯音が多く、豊かで温かみのある印象をもたらしていますが、背景との分離が悪く、平面的に聞こえやすいのが難点です。
ボーカルは付帯音のおかげで少しふっくらして聞こえ、エレキギターのエッジの色づきも空間を少し染めるように聞こえ、背景は明るい雰囲気で聞こえます。
こうしたサウンドの傾向が明るくスポットライトが当たる中域をさらに色彩感豊かに浮かび上がらせる演出感があり、どこか幻想的に聞こえます。
またこの中域は多くの人にやや明るさが強い可能性がありますが、歪によってそのきつさを馴らして聴きやすくしている効果もあります。
超高域が閉じていることもあり、濃厚感は少し高めで中域がリッチに感じられるサウンドが好きなら、気に入るかもしれません。ただ適正音量を超えると、歪が強くなるので、普段大音量で聞いている人には透明度が少し低すぎるサウンドになる可能性が高いですね。
高域(9.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D
- 繊細さ:D+
- 存在感:C
EVOKEの高域はスピーカーの前方定位感を意識してうまく減衰されるよう調整されています。拡張性はかなり物足りない水準です。
高域上部のエネルギーが少し不足しており、繊細さやディテール感はやや物足りない水準ですが、そのかわり、全体的にかなりセーフティなため、高域に敏感な人でも安心できると思われます。
シンバルクラッシュはギラツキがやや強めのバランスになります。歪も少し加わるので、荒っぽい感じがあり、少しワイルドに聞こえます。
定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:A
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
中域の質感は正確ですが、透明度には欠けます。中域の心臓部は付帯音が多く、背景との分離が悪く背景が明るく聞こえやすく、全体的にもやがかるというか、ほこりっぽく聞こえる傾向があります。シンバルには独特のしぶき感が出てバイオリンや木管の艶っぽさが少し増しますが、古い録音のようにアルカイックな雰囲気に聞こえます。スケール感と重厚感も少し物足りません。
雅楽も篳篥の音がややぼんやりしますが、和音は歪の効果もあって豊かに感じられ、色づきが空間に広がるように感じられます。少し古風で雅な雰囲気が増幅されて、これは悪くない気がしますね。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:B+
- 低域:C+
低域の深さは標準か少し物足りず、中域は比較的前面におり、高域の高さで物足りません。
クリア感は価格の水準を満たしています。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:B+
中域が少しほの明るく豊かに聞こえるサウンドが好きなら、KiiBOOM EVOKEはかなり魅力的な候補になるでしょう。それは価格帯で抜群というわけではありませんが、平均よりは優れており、AFUL Performer 5のようなイヤホンと完全に競合します。より没入的なサウンドを好む場合はAFUL Performer 5を、より前方定位的なサウンドを好む場合はEVOKEがおすすめです。総合的なサウンドパフォーマンスはEVOKEのほうが多くの人にとって優れている可能性がありますが、私はAFUL Performer 5の音のほうが好みですね。
音質的な特徴
美点
- 正確な質感表現
- 音像一貫性に優れる
- 良好なサウンドバランス
- 中域への適切なフォーカス
- 前方定位的
- 艶やかなサウンド
- 重厚
- 聴き心地が良い
- ウォーム
- 優れた原音忠実度
欠点
- 高域拡張性の不足
- 中域の透明度に欠ける
- 低域の量は低域好きを満足させられるか微妙なところ
正確な質感表現
良好なサウンドバランス
前方定位的
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- KiiBOOM EVOKE
- AFUL Performer 5
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- KiiBOOM EVOKE
- AFUL Performer 5
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- KiiBOOM EVOKE
- AFUL Performer 5
総評
KiiBOOM EVOKEはマルチドライバーハイブリッドでありながら、滑らかでつながりの良い一貫性のあるサウンドにうまく調整されています。総合的なオーディオスペックは価格の水準を満たしており、価格帯では平均以上で、比較的優れた選択肢と言えます。ただ、パッケージ全体で評価すると、付属品などで少し物足りなさを感じるかもしれません。
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