免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
KBEAR Stormの概要
こんな人におすすめ
- 暗い音が好き
- ブーミーで温かみのある低域が好き
基本スペック
- 周波数特性:20-20000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:108dB
- コネクタ:0.78㎜ 2pin
- 価格帯:1000円~3000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.5/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 良好な原音忠実度
- 艶やか
- スピーカー的な前方定位感
- 耳当たりの優しく、温かみのあるブーミーな低域
- 価格以上の解像度
短所
- 低域の深さに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 暗い中域
KBEAR Stormの特徴
- 【高音質有線イヤホン】10MMの強磁ダイナミックドライバが高い解析力とダイナミックレンジをもたらします。PEEK+PUフラグシップの振動板がプレミアムな音色と上質な聴き心地をもたらします。
- 【無酸素銅銀メッキケーブル】litz構造を採用した新たな4芯無酸素銅銀メッキケーブルと、銀メッキ部に純度4Nの純銀を採用することで、より優れた信号伝送能力を実現している。品質が安定して、摩耗と傷に強くて、耐久性があります。
- 【フィット感抜群】超軽量筐体は、新しい人間耳工学設計の筐体構造で、耳道データにフィットし、長時間装着しても疲れない。異物感なし。人間工学に基づいたインナーイヤー型デザイン、しっかり耳にフィットし、どこでも音楽を楽しむことができる。イヤホンは超軽量の設計です。通勤、旅行、運動、出張など様々なシチュエーションに活躍できます。
- 【優れた互換性】3.5mmプラグ対応機種:Android/switch/PS4/MP3/PC/スマホ/Sam-sung/So-ny/など各種対応、全ての3.5mmインターフェース機器に対応できます。
パッケージ(8.0)
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。ライバルであるKZは最近ディテール感のあるデザインを追求しているので、KBEARのデザインはそれに比べて少しチープに見えますね。
装着感(8.5)
装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
KBEAR Stormはアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
ANTELOPE AUDIO(アンテロープオーディオ)は、20年以上に渡りハイエンドのデジタルオーディオクロックやAD/DAコンバーターを手がけるメーカーです。プロフェッショナルが認めるクリスタル・マスタークロックを始めとする独自技術により、完璧なクロッキングを実現。レコーディングスタジオやプロエンジニア、プロミュージシャンはもちろん、オーディオファンからも高い支持を集めています。
音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
KBEAR StormはV字型のサウンドシグネチャーになっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A-
KBEAR Stormの低域は太さと重みのあるたっぷりとした重厚な低域です。深さは物足りません。
バスドラムは重厚感も十分ですが、ランブルはあまり聞こえません。豊満で膨張的に弾む感じに聞こえるところがあります。ややブーミーでボコボコした感じで聞こえやすいですね。
エレキベースは黒さは悪くない気がしますが、引き締まりに欠けて、じんわりとした熱量感が強めです。
低域好きを満足させる量はありますが、質的には重低域マニアを満足させることはできないでしょう。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
KBEAR Stormの中域はニュートラルに近いですが、全体の中で暗い位置におり、若干窮屈に聞こえます。
質感はかなり正確ですが、中域はやや暗い位置に聞こえます。中域上部から中高域にが強調されているため、艶やかさが少し強く感じられます。
ボーカルは暗い雰囲気を持ちながら、わずかに上気して媚びるような声色になっており、ややハスキーに聞こえ、子音の歯切れは少し強調されています。ボーカルは軸が弱めで曲によっては楽器音の中に埋没しがちに聞こえる場合があります。
透明度は十分に高く、解像度も悪くありません。
高域(9.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D
- 繊細さ:D+
- 存在感:B-
高域は精細感を意識してチューニングされており、ディテールに埋没感はなく、繊細さもかなりしっかりしているものの、拡張性はかなり物足りません。
高域は低域の強さと十分に釣り合っており、中域のやや低い明度を補うのに十分な輝度があります。シンバルクラッシュは繊細さやディテールは悪くないですが、広がりにかなり欠けて爽快感はいまいち物足りません。木管やバイオリンにも露骨な天井感があり、寸詰まり気味に聞こえますね。
定位/質感
- 質感の正確性:A+
- 定位の正確性:C-
- オーケストラのテクスチャ:C
- 雅楽のテクスチャ:C
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
重厚感は悪くないものの、質感はあまり正確でなく、中域はややドライに聞こえます。バイオリンや金管はクライマックスで少しがなり立てるように聞こえやすく、滑らかさに欠け、へたくそな音に聞こえますね。
雅楽は篳篥の伸びが足りません。和音は華やかさをやや強調して聞こえるものの、締まりが悪い印象があります。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B-
- クリア感:A-
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:B+
- 低域:B
低域の深さは標準か少し物足りず、中域はやや奥に聞こえ、高域の高さはかなり物足りません。
クリア感は価格の水準以上です。
イメージング性能は価格の水準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B
KBEAR Stormは典型的なコンシューマーライクなサウンドであり、オーディオマニア向きとはあまり言えません。同じ価格帯ではKZのほうがはるかにオーディオマニア向きと言える製品が揃っているので、あえてStormを買う必要性はないように思います。
音質的な特徴
美点
- 良好な原音忠実度
- 艶やか
- スピーカー的な前方定位感
- 耳当たりの優しく、温かみのあるブーミーな低域
- 価格以上の解像度
欠点
- 低域の深さに欠ける
- 高域の拡張性に欠ける
- 暗い中域
良好な原音忠実度
艶やか
温かみのあるブーミーな低域
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR Storm
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR Storm
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR Storm
総評
KBEAR StormはいわゆるドンシャリタイプのV字型のシグネチャーを持っているイヤホンです。オーディオスペック的には価格以上ですが、チューニングはコンシューマーライクで、同じ価格帯のKZやCCAのイヤホンに比べると、全体的な完成度はかなり低いように思います。
コメント