免責事項
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KBEAR NEONの概要
こんな人におすすめ
- 聞き疲れしないイヤホンがほしい
- ボーカルをしっかり聴きたい
- 自然な質感重視
- かまぼこサウンドが好き
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:14Ω
- 感度:105dB/mW
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:9.5/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 比較的原音忠実性が高い
- ボーカルフォーカスが良い
- 自然な質感
- 聴き心地が安定している
- ウォーム
- モニター的
- 中域の定位の一貫性
短所
- ダイナミズムに欠ける
- 拡張性に欠ける
- 眠いサウンド
KBEAR NEONの特徴
- 【Knowles高級ドライバー採用】KBEAR-Neonイヤホンは片側1個世界最大級のBAドライバーメーカーである米Knowles製BAドライバーを採用しています。米Knowles製BAドライバーは高い信頼性と優れた性能で知られており、これまで多くの分野、プロフェッショナルオーディオ分野で採用されてきました。低音から中高音まで迫力ある音を楽しむことができます。
- 【高音質】全域のバランスよく、低、中、高音域とも、原音に驚くほど自然に再現します。全帯域の解像感、中高域の透明感が非常にハイレベルです。素晴らしい使い勝手の良さと音質を実現しています。
- 【外観重視】イヤホンのデザインは無駄を省いたシンプルでミニマムなデザインを採用して、普通のカナル型イヤホンより識別しやすくなっています。透明樹脂ハウジングにより、本体中のバランスドアーマチュアドライバーがはっきり見える。
- 【幅広い互換性】3つのバリエーションあり、iPhone、iPad、iPod、Mac、iMac、PS3 / PS4、MP3 / MP4プレーヤーなどの3.5mmオーディオデバイスと互換性のある3.5mmオーディオジャックヘッドフォンイヤホン。
パッケージ(8.5)
KBEAR NEONのパッケージはこの価格帯ではおしゃれな外観を持っています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- イヤホン本体
- イヤーピース(S/M/L)
- キャリイングケース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
本体のビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性(自由音場補正済み)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
KBEAR NEONは高域で出力インピーダンスの影響を少し受けます。また、再生機器の出力インピーダンスがかなり高い場合、低域にも影響が出るようです。それでも全体の影響は比較的小さいので、スマートフォンでも十分駆動できると思われます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
KBEAR NEONは拡散音場ターゲットを意識したサウンドを持っています。1BAのせいか高域/低域ともに拡張性は平凡なうえに、フラットよりはウォームなので、中域に音が集まったかまぼこに聞こえやすく、ダイナミズムに欠けるのが欠点ですが、自然な質感の中域を丁寧に聴かせてくれます。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:A-
- 存在感:B
KBEAR NEONの低域はかなりフラットでモニター的です。
階層性は悪くありませんが、深さと重さは少し物足りません。重厚感に欠けるのでベースヘッドには物足りないでしょう。リズム感には比較的自然なタイト感とライブ感がありますが、引き締まり感はそれほど強くありません。表現が浅い印象を受けます。
中域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
中域はかなり自然で透明感があります。
中域の楽器音とボーカルの質感は自然で、ナチュラルな艶のある少し温かみのあるサウンドをきかせます。ボーカルは明るく最前面近くで十分にスポットライトが当たって聞こえ、楽器音も比較的自然な定位感でボーカルを取り囲んでいます。
ボーカルの音像は少し大きく聞こえ、音場は少し窮屈に思えます。子音に尖りはなく、耳障りな感じはありません。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:C-
高域は自然な定位を実現するように丁寧に調整されていますが、拡張性に乏しいので、開放感はあまりありません。
歯擦音の刺さりなどはありませんし、ディテールはかなり自然でなめらかです。
さて、このイヤホンは円筒形のため、挿入深度を調整しやすく、ピークを変化させやすいのが特徴です。普段使用しているイヤーピースで音が尖る感じがする場合、より小さなイヤーピースで挿入深度を深くすることでピークをより高い方向に持っていくことができます。
これに伴い、拡張性も改善される傾向にありますが、高域の量感自体も減るので、サウンドの全体はより中域にフォーカスされ、「かまぼこ」感が増します。その結果、中域が少しうるさくなりますが、万が一このイヤホンで不快なピーク感を感じる場合、イヤーピースを小さいものに変更することを考えてみると良いでしょう。
以下は挿入深度をかなり深めにした場合の周波数をカプラーによって測定した参考測定値です。だいぶ「かまぼこ」になりますね。
定位/質感
- 質感の正確性:A-
- 定位の正確性:C
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
NEONの中域の質感は非常に自然ですが、高域が静かすぎるので倍音の伸びが悪く、音のダイナミズムに欠けます。中域付近の定位は正確ですが、音場がコンパクトに聞こえ、楽器音に躍動感が足りない静的なサウンドになるので、聞いていて面白くはないですね。聴き心地は安定しており、レコーディングモニターとしては優秀そうです。
雅楽も非常に聞き心地が安定しています。躍動感はありませんし、龍笛が少し元気なく聞こえますが、中域はかなり聞こえが良いので、塩梅はわかりやすく、音楽の全体像も把握しやすいサウンドです。ほぼ完全なスタジオチューニングですね。
音場/クリア感
- 音場:B-
- クリア感:B+
拡張性に乏しいので、音場は広くありません。定位は心臓部が非常に自然ですが、ダイナミズムに欠けるので、正確な中域にフォーカスされやすく、印象的にも広さを感じづらいでしょう。
クリア感は価格を考えると標準か、少し良いくらいです。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B+
KBEAR NEONは聞き心地の良いスタジオモニターです。中域中心で質感を確認するのによく、ボーカルの音像も大きいのでボーカル好き向きのサウンドと言えます。ナチュラルで甘いボーカルが好きならおすすめですが、のびやかさが少し足りないので、ちょっと元気が足りないですね。
個人的な感想としては、質感が自然で悪くないですが、音作りが保守的すぎて、いまいち楽しさに欠けるところが気になります。
音質的な特徴
美点
- 比較的原音忠実性が高い
- ボーカルフォーカスが良い
- 自然な質感
- 聴き心地が安定している
- ウォーム
- モニター的
- 中域の定位の一貫性
欠点
- ダイナミズムに欠ける
- 拡張性に欠ける
- 眠いサウンド
透明度の高い中域
自然な質感
聴き心地が良い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- KBEAR NEON
総評
音楽の聞き心地、聴き疲れのなさを重視するなら、KBEAR NEONはかなりおすすめできます。円筒形のそのイヤホンは、挿入深度も調整しやすく、少しでも音に尖りを感じたら、イヤーピースを小さくしてより深く挿入することで簡単にその尖りを消すことができます。中域の質感と定位はかなり自然で良質なスタジオチューニングを提供しますが、躍動感のあるサウンドではないため、楽しい音楽を求めているなら他を当たったほうがいいでしょう。
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