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JVC HA-FW1500の概要
こんな人におすすめ
- 明瞭感重視
- 重厚感重視
- 派手なサウンドが好き
- JVCファン
基本スペック
- 周波数特性:6Hz~52kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:106dB/mW
- ケーブルコネクタ:mmcx
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.0/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:9.5/10.0
長所
- 明瞭感が高い
- 重厚感がある
- 木製振動板独特のしなやかなサウンド
- ウォーム
短所
- 押し出し感が強く、不快で下品な中高域
- 拡張性に欠ける
- 窮屈な中域
- 静寂感に欠ける
- 拡声器のように聞こえやすい
- 甲高い音
JVC HA-FW1500の特徴
以下公式サイトからの引用です。
- 【WOODシリーズ新世代プレミアムモデル】2018年発売のWOOD 10周年モデル「HA-FW10000」からウッドドーム振動板などの高音質化技術を受け入れるとともに、独自の音質チューニングにより上質な低域と澄んだ高域、リアルな音像表現と躍動感を実現しました。
- 【オーナメントに「犬のマーク」を刻印した上質なブラックウッドハウジング】オーナメントにビクターブランドの象徴である「犬のマーク」を刻印するとともに、ハウジングには高級感のあるブラックを採用し、プレミアムモデルらしい上質な概観に仕上げました。
- 【ウッドドームカーボン振動板による美しい音色と緻密な表現を実現】音の伝搬速度が速く振動の減衰特性に優れるカバ材から、独自の薄膜加工技術により薄く削り出した50umウッドドームを、カーボンコーティングしたPET振動板に組み合わせることで、振動板外周部には適度なしなやかさを、振動板中央のドーム部分にはより高い強度を持たせ、美しい音色と緻密な表現力を実現します。
- 【アキュレートモーションエアダンパー】独自設計のエアダンパーにより振動板の正確な動きを実現します。
- 【アコースティックピュリファイアーを採用し、透明感のある音色を実現】ユニット前面に不要な音を拡散するドットを配置した当社独自のアコースティックピュリファイアーを採用。音像表現を重視した本機独自のドット配置を施し、透明感のある音色を実現します。
【L/Rを分離したハイグレードケーブルを採用し、クリアで自然な空間表現を実現】本体からプラグまでL/Rを完全に分離することで、セパレーションを向上させ、クリアで自然な空間表現を実現します。また、芯線構成を見直したハイグレードケーブルにより、音の伸びと繊細な表現を可能にしました。 - 【装着感を高めたスパイラルドット+ イヤーピースで純度の高いクリアサウンドを実現】イヤーピース内壁に設けたスパイラル配列のドットにより、音質劣化の原因となるイヤーピース内の反射音を拡散減衰させる「スパイラルドットイヤーピース」の形状と素材を進化させ、さらに純度の高いクリアサウンドを実現した「スパイラルドット+(プラス)イヤーピース」を採用。肌に近い力学特性を持つ素材SMP iFitを採用することで、イヤーピースの存在を忘れるほどのナチュラルなフィット感を実現しました。
- 【忠実な再生を実現するハイエナジー磁気回路】駆動力とリニアリティを大幅に向上させたハイエナジー磁気回路により、原音に忠実な再生を実現します。また、軽量なCCAWボイスコイルによる振動板の正確な振動が、繊細なニュアンス表現を可能にします。
プロモーション動画
パッケージ(8.0)
デザインは価格の標準を満たしています。付属品は同じ価格帯の大抵の中華イヤホンに比べると地味で、豪華さには欠けます。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- イヤホン本体
- イヤーピース(S/MS/M/ML/L)
- キャリイングケース
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
装着感(8.0)
装着感はよく考えられていますが、ケーブルが引っ張られたりするとすぐ装着感が変化してしまいやすい点には注意が必要です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性(自由音場補正済み)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
JVC HA-FW1500に再生機器の出力インピーダンスの影響はまず出ません。また、電力要件も比較的低いので、駆動も容易です。スマートフォンでも十分な駆動を実現するでしょう。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
JVC HA-FW1500はニュートラルサウンドを意識した弱ドンシャリサウンドを持っています。低域の重量感、深さに優れているので、かなりベースヘッドを満足させるサウンドですが、その存在感が強い分、中域が窮屈に聞こえやすい欠点があります。また高域の拡張性で劣るので、高域も寸詰まり感があり、余韻は物足りないでしょう。木製振動板のせいか、音像にしなやかさが感じられます。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A
JVC HA-FW1500の低域は全体の中での存在感が少し強めです。
重みがあり、深さも感じられる重厚感に優れた低域で、十分な黒さが感じられます。エレキベースは広がりがよく、力強い熱気が感じられ、バスドラムキックは重みのあるヒットを十分なインパクトで打ち出します。ランブルも十分で低域には躍動感があり、床面が生き生きと聞こえます。
全体的に太く力強く、わずかに膨張的な傾向がありますが、深さの点でしっかりしているので、引き締まり感が緩くなる印象はありません。
中域(8.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
低域に比べると中域は少し後退的で凹んだ位置にあります。
中域下部には低域の熱気の影響が見られ、わずかに滲んで聞こえますが、ボーカルの中心付近まで濁る感じはありません。ボーカルの少し上付近で楽器の音像が大きく聞こえる傾向があり、ボーカル周辺は若干窮屈に聞こえるところがあります。全体の構造が前かがみで、押し出し感は少し強い傾向がありますね。
高域(8.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D
- 存在感:B-
高域は拡散音場に基づいた自然な響きと定位を実現するように調整されているようです。
少し輪郭感が強く、色合いが鮮やかで賑々しく聞こえる傾向があります。高さは若干低い印象を受け、天井感があります。ギラつき感は少し強めで派手に聞こえやすいですね。個人的にはもっと抜けが良いサウンドが好みです。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
オーケストラの表現は重厚感があり、リッチサウンドに聞こえます。音場の中心はかなり奥行きが強調されているので、定位感に実際以上の広がりが見られ、吸い込まれるような感覚があります。ただし、それによって中域の正確な定位感は犠牲にされていて実際よりは奥に広く、高さの点では扁平になってしまっています。そのせいで抜けの悪い金管のがなる音が耳にこびりつきます。不自然に聞こえますね。少なくとも特等席ではないでしょう。
雅楽も空間的に不自然で音色にあるべき余裕が感じられません。一番派手に聞こえる和音のあたりが必要以上に押し出されて聞こえてくるので、単純に聞き苦しいだけでなく、窮屈で優雅さが感じられません。妙に甲高くて、首を絞められた鶏の悲鳴のような笙の音色と、おならみたいにプ音が目立つ篳篥の音が、天井が低い近い位置で聞こえるのは、どうにかならんものでしょうか。気色の悪い音を間近で聞かされて単純に不快です。
少なくともクラシックと雅楽に関しては、5万円も出してまで聴く音ではないでしょう。これを1本買うくらいなら、final A3000を2本買うことをおすすめします。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:A+
音場は奥行と幅は少し広く感じられます。深みも良好です。ただ高さに欠けます。
クリア感はかなり優秀です。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:B+
- 個人的な好み:B+
JVCのファンならHA-FW1500を買うのも悪くないでしょう。私はいらないですね。
率直に言って、扁平な音場が不自然で気になります。これが1万円クラスだったら、「まあこういう音もありかな」程度で済みますが、価格を考えるとこの音は難しいでしょう。
定位が不自然でとても5万円クラスのイヤホンが出す音とは思えません。はるかに安いJVC HA-FW03のほうがよほどまともでオーディオファイル向きのサウンドです。
ただ、中高域は明瞭できれいに聞こえるので、印象的な解像感が高く思える可能性があり、それが第一印象で魅力的に思わせる可能性はあります。よく聞くと単にうるさいだけに思えてきますが。
音質的な特徴
美点
- 明瞭感が高い
- 重厚感がある
- 木製振動板独特のしなやかなサウンド
- ウォーム
欠点
- 押し出し感が強く、不快で下品な中高域
- 拡張性に欠ける
- 窮屈な中域
- 静寂感に欠ける
- 拡声器のように聞こえやすい
- 甲高い音
明瞭感が高い
重厚感がある
しなやかなサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- JVC HA-FW1500
総評
JVC HA-FW1500は明瞭感の高い中高域を提供するイヤホンです。WOODシリーズの中では比較的若さを感じられるサウンドで鮮烈な印象のあるサウンドを奏でますが、少し尖りやすく、うるさく聞こえやすい傾向があるのが好みを分けるでしょう。個人的にほとんど魅力を感じない機種ですが、JVCファンなら買ってみてもいいかもしれません。
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