免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
JTS HP-535の概要
こんな人におすすめ
- 奥行き感のあるサウンドが好き
- 響きの豊かなサウンドが好き
- 没入感の高いサウンドが好き
- 装着感重視
基本スペック
- 再生周波数:20Hz-20000Hz
- インピーダンス:64Ω
- 感度:104dB
- 価格帯:3000円~5000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:6.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 奥行き感のある音場
- 明るく朗らか
- 良好なディテール感
- 良好な解像度
- 充実感のあるサウンド
- ウォーム
- 響きが豊か
- 高い没入感
- 良好な装着感
短所
- 不自然な質感
- 不自然な定位感
- 構築感に欠ける
- 深みのない低域
JTS HP-535の特徴
JTS製モニターヘッドホン、「HP-535」。優れた磁束密度を生み出すネオジウムマグネットドライバーを搭載。ワイドなダイナミックレンジと幅広い周波数特性を実現し、抜けの良いクリアなサウンドを提供します。低価格ながらもコストパフォーマンスの高い、優れた再生能力を秘めたヘッドホンです。
<特徴>
■ 40mm強磁力ネオジウムマグネシウムドライバーと軽量アルミニウムボイスコイルを採用。歪みのないクリアでレンジの広いダイナミックなサウンドを再生。
■ 調整できるヘッドバンドが快適な装着性を実現。耳痛くなりにくい適度な側圧は長時間の使用にも対応します。
■ ケーブルにはプラグの抜け落ちを防ぐカールコードを採用。
パッケージ(7.5)
パッケージは価格の水準を満たしています。梱包は紙製で質素、処分しやすいのがいいですね。
パッケージ内容
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mmアダプター
- 説明書
ビルドクオリティ(8.0)
ビルドクオリティは価格の水準を満たしています。全体的に少しプラスチッキーでややチープな印象を受けますが、価格を考えればこんなものでしょう。
装着感(9.0)
比較的余裕のある作りで、装着感は悪くありません。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
JTS HP-535はアンプの出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回はFiiO M15につないでレビューしています。
JTS HP-535は中域上部付近が凹んだ変形U字型のサウンドシグネチャーを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(6.0)
- 原音忠実度:C-
- 臨場感:C-
- 深さ:B-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B-
JTS HP-535の低域は力感と重量感に優れ、重厚感はあるものの、深さはいまいちで腰高気味に聞こえます。
ドラムキックはわりと重いキックでインパクトがありますが、ランブルが少ないので生々しさには欠け、床鳴りが浅くトンタンしています。
エレキベースも黒さはそこそこ感じるものの、印象は明るく、広がりがいまいちです。
低域をモニタリングしたい場合はTASCAM TH-06を使うか、イヤホンを使ったほうがいいでしょう。
中域(7.0)
- 原音忠実度:B-
- 厚み:A
- 明るさ:A-
- 硬さ:B
- 存在感:B
JTS HP-535の中域はかなり明るく、その点でモニター的と言えるかもしれません。
中域の中心付近まではかなりフラットなものの、そこからかなりステージングが強調され、奥行き感が過剰に感じられるようになっています。そのため、中域が非常に強調されて響く感覚があり、質感や定位感を分かりにくくしています。
体育館のようなところで音楽を聴いているような、面白いライブ感があるので、これはこれで楽しいところがありますが、モニターとしては使いどころが限定されそうです。少なくともこれでミキシングするのは普通の人にはかなり苦労しそうです。ただボーカル音像は異様に大きく聞こえるので、ボーカル好きにはわりと悪くないかもしれません。
人によっては音場をかなり広く感じ、音楽の響きの奔流に包まれるような豊かな雰囲気で高い没入感を感じるサウンドでしょうが、プロ用のモニターとしてはかなり使いづらそうです。
非常に高い充実感を感じるので、個人的にはかなり好きです。
高域(8.0)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:B
- 荒さ:C-
- 繊細さ:C+
- 存在感:C+
JTS HP-535の高域は拡張性は悪くありません。奥行き感が強調されていますが、精細感は高いので、ディテール感はかなりしっかりしています。
定位感がかなりわかりにくいものの、奥行き感がある音場は全体が響きに満たされて聞こえるように調整されています。それが独特の情報量が多く空間が広く感じられる感覚を生み出すことは事実で、リスニングに高い没入感を生み出します。
原音忠実性を重視するオーディオマニアにはいまいちウケないでしょうが、音楽そのものに包まれたいという人にはかなりおすすめですね。
定位/質感
- 質感の正確性:D+
- 定位の正確性:C-
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
定位感と質感の再現度が独特すぎてまともなフルオーケストラ鑑賞には向きません。一方、オーケストラそのものに包まれたいという人にはかなりおすすめです。
雅楽も同様で、少なくとも減温忠実派のオーディオマニアには全くおすすめできません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:C+
低域の深さは物足りません。中域は前面に出てきます。高域の高さは標準を満たしています。
クリア感は価格並みかそれ以上です。
イメージング性能は価格以上です。中域の解像度に優れています。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D
- 個人的な好み:S-
JTS HP-535を一般的なミキシングやレコーディングのモニター用途で使おうと考えている場合、これは全くお勧めできません。しかし、独特の響きが豊かなサウンドはかなり高い没入感を生み出すため、独特のライブ感があり、ハマる人にはかなりハマりそうですね。
実際このヘッドホンは私の密かなお気に入りの一つです。これで映画なんかを見るとかなり没入できます。
音質的な特徴
美点
- 奥行き感のある音場
- 明るく朗らか
- 良好なディテール感
- 良好な解像度
- 充実感のあるサウンド
- ウォーム
- 響きが豊か
- 高い没入感
欠点
- 不自然な質感
- 不自然な定位感
- 構築感に欠ける
- 深みのない低域
明るく朗らか
良好な解像度
充実感のあるサウンド
Re:ゼロから始める異世界生活 Coreful フィギュア レム~パックイメージver.~
人気シリーズ「コアフル」より、パックをイメージした衣装を着たレムが登場!
メーカーがもふもふの毛並みの質感再現とかわいらしさにこだわったモデルです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- JTS HP-535
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- JTS HP-535
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- JTS HP-535
総評
JTS HP-535は独特の奥行き感のある音場で響きの豊かなサウンドを聞かせるモニターヘッドホンです。それは定位感を分かりづらくするところがあるので、モニター用途に使いやすい機種ではありませんが、独特の高い没入感のあるサウンドには一聴の価値があります。
コメント