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JPRiDE TWS520 mk2の概要
こんな人におすすめ
- 低域をしっかりと聞きたい
- 外出時も小さな音量で音楽を楽しみたい
- 低域の重厚感重視
- ダイナミックなサウンドが好き
- 通信品質重視
- 装着感重視
基本スペック
- 連続/最大再生時間:6h/25h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:210-156623
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:9.5/10.0
- 通信品質:9.0/10.0
長所
- 小音量でもしっかり聞こえる低域
- 奥行き感のあるサウンド
- 立体感に優れる
- ダイナミックなサウンド
- 重厚感がある
短所
- 不自然な音場
- とげとげしい子音
- 薄い中域
- うるさくなりやすい低域
- 埋もれやすいボーカル
JPRiDE TWS520mk2の特徴
- ガジェットではない、ピュアオーディオのグレードを追求:オーディオブランドとして、また”Premium”を名に冠するモデルとして恥じぬよう、ガジェット思考ではなくオーディオ思考で一から設計をスタート。ハイエンドなマテリアルを採用した独自開発のダイナミック型ドライバーや制振性を考慮した高剛性ハウジング、多様なイヤピースに対応するステム・ケース設計など従来の完全ワイヤレスイヤホンでは類まれな、音楽だけでなく、音の変化も楽しめるオーディオ思考の設計を採用いたしました。
- 高剛性ハウジング:不要な振動を抑制するため、剛性の高いハウジング設計を採用。ボリューム感のある重低音を再現しながらも濁りのないクリアな音質を実現しました。
- 厳選されたマテリアル:コイル、振動板などハイエンドなマテリアルを採用し、オーディオ製品として綿密に設計されたアコースティック機構を採用しました。
- オーディオ思考の設計:様々なイヤピースに対応可能なステム、ケース設計を採用。お好みの音質や装着感に合わせて他社製のオーディオ用イヤピースなどもお使い頂けます。(全てのイヤピースに適合する訳ではございません)
- 高音質コーデック:”aptX”や”AAC”など、iPhone/Androidに拘らず様々なデバイスで音音質を体感頂けるモデルを目指しました。
- ワンランク上のビジネス仕様 / デュアルマイクENCノイズリダクション:片側2基、左右合計で4基のマイクを搭載し、近距離で検出した音声と遠距離で検出した音声を分析し、ノイズを減衰させ相手方にクリアで聞き取りやすい音声を伝える通話用ノイズキャンセリング”ENCノイズリダクション”を搭載。従来のcVcノイズキャンセリングなどよりもワンランク上の性能で、スマートフォンによる通話はもちろん、パソコンなどでWEB会議などテレワークにもしっかりとサポートいたします。
パッケージ(8.5)
ビルドクオリティ(8.5)
蓋のぐらつきはありません。ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感も悪くないですね。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。遮蔽物を挟んでも通信が途切れることはなく、その後は問題なく音楽は再生され、途切れはありません。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | イヤホンをケースから取り出す 手動の場合はマルチファンクションボタンを5秒長押し |
電源OFF | イヤホンをケースに収納する マルチファンクションボタンを8秒長押しで手動電源OFF |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード マルチファンクションボタンを5秒長押しで手動ペアリング |
リセット方法 | ①イヤホンをケースに収納 ②両方のイヤホンのマルチファンクションボタンを8秒長押し ③LEDランプがゆっくり点滅するようになったら、指を離す ④15秒~20秒待ち、LEDランプの点滅パターンが変わったら初期化完了 |
曲再生/停止 | マルチファンクションボタンを2回タップ |
曲送り | 右のマルチファンクションボタンを1.5秒長押し |
曲戻し | 左のマルチファンクションボタンを1.5秒長押し |
音量+ | 右のマルチファンクションボタンを1回タップ |
音量- | 左のマルチファンクションボタンを1回タップ |
通話応答 | マルチファンクションボタンを2回タップ |
通話終了 | マルチファンクションボタンを1.5秒長押し |
通話拒否 | マルチファンクションボタンを長押し |
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性(自由音場補正済み)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータスなど
測定値は有料記事をご覧下さい。
オーディオステータス
音質解説
JPRiDE TWS520mk2は低域を重視し、太く重厚なサウンドを実現しています。全体のチューニングはニュートラルを意識しているようですが、低域と高域にやや不自然に寄ったレンジ感重視のドンシャリサウンドです。
以下のレビューはFiiO M15にaptX接続でつないでテストしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:A-
- 深さ:A
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:S-
JPRiDE TWS520mk2の低域は全体の中でかなり存在感があります。そのため音量小さめでもしっかり聞こえます。また外出時に使用する際に低音が外音を遮断してくれるので、没入感は高く聞こえます。
低域は深みがあり、ドンとした床鳴り感、ランブルの響きが感じられます。個人的な好みでいうと、わずかに深さが足りないので、どんどんした音の沈み込みが足りず、少しうるさいですが、低域好きを満足させる量感があるでしょう。
エレキベースの広がりもよく、熱気が感じられ、バスドラムキックのヒットも重量感があります。描き分けもわりとしっかりしており、階層性の点でも問題ないでしょう。
中域(8.5)
- 原音忠実度:B-
- 厚み:B+
- 明るさ:B
- 硬さ:C+
- 存在感:B
中域は少し凹んでいます。中域の構造は低域から自然につながって奥行きを強調する後傾的なチューニングになっています。ドラムとボーカルの距離感が少し近く聞こえやすく、曲によってはボーカル付近に低域のにじみが見られます。
またボーカルは太さがありますが、芯が少し弱くハリも弱いので、実体感が薄く、曲によっては楽器音に対してやや埋没的に聞こえやすいですね。ウォームで聴き心地が良いですが快活さの点でやや物足りなさを感じます。
その存在感の弱さを補うかのように、子音はややきつめに聞こえるので、耳に痛いほどではありませんが、嫋やかなわりに、ツ音や息感の出し方が妙にとげとげしく聞こえます。唾の飛びが多いように聞こえますね。
中域は高域方向に広いですが、低域は少し迫って聞こえます。ステージングは良好です。
高域(8.5)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:C+
- 鋭さ:C+
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C
- 存在感:B
TWS520mk2の高域は拡張性も悪くなく、高さが感じられます。のびやかなサウンド表現を持ち、ダイナミズムが感じられます。
倍音の伸びがよく、高域では響きが豊かに聞こえます。少しギラつきが強いのと、抜けが少し悪いので、前述したようにボーカルが語尾で尖って聞こえる傾向があるのが好みの分かれどころです。余韻が今ひとつ足りませんね。
定位/質感
- 質感の正確性:C-
- 定位の正確性:B+
- オーケストラのテクスチャ:B-
- 雅楽のテクスチャ:B
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
オーケストラは中域が奥に聞こえ、そこからクライマックスで音が伸びてくるように聞こえる音場感をどう感じるかですね。ダイナミックで面白いとも言えますが、音の広がりの演出が過剰なので自然な雰囲気ではありません。音が広がったり縮んだり、遠ざかったり近づいたりして聞こえやすいですね。バイオリンの軸に安定感がなく、クライマックスでは外にそれていきます。
雅楽でも和音の高いあたりが鮮明で、龍笛の伸びが美しいですが、ギラつきが強く、華美に傾きやすいところがあります。個人的には華やかな雰囲気が感じられて悪くありませんが、中域が薄く、天井に向かうほど音が大きく聞こえます。この聞こえ方は空間的には少し不自然でしょう。本来であればこの高さの音はもっと余韻が感じられるべきです。余韻があれば音の広がりが自然になります。
クラシックや雅楽を楽しむ場合、音質的には同じ価格くらいなら、SoundPEATS Gamer No.1をおすすめします。より自然な空間表現と響き、明瞭な定位感を持っています。音圧感だけは価格なりですが。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:A+
レンジ感のあるサウンドで深さと高さは比較的優れています。欲を言えば、拡張性はもう少し欲しいところですが、価格を考えるとむしろ優れていると言えます。
クリア感はかなり優秀ですね。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:B
- 個人的な好み:B+
これまで聞いてきた印象から述べますと、JPRiDEは有線イヤホンは理解し難いチューニングが多いようですが、ワイヤレスオーディオ部門は比較的良好なチューニングのものが多いようです。
TWS520mk2も生き生きとした低域とダイナミックなサウンドは悪くないでしょう。ただ、オーディオマニア向きの音質かと言われると、空間表現的に少なくともクラシックや雅楽のような音楽を楽しむのには向かないので、オーディオマニア向きではないだろうと言えます。俗っぽいサウンドでガジェットマニア向きですね。
クリア感はかなり優れていますが、チューニング傾向は「ガジェット音質」です。
楽しい音質で個人的には割と好きですが、「ああ、なるほどね」といった具合で、とくに感動はないですね。すぐ飽きる音です。
音質的な特徴
美点
- 小音量でもしっかり聞こえる低域
- 奥行き感のあるサウンド
- 立体感に優れる
- 重厚感がある
- ダイナミックなサウンド
欠点
- 不自然な音場
- とげとげしい子音
- 薄い中域
- うるさくなりやすい低域
- 埋もれやすいボーカル
小音量でもしっかり聞こえる低域
奥行き感のある中域
ダイナミズムに優れる
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはRME ADI-2 Pro FS R Black EditionとFiiO BTA30を用いています。コーデックはaptXです。
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- JPRiDE TWS520mk2
総評
JPRiDE TWS520mk2は低域重視のドンシャリサウンドを持った完全ワイヤレスイヤホンです。通信品質はかなり良好で、使い勝手も良いので、この価格帯では悪くないかもしれませんが、サウンドはオーディオマニア向きとは言い難いところがあります。低域の存在感が強いのは好みを分けるところでしょう。ただ、外出時に音楽に没入するにはこれくらいはっきりした低域があるほうがよいかもしれません。
「ガジェットじゃない音質」というのが何を指して言うのかわかりませんが、TWS520mk2のサウンドはあまりオーディオマニア向きではないガジェット音質であることは間違いありません。むしろSoundPEATS Gamer No.1とかいう明らかにオーディオマニア向きでなさそうな製品のほうがはるかにオーディオマニア向きで「ガジェットじゃない音質」を実現しています。通信品質にやや不安を覚える機種ですが、個人的にはこの機種より断然おすすめですね。
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