免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
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JH Audio ROXANNE Universalの概要
こんな人におすすめ
- 高いイヤホンほど音が良いと信じている人
- シックで暗い、落ち着いた音が好き
- 有名人と同じイヤホンを使いたい
- JH Audioファン
基本スペック
- 再生周波数:10-23000Hz
- インピーダンス:15Ω
- 感度:119dB
- ピンタイプ:4pin
- 価格帯:100000円~200000円


- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.0/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:5.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
長所
- 上品でシック
- 高い鮮明感
- 低域が調整できる
短所
- よくないクリア感
- 不足している高域拡張性
- 不自然な質感
- コンプレッサーをかけすぎたようなダイナミックレンジの悪い音
- 総じて全く価格に見合わない音質
- 原音忠実度が低い
JH Audio ROXANNE Universalの特徴
イヤホンハウジングを40%小型化
イヤホンのハウジング型状を刷新した事で、筐体サイズが従来機から40%の小型化を実現。JH AudioがカスタムIEMの製造の為に保有している約33,000ペアの耳型データのうち、約1000ペアをサンプルとして使用。より快適なフィット感が得られるようデザインしました。さらにノズルの長さと角度を見直すことで、さらなるフィッティングの良さを実現しています。
独自のミニクワッドドライバー構成 「soundrIVeテクノロジー」
JH Audioが特許を取得している独自のミニクワッドドライバー(ドライバー4個)構成「soundrIVeテクノロジー」の採用により、23kHzまでの帯域を確保しています。
独自のチューブウェイブガイド「freqphaseテクノロジー」
多数のドライバー構成での時間軸と各帯域の位相を正確に制御する特許技術です。独自のチューブウェイブガイドにより各ドライバーの信号を0.01ミリ秒以内に確実に到達させ、IEMとしての役割を適切に行います。
ケーブルに低域調整機能を搭載(Variable bass output adjustable cable)
ユーザー自身でL/Rの低域調整可能な「Variable bass」機能をケーブル上に搭載。
ロック機構を搭載した独自の4ピンケーブル
独自開発の4pinアルミニウムケーブルコネクターにより、安全で強固な接続を実現。汗やホコリからも守ってくれます。


パッケージ(7.5)


今回はONZOのレンタル品のため、パッケージの評価は標準の7.5とします。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリングケース
- イヤーピース




ビルドクオリティ(8.0)


ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。フェイスプレートがとても美しいですね。












装着感(8.0)


装着感は悪くありません。耳が小さい人には少し大きいかもしれませんね。






音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- 小野測器 SR-2210 センサアンプ
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)


周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。


オーディオステータス


※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。
制動
JH Audio ROXANNE Universalはアンプの出力インピーダンスの影響をかなり受けます。
測定値は有料記事をご覧ください。


音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
JH Audio ROXANNE Universalは高域で鮮明感を重視し、中域中心部も強調する変形U字型とでもいうべきJH Audioの伝統的なシグネチャーサウンドに基づいています。
この機種にも低域調整機能が付いています。以下のレビューは一番バランスが良い中間位置でレビューしています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場補正済み周波数特性に基づく判定値。どれだけフラットスピーカーの音(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実][S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。


低域(8.0)
- 原音忠実度:A+
- 臨場感:B-
- 深さ:B+
- 重み:B+
- 太さ:A-
- 存在感:B


スイッチを中間位置に設定したROXANNE Universalの低域はやや浅めですが、比較的リニアです。高域方向に持っていくと低域はさらに不足し、浅くなります。逆に低域位置だとかなり低域の存在感が強くなります。
中域(5.0)
- 原音忠実度:B+
- 厚み:A
- 明るさ:A
- 硬さ:B
- 存在感:B


JH16v2 Proのときも指摘しましたが、JH Audioは本当に中域の音作りが下手っぴです。SHUREもイヤホンは本当に気色悪い中域を作っていますし、アメリカのブランドのイヤホンを買うより、JVCやオーテク、SONYの日本ブランドの安いイヤホンを買った方がはるかにまともな音がするはずです。
例のごとく、コンプレッサーをかけすぎたようなダイナミックレンジの悪い、濁って平面的な中域で、単純に「ひどい」以外語るべきことはほとんどありません。私の過去のJH Audio製品のレビュー(Roxanne AION/JH13v2 Pro/JH Audio Lola Hybrid Universal )を見れば、いろいろ書いてあります。繰り返す必要も感じません。
今のところ、JHで買うならLolaかRoxanne AIONが相対的にまともな音がすると期待できる、ということくらいしか言えませんね。
同じJHでもBillie Jeanのような安いモデルの方がおそらく断然良い音がすると予想されます。AKが関わっているせいでしょうかね、少なくとも周波数特性を確認する限りははるかにバランスが良いです。
高域(7.5)
- 原音忠実度:D
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B-
- 脆さ:B-
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:C-


JH Audioは相変わらず高域でかなり鮮明感を盛っています。というか、このブランドはSHUREの音に影響受けてるんですかね?傾向がそっくりです。おそらくJerry Harvey先生がSHUREに感化されている可能性があります。
しかし残念ながら、SHUREはモニターヘッドホンでは素晴らしいサウンドの名機をたくさん輩出していますが、イヤホンの方はむしろ反面教師にすべきサウンドのものばかり作っています。
JH AudioはSHUREイヤホンの呪縛から解き放たれるべきでしょう。まあ、これはSHUREをなぜか崇拝する傾向のある日本のポータブルオーディオ界隈も同様ですけど。SHUREが優れているのはヘッドホンの方で、イヤホンは基本的に……。
いわゆる「評論家」の先生方もSHUREやJHを毎回ヨイショするのには本当に苦労してると思いますね。心中お察しします。


定位/質感
- 質感の正確性:C
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco
」(「Dvorak: The 9 Symphonies 」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005 ] - 雅楽:宮内庁楽部「越天楽
」(「雅楽~平安のオーケストラ 」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
JH Audio ROXANNE Universalでフルオーケストラを聴くのはやめておいた方がいいでしょう。ダイナミックレンジの再現度が悪く、相性最悪レベルです。ダイナミックレンジと周波数レンジの両面でのっぺりした音でフルオーケストラを聴きたいならおすすめできます。
雅楽も同様です。刺激的な要素はほぼないので、聞き心地は悪くないですよ。暗く聞かせる割に和音がぎらぎらしすぎてはっきりし、金属的に聞こえるのが気色悪いですが。なんで肝心の中域でなく、こんなところにフォーカスさせて聞かせているのか、JHの意図は私には理解不能です。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:B
- クリア感:B
- イメージング:B
- 高域:A-
- 中域:B+
- 低域:C


低域の深さは少し物足りず、中域で奥行き感が強調され、高域は高さが大幅に物足りません。
クリア感は価格の水準よりはるかに下です。ただしハイエンド機種らしく、音量による変化はほとんどない点は優秀です。
イメージング性能は価格の水準よりはるかに低く、エントリークラスレベルです。ただし中域と高域はまともなので、それほど悪くは感じないでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-


SHUREのイヤホンの音が好きなら、アップグレード先としては良いかもしれません。それは同じように1000円クラスイヤホン以下のナローレンジで、のっぺりした中域を聴かせてくれますし、ノズルを交換する手間なしに低域を調整できます。ただし解像度はSHURE製品より少し悪くなる可能性が高いのだけネックです。
普通の人はこのイヤホンは無視して問題ありません。
音質的な特徴
美点
- 上品でシック
- 高い鮮明感
- 低域が調整できる
欠点
- よくないクリア感
- 不足している高域拡張性
- 不自然な質感
- コンプレッサーをかけすぎたようなダイナミックレンジの悪い音
- 総じて全く価格に見合わない音質
- 原音忠実度が低い


高い鮮明感
上品でシック
低域が調整できる






レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- JH Audio Roxanne Universal(高域寄り)
- JH Audio Roxanne Universal(中間位置)
- JH Audio Roxanne Universal(低域寄り)
総評
レディー・ガガやビリー・アイリッシュのような有名人や自分の好きなアーティストと同じ製品を使いたい、それによって同一感や自己満足を得たいという場合は、JH Audio Roxanneはとても魅力的に思えるでしょう。しかし、サウンド面で期待すべきものは基本的にほとんどありません。
オーディオ業界は音楽業界と密接な関係にあるので、音楽関係者を動員して彼らのSNSなどでの影響力を頼んでセールスプロモーションをしていることは珍しくありません。JH Audioはそれを大々的に行っているブランドの一つでしょう。日本でも最近、ア○ート近辺のブランドが同様のプロモーションを積極的に行っており、ほかにもなんとか中○さんをよく見かけることもあるでしょう。そうしたプロモーションをどう思うかは個人の自由ですが、個人的な感想としては、こういうことを露骨にして話題作りで無理して売ろうとしているブランドの製品は大抵あんまり良い音ではありません。
私の経験上、良い音の製品はむしろ、静かなところやもっと日常的なところ、他愛ないところで見つかるものが多いですね。人の幸せというのも、華々しく賑やかなところより、もっと静かなところにあるものです。無駄に高い値札をつけて高品質を装ったり、有名人を動員して一生懸命箔をつけているものからは、真の幸せは得られないんじゃないでしょうか。それはインチキ宗教ほど勧誘に熱心で、ほしくもない「幸せ」を押し売りし、一般に高額なお布施などを要求してくることにも似ているかもしれませんね。
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