免責事項
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JH Audio JH13v2 Pro Universalの概要
こんな人におすすめ
- 深みのある低域が味わいたい
- 重厚感のあるサウンドが好き
- 高域に敏感
- 高いイヤホンが好き
- JH Audioファン
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~20kHz
- インピーダンス:28Ω
- 感度:112dB/1mW
- ケーブルコネクタ:4pin
- 価格帯:100000円~200000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:5.0/10.0
- 中域:6.5/10.0
- 低域:9.5/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
長所
- 深みのある低域
- 低域を調整可能
- 解像度が高い
- 前方定位的
短所
- 構築感に欠ける
- 扁平な音像
- 音場が狭い
- 高域の拡張性が足りない
- 中域が籠もって聞こえる可能性
- 高い歪率
JH Audio JH13v2 Pro Universalの特徴
JH13は、世界中のオーディオファイルからも人気のモデルです。この新しいJH13v2 PROは新しいバランスド・アーマチュア型ドライバーとクロスオーバー技術を採用。ドライバー数は8ドライバーとなり、スチール製の音導管を採用、Moon Audio社の高品質IEMケーブルを付属し、音の再現性、ディテール感などより良いものとなっています。
- イヤホンハウジングを刷新:JH AudioがカスタムIEMの製造の為に保有している約33,000ペアの耳型データのうち、約1000ペアをサンプルとして使用。より快適なフィット感が得られるようデザインしました。さらにノズルの長さと角度を見直すことで、さらなるフィッティングの良さを実現しています。
- 独自のミニクワッドドライバー構成 「soundrIVeテクノロジー」:JH Audioが特許を取得している独自のミニクワッドドライバー(ドライバー4個)構成「soundrIVeテクノロジー」の採用により、高域特性を確保しています。
- 独自のチューブウェイブガイド「freqphaseテクノロジー」:
- 多数のドライバー構成での時間軸と各帯域の位相を正確に制御する特許技術です。独自のチューブウェイブガイドにより各ドライバーの信号を0.01ミリ秒以内に確実に到達させ、IEMとしての役割を適切に行います。
- ケーブルに低域調整機能を搭載(Variable bass output adjustable cable):ユーザー自身でL/Rの低域調整可能な「Variable bass」機能をケーブル上に搭載。
- ロック機構を搭載した独自の4ピンケーブル:独自開発の4pinアルミニウムケーブルコネクターにより、安全で強固な接続を実現。汗やホコリからも守ってくれます。
パッケージ(7.5)
ビルドクオリティ(8.0)
外観のビルドクオリティは価格帯の水準を満たしています。
装着感(8.5)
少し大きめですが、耳への収まりはよく、装着感は良好です。
音質
HATS測定環境
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
カプラー測定環境
- Type5050 マイクアンプ電源
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- オーディオインターフェース:MOTU M2
アナライザソフト
- TypeDSSF3-L
- Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
制動
このイヤホンはアンプの出力インピーダンスの影響を受けるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤーピース Mサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
JH Audio JH13v2 Pro Universalは扁平な音像を持つ中域充実系のサウンドを持っています。低域調整ノズルによって低域の拡張性と量感が変化します。
今回のレビューでは最も低域が少ない設定を設定1、真ん中の位置のときを設定2、最も低域が多い設定を設定3とします。
以下の評価値は設定2を基準とし、括弧内は設定1/設定3のものです。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S-(A+/S)
- 臨場感:B(B-/A-)
- 深さ:A-(B+/A)
- 重み:A-(A-/A)
- 太さ:A-(A-/A)
- 存在感:B+(B+/A)
設定1では低域は深さで物足りませんが、設定3にするとかなり深みと量のある低域を聴くことが出来ます。
エレキベースは黒く、バスドラムキックは重く太さがあって重厚に聞こえます。低域好きを十分に満足させることが出来るでしょう。とはいえ、この低域のためだけに10万円以上の値段を出す必要があるかは微妙です。
中域(6.5)
- 原音忠実度:A+(A+/A)
- 厚み:A-(A-/A-)
- 明るさ:A-(A-/B+)
- 硬さ:B+(B+/B)
- 存在感:B(B/B)
JH Audio JH13v2 Pro Universalの中域は比較的前面に存在していますが、最も低域が少ない設定1でもわずかに低域の影響を受ける可能性があります。構造はゆるやかに後傾しており、ステージングが強調されています。
中域は解像度に優れ、くっきりと聞こえますが、歪率は少し高く、中低域の影響も少しあるので、音像にぼやけや濁りを感じるでしょう。
またエッジ感やクランチ感の大幅な不足により、中域の立体感の再現度が悪く、音像は扁平で鮮明感にも欠けます。
つまり、10万円を出してまで聞く音ではないですね。
高域(5.0)
- 原音忠実度:D(D/D)
- 艶やかさ:B(B/B-)
- 鋭さ:B-(B-/C+)
- 脆さ:C+(C+/C-)
- 荒さ:D-(D-/D-)
- 繊細さ:D+(D+/D-)
- 存在感:D+(D+/D)
高域はどの設定でも大幅に不足しており、輝度が低すぎてよく聞こえません。拡張性にも欠けます。
高域に敏感な人には快適かもしれませんが、全体的にディテールが不足しており、よくありません。とにかく良くないとしか言いようがないですね。
定位/質感
- 質感の正確性:A-(A-/B)
- 定位の正確性:B(B/C+)
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
JH13v2 Pro Universalでフルオーケストラを聴くのはやめておいたほうがいいでしょう。重厚感だけは優れていますが、スケール感で大幅に劣り、倍音もきれいに聞こえません。
雅楽も全体的に抜けが悪すぎて聴けたものじゃありません。
音場/クリア感/イメージング
- 音場:C
- クリア感:B-
- イメージング:A-
- 高域:A+
- 中域:A-
- 低域:B-
音場は深さで優れ、中域で奥行きが強調され、高さで大幅に物足りません。
クリア感は価格を考えるとかなり物足りません。
イメージング性能は価格帯の標準以上です。
音質総評
- 原音忠実度:B-(B/C-)
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-
JH Audio JH13v2 Pro Universalは低域好きには歓迎されるイヤホンかもしれませんが、それだけです。一般的に音質面で価格の水準を満たしていると思えるのは解像度と低域だけで、それ以外は価格に見合うパフォーマンスを発揮できているとは言えないでしょう。
10万円もこのイヤホンに費やすつもりがあるなら、ほかに良い候補はたくさんあります。1万円のイヤホンですら、これより優れている機種はたくさんあるでしょう。
音質的な特徴
美点
- 深みのある低域
- 低域を調整可能
- 解像度が高い
- 前方定位的
欠点
- 構築感に欠ける
- 扁平な音像
- 音場が狭い
- 高域の拡張性が足りない
- 中域が籠もって聞こえる可能性
- 高い歪率
深みのある低域
低域を調整可能
解像度が高い
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + TOPPING A90を使い、レコーディングにはAntelope Audio Amariを用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- JH Audio JH13v2 (1)
- JH Audio JH13v2 (2)
- JH Audio JH13v2 (3)
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- JH Audio JH13v2 (1)
- JH Audio JH13v2 (2)
- JH Audio JH13v2 (3)
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- JH Audio JH13v2 (1)
- JH Audio JH13v2 (2)
- JH Audio JH13v2 (3)
総評
JH Audio JH13v2 Pro UniversalにはJH Audioの低域へのこだわりが感じられますが、その音に10万円の価値はありません。多くの人は1万円でもこのイヤホンを買う気にならないでしょう。そして低域好きは1万円も費やすことなく、より良質な低域をSoundPEATS T2を買うことで手に入れることができます。
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