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HarmonicDyne Poseidonの概要
こんな人におすすめ
- ゆったりしたサウンドが好き
- 音場の奥行き感重視
- 落ち着いた雰囲気で音楽を楽しみたい
- beyerdynamicの音が好き
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~40kHz
- インピーダンス:64Ω
- 感度:103dB
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:7.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- 奥行きがあり、少しゆったりとした音場
- 静寂感がある
- 上品でシック
- 中域のマイルドで豊かな響き
- 鮮明感に優れる
- 十分な高域の伸び
- 比較的正確な定位
- 原音忠実度が比較的高い
- 豪華なアタッシュケース
短所
- 中域の音像がぼやける
- 質感の再現度がよくない
- 浅すぎて締まりの悪い低域
- 派手さに欠ける
HarmonicDyne Poseidonの特徴
- 純粋なニッケルダイアフラムを採用したダイナミックドライバー
- 再定義されたパフォーマンス
- 超高音質パフォーマンス
- オープンバック・デザイン
- 自然で繊細なバランスのとれたサウンドチューニング
- プレミアム・メイプルウッド製イヤーカップ
- 快適な装着感と軽量化を実現
- 高品質な素材を使用しています
- バランスXLR端子付き高純度ケーブル
HarmonicDyne Poseidonの技術仕様
- ドライバーサイズ:50mm
- ドライバーの材質:純ニッケル振動板
- 周波数特性:10Hz〜40kHz
- インピーダンス:64Ω
- 感度:103±2dB
- THD+N:≤0.2%
- ケーブルターミネーション 4ピンXLR(XLR-6.35mmアダプタ付属)
- 重さ:380g
世界でも数少ない純ニッケル振動板ダイナミックドライバーを採用
プロフェッショナル・チューニングによるサウンドパフォーマンスの向上
HarmonicDyneはPoseidonを専門的に調整し、驚くほどの没入感を実現しました。10Hzから40kHzまでの広い周波数帯域で印象的な透明感を放ち、ユーザーを魅了します。優れたダイナミックレンジと、広い音場を実現するオープンバックのデザインを兼ね備えています。ポセイドンは、ボーカルと中音域に比類のない透明感をもたらします。両端の伸びを改善するためにヘッドホンを再調整したといいます。
メープルの無垢材を使った美しいデザイン
メイプル材は、プロ仕様の楽器に使用されることが多く、内部の減衰性が高く、振動の伝達速度が小さいため、新開発のニッケル振動板を使用したDDユニットとの相性が良いのが特徴です。HarmonicDyneは、最新のポセイドンを、手で摘んだ無垢のメイプル材をティーカップに使用し、無垢のステンレス・メタリックフレームでデザインしました。また、ヘッドバンドにもメイプル材を使用し、エレガントでリッチな印象を与えています。
完璧な快適性
快適な装着感決して妥協したくないものです。快適さがあれば、長時間のリスニングでも疲れないのは当然です。最新のHarmonicDyne Poseidonは、軽量なデザインと厳選された素材で設計されています。重さはわずか380gで、長時間の音楽鑑賞に理想的なヘッドホンです。このヘッドホンには、ナノメータースエードのイヤーパッドが搭載されており、ソフトなクランプ力と快適な装着感を実現しています。また、ヘッドバンドにはエクストラソフトクッションを採用し、快適な装着感を実現しています。
高純度バランスケーブル
HarmonicDyne Poseidonの性能を最大限に引き出すために、バランス型4ピンXLRケーブルが付属しています。このケーブルは高純度の銅線で構成されており、音源とヘッドホンの間でスムーズに音信号を伝達することができ、ユーザーにピュアなサウンド体験を提供します。
公式プロモーション動画
パッケージ(8.5)
HarmonicDyne Poseidonのパッケージは全体として豪華で、価格に十分見合っています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- キャリイングケース
- ケーブル
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
装着感は比較的良好です。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
HarmonicDyne Poseidonはアンプ側の出力インピーダンスが十分に高い場合、低域にわずかな影響があるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
HarmonicDyne Poseidonは中低域から中域下部が出っ張っており、中域でやや奥行き感が強調される、マイルドなU字型というようなサウンドを持っています。中域は中心部が遠くに聞こえ、このあたりで響きも多くなるため、ボーカル音像がややぼやけて聞こえやすいのが難点です。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.0)
- 原音忠実度:D+
- 臨場感:D
- 深さ:C+
- 重み:B+
- 太さ:A-
- 存在感:B-
開放型ヘッドホンであるため、Poseidonの低域は深さの点であまり期待できません。
低域の拡張性が不足しているため、低域は腰高気味です。ベースは温かみがありますが、黒さに欠け、バスドラムキックもやや膨張気味です。
ニッケルドライバーのおかげか明瞭度は割と高いものの、個人的には質を量で補うような膨張的なPoseidonの低域に魅力を殆ど感じません。
中域(8.5)
- 原音忠実度:A-
- 厚み:A
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B
Poseidonの中域は後傾的で奥行きが強調されています。
構造上、ボーカル、とくに女声は引っ込んで聞こえやすいところがあります。適切なステージングの強調によって、中域の楽器音もそれ以上に引っ込むところがあるので、中域がごちゃごちゃすることはなく、ボーカルもそれほど埋没的ではありません。とはいえ、音像はぼやけ気味でフォーカスがよくありません。
鮮明感があるわりに、ヴェールが少しかかったように妙に聞こえづらい感じが気になる人もいるでしょう。音楽の心臓部の立体感がときどきわかりづらいと思う人もいるかもしれません。音楽の一番美味しそうなところが薄くぼかされるモザイク処理がされてあるかのようです。これはこれで面白いとも言えますが。
奥行き感のある音楽が好きならわりとおすすめですが、個人的には中域がぼんやりして聞こえるのが、あまり好きではありません。
高域(9.0)
- 原音忠実度:B-
- 艶やかさ:B+
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B+
- 荒さ:C+
- 繊細さ:B-
- 存在感:B-
Poseidonの高域は比較的よく調整されており、定位感はかなり正確です。
倍音をかなり丁寧に表現し、鮮明感が高いのに、金属的な雰囲気もなく、拡張性にも優れて抜けの良い良質な高域です。しかし、中域が引っ込みすぎているため、その魅力を十分に引き立てることができません。
定位/質感
- 質感の正確性:B-
- 定位の正確性:A-
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
全体の定位感は悪くないですが、中域の中心が引っ込みすぎて聞こえるのをどう思うかです。奥行き感があってホールのようだと感じられればポジティブに評価できます。一方で中域で少し響きが強く、ぼんやりする感じが気になれば、ネガティブな印象が勝るでしょう。個人的には中域の音像のぼんやり感、質感の再現度の少し悪くなる傾向は気になるものの、これはこれで悪くないかなとも思います。
雅楽は篳篥の軸が少し弱く、響きの強調によって中域で音が滲んで聞こえるのが気になりますが、和音に甲高さがなく、聴き心地が安定しているのでわりと聴き応えを感じます。完璧ではないですが、80点くらいはあげてもいいでしょう。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:B+
- イメージング:B+
- 高域:A
- 中域:B
- 低域:B-
Poseidonの低域は浅く、中域で奥行きが強調され、高域は十分な高さがあります。多くの人にとってやや広めに感じられる音場でしょう。
総合的なクリア感は価格の標準は満たしていると思われます。
イメージングは価格の標準以上と言えるでしょう。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:B+
HarmonicDyne Poseidonは中域で奥行きを強調するサウンドを持っています。音の傾向は私が好きなbeyerdynamicのヘッドホンに似ていますが、その大多数よりニュートラル寄りで、もう少しバランスが良いと思われます。
一般にオーディオマニアが中域の音像の再現度、質感の正確性にこだわる傾向があることを考えると、原音忠実的な原理主義者にはウケが良くないでしょう。しかし、高域が良くできているために、定位感や倍音のトーンに不自然さが出にくいことを考えると、質感にそれほどこだわりのない大多数の人にはほとんど欠点になりません。
オーディオスペックが価格の標準を満たしていることを考えると、比較的おすすめしやすい機種であると言えますが、ベースヘッド(低域好き)には向きません。
音質的な特徴
美点
- 奥行きがあり、少しゆったりとした音場
- 静寂感がある
- 上品でシック
- 中域のマイルドで豊かな響き
- 鮮明感に優れる
- 十分な高域の伸び
- 比較的正確な定位
- 原音忠実度が比較的高い
欠点
- 中域の音像がぼやける
- 質感の再現度がよくない
- 浅すぎて締まりの悪い低域
- 派手さに欠ける
奥行きがあり、ゆったりとした音場
上品でシック
中域のマイルドで豊かな響き
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + Topping L50でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- HarmonicDyne Poseidon
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- HarmonicDyne Poseidon
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- HarmonicDyne Poseidon
総評
HarmonicDyne PoseidonはBeyerdynamicsのヘッドホンでありがちな、中域で奥行きを重視するサウンドを持っています。中域が少し響きが多くてぼんやりするのが最大の欠点ですが、定位感はかなり正確なため、beyerdynamicのモニターヘッドホンが好きなら、わりとそのまま乗り換えて使えると思います。ニッケル振動板の恩恵か、オーディオスペック的にも悪くなく、価格帯でずば抜けてはいませんが、優秀な水準です。
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