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GRADO The White Headphoneの概要
こんな人におすすめ
- 明るい音が好き
- 元気で快活なサウンドを聞きたい
- スネアの音が好き
- GRADOファン
基本スペック
- 周波数特性:14Hz~28kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98dB
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:7.0/10.0
- ビルドクオリティ:7.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:7.0/10.0
- 低域:7.5/10.0
- 歪みの少なさ:6.5/10.0
長所
- 艶があり、色気に優れる
- 構築感に優れる
- スネアの音が明瞭に聞こえる
- 鮮明感が高い
- のびやかで爽快
- 明るく朗らか
- 原音忠実度が高い
短所
- 平凡な解像度
- 歪が多い
- 深みのない低域
- 不自然な質感の中域
- 不自然な定位
- シャウティになりやすいボーカル
GRADO The White Headphoneの特徴
以下公式サイトからの引用です。
高密度に圧縮した麻をハウジングに使用した数量限定モデル
GRADO社史上初めてホワイトにカラーリングされたプラッターとアウターエンクロージャーから構成されるヘッドフォン。
- ホワイトメープルハウジング− サウンド・オブ・ウッド
GRADO社史上初めてホワイトにカラーリングされたプラッターとアウターエンクロージャーから構成されるヘッドフォンは、複雑な削り出し加工を用いて製造され、音質を最大限に高めています。ハウジングには従来よりコンパクトな通気孔を採用、メープル材の質量を増やし、フルボディで深淵なサウンドを実現しました。 - シグニチャーサウンド− 紛うことなきGrado
Gradoのドライバーの驚くべき点は、何度も聴いたことののある曲でも、新しいサウンドを発見できる緻密な明瞭さとレンジの広さを提供できることです。White Headphoneからは暖かい倍音色かつ豊かでフルボディなボーカル、素晴らしいダイナミクス、更にはとてつもなく滑らかなトプエンドまでもをふんだんに受け取ることができ、きめ細かな解像度から得られる中低域そして抜けの良いタイトさを保ちながらも、決して聴き疲れを感じさせない楽曲の再現性を実現した、まさにGradoらしいプレゼンテーションといえます。 - ドライバー− 特別にチューニング
メープル材ならではの特徴とサウンド出力とのパーフェクトなバランスを見つけるために多くの時間を費やしました。エンクロージャーの素材に合わせて特別にチューニングされたドライバーユニットは、至高のサウンドを生み出します。 - メープル材による暖かみとインパクトを正確に捉え、ホワイトハウジングのためにチューニングされたドライバーユニットは正統なGradoシグネチャーサウンドを生成します。
- サウンドステージ− スーパーワイド
50mmのドライバーは選びぬかれた高品質のメイプル材のハウジングとフルサイズのイヤーパッドとの組み合わせによって唯一無二の臨場感あふれるサウンド再生を実現しています。 - ハンド・メイド・イン・ブルックリン− With Love
白いメープル材のハウジングを支えるヘッドバンドは特別な白いステッチ仕様。そしてドライバーに情報を供給するのは、12芯無酸素銅線。このGrado社がこだわる60年間によるヘッドフォン製造は今も手作業により受け継がれ、このWhite Headphoneにも繋がっているのです。 - リミテッドエディション− 2019年限定生産
The White Headphoneは、2019年限定での生産となります。
開封&レビュー動画(Audio46)
パッケージ(7.0)
ONZOのレンタルバージョンなので、正規版とはパッケージ内容が違う可能性があります。
GRADO製品のパッケージングはブランドで共通性があり、価格の割には環境に優しそうなエコパッケージングになっています。付属品もシンプルです。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mm変換プラグ
ビルドクオリティ(7.5)
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感(8.5)
GRADO上位機種独特の広いイヤーカップで、装着感は良好ですが、開放型の割に熱は篭もりやすいので、夏場は少し蒸れます。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
GRADO The White Headphoneはアンプ側の出力インピーダンスが十分に高い場合、低域にわずかな影響があるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
私にとってGRADOというと、ほとんどHall&Oatesの甘いブルーアイドソウルを味わうための専用ヘッドホンみたいになってるんですが、The WhiteもGRADOの上位機種らしく、ボーカル付近が広めに取られています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(7.5)
- 原音忠実度:C-
- 臨場感:C-
- 深さ:C+
- 重み:B
- 太さ:A-
- 存在感:B-
低域は他のGRADO製品とほぼ一緒です。開放型ヘッドホンのため、深さを出すことは苦手です。
GRADOの開放型構造が作り出す独特の太さ重視のサウンドで、ドラムキックは少しドシンと重量感があり、エレキベースは深いところで少し熱気を感じますが、全体は浅いため、わりと明るく穏和に聞こえます。
全体のバランスも高域寄りのため、低域はあまり目立ちません。
中域(7.0)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:A-
- 明るさ:B+
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域はThe Whiteの独特な部分です。
少なくとも私が好きなPS2000eや他の上位機種に比べて明らかにボーカルやスネア・タムのあたりに強調があり、リズム主体で聞こえやすくなっています。そのため、音場の定位は独特になっていて、ドラムがギターより優位で前に陣取って聞こえるので、ロックは明らかにドラム主体で進行するようになります。ドラム主体で聴きたい人にはお勧めですが、個人的にはGRADOサウンドを愛する人のほとんどが甘いギターサウンドを好んでいると思うので、The Whiteが選り好みされるとすればこのあたりの聴かせ方でしょう。
高域(9.0)
- 原音忠実度:C+
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:B+
- 脆さ:B+
- 荒さ:C
- 繊細さ:C+
- 存在感:B-
高域はGRADOらしくなっており、鮮やかにアコースティックギターの粒立ちのあたりを甘く強調しつつ、超高域で閉じていくサウンドになっています。
定位/質感
- 質感の正確性:B
- 定位の正確性:B
- オーケストラのテクスチャ:D-
- 雅楽のテクスチャ:D-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
GRADO The White Headphoneは独特の中域構造を持っているため、フルオーケストラを聴くとかなり違和感を感じやすいです。妙に前傾して聞こえる独特の表現が好きなら悪くありませんが、私はおすすめしません。
雅楽は篳篥や和音が甲高く、定位も変なのであまりおすすめできません。
音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:C+
- イメージング:B+
- 高域:A-
- 中域:B+
- 低域:B
GRADO The White Headphoneは高域が伸びやかで中域上部から中高域がはっきりと聞こえるサウンドになっています。低域は少し遠く、深さに欠けます。中域が前かがみなので、音は近いですが、空気感に不足はなく、音場はわりと広やかです。
総合的なクリア感は価格の標準からすると物足りませんね。
イメージングは価格の標準を満たしています。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:C+
GRADO The White Headphoneは全体の原音忠実度は悪くありませんが、中域の構造が独特すぎて人を選びます。
音楽をドラム中心ではっきり聞きたいという用途には最高に近いパフォーマンスを発揮しますが、普通に音楽を聴くと違和感を覚えやすいですね。
音質的な特徴
美点
- 艶があり、色気に優れる
- 構築感に優れる
- スネアの音が明瞭に聞こえる
- 鮮明感が高い
- のびやかで爽快
- 明るく朗らか
- 原音忠実度が高い
欠点
- 歪が多い
- 深みのない低域
- 不自然な質感の中域
- 不自然な定位
- シャウティになりやすいボーカル
艶があり、色気に優れる
構築感に優れる
明るく朗らか
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition + Topping A90でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。
¥369,600(税込)
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- センサアンプ:小野測器 SR-2200
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO The White Headphone
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO The White Headphone
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO The White Headphone
総評
GRADO The White HeadphoneはいつものGRADOっぽいようで、実はギターよりドラム重視のサウンドになっています。そのせいでGS2000eやPS2000eのような甘い雰囲気に包まれるより前に、活き活きしたドラムがリズムを強烈に意識させてくる感じがあり、ドラム好きにはたまらなく楽しい音に聞こえるでしょうが、ギター派にはちょっと不満が残りそうです。あくまで私の考える正統派GRADOサウンドはGS2000eやPS2000eみたいな感じですし、そちらのほうが全体の響きが自然でバランスは良いので、The Whiteは少しおすすめ度は低いですね。ドラム好きなら文句なくこっちを選ぶべきですが。
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