免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
- 「audio-sound @ premium」はamazon.co.jpおよびamazon.comほか通販サイトの取扱商品を宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣言プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラム等の参加者です。
GRADO SR325eの概要
こんな人におすすめ
- 明瞭感重視
- エネルギッシュでダイナミックなサウンドが好き
- ギターの色気重視
- スネアのキレ重視
- 派手なサウンドが好き
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~24kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98.8dB
- 価格帯:30000円~50000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:10.5/10.0
長所
- キレの良いスネアやタム
- 印象的なボーカル
- 奥行き感がある
- 中域への適切なフォーカス
- 硬めで手掛かりがしっかりと聞こえる構築的な中域
- バランスが良い
- 分離感が良い
- 派手で賑やかな高域
- 色気のあるボーカルとギター、金管
短所
- 臨場感に欠ける
- かさついたドライな質感
- 少し浮ついて聞こえやすいサウンド
- 静寂感は少し足りないかもしれない
- 甲高い音
GRADO SR325eの特徴
以下公式サイトからの引用です。
Less Bling More Zing
プレステージシリーズ最高峰。質量を増したアルミニウム製ハウジングにより、ローエンドからハイエンドまでの全音域にわたり、正確な音色表現とよりスムーズな音伝達を可能にしています。
世界的に定評のある中音域の音質は維持しながらも、高音域と低音域についてはより正確な音の表現が可能になりました。
音質はまさにGRADOサウンドです。暖かく身体全体に響くヴォーカル、優れたダイナミクス、スムーズなトップエンドと美しい余韻の低音が特徴です。
紹介動画
Cnet
What Hi-Fi?
パッケージ(7.5)
デザインはGRADOのいつものシンプルパッケージです。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- 3.5mm→6.35mm変換プラグ
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
本体のビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
イヤーカップも柔軟に回転するので、片耳モニタリングも可能です。
装着感(8.5)
装着感は比較的良好です。開放型で蒸れにくいのが良いですね。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
アンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありませんが、出力インピーダンスがかなり大きい場合、低域に影響を受けるようです。しかし事実上無視できる程度に思われます。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
GRADO SR325eは明るく開放的でしゃっきりとした音楽を聴かせてくれます。明瞭感があり、奥行きに優れ、立体感の感じられるダイナミックなサウンドを持っています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:B-
- 臨場感:C-
- 深さ:C+
- 重み:B
- 太さ:B+
- 存在感:C
GRADOのヘッドホンの低域は大抵、重低域に向かってゆるやかに伸びており、100hz付近から急速にローエンドに向って減衰する直線的なロールオフがあります。
床鳴りを感じさせるノイズは多くなく、臨場感は高くありません。エレキベースは少し浮き上がって聞こえ、バスドラムキックも重みがありますが、やや浅い印象を受けます。中域からは少し離れるように階層性が強調されるので、縦軸での音の立体感はしっかりしています。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:A-
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域は前進的で、低域と高域からほどよく分離されています。
中域はかなりはっきりと硬く構築的に聞こえ、音の手がかりがしっかりと聞こえます。ボーカルは少し明るく媚びて元気に聞こえ、ハキハキツヤツヤとしています。打楽器もかっつりときれいに聞こえるので、ロックでも確かなリズムが感じられます。ピアノは少し硬く、音量を上げるとキンキンする感じが出るかもしれません。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:A-
- 脆さ:B
- 荒さ:C+
- 繊細さ:C+
- 存在感:B-
高域は艶やかな光沢感があり、マイクロディテールも少し強調されるので、全体的に艶がありディテール感はしっかりしています。
高域は少し派手な色づき感があり、少し音がキラキラと粒立ち、アコースティックギターやエレキギターのエッジは少し強調されて聞こえ、金管などの音にも色気が感じられます。女声ボーカルのニュアンスは少し鼻にかかるように強調され、わずかにハスキーに思えるかもしれません。高域は少し派手で、またギラツキがやや強いですが、華やかでGRADOらしい艶やかさの感じられるにぎやかな雰囲気のあるサウンドです。
定位/質感
- 質感の正確性:A-
- 定位の正確性:B-
- オーケストラのテクスチャ:B-
- 雅楽のテクスチャ:C+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
オーケストラを聞くと、まず音場の雰囲気がだいぶ明るいことに気づきます。奥行きは優れていますが、バイオリンは少し派手でギラつき、ヒステリックに聞こえます。金管もやや「がなる」傾向がありますね。華やかさがあり、ダイナミズムが感じられますが、浮ついて「がさつ」に聞こえるサウンドで、上品さ、優雅さに欠けます。各パートが自分の主役パートでひたすら力任せに演奏している雰囲気で、単純に嫋やかさに不足がありますね。
雅楽も少し明るすぎ、笙の和音がサイレンのように聞こえるのは耳にうるさいですね。龍笛も甲高く、ヒステリックに聞こえます。
全体的に重厚感にも欠けるので、落ち着きがないサウンドで、オーケストラや雅楽を聴くには、軽薄でチャラすぎるサウンドです。
音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B+
中域は奥行きと深さ、高さと幅があり、全体の中で広めに、印象的に聞こえます。全体の音場は深さはそれほどもなく、高さも自然なレベルでしょう。打楽器とボーカルの周囲の空間が広く、これらのサウンドが印象的に聞こえます。
クリア感は価格の標準を満たしています。
音質総評
- 原音忠実度:S
- おすすめ度:S
- 個人的な好み:A+
GRADOらしい華やかさのあるサウンドです。低域はやや薄味なので、音楽全体が前かがみで聞こえるところはありますが、明るくハキハキし、グルーヴ感も高い、艶やかなサウンドで気持ちを高揚させてくれる楽しくノリの良い音楽を聴かせてくれます。
個人的にもGRADOの好きなところが凝縮されており、5万円以内でGRADOで買うなら、これでいいんじゃないかと思うくらいです。私から見ても正統派GRADOサウンドでよくまとまったミドルエンドモデルです。
音質的な特徴
美点
- キレの良いスネアやタム
- 印象的なボーカル
- 奥行き感がある
- 中域への適切なフォーカス
- 硬めで手掛かりがしっかりと聞こえる構築的な中域
- バランスが良い
- 分離感が良い
- 派手で賑やかな高域
- 色気のあるボーカルとギター、金管
欠点
- 臨場感に欠ける
- かさついたドライな質感
- 少し浮ついて聞こえやすいサウンド
- 静寂感は少し足りないかもしれない
- 甲高い音
明瞭感が高い
ダイナミズムに優れる
広い音場
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO SR325e
総評
GRADO SR325eはGRADOらしい中域によくフォーカスされた色気たっぷりのサウンドを聴かせてくれます。金管をはじめ楽器音は華やかで、それこそ花開くように艶やかな蓮華に近い色彩感があります。あるいはそれは南国のハイビスカスかもしれません。キレの良いドラムサウンドも元気で、聴いているだけで活力を与えてくれるような、楽しいサウンドがそこにあります。
コメント