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GRADO RS2eの概要
こんな人におすすめ
- ギター重視
- スピード感重視
- 音のキレ重視
- 開放型ヘッドホンが好み
- GRADOファン
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~28kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98.8dB/mW
- 価格帯:50000円~100000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 立体的なサウンド
- 艶やか
- 奥行き感がある広い音場
- のびやか
- エネルギッシュ
- 構築的で確かな輪郭感
- 原音忠実性が高い
- 高いダイナミクス
- 良好なディテール
- 良好なアタック感
短所
- 浅い低域
- メタリックサウンド
- 甲高い音
- 不自然な定位
GRADO RS2eの特徴
以下公式サイトより引用です。
RS2eは、RS1eの弟分です。GRADO社独自の木材加工技術の粋を集めた新しい、そして軽量になったデザインは、ただただ美しく満足のいく仕上がりになっています。
https://knicom.co.jp/product/rs2e/
- 新設計ドライバーユニット採用
- ハウジングの質量を増やし、よりスピード感溢れる音に
- ヴォイスコイル、ケーブルにも新たなUHPLC無酸素銅線を採用
- ハウジングに新たなマホガニー材を採用し、削りだし手法も一新。全体的な音質を最適化しています
- 44mm口径のダイアフラムと8芯UHPLC無酸素銅線を採用
レビュー動画
パッケージ(7.5)
ビルドクオリティ(8.5)
GRADO RS2eのビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
イヤーカップは柔軟に回転するので、片耳モニタリングも可能です。
装着感(8.5)
装着感は良好です。開放型なので通気性が良く、少し蒸れにくいです。
音質
周波数特性
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD特性
測定値は有料記事をご覧ください。
制動
アンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありませんが、出力インピーダンスがかなり大きい場合、低域に影響を受けるようです。
スマホでも十分鳴らせそうです。私の手持ちのSamsung Galaxy A30では駆動に不足を感じませんでした。
測定値は有料記事をご覧ください。
ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
GRADO RS2eは総体としてかなり自由音場フラットに忠実で、原音忠実性の高いサウンドが期待できます。全体的にステージングが良く、音場が広く開放的に聞こえるのが特徴で、のびやかでエネルギッシュに音楽を楽しむことができます。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:B+
- 臨場感:C-
- 深さ:B-
- 重み:B
- 太さ:B+
- 存在感:C
低域は全体の中でのプレゼンスが少し抑えられています。太さは十分ありますが、重さは中庸で重厚感は強くありません。
エレキベースは少し浅く聞こえやすく、黒さが足りないような気がしますが、エッジのブリブリしたあたりはよく強調されるので、熱気が感じられます。
ドラムキックは少し軽快なバランスで機敏さが感じられます。
ドラムとベースの描き分けはあまり明瞭ではありませんが、混濁感はそれほどありません。
コントラバスは少し軽めの浮き上がりが良いサウンドで躍動感がありますが、深みに欠けます。
低域は全体的に沈み込みが不足している感じがありますね。
中域(9.0)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B+
- 明るさ:A-
- 硬さ:A-
- 存在感:B
中域は前面に聞こえるバランスになっており、全体の構造は前傾しています。
明るく艶やかに聞こえ、ディテールも強調される、少し硬い質感でくっきり、かっつりとしたモニターライクなサウンドです。
スネアのキレが良く、ギターエッジも艶やかに聞こえるGRADOらしい中域で、中低域の熱気が少し滲みだしたライブ感の高いサウンドを持っています。
中域下部は少しウォーム感が強く、じんじんしていますが、その熱気を突き抜けてボーカルやギターが押し出されて聞こえるので、立体的に感じられます。
中域は奥行き感があり、広く感じられますが、やや過剰です。曲によっては音が近づいたり遠ざかったりしやすく、定位の一貫性に欠ける傾向があるでしょう。
高域(9.5)
- 原音忠実度:C
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:A-
- 脆さ:B
- 荒さ:C
- 繊細さ:C+
- 存在感:C+
高域は独特です。マイクロディテールは強調されており、輝度は高く、比較的音も高く感じられます。空気感はいま少し足りない気もしますが、風通しは悪いほうではないでしょう。
シンバルクラッシュやアコースティックギターのエッジ、ボーカルの息の伸びが生き生きしており、GRADOらしいエネルギッシュで楽しいサウンドです。
金属光沢感が強調され、ギラつきが強めでアタックも少し強めに聞こえる傾向があります。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:C
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvo?ak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
GRADO RS2eがクラシック向きかと聞かれたら、私は最終的にはクラシック向きとは思えないと答えますね。
非常にエネルギッシュで艶やかなクラシックで、一聴した印象は洗練されているように感じられることは事実です。バイオリンのエッジが力強く、響きの伸びが軽やかで、ゆらめき感があり、妙に官能的です。金管も華やかです。
しかし全体的な質感は少し明るすぎ、重厚感に欠け、バイオリンの軸が安定していないために近づいたり遠ざかったり、定位の振れ幅が大きく聞こえます。
騒がしく聞こえやすく、静寂感に欠けるのも欠点ですね。
雅楽はかなり甲高い感じが強調されやすく、色づき良く艶やかですが、少しガチャガチャしやすいのが気になります。また塩梅は単調に聞こえやすく、面白みに欠けます。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B+
GRADO RS2eは高さ、奥行きに優れ、拡張性も高域方向ではまずまず悪くないといった具合です。低域は底が浅いですね。
クリア感は価格の標準を満たしています。
音質総評
- 原音忠実度:S-
- おすすめ度:S-
- 個人的な好み:S
GRADO RS2eはGRADOらしいエネルギッシュな高域を持っており、ロックやポップス、JAZZを楽しく躍動的に聴かせるヘッドホンです。
音場は広めで立体感に優れ、華やかで艶のあるサウンドで没入感が高く、音楽を生き生きとした鮮度の良い音を味わえるでしょう。
若干押し出し感が強いところもありますし、ギラつく派手なところもあって癖を感じるサウンドではありますが、開放型のせいか、それほど聞き疲れしません。
エレキギターをアゲアゲの雰囲気で楽しみたい場合、この価格帯では比較的おすすめできる機種です。個人的には好きな傾向の音ですね。
音質的な特徴
美点
- 立体的なサウンド
- 艶やか
- 奥行き感がある広い音場
- のびやか
- エネルギッシュ
- 構築的で確かな輪郭感
- 原音忠実性が高い
- 高いダイナミクス
- 良好なディテール
- 良好なアタック感
欠点
- 浅い低域
- メタリックサウンド
- 甲高い音
- 不自然な定位
艶やかかつ華やか
エネルギッシュでのびやか
立体的でスピード感もあるサウンド
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO RS2e
総評
GRADO RS2eは自由音場フラットを意識したバランスの良いサウンドを持っているヘッドホンです。奥行き感のある広い音場に艶やかでのびやか、エネルギッシュなサウンドを聴かせてくれるヘッドホンで、ロックやポップスを楽しく生き生きとしたものにするでしょう。GRADOサウンドのリファレンスとされているのも、聴いてみれば納得です。
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