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GRADO GS3000eの概要
こんな人におすすめ
- JAZZ好き
- クラシック好き
基本スペック
- 周波数特性:4Hz~51kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98.8dB/mW
- 価格帯:200000円~300000円
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:10.5/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
長所
- ほぼ完璧なニュートラルサウンド
- ほぼ正確な定位
- 自然な質感
- 自然に近いディテール
- 充実感がある
- 骨太で重厚
- 聴き疲れしにくい
- ウォーム
短所
- 拡張性が少し足りない
- 高域がわずかにおとなしい
- 残響感が強い
- クリア感に少し欠ける
- 耐久性が心もとない
GRADO GS3000eの特徴
以下公式サイトより引用です。
King of Swing
GS3000eは、Grado社がこれまでに製造した中でも最高級の木製ハウジングヘッドフォンとなります。大型ハウジングで初めてココボロ材を採用、これまで製品群で最もリッチなサウンドを生み出しています。様々な楽器を製作する際に用いられています。
ココボロ材は中米原産。そこの音楽と同じように、GS3000eの生み出すサウンドは質感と感情に溢れています。ヘリテージシリーズのGH2、フラッグシップのカートリッジEpochにこの木材を採用、そこで発見された木材の特性をステートメントシリーズGS3000eの開発へと落とし込みました。
ココボロ材を使用する最初のステートメントシリーズヘッドフォンとして、50mm口径のシグネチャーダイナミックドライバーを採用。より大きなサウンドステージを実現するとともに、このユニークな木材の深くてインパクトのある音楽的キャラクターをも受け入れるように慎重なチューニングが施されています。
紹介動画(Hi-Fi NEXT)
パッケージ(7.5)
GRADO GS3000eは価格のわりに簡素なパッケージに入っています。
パッケージ内容
パッケージには以下のものが含まれています。
- ヘッドホン本体
- 6.35mmプラグケーブル
- 6.35mm→3.5mm変換プラグ
- マニュアル
ビルドクオリティ(8.5)
GRADO GS3000eのビルドクオリティは価格の標準を満たしています。ただし、GRADOのヘッドホンは耐久性が高くないので注意が必要です。
イヤーカップは柔軟に回転するので、片耳モニタリングも可能です。
装着感(8.5)
装着感は良好です。GS3000eは木製なので、見た目の大きさに比べて装着感は軽めです。
音質
周波数特性
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
THD特性
測定値は有料記事をご覧ください。
制動
アンプ側の出力インピーダンスの影響はほとんどありませんが、出力インピーダンスがかなり大きい場合、低域に影響を受けるようです。しかし事実上無視できる程度に思われます。
測定値は有料記事をご覧ください。
ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
GRADO GS3000eの音質は完璧なニュートラルに近く、質感と定位に優れています。さらにGS3000eには木製ハウジングが作り出す独特の残響感があり、それによって音楽の響きの情報量が増加し、音源から実際以上に思えるくらいの、より優れた実在感を引き出します。リファレンスサウンドの究極形に近いので、音域バランス的にはモニターヘッドホンとしても優秀ですが、クリア感は物足りないので、モニターとして使うには音像の把握の精度に不足があるかもしれません。
評価基準について
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:D+
- 臨場感:D
- 深さ:C
- 重み:B
- 太さ:A-
- 存在感:B-
GRADO GS3000eの低域は開放型の特性のせいで、少し底が浅く聞こえますが、太さと重量感はしっかりしています。骨太感があるので、重厚感で不足はほとんど感じません。
適正音量であれば聴感上はほとんどニュートラルに聞こえることが期待できるので、かなり自然な質感の低域です。
個人的には臨場感に欠け、深みに欠けて浅く聞こえるのが物足りないですが、ほとんど文句のつけようがありません。
中域(10.5)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:A-
- 存在感:B
GRADO GS3000eの中域は完璧に近く、質感と定位の正確性において高水準で、音場もかなり自然に展開されています。
ほとんど文句の付けようのない中域で、バランス的にも高域、低域両方とよく釣り合っています。個人的好みで言えば、わずかに高域のプレゼンスが足りないので、少しディテールや開放感に物足りなさを感じるところがあります。
高域(9.5)
- 原音忠実度:B-
- 艶やかさ:A-
- 鋭さ:A-
- 脆さ:B+
- 荒さ:C+
- 繊細さ:B-
- 存在感:B
高域も完璧に近いですね。
中域の明度に対して輝度はほんの少し足りない気がします。空気感は十分で文句のつけようがありません。シンバルクラッシュもきれいで、バイオリンも自然に伸びます。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:A-
- オーケストラのテクスチャ:S
- 雅楽のテクスチャ:S
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvo?ak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
GS3000eは重低音の臨場感と超高域の空気感を除いてクラシックをほぼ完璧に再現します。フルオーケストラを完全再現に近く提示できる数少ないヘッドホンの一つで質感定位ともにきわめて高い水準を実現しており、非常に優れています。木製ハウジングが生み出す太鼓のような残響感が元の音源以上の響きを生み出し、豊かな雰囲気を作り出してくれます。没入感は非常に高いですね。
雅楽も完璧に近く、笙の和音、篳篥の塩梅の再現度は申し分ないです。
音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B-
音場は底が少し浅いですが、おおむね標準的で自然な広さです。開放型独特のパッシブサウンドステージの広がりがあります。
クリア感は価格を考えると平凡です。
音質総評
- 原音忠実度:S-
- おすすめ度:S
- 個人的な好み:S-
GRADO GS3000eを聴いていると、直前にレビューしたSONY MDR-M1STのキャッチフレーズを思い出します。「感動はここから生まれる」でしたっけ。「中域の骨太感と、全体の音が俯瞰できる音像を両立」し、「楽器配置や音の響く空気感といった演奏空間全体を広く見渡すことができ、原音のイメージそのままの音質を実現」したとSONYは豪語していましたね。
骨太のサウンドと正確な定位が感動を生み出すというSONYの主張は正しかったのですが、MDR-M1STとかいうヘッドホンのサウンドは残念ながらその看板とは裏腹の、単なるファットサウンドでした。駄作を掴む前に少し遠回りしてみましょう。GS3000eを聴けば本物とは何かがわかるはずです。
SONYが生み出したかった音、それを実現しているのがGRADO GS3000eです。それは骨太で残響感豊かな中域を持ち、定位と質感は非常に正確です。
GS3000eのサウンドは本物の感動を生み出すサウンドであり、リファレンスサウンドとしての一つの究極を実現しています。本物の感動できるヘッドホンを求めている人は、本物を装っているSONY MDR-M1STを買う前に、GS3000eを聴いてみるとよいかもしれません。MDR-M1STの音に本当の感動があるかどうか気づくことができるでしょう。
SONYの次回作にご期待ください。
音質的な特徴
美点
- ほぼ完璧なニュートラルサウンド
- ほぼ正確な定位
- 自然な質感
- 自然に近いディテール
- 充実感がある
- 骨太で重厚
- 聴き疲れしにくい
- ウォーム
欠点
- 拡張性が少し足りない
- 高域がわずかにおとなしい
- 残響感が強い
- クリア感に少し欠ける
ほぼ完璧なニュートラルサウンド
優れた質感と定位
骨太で重厚
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レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは0.3Ωです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
GENS D’ARMES(ロック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
白き魔女(クラシック系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
Sophisticated Fight(JAZZ系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
LACRIMOSA OF DANA -Opening Ver.-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
巨イナルチカラ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
ユルギナイツヨサ
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
Intense Chase
- 原曲(-23LUFS)
- GRADO GS3000e
総評
GRADO GS3000eを聴けば、なぜかくも多くの人々がGRADOに熱狂しているのか、その理由がわかります。それは正確な定位と質感で音楽を再現しつつ、豊かな残響感を加え、音楽をより美しく、楽しく聞かせてくれます。GRADOのリファレンスサウンドはただ音楽を正確に表現するだけではありません。正確な定位と質感を保ったまま、音楽をより素敵に、奥深い次のステージへといざなってくれるのです。本物のその先が聞こえるヘッドホン、それがGRADO GS3000eです。
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