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Geek Wold GK10の概要
こんな人におすすめ
- 充実感のあるサウンドが好き
- 温かみのあるリスニングサウンドが好き
- バランスが良いサウンドが好み
- コスパ重視
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~30kHz
- インピーダンス:8Ω
- 感度:106dB/mW
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:6.0/10.0
- ビルドクオリティ:6.5/10.0
- 装着感:9.0/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:8.5/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:9.0/10.0
- コストパフォーマンスボーナス:11.0/10.0
長所
- 比較的ニュートラルに近い
- 充実感のあるサウンド
- 聴き心地が安定している
- バランスが良い
短所
- ボーカル音像は劣化しやすい
- 曖昧なイメージング
- 深みに欠ける低域
- パッケージクオリティ
- ビルドクオリティ
Geek Wold GK10の特徴
Geek Wold GK10は2021年で最も話題となった中華イヤホンの一つとなることはすでに間違いありません。5000円クラスでありながら豪華な2DD+1BA+2ピエゾのトライブリッドドライバー構成となっており、$200クラスに匹敵するという衝撃的なインプレッションとともに、たちまち熱狂と議論を巻き起こしました。
オーディオコミュニティのほぼ全てが一時期このイヤホンに釘付けとなりましたが、その評価は最終的には分かれます。実力派のオーディオマニアはすぐにGK10の中低域にある弱点を見抜き、ビルドクオリティがチープな点からも、高い評価を下しませんでした。しかし、より一般的なオーディオファンはそのバランスの取れたリスニングサウンドを高く評価し、熱狂しました。
- スタビライズドウッド製のフェイスパネル
- 強力な5つのドライバーを搭載したトライブリッド・セットアップを左右に配置
- デュアル・ダイナミック・ドライバー・ユニット(低音域用、中音域用)
- 2つのピエゾエレクトリックセラミックドライバー (超高音域用)
- バランスド・アーマチュア・ドライバーを1基搭載。(高音域用)
- ユニークで美しいデザイン
- シングルではない。ダブルダイナミックドライバーの実力:Geekwold GK10は、1つではなく2つの強力なダイナミックドライバーを搭載し、低音域と中音域の優れたディテールを生み出します。1つの8mmチタンドームダイナミックドライバーは、深く潜るようなパワフルな低音域のレスポンスを実現するためにチューニングされており、7mmグラフェンダイアフラムダイナミックドライバーユニットは、高解像度の中音域のレスポンスを実現するためにチューニングされています。
- バランスド・アーマチュア・ドライバー・ユニットによるハイレゾリューションな高域特性:Geekwold GK10は、高性能バランスド・アーマチュア・ドライバーを採用し、正確で解像度の高い高音域レスポンスを実現しています。また、スムーズで疲れにくい高音域のレスポンスにより、音楽の豊かなディテールを最高の精度と透明感で再現します。
- デュアルピエゾエレクトリックセラミックドライバー:GK10の超高音域レスポンスは、2つの高解像度ピエゾエレクトリックセラミックドライバーユニットによって生み出されます。卓越した超高音域のレスポンスを、優れた透明感とコントロールで体験できます。また、圧電セラミックドライバーにより、30kHzまで伸びる高音域のレスポンスを実現しています。
- 美しいイヤーシェルとスタビライズドウッド製フェイスパネル:Geekwold GK10イヤーシェルは、ABS+PC素材を使用し、人間工学に基づいたデザインで、多くのユーザーに快適な装着感を提供します。また、無垢のスタビライズドウッドを使用したフェイスパネルを採用しており、それぞれのシェルに独特の質感と外観を与えています。
- 駆動が容易:Geekwold GK10では、駆動について心配する必要はありません。この製品は、8Ωの超低インピーダンスと106dBの高感度を備えた非常に高感度なペアです。ユーザーは何の問題もなく、スマートフォンからそのまま簡単に電源を供給することができるでしょう。
- 魅力的な外観、魅力的な価格設定:Geekwold GK10は、$45.90という非常に魅力的な価格で予約を受け付けており、まもなく出荷が開始されます。ご注文はこちらからどうぞ。
パッケージ開梱動画
パッケージ(6.0)
Geek Wold GK10のパッケージは……お世辞にも良いとは言えませんね。
最近の中華イヤホンはパッケージングがまともになってきており、5000円以下でもそれなりの品質で、最低限カバーがあるものですが、GK10のパッケージングは……とてもチープです。
パッケージ内容
付属品は比較的揃っています。イヤーピースは十分あります。
- イヤホン本体
- シリコンイヤーピース
- キャリイングポーチ
- ユーザーマニュアル
ビルドクオリティ(6.5)
ビルドクオリティは安っぽいですね。
装着感(9.0)
耳への収まりは比較的良好です。装着感は良いでしょう。
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSとプロ用測定アナライザーソフトを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性(自由音場補正済み)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
制動
Geek Wold GK10はトライブリッド構成ですが、アンプ側の出力インピーダンスの影響をほとんど受けません。
測定値は有料記事をご覧ください。
音質解説
今回は標準イヤピの中で、透明傘のLサイズを使ってレビューします。
Geek Wold GK10のサウンドは中低域が膨らんだ、ウォームで穏やかなニュートラル系サウンドというべきもので、快適なリスニングスタイルを提供するバランスの良いサウンドです。廉価なピエゾドライバー機種にはカリカリした音がするものもありましたが、GK10は歯擦音や刺さりはほとんど感じられず、滑らかな質感の高域になっています。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.5)
- 原音忠実度:S
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:A
Geek Wold GK10の低域は太さと重みがあり、深さも比較的良好なようですが、重低域の底まで表現することはできません。
やや中低域に比重が大きい低域となっているため、音の印象は浅く、ベースヘッドを満足させる品質はありません。
暖かみがあり、聴き心地がよく、パンチが豊かで力感に量が感じられますが、階層性にはそれほど優れていないのでクリアに見通せる低域ではありません。
GK10の低域は心地よいリスニングスタイルを提供しますが、価格帯で優れている品質ではありません。
中域(8.5)
- 原音忠実度:B+
- 厚み:A-
- 明るさ:B
- 硬さ:B-
- 存在感:B
一般に、GK10の欠点は中域にあります。
中域はボリューム感を強調し、少しぼんやりとした雰囲気の中でゆったりと音楽を聴かせます。奥行き感があり、ステージが強調されているために、聴き心地は快適です。
しかしボーカル音像が中低域のパンチやウォーム感の影に隠れて時々曖昧に聞こえ、一貫性がありません。ボーカル音像に厳しくない一般リスナーはそれほど違和感を感じないでしょうが、オーディオマニアやDTMerはその欠点を見抜くでしょう。
全体として朗らかでディテール感も悪くないためにリスニング用としては快適性の高い魅力的な中域ですが、イメージング能力は高くなく、解像度に問題があります。
高域(9.0)
- 原音忠実度:C+
- 艶やかさ:B-
- 鋭さ:B-
- 脆さ:C+
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C-
- 存在感:C+
GK10の高域は比較的よく調整されています。
ほぼニュートラルに近く、ピエゾドライバーにありがちな倍音がきつく聞こえる傾向もないために、GK10の高域は自然に近い伸びやかさがあります。
一般的なリスニングは十分な拡張性があるように思われますが、個人的な好みからすると、少しヘッドルームは物足りないですね。そうとはいえ、なめらかに減衰する高域を実現しているので、音の上方向への消失感は自然で、雰囲気はわりと良好です。
定位/質感
- 質感の正確性:B-
- 定位の正確性:A+
- オーケストラのテクスチャ:A-
- 雅楽のテクスチャ:A+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
GK10は中域の質感表現にそれほど優れておらず、ゆったりとした響きの中でぼんやりと聞こえがちな傾向があります。
しかし、定位の表現は比較的優れているため、フルオーケストラの場の雰囲気の再現能力は悪くありません。中域が少し曖昧なところをホールの残響感として捉えることができる人にとっては、わりと生々しいオーケストラサウンドを味わうことができるでしょう。
雅楽も個人的には好みですね。中低域から中域下部がしっかりしているために、篳篥の塩梅の軸に安定感と量感があり、音楽の重心がしっかりしています。また、そのおかげか、和音がきつく浮き上がることなく、適度な余韻と響きで、ほどよくにじみながら聞こえるので、むしろ生々しい雰囲気があります。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音場:B
- クリア感:A
音場は高さと深さに欠けますが、少し奥行きが強調されます。
クリア感は価格を考えると、なかなか優秀に思えます。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:A
- 個人的な好み:A
Geek Wold GK10は音質的には価格の割に、良好なリスニングイヤホンです。それは解像度が高いというイヤホンではありませんが、定位感は比較的正確で、響きの情報量が適度に多く、ゆったりと快適に音楽を楽しむことができます。
中域は実際はかなりぼんやりしていますが、高域が印象的で鮮明感があるために、音像の一貫性の不足は気づきにくく、この欠点は多くの人にとって気になりません。ニュートラルサウンドにこだわりのあるオーディオマニアでなければ、ほとんどわからないでしょう。
逆に言えば、鑑賞者とは逆の位置にいるボーカリストやDTMerにはこのイヤホンの欠点が見えやすく、評判のわりによくない音質だと思うでしょう。
音質的な特徴
美点
- 比較的ニュートラルに近い
- 中域への適切なフォーカス
- 落ち着いて上品な雰囲気
- 充実感のあるサウンド
- 聴き心地が安定している
- 良好な定位感
欠点
- 低いイメージング能力
- 深みに欠ける
- 拡張性で物足りない
充実感のあるサウンド
聴き心地が安定している
良好な定位感
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総評
Geek Wold GK10はマイルドなV字型というか、M字型のシグネチャーを持っており、温かみと充実感に優れた、聴き心地の安定したサウンドを持っています。同じようなシグネチャーを持っているfinal E3000やSHURE SE215がわりと人気なように、この系統のサウンドは一般消費者に人気があります。音像の一貫性に欠ける傾向があるので、オーディオマニア向きとは言い難いですが、ディテール感と聴き心地のバランスが良く、音楽全体をほとんど破綻させずに快適に聴かせてくれるため、価格帯では比較的おすすめしやすい選択肢です。
ビルドクオリティだけ、少しよくないのが気になりますが、音質的にはわりと優れていますね。
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